そしてボクは外道マンになる

そしてボクは外道マンになる

作者である漫画家の平松伸二の半自伝的ドキュメンタリー作品。基本的には時系列順に描かれているが、時おり現代の平松伸二が登場する。バイオレンス的な脚色が強いが、どこまでがフィクションなのかは読者の想像に委ねられている。「グランドジャンプPREMIUM」2016年5月号から2017年11月号にかけて、「グランドジャンプ」2018年2号から20号にかけて連載された。

正式名称
そしてボクは外道マンになる
ふりがな
そしてぼくはげどうまんになる
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
自伝・伝記
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あらすじ

第1巻

岡山県で生まれ育った平松伸二は、18歳の時に漫画家を目指して上京し、編集者の権藤狂児の口利きで、「週刊少年ジャンプ」で『アストロ球団』を連載していた中島徳博のアシスタントとなった。そんなある日、徳博の急病と入院のために急遽代原が必要となり、伸二は初めて締切というプレッシャーがかかった状況で漫画を描く経験をする。その後、伸二は武論尊の原作のもと、『ドーベルマン刑事』というバイオレンス色の強い作品の連載を開始する。そして狂児は、荒事と縁のない者にバイオレンスの漫画は描けないと、伸二を新宿・歌舞伎町に遊びに行かせたり、知人の死刑囚に会わせたりと、あの手この手ではっぱをかける。

第2巻

平松伸二は、それなりに成果を挙げているつもりなのに、周囲から認められていないと感じ、担当編集者の権藤狂児に、自分の事をどう思っているのかをずばり聞いてみた。それに対して狂児は、原作付きでない自分の作品で成功しない限りお前を決して認めないと返し、その言葉に伸二は終生忘れられないほどの衝撃を受ける。そんな中、伸二は『ドーベルマン刑事』の取材のために沖縄に向かう事になった。実は沖縄行きのもう一つの目的は伸二に童貞を卒業させる事で、実際に伸二は狂児の差配で風俗店に行って筆下ろしをさせられる。ある日、伸二は高校時代の同級生だった松山美奈子から連絡を受け、彼女との交際を開始する。時を同じくして、伸二の担当編集者が、狂児から魔死利戸毒多に変わる事になる。

第3巻

平松伸二は恋人の松山美奈子と一線を越えたが、美奈子が処女ではなかった事に激しいショックを受ける。しかし魔死利戸毒多は、相手の過去も含めてすべて愛する事が恋愛であると諭し、伸二は反省して美奈子との結婚を考え始める。その頃、伸二のもとにアシスタントとして新人漫画家の高橋陽一がやって来た。アシスタント現場でも、ヒマを見ては自分の作品に手を入れている陽一の熱意に感心した伸二は、陽一の原稿を読んでみると、その作品『キャプテン翼』の革新性に、新世代の到来をひしひしと感じるのだった。やがて『ドーベルマン刑事』の連載は終了し、伸二は新たにプロレス漫画『リッキー台風』の連載を開始する。

第4巻

松山美奈子と結婚した平松伸二は、美奈子が過去に恋人と死別した経験があり、またその頃に流産を経験している事を知って大いに動揺する。さらに『リッキー台風』は、人気がさほど出ないまま連載が終了してしまい、伸二は次回作の構想を練り始める。伸二は人気作『ドーベルマン刑事』の原点に回帰し、『ブラック・エンジェルズ』のタイトルでバイオレンスな勧善懲悪の物語を描き始める。しかし、主人公のデザインが中々決まらなかったが、美奈子が偶然にラフスケッチの上にこぼしたコーヒーがたまたま髪型のように見え、それをヒントに主人公は黒髪の青年と決まった。連載開始してすぐに『ブラック・エンジェルズ』は人気を博し、タイトルがエンジェルズと複数形である事から、伸二は2番目の主役であるキャラクターを模索し始める。

登場人物・キャラクター

平松 伸二 (ひらまつ しんじ)

週刊少年ジャンプで連載を持つ漫画家の男性。デビュー後、中島徳博のもとでアシスタントを務める。のちに武論尊の原作で『ドーベルマン刑事』を連載し、売れっ子となる。上京まもない頃は純朴な青年であったが、漫画家としての成功と共に傲慢な性格と粗暴な態度を身につけていく。蛇が非常に苦手。実在の人物、平松伸二がモデルとなっている。

外道マン (げどうまん)

平松伸二が自分の妄想の中で生み出した幻想のキャラクター。伸二を悪く言うかと思えば、励ましたりと、さまざまな役割を担う。妄想上の存在であるため、姿かたちは不定で性別すらもその時によって変わるが、ほとんどの場合は悪魔のような外見をしている。

松山 美奈子 (まつやま みなこ)

平松伸二の高校時代の同級生で、当時の片思いの女性。「週刊少年ジャンプ」編集部から伸二の連絡先を聞き出して交際するようになり、のちに伸二の妻となる。大学時代に伸二とは別の恋人がいたが死別しており、その頃に子供を流産した経験がある。

権藤 狂児 (ごんどう きょうじ)

「週刊少年ジャンプ」の編集者を務める男性。平松伸二の初代担当者。伸二がアシスタントをしていた頃の中島徳博の担当編集者でもある。性格は凶暴極まりなく、つねに木刀を持ち歩いている。また、伸二を死刑囚と面会させるなど、裏社会に謎めいた人脈を持つ。

魔死利戸 毒多 (ましりと どくた)

「週刊少年ジャンプ」の編集者を務める男性。平松伸二の2代目担当者。権藤狂児の後任として『ドーベルマン刑事』を担当するが、乱暴者の狂児とはまったくタイプが違う、冷徹で飄々とした性格をしている。編集者としては辣腕で、数多くの助言を伸二に与える。

真髄 栄加元 (まずい えいかげん)

「週刊少年ジャンプ」の編集者を務める男性。平松伸二の3代目担当者。学生時代にプロレス同好会に入っていた経験を買われ、プロレス漫画『リッキー台風』を連載していた頃に魔死利戸毒多から担当を引き継いだ。チャラチャラしたいい加減な性格で、よく伸二との打ち合わせをすっぽかしている。

中島 徳博 (なかじま のりひろ)

「週刊少年ジャンプ」の漫画家の男性。『アストロ球団』を連載していた頃に、平松伸二をアシスタントとして雇用していた。下品な性格でつねに飲んだくれているが、伸二には目をかけており、自分が入院した時の代理の漫画家として伸二を推薦した。実在の人物、中島徳博がモデル。

武論尊 (ぶろんそん)

漫画原作者の男性。『限界30球!』という野球漫画で初めて平松伸二とコンビを組み、のちに『ドーベルマン刑事』で共に売れっ子の仲間入りを果たす。その後、『北斗の拳』の原作者として大ヒットを飛ばす。実在の人物、武論尊がモデル。

高橋 陽一 (たかはし よういち)

「週刊少年ジャンプ」の漫画家の男性。一時期、平松伸二のもとでアシスタントをしていた。純朴とした青年だが芯が強く、当時すでに描き始めていた『キャプテン翼』の原稿を読んだ伸二に、強大なライバルの出現を意識させた。実在の人物、高橋陽一がモデル。

猿渡 哲也 (さるわたり てつや)

「週刊少年ジャンプ」の漫画家の男性。一時期、平松伸二のもとでアシスタントをしていた。『リッキー台風』を連載していた頃、高橋陽一と入れ替わる形で伸二の前に現れ、その凄まじいデッサン力で伸二を唸らせた。実在の人物、猿渡哲也がモデル。

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