概要・あらすじ
過去に探偵に命を救われた経験から、その職業に憧れ、難関の試験を突破し、探偵養成学校団探偵学園に入学したキュウ。天分とも言える閃きに支えられる直感的な推理力を持つ彼は、学園長団守彦の後継者を選ぶ為のQクラスに所属し、個性的な他の4人の面々と切磋琢磨して成長していく。探偵の卵として様々な事件を解き明かしていくうちに、当初は皆と打ち解けなかったQクラスのメンバー天草流とも信頼関係が芽生え、また、事件の影に、天才芸術家九頭龍匠、そして、謎の犯罪集団冥王星が見え隠れするようになる。
登場人物・キャラクター
美南 恵 (みなみ めぐみ)
団探偵学園のQクラスに所属。中学3年生。能力開発研究所出身。Qクラスの紅一点で、気が強い性格で、直ぐに手が出る。髪型は上結びのツインテール。推理力はやや劣るが、生まれつきの瞬間記憶能力者。見たり聞いたりしたことは、絶対忘れない能力を持つ。その能力で、入学以前にも、何度か事件を解決しており、4歳の時には、警視総監特別賞を最年少で貰っている。 過去に能力開発研究所にて、天草流に出会った経験を持つが、なぜか忘れていた。物語が進むと共に、キュウとの仲が深まっていく。女生徒同士と言う事で、クラスを超えて、雪平桜子や遠矢邦子と、コンビ、トリオを組む事も多い。 大学生の姉と二人暮らし。身長163cm、体重47kg、B78、血液型A型。
連城 究 (れんじょう きゅう)
団探偵学園のQクラスに所属。中学3年生。人懐っこい性格。年齢に比べても子供っぽく、学術的な難しい事は苦手で総合的な知識力にも欠けるが、人知れず努力して磨いた観察力、天分とも言える閃きに支えられる、直感的な推理力は人一倍優れる。アクシデントで入学二次試験に遅れ、試験を一問しか解かなかったが、二次試験までの行動、選び解いた一問の性質を評価され、入学を許された。 過去に誘拐事件に巻き込まれ、「探偵のおじさん」に助けられ、憧れる。その時に貰った「探偵心得帳」をバイブルとする。事件の解決編前には、「ヒントn個、答えは一つ」を決め台詞としている。座右の銘は「探偵があきらめたら、事件は迷宮入りなんだ!」。母子家庭に育つ。 身長161cm、体重53kg、血液型O型。
天草 流 (あまくさ りゅう)
団探偵学園のQクラスに所属。中学3年生。どこか冷たい印象をみせる美少年。年齢に似合わず、博識で沈着冷静。推理力はQクラスの中でもトップクラスで、入学二次試験は全問正解で突破した。論理を重んじ、周りに流されず時に冷酷とも言える判断を下すが、内面は、繊細で、時に脆さもみせる。「謎よ……もっと深まれ…… !」という決め台詞を持ち、事件や謎に飢えた側面をみせる。 物語が進むともに、キュウを中心にQクラス、団探偵学園の面々との間に強い仲間意識が芽生え、次第に、感情を表に出すようになる。特に、親友となったキュウには、弱みを見せる事も多い。幼い頃から、祖父の組織の元で特殊な英才教育を受け、既にアメリカの大学入学資格を持つ秀才だが、5歳以前の記憶が無い。 その出自や、自身の謎を求める性格に対し、疑念を抱きつづけ、出自に絡む事件では、時に冷静さを保つ事が出来なかった。とある組織から「任務」を帯び探偵学園に入学した。物語当初は、「母親」の由利絵と館にて暮らしていたが、「幻想館殺人事件」以降は、キュウの家の居候となる。 事件を解き明かした時の台詞は、「今・・霧は晴れた…」。仲間と打ち解けた後は、生来の生真面目な性格が災いし、ギャグ要員としても活躍する。「殺人コレクター」事件で彼に一目ぼれし、団探偵学園まで追いかけてきた遠矢邦子に対しては、対処に困り続ける。キュウの家庭で、初めて食べた納豆が好物。 身長166cm、体重50kg、血液型AB型。
遠山 金太郎 (とうやま きんたろう)
団探偵学園のQクラスに所属。高校3年生。Qクラスの最年長メンバーで、北町奉行遠山金四郎の末裔。気っ風が良く、前向きで正義感が強いが、ズボラな面を持つ。Qクラスのムードメーカーでもある。推理力は今ひとつだが、視力4.0ある視覚や、本人曰く犬並みの嗅覚など五感が鋭く、それに伴ってか勘も鋭い。 身体能力にも優れ、剣道四段、柔道三段、空手三段、などの腕前を持つ。「遠山流隠密術」なる、江戸時代から続く秘術を受け継ぐ。父親は、警視庁勤務の警視正で、学園長団守彦の旧知。大型自動二輪免許あり。鳴沢数馬と、コンビを組む事が多い。身長180cm、体重70kg、血液型O型。
鳴沢 数馬 (なるさわ かずま)
団探偵学園のQクラスに所属。極めて裕福な家庭に育った、小学五年生。クラスの歳年少メンバーで、大ヒットゲームを連発している、天才少年プログラマー。ハッキングを含む、ネットワークからの情報収集を得意とする。また、状況を入力する事で、古今東西の難事件、解事件のデータベースから、トリックを類推する自作のディティクティブソフトも使いこなす。 実地捜査では、デジタル機器以外にも、超小型顕微鏡、指紋採取セットなどの自作ツールも併用する。なまいきで、大人びてはいるが、幽霊を恐れるなど、子供っぽい部分もしばしばみせる。遠山金太郎と、コンビを組む事が多い。身長142cm、体重38kg、血液型B型。
団 守彦 (だん もりひこ)
名探偵と名高い探偵。団探偵社(D.D.C.)の社長で、団探偵学園(D.D.S)の主催、学園長。警察官と同等の捜査権及び逮捕権を与えられた称号「警視庁特別公認探偵」を持ち、日本で唯一、探偵としての拳銃携帯を許されている。自らの後継者を選ぶために設立した、特別クラスQクラスを指導する。 過去の事件で下半身不随となり、車椅子生活を送っている上、不治の病にも侵されている。「探偵があきらめたら、事件は迷宮入り」という座右の銘を持つ。学園の授業では、生徒に対して、探偵という職業の責務について、厳しく自覚を促すと、同時に自身も好奇心を持ち続け研鑽を欠かさない。教え子で助手の片桐紫乃と恋愛関係にある。
片桐 紫乃 (かたぎり しの)
団守彦の助手兼秘書。セミロングの髪に眼鏡姿の物静かな性格の女性。団探偵学園の講師も務める。空手二段、柔道二段。得意分野はダイイングメッセージの解読。団探偵学園一期生。団守彦と恋愛関係にあり、二人きりの時は、団からは「紫乃君」と呼ばれている。団が不治の病の末期である事を、学園関係者の中でただ独り知る。 七海光太郎、本郷巽とは同期である事からか、容赦無くツッコミを入れるなど対応に遠慮を見せないが、同時に深い信頼関係で結ばれている。
七海 光太郎 (ななみ こうたろう)
団探偵社に所属し、団守彦の右腕を自称する部下で、団探偵学園の講師。縮れた黒髪に白いソフトハット、白いスーツ姿の一見軽そうにみえる男性。変装の達人で、探偵業の傍ら、無機物を含む様々なモノに変装して、Qクラスを見守る。悪戯好きで、団にしかられる事もしばしば。物語前半からQクラスの面々の前に登場していたが、物語後半に入るまで、クラスのメンバーは誰1人、七海の存在も、素顔も知らなかった。 団探偵学園一期生。同期の片桐紫乃、本郷巽とは、時に対立はするモノの、深い信頼関係で結ばれている。ケルベロスと因縁が深く、物語中何度も対決をする。サボテンに変装するのが好み。
本郷 巽 (ほんごう たつみ)
「Qクラス」の講師の1人。ガタイがよく強面。私語厳禁を徹底し、道場磨きを課すなど、礼儀、規律に厳しい。過去の傷から片足を引きずる。左手に無数の刃物傷があり、同じ腕に傷だらけのごつい腕時計をしている。足音を全く立てずに移動する特技をもつ。団探偵学園一期生。同期の片桐紫乃、七海光太郎とは、時に対立はするモノの、深い信頼関係で結ばれている。
雪平 桜子 (ゆきひら さくらこ)
団探偵学園のAクラスに所属。17歳女子。高校二年生。名探偵団守彦の姪。真面目で気の強い性格。黒髪ショートカット、前髪を押さえる5本のヘアピンが特徴的。四カ国語に通じる。伯父の団守彦に憧れ、後継者を目指し、様々な事件に首を突っ込んで自分の力で解決してきた。小三で警視総監賞を貰うなどの実績もあり、一人前の探偵を名乗る。 当初Qクラスの人選を認めていなかったが、物語前半、映画のプロモーションを巡る事件で、Qクラスの面々に命を救われた事で認識を改め、以降ライバルとして切磋琢磨するようになる。
遠矢 邦子 (とおや くにこ)
団探偵学園のAクラスに所属。15歳女子。合気道の達人で、変装も卒無くこなす。伝統ある名門校、渋澤学院高校の一年生。特Aクラス。黒髪ショートヘアに眼鏡姿。真面目で、極めて内向的な性格だが、思い詰めると只ならぬ行動力を発揮する。オタク趣味。『殺人コレクター』事件にて登場後、一目ぼれしたリュウを追って団探偵学園に編入し、以降ストーカー気味に、彼を追い続ける。 編入後は、染めた髪にコンタクトのコギャル風の姿となったが、性格は変わらず。
キング・ハデス
悪の組織「冥王星」の首魁。組織の創始者。初老の男性。圧倒的なカリスマと知性で、犯罪集団を纏める。本名は黒王星彦。母は、稀代の魔女、「殺人請負人」などと称される犯罪者黒王百合華。中学校時代は、団守彦の親友だったが、不幸な行き違いが重なり袂を分かつ事となる。その後、さらに親族の猜疑心により、地下牢に閉じ込められるなどの、親しい人に裏切られ続ける経験の結果、「人間に対する絶望」を抱くようになる。 その復讐心から、母の方法論を応用し、自らは手を汚さず、人々を殺戮へと駆り立てる組織、冥王星を創設するに到る。
ケルベロス
悪の組織「冥王星」の幹部。キング・ハデスに忠誠を誓うエージェント。犯罪コーディネーター。危険な香りが漂う美青年。プライドが高いが、潔い性格。本名は、ケン・L・ベルローズ。催眠術の名手。人間心理に詳しく、得意の催眠術に加え、組織の変装術に心理学を応用することで精度を高め、状況を支配する。 抜群の記憶力を誇り、一度読んだ本は、全て丸暗記しているほど。「冥探偵ケルベロス」篇などでは、主人公を務める。
九頭龍匠 (くずりゅうたくみ)
故人だが、物語の鍵となる人物。1908年(明治42年)生まれ。没年不詳。建築家、彫刻家、画家、作曲家、詩人という様々な顔を持つ多彩な人物。「万能の天才」と呼ばれた。日本における、トリックアートの先駆者とも呼ばれるが、残っているはの彼の作と言われる作品群のみで、経歴、人物像については不詳とされた。 右手の付け根に、冥王星の形の痣を持つ。作中には、建築物棲龍館、ヴァイオリンテスタ・ディ・ドラゴ、組木箱千鱗龍、などの作品が登場した。
集団・組織
団探偵学園 (だんたんていがくえん)
D.D.S.(Dan Detective School)とも呼ばれる、名探偵団守彦が主催し、学園長を務める探偵専門学校。論理学、法医学、暗号学、格闘学などの技術と共に、探偵としての心構えを教える。生徒の学業、仕事との最低限の両立を可能にするため、平日は午後からの授業が多い。QクラスAクラスをトップに、Dクラスまでの5クラスが存在する。 学園の卒業生は勿論、在学生も警察から絶大な信頼を寄せられている。毎年一万人以上か入学に志願しているが、合格するのは一握り。本校舎には、各クラスの教室の他、事件現場再現教室、格闘技道場、コンピュータ実習室、特殊メイク実習室、法医学実習室などの施設を持つ。 敷地内には、旧校舎と呼ばれる、団守彦が、かつて探偵事務所として使っていた古い建物も存在する。上部団体は、団探偵社(D.D.C.)。上級クラスに配布される探偵ツール付きの手帳は、D.D.N.(ダンディテクティブノート)と呼ばれ、警察手帳に匹敵する身分証明となる。
Qクラス (きゅうくらす)
『探偵学園Q』の組織。学園長団守彦が直接指導する「Qualified Class(資格を与えられたクラス)」と呼ばれる、団探偵学園の特別クラス。キュウが入学した年度に開設された。定員は5名。入れ替え試験で、メンバーが替わる事もある。 キュウ、美南恵、遠山金太郎、鳴沢数馬、天草流の五人が所属する。 クラスに所属した者は、警察官と同等の捜査権及び逮捕権を与えられた称号「警視庁特別公認探偵」の後継者候補資格を持つ。Qクラスの教室は、他のクラスとは異なり旧校舎と呼ばれる古い建物の中にある。
Aクラス (えーくらす)
『探偵学園Q』の組織。団探偵学園の通常クラスのトップレベルクラス。クラス入れ替え戦があり、Qクラス編入も可能なため、メンバーはQクラスのメンバーをライバル視しているが、重大事件においては肩を並べて事に当たる場合が多い。17歳にして数学オリンピックの世界ランキングに入った事がある、数学の天才郷田京介、8歳でラスベガスにデビューした凄腕のマジシャンの白峰隼人、犯罪心理学の博士号を持つ獅子戸猛、学園長団守彦の姪雪平桜子、東大在学でIQ180を自称する三郎丸が所属する。 また、物語中盤『殺人コレクター』事件後、Qクラスの天草流を追って遠矢邦子が編入する。三郎丸は、物語後半Bクラス落ちとなる。
冥王星 (めいおうせい)
『探偵学園Q』の組織。自らの手を汚さずに、依頼者や、そそのかした人間に殺人計画を遂行させつづける悪の組織。黒王百合華の理論を元に、首魁キング・ハデスが創設した。団守彦と、団探偵社の宿敵。団守彦と連城暁らにより、物語開始時点から8年前に一度壊滅させられたが、首魁は潜伏しており、Qクラスの創設と前後して復活した。 依頼者に、完全犯罪ともいえる殺人計画を立て授けるが、その代価として、犯罪成功後時点での全財産の半分を要求する。要求物は、組織指定の美術品などで置き換えられる場合もある。依頼者が計画に失敗したら、自らの関与の証拠隠滅のため、後催眠効果で、自殺、若しくは関係者に殺害させるが、この事は依頼者には知らされない。 依頼が無くても、そそのかして計画を授ける場合もある。メンバーは必ず、体のどこかに冥王星の惑星紋章を刻み付けている。頭脳集団である事に美学を持ち、メンバーが直接手を下す事は、掟で禁じられている。掟を破った者は、後催眠効果を使った精神崩壊などで、処刑される。メンバー幹部のコードネームは、キング・ハデス、サー・カロン、ケルベロスなど、ギリシャ神話の冥界に関する名前で統一されている。
場所
団探偵学園旧校舎 (だんたんていがくえんきゅうこうしゃ)
棲龍館と呼ばれる、天才芸術家九頭龍匠が設計した建物の一つ。名探偵でもある団守彦が、過去に探偵事務所として使っていた古い建物で、団探偵学園の敷地内にあるため旧校舎とも呼ばれる。学園の中でも、この建物内に教室があるのは、団の後継者候補資格を持つQクラスのみ。建物には、10匹の龍が書かれた扉や、隠し部屋など、数々の謎があり物語に絡んでいく。
クレジット
- 原作