死神探偵と幽霊学園

死神探偵と幽霊学園

事件に巻き込まれやすい体質の高校生、鹿神孝が、学内の事件を解決していく学園ミステリー。殺人事件に呪いを掛け合わせた、オカルト要素を含んだ話で、「死神探偵」シリーズの2作目となる。「ミステリービィストリート」2002年12月号から2003年10月号、WEBコミック「幻蔵」2005年12月号から2006年11月号、「Webスピカ」2009年6月号から2010年7月号にかけて隔月で、それぞれ掲載された。

正式名称
死神探偵と幽霊学園
ふりがな
しにがみたんていとゆうれいがくえん
作者
ジャンル
推理・ミステリー
関連商品
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あらすじ

第1巻

鹿神孝は、夏休みに同級生の金子みちると先輩の文月京、麻木亜希子らと文化祭実行委員の仕事をしていた。その最中、亜希子から、高坂高校に伝わる怪談話を聞く。その内容は、かつて高坂高校旧校舎で自殺した生徒がおり、彼を侮辱するようなことを言うと「怨」と書かれた紙が届いて、1週間以内に死んでしまうというものだった。その後、鹿神とみちる、亜希子の3人は、この話を面白がった剣道部員たちと旧校舎に肝試しに行き、女性のバラバラ死体を発見してしまう。 すぐに高坂警察署の刑事、松木滋郎塙助清がやって来て、捜査を開始。その捜査中に亜希子は、自分の鞄の中に「怨」と書かれた紙が入っていることに気付き、呪いに怯える。翌日、鹿神とみちる、京、そして亜希子は用務員の田辺務に怪談の真相を聞くために、高坂高校へ向かう。そんな4人に田辺は、以前に旧校舎を壊そうとした際、工事作業員が連続して亡くなったため、作業が中止になったことを語るが、「怨」と書かれた紙のことは知らないという。その後、京に「呪いの紙は自作自演ではないか」と疑われた亜希子は、部屋を飛び出し、そのまま姿を消してしまう。

第2巻

鹿神孝金子みちる文月京らは麻木亜希子を探すものの、見つけることができなかった。3人は不安なまま帰路につくが、その翌朝、鹿神とみちるはテレビのニュースで、高坂高校の前におさげ髪が1本落ちていたという情報を知る。これを受け、みちるの家に肝試しに参加した原真人立林寛典吉野直樹、鹿神と京が集合。そこで、原やみちる、鹿神のもとにも「怨」と書かれた紙が届いていたことが発覚する。その後、皆は不安を抱えたまま帰路につくが、途中、原が車に轢かれて重傷を負ってしまう。 調べを進めていた鹿神とみちる、京は、亜希子と同じ文芸部の生徒から、バラバラ死体の怪談は、文芸部の古い部誌に掲載されていたらしいという情報を得る。そこで3人は、かつて高坂高校の隣には柳原細菌研究所という施設があったことを知り、用務員の田辺務に、この事実について尋ねることにする。しかし田辺は不在で、彼を待つ間にコンビニへ向かった京が、そのまま姿を消してしまう。

第3巻

鹿神孝金子みちるは、刑事の松木滋郎に、自分たちも捜査に協力させてほしいと頼み込む。さらに捜査メンバーには、一緒に肝試しをした剣道部員の立林寛典吉野直樹も加わる。 松木とともに旧校舎に向かう捜査メンバーたち。その間、鹿神とみちるは教師のから、かつて高坂高校に勤めていた田中という教師が、その怪談について調べていたという情報を得る。さらに林によれば、田中が当時、新校舎で何かを見つけたとも言っていたらしい。早速、新校舎の探索を開始する鹿神とみちるだったが、その途中、今度はみちるが姿を消してしまう。 幼なじみも守れないのかと落ち込んでいた鹿神は、偶然にも用務員の田辺務がどこかへ向かうのを目撃する。

登場人物・キャラクター

鹿神 孝 (ししがみ こう)

高坂高校1年生の男子。文化祭実行委員を務めている。これまで数々の事件に遭遇しており、一部の友人からは「死神」と呼ばれているが、本人はその呼び名を嫌っている。淡々とした性格で、バラバラ死体を見た時も、すぐに落ち着きを取り戻していた。呪いについては信じておらず、今回の事件も呪いとは関係のない殺人事件として、冷静に捜査に協力している。 幼なじみの金子みちると付き合っており、みちるの前では初心な高校生らしい態度を見せる。

金子 みちる (かねこ みちる)

高坂高校1年生の女子。文化祭実行委員を務めている。ロングヘアの前髪を中央で分けている。真面目ながら少々天然気味で、心配性な性格をしている。呪いについては信じておらず、特別な怖がりでもないが、自身に「怨」と書かれたメモが届いた時は、ショックで気絶してしまった。その性格のため、交際している鹿神孝に何かと頼ることも多い。 名前を出すと報道陣が飛びつくほど有名な金子商事会長、金子良満の娘で、地下に図書室があるほどの豪邸に住んでいる。事件後、外を出歩く時は、いつもボディガードがつく。

文月 京 (ふみづき きょう)

高坂高校2年生の女子。生徒会の副会長を務めている。外はねのおかっぱヘアにしている。非常にはっきりした性格で、友達である麻木亜希子に、呪いの紙は自作自演ではないかと、厳しい言葉を投げかけた。しかし彼女が行方不明になった時には、傷つけてしまったことを後悔し、涙を流した。怖がりのため怪談話は苦手で、旧校舎の肝試しにも参加しなかったが、のちに行方不明になる。 一軒家に祖母と2人暮らしをしている。

麻木 亜季子 (あさぎ あきこ)

高坂高校2年生の女子。文芸部に所属している。長い髪を2つのおさげにしている。基本的にはおとなしい性格ながら、大好きな怪談話になると、テンションが上がる。文化祭実行委員の仕事をしている鹿神孝と金子みちる、文月京が集まった際には、旧校舎で死体を見た者に「怨」と書かれた紙が届く、という噂話があることを伝えた。 肝試しに参加した後に「怨」と書かれた紙が届き、三つ編み1本だけを残して、行方不明になる。

原 真人 (はら まこと)

高坂高校2年生の男子。剣道部に所属している。髪型は外はねの短髪ヘア。鹿神孝とは小・中学校時代から一緒で、彼のことを「死神」と呼んでいる。明るくノリがいい性格で、嫌がる鹿神を怪談話や肝試しに強引に誘っている。旧校舎に肝試しに行き、「怨」と書かれた紙が届いた翌日、車に轢かれて重傷を負い、入院することとなる。

立林 寛典 (たてばやし ひろのり)

高坂高校2年生の男子。剣道部に所属している。髪型は角刈りで、ぎょろりとした目が特徴。明るく活発な性格で、鹿神孝や同じ剣道部の原真人たちとともに肝試しに参加した際は、頭に鉢巻きを巻いて、ろうそくを身につけ、場を盛り上げていた。旧校舎で死体を発見し、「怨」と書かれた紙が届いた後は、怯えて自宅にこもっていた。 最終的には吉野直樹とともに、松木滋郎が指揮を執る旧校舎の捜査に加わる。

吉野 直樹 (よしの なおき)

高坂高校2年生の男子。剣道部に所属している。オールバックの髪型をしている。旧校舎での肝試しの際は最初に校舎に立ち入り、同行の仲間に「勇気がある」と言われていた。一方で、「怨」と書かれた紙が届いてからは、恐ろしさから自宅にこもるが、最終的には立林寛典と捜査に協力し、松木滋郎らとともに、旧校舎での捜索に加わる。

松木 滋郎 (まつき じろう)

高坂警察署の若い男性刑事。バラバラ死体にまつわる事件の捜査の指揮を執っている。つんと立った短髪で、眼鏡をかけている。同じく刑事の塙助清とともに、バラバラ死体が見つかった高坂高校にやって来た。冷静沈着で理知的な性格なので、高校生である鹿神孝たちの話も真剣に聞いていた。金子みちるに泣き落とされ、鹿神たちが旧校舎の捜査に加わるのを許すなど、情にもろいところがある。

塙 助清 (はなわ すけきよ)

高坂警察署の若い男性刑事。バラバラ死体にまつわる事件の捜査に携わっている。細眉で、サイドがカールした特徴的な髪型をしている。同じく刑事の松木滋郎とともに、バラバラ死体発見の捜査のため、高坂高校にやって来た。他人をからかうようなデリカシーの足りない発言もするが、刑事としての仕事はしっかりこなし、特に松木の指示には従順。

中山 (なかやま)

高坂高校の男性教師。同校の卒業生でもある。がっちりした体格で、頼りがいのある性格をしている。バラバラ死体を発見後、「怨」と書かれた紙が届いた鹿神孝たちに、高坂高校に伝わる怪談を語って聞かせた。かつて怪談を調べていた同僚教師の田中と仲が良かった。

(はやし)

高坂高校の男性教師。かなり細身で髪が薄く、大きな丸眼鏡をかけている。過去に同僚の田中が調べていた怪談について今も調べており、鹿神孝と金子みちる、文月京が探していた文芸部の部誌を持っていた。かつて田中が、校舎で何かを見つけたと言っていたことを鹿神に伝えた後、調査の協力を頼まれて一緒に旧校舎の地下へ向かう。

田中 (たなか)

高坂高校の教師だが、性別は不明。中山と林の元同僚で、特に中山とは仲が良かった。数年前、歩いていたところを轢き逃げに遭って亡くなっている。当時、高坂高校に伝わる怪談について調べており、関係のある何かを旧校舎で見つけたと、林に語っていた。

田辺 務 (たなべ つとむ)

高坂高校の男性用務員。髪が薄く、口ひげを生やしている。生徒に気軽に話しかけるなど世話好きな性格で、バラバラ死体が発見された後、警戒を強めた学内に、鹿神孝と金子みちる、文月京を、こっそり招き入れた。勤続30年以上になるため、学校に関する古い話をよく知っており、旧校舎に関わる怪談にも詳しい。しかし、「怨」と書かれた紙が届く、という噂話については知らなかった。

金子 良満 (かねこ よしみつ)

金子みちるの父親。有名企業である金子商事の会長を務めている。ふわりとした短髪で、目が細く、顎ひげを生やしている。少々天然な性格をしている。バラバラ死体が発見された後は、みちるが、隣家である鹿神孝の自宅を訪れるだけでも、ボディガードとして付き添うほどの溺愛ぶりを見せる。ちなみに、みちると鹿神の交際は認めている。

金子 満 (かねこ みつる)

金子みちるの兄で、大学生の男性。幼い頃の鹿神孝に女装をさせてからかったりしていたため、鹿神からはあまり快く思われていない。妹のみちるをとても大切にしており、鹿神とみちるが、自宅である洋館の地下の図書館で、怪談が載っている本を探すのを手伝った。ちなみに、みちると鹿神の交際については認めていない。

場所

高坂高校

鹿神孝たちが通っている高等学校。戦時中に避難所になったこともある旧校舎と、新しく作られた新校舎がある。旧校舎は取り壊されるはずだったが、工事関係者が連続して亡くなったため、取り壊しが中止となった。そのためか、旧校舎には怪談話が多く残っている。新校舎を建てるにあたって敷地内を掘り起こした際には、死体や建物の一部が発見されたという噂もある。 戦時中、隣には柳原細菌研究所があった。

柳原細菌研究所

高坂高校の隣にあった戦時中の施設。今はもう取り壊されている。鹿神孝は、金子みちるの家の地下にあった本で、この研究所の存在を知り、文月京の祖母と友人たちに詳しい話を聞きに行った。戦争当時には人体実験をしており、軍人が出入りしていたという噂がある。

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