概要・あらすじ
家出した不良少年・日野信行は、北海道へと向かう青函連絡船で、日本刀を抱いて離さない青年・忽那草介と、その妹・忽那笙に出会う。忽那草介は、自分の一族を呪う妖怪のころびが見えるのだという。忽那草介の話を信じない日野信行だが、何もないところから突如忽那草介の胸が切り裂かれた。
登場人物・キャラクター
日野 信行 (ひの のぶゆき)
『連絡船奇譚』の主人公である男子高校生。周囲からチンピラと呼ばれる不良。教師にも友達にも尊敬できる人物がいない、と不登校を繰り返し、ついには父と衝突して家出する。函館に住む石島という人物を頼るため青函連絡船に乗船し、そこで忽那草介と忽那笙に出会う。たまたま関わっただけの忽那草介がころびと戦うのに加勢するなど、義侠心が強い一方、思ったことを素直に表せない不器用な面もある。
忽那 草介 (くつな そうすけ)
大学生。かつて妖怪のころびを斬った忽那一族の末裔で、ころびに狙われている。日本刀の勢州正宗を携えて自室に引きこもるなどの奇行に走り、周囲からは精神を病んだと見なされている。男子がころびに殺されて夭折する忽那一族の宿命を断ち切るべく、青函連絡船に乗り込みころびを誘い出す。 ころびが見える以外に特別な力があるわけではなく、膂力や剣技も優れているわけではないようだが、忽那一族を襲う悲劇を繰り返させないためにころびと差し違えようとする勇気の持ち主。
忽那 笙 (くつな しょう)
忽那草介の妹。周囲からは精神を病んだと思われている兄・忽那草介を庇い、甲斐甲斐しく世話を焼く。兄のせいで故郷の村では冷遇されていたため、向こう気が強い。
ころび
『連絡船奇譚』に登場する妖怪。翼と尾を持ち、全身には毛が生えている。慶安(17世紀中期)の頃、遠野郷で人々を殺し続けて来たが、忽那以十郎信伝に腕を切り落とされる。それ以降、忽那一族を呪い続け、男子が成長すると殺害し続けてきた。普通の人には姿が見えない。
忽那 以十郎信伝 (くつな いじゅうろうしんでん)
遠野郷で人々を殺し続ける妖怪のころびと対決し、その腕を切り落として追い払うことに成功する。しかし、ころびを完全に倒すには至らず、生涯魔除けの札やお守りを作り続けた。
その他キーワード
勢州正宗 (せしゅうまさむね)
『連絡船奇譚』に登場する日本刀。忽那以十郎信伝が使い、ころびの腕を切り落とした。ころびの襲撃に対抗するため忽那草介が携帯。忽那草介は、人を切る刀ではなく、ころびを切る刀と呼ぶが、特別な力を持つかどうかは不明。