あらすじ
第1巻
サバイバル精神旺盛な男子中学生の内藤内人は、塾に追われるだけの平凡で退屈な日々を送っていた。そんな内人はふとした偶然から、クラスメイトの謎多き天才御曹司、竜王創也の秘密を知ってしまう。その秘密とは、創也が自身の「砦」で究極のゲームを作ろうとしている事だった。その日から二人は、都会を舞台に究極のゲームを作るための冒険を始める。創也の最初の目的は、以前から捜していた伝説のゲームクリエイターの栗井栄太を見つけ出す事だった。そんなある日、内人はクラスメイトの堀越美晴から、堀越隆文がディレクターを務めるジャパンTVの人気番組「生生クイズ」に出演するよう依頼されるが、その番組に栗井の手がかりがある事が判明。内人達は栗井に近づくために、生生クイズに出演する事になる。内人達は知恵と推理、そして工夫を凝らし互いに協力しながら、さまざまなゲームと謎解きに挑んでいくが、そこには何者かの陰謀が待ち受けていた。
第2巻
栗井栄太の手がかりが潜むジャパンTVへ潜入した内藤内人と竜王創也の二人は、テレビ番組「生生クイズ」スタッフの寺田とチャンピオンの我毛豪太郎のあいだに、クイズの答えをカンニングしているという疑惑がある事を知る。栗井栄太の手がかりとカンニング疑惑を明らかにするべく、ジャパンTV内で捜索を始めた内人達だったが、何者かにクロロホルムで眠らされ、狭い密室に監禁されてしまう。内人のサバイバル技術でなんとかその場を脱出した二人だったが、脱出した先は生生クイズの生放送現場で、堀越美晴と我毛によるクイズ対決がすでに始まっていた。我毛と寺田のカンニング疑惑を確信していた創也は、生放送に乱入して彼らの疑惑と陰謀を暴く。
第3巻
栗井栄太からの招待状を受け取った竜王創也は、内藤内人と共に、栗井の屋敷「ゲームの館」を訪れる。ゲームの館には、同じく栗井に招待された神宮寺直人、柳川博行、ジュリアス・ワーナー、鷲尾麗亜が集まっていた。館のモニターには栗井の姿がテレビ電話で映し出され、招待された者達はいずれも栗井が作った伝説のゲーム「ルージュ・レーブ」を目的に集まった事が判明。そして栗井が仕掛けた宝探しゲームに勝利した者は、ルージュ・レーブに関するすべての権利が与えられる事が告げられる。しかし、このゲームには参加者を邪魔する「ジャマー」として栗井自身が潜み、数々の罠を仕掛けていた。さらに、ルージュ・レーブに手を出す者には「死」が与えられると語るのだった。こうして内人と創也、そしてそのほかのメンバーは、知恵と工夫をこらしながら、ルージュ・レーブを巡るゲームに挑む。
登場人物・キャラクター
内藤 内人 (ないとう ないと)
「文科省認定の平凡なふつうの男子中学生」を自称する少年。毎日のように塾通いに追われる日々に退屈を感じている。幼少期からおばあちゃん子で、内人の祖母と共に山にこもりながら、サバイバル能力を身につけた。このため祖母に教わった数々の「おばあちゃんの知恵」をもとに、密室から脱出したり暗い場所に火を灯したりなど、あらゆる状況を切り抜けるサバイバル能力と知識を持つ。 また、つねに持ち歩いている荷物や身近な物を活用しながら、さまざまな道具を工作する事もできる。クラスメイトの堀越美晴に片思いしているが、その思いは空回りする事が多い。ある日の塾帰りに、クラスメイトの竜王創也の秘密を偶然知り、彼の「砦」の鍵を受け取って出入りするようになる。 これをきっかけに退屈な日々を抜け出し、創也と共に都会を冒険しながら、さまざまな謎解きやゲームに挑むようになっていく。マイペースでクールな性格の創也にはいつも振り回されているが、サバイバル能力や一般人視点からの発想は、創也から頼りにされている。猟師をしていた祖父譲りで目がよく、両目の視力は共に2.0。ティッシュやスティックシュガーなど、無料の物は何でも貰っておく癖がある。
竜王 創也 (りゅうおう そうや)
学校創設以来の秀才といわれるほどに頭脳明晰な男子中学生。内藤内人のクラスメイト。メガネをかけているが実は伊達メガネで、視力は両目共に2.0。超巨大企業「竜王グループ」の跡取りだが、竜王創也本人は、世界最高のゲームクリエイターとなり、究極のゲームを作る事を夢見ている。好きなものはクラシック音楽とダージリンティー。 博学で雑学知識も豊富で、分析や推理も得意。ふだんは冷静沈着だが、プライドの高さから、時おり後先を考えずに行動する猪突猛進な一面を見せる事もある。クラスメイトに内緒で、放課後は「砦」にこもっていたが、偶然遭遇した内人に自分の夢を打ち明け、彼とコンビを組んで都会を冒険するようになる。マイペースでクールな性格から、内人の事をよく振り回しているが、彼のサバイバル能力は頼りにしている。 クラスメイトの堀越美晴から片思いされているが、彼女に対してはクラスメイト以上の感情を持っていない。ゲームマニアだが、ふつうのコンピューターゲームには内心飽きており、栗井栄太が作ったゲームや、R・RPGなどに強い興味を持っている。
堀越 美晴 (ほりこし みはる)
中学生の女子。内藤内人と竜王創也のクラスメイト。テレビ局・ジャパンTVでディレクターをしている堀越隆文を父親に持ち、彼が手がけたテレビ番組によく出演している。おとなしく健気な性格だが、クラスメイト達からは、見た目よりもしたたかな女子だと評されている。また勘が鋭く、クイズ番組に出た時は、大半の問題を勘で正解するほど。 創也に好意を寄せている一方で、自身に好意を寄せる内人の気持ちには気づいていない。同じ番組に出演している我毛豪太郎に好意を寄せられており、しつこく言い寄られている。
栗井 栄太 (くりい えいた)
伝説の天才ゲームクリエイターの男性。ゲームマニアのあいだでは神格化されている。下水道に秘密基地を作ったり、コンピューターを花火で破壊したりと、派手好みで変わり者。スーツをまとい、帽子を被った男の姿をしているが、その正体は謎に包まれており、世間に姿を現す際は「イータ・エリック」を名乗る。のちに内藤内人と竜王創也を自身の屋敷である「ゲームの館」に招待する。
二階堂 卓也 (にかいどう たくや)
超巨大企業「竜王グループ」の特殊任務部雑務課主任補佐を務める青年。長身で武術を得意とし、竜王創也のボディーガード兼お目付け役を担っている。その身のこなしから、アクション俳優になるよう映画会社にスカウトされているが、夢は子供に好かれる優しい保育士になる事。保育士を目指して転職情報誌をよく読んでいるが、保育士求人に応募しても毎回不採用になっている。
堀越 隆文 (ほりこし たかふみ)
ジャパンTVのテレビ番組「生生クイズ」のディレクターを務める男性。堀越美晴の父親。明るくしたたかな性格で、トラブルや疑惑などを含め、どんな事も楽しむタイプ。また、自分の番組を面白くするためであれば手段を選ばない。
寺田 (てらだ)
ジャパンTVのテレビ番組「生生クイズ」の構成作家チーフを務める寡黙な男性。生生クイズの番組内に出題するクイズを考えている。愛称は「寺ちゃん」。現チャンピオンの我毛豪太郎に番組内クイズの答えを教えているという、カンニング疑惑が浮上している。
我毛 豪太郎 (がもう ごうたろう)
ジャパンTVのテレビ番組「生生クイズ」に出演している男子中学生。生生クイズの現チャンピオン。ナルシストな性格で、ルックスのよさから女性ファンも多い。構成作家チーフの寺田から番組内クイズの答えを教わっているという、カンニング疑惑が浮上している。堀越美晴に好意を抱き、彼女にしつこく言い寄っている。
神宮寺 直人 (じんぐうじ なおと)
細身で長身の男性。栗井栄太の屋敷「ゲームの館」に招待された。職業はフリーターで、年齢は31歳。ゲームにはあまり興味がなく、ゲームの館にはルージュ・レーブが金になるという理由で参加した。趣味はセンスのないネクタイ集め。
柳川 博行 (やながわ ひろゆき)
無口な大学生の青年。栗井栄太の屋敷「ゲームの館」に招待された。ニックネームは「ウイロウ」。美術大学に通っており、自作の名刺を持つ。一見無口だが、時に激情的な一面を見せる事がある。料理の腕前は超一流で、招待客達に手料理を振る舞う。趣味は薬草を育てる事。
ジュリアス・ワーナー (じゅりあすわーなー)
栗井栄太の屋敷「ゲームの館」に招待された、有名私立小学校に通う小学6年生の男子。見た目は白人の少年だが、生まれも育ちも日本で、日本語以外は話せない。竜王創也と性格や雰囲気がよく似ており、クールで冷静。いつもノートパソコンを持ち歩いている。幼少期に両親を亡くした祭、神宮寺直人に助けられた過去を持つ。学校以外は女装して外出しており、女装すると別人格の「ジュリエット・ワーナー」に変わり、快活な大阪弁を話すようになる。 ジュリエットの姿でジャパンTVを訪れた時は、「イータ・エリック」を名乗っていた。
鷲尾 麗亜 (わしお れいあ)
売れっ子の冒険作家の女性。栗井栄太の屋敷「ゲームの館」に招待された。赤い服や靴を身につけている。つねに菓子をバッグに忍ばせて持ち歩いており、酢昆布を食べている事が多い。また、イライラすると菓子を暴食する癖がある。料理の腕前は壊滅的で、作った食べ物が毒に匹敵するほど。
内藤 内記 (ないとう ないき)
内籐内人の父親。内人と同様、優れたサバイバル能力を持つ。竜王創也の父親である竜王創とは古い知り合い。
内人の祖母 (ないとのそぼ)
内籐内人の父方の祖母。一見ふつうの老人だが、幼少期の内人に数々のサバイバル知識と、サバイバル精神を仕込んだ人物。
場所
砦 (とりで)
竜王創也が本拠地としている、秘密基地のような場所。元は竜王グループに放棄された廃ビルで、ビル間の細い路地の先に入口がある。砦の4階中枢部には、創也が用意したパソコンなどの機器がそろい、ビル内のあちこちには監視カメラなども置かれている。また、4階に辿り着くには、創也が作った複数のトラップを突破する必要がある。
その他キーワード
ルージュ・レーブ (るーじゅれーぶ)
栗井栄太が作り出した伝説のゲーム。過去に作られたゲームの中で、特に優れた「四大ゲーム」と呼ばれる4作に続く、「第五のゲーム」と呼ばれている。名称の「ルージュ・レーブ」は、フランス語で「赤い夢」という意味を持つ。媒体やルールなどを含め、どのようなゲームであるかはいっさいが謎に包まれており、竜王創也をはじめ、多くのゲームマニアが欲している。
R・RPG (りあるろーるぷれいんぐげーむ)
コンピューター内などの仮想現実ではなく、GPSを使った鬼ごっこや宝探しゲームなど、現実世界を舞台に進行する特殊なRPGの総称。
クレジット
- 原作
-
はやみね かおる