あらすじ
凸凹高校に通う生真面目でガリ勉の金田一太郎は、ギャルばかりがいる学園で、孤立気味ではあるものの平穏な学園生活を送っていた。そんなある日、金田一は突如として見知らぬギャルから付き合えと言われてしまう。苦手にしているギャルからのお願いに困惑する金田一だったが、ついついその申し出を引き受けてしまう。翌日、そのギャルがクラスメートの春原樹里であることに気づいた金田一は、樹里に従い彼女といっしょにショッピングへと出かける。そこで彼女の服を選び、一仕事を終えた気分になった金田一はそのまま帰宅。後日、教師から英語が壊滅的な樹里に英語を教えるようにお願いされた金田一はテストまでの1週間、樹里にマンツーマンで英語を教えることになる。解答の位置がズレているというケアレスミスのせいでテストの成績は散々だったが、金田一は樹里の努力を讃える。用が済んだからと彼女の前から立ち去ろうとする金田一に対し、樹里は「あたしたち付き合ってんじゃん」と告げる。そこで初めて金田一は、樹里から恋愛的な意味で「付き合え」と言われていたことに気づくのだった。(第1話)
夏休みに入ったものの、日頃から学業の成績が振るわない樹里は、凸凹高校で補習を受けることになってしまう。金田一と1か月以上会ってないことに寂しさを感じていた樹里は、下校中に公園で所在なげにしている金田一を発見する。樹里にうながされていっしょに帰宅した金田一は、苦手にしている従姉妹の静流が遊びに来たことで家にいずらくなり、3日以上公園で過ごしていたのだ。その静流は実家から家出した来たと告げたうえに、金田一の家に住むことを宣言。親が不在で、静流と二人きりになることを恐れた金田一は樹里に泊まってくれるように懇願する。金田一に同情して彼の家に泊まった樹里は、金田一が静流を苦手にしている理由が、過去の出来事によって静流に嫌われていると思い込んでいるからだと知る。ところが、当の静流も金田一から嫌われていると思っていたため、樹里は二人の気持ちにすれ違いがあることを確認。仲裁に入った樹里は、双方に歩み寄りをうながす。金田一の本当の気持ちを知り、自分が養女であることで勝手に劣等感を抱いていた事実を認めた静流は、迎えに来た両親に連れられて帰宅するのだった。(第6話)
大学を卒業し社会人になった金田一は、多くの愛すべき人々に囲まれて仕事をする充実した日々を送っていた。そんな中、金田一のとなりのデスクで働いていた女性社員の北条早月は、人付き合いが苦手で会社では孤立気味になっていたが、何かにつけて話しかけてくれる金田一の朗らかな人柄に惹かれていく。金田一から飲み会に誘われ、それをきっかけにほかの社員ともなかよくなり、人付き合いもよくなった早月は、いつしか二人きりで金田一と遊びに行きたいと思うようになる。しかし、金田一にギャルの彼女がいることを知った早月は大きなショックを受け、以前のような人付き合いが苦手な性格へと逆戻りしてしまう。そんなある日、インフルエンザでダウンして会社を休んだ金田一が死にかけているとの噂を耳にした早月は、帰宅時に金田一の家に立ち寄り、玄関に差し入れを置いて立ち去る。後日、体調が回復した金田一からお礼をされた早月は、思い切って金田一に自分の思いを伝えるのだった。(第11話)
登場人物・キャラクター
金田一 太郎 (きんだいち たろう)
初登場時、凸凹高校に通っていた1年生の男子。黒縁眼鏡をかけた黒髪の端正な顔立ちの少年。優しくて生真面目な性格のガリ勉で、成績は極めて優秀。特に数学は「人工知能」とも評されるほどで、のちに進学した大学では数学関連の賞を受賞するほどレベルが高い。小学校時代からテストで100点を連発するなど、優秀な成績を収め続けていたが、中学卒業後は気まぐれで進学校ではない凸凹高校に入学した。周囲の生徒からはあまり関心を持たれておらず、苗字が「金田」だと勘違いされている。それに対して金田一太郎本人も特に何も言わなかったため、ふつうに「金田」と呼ばれていた。陽キャばかりがいる環境になじめずに孤立していたが、それ故に何事も起こらない平穏な日常をそれなりに満喫していた。しかし、クラスメートのギャル、春原樹里に告白されたことで、否応なしに刺激の強いドタバタな日々を送ることになってしまう。ギャルを苦手としており、当初は樹里のことを怖がっていたが、彼女と交流するうちに樹里の人柄のよさに気づき、かけがえのない友人として樹里を認識するようになる。東高校に通学している遊馬悠斗とは中学校からの親友で、陽キャばかりいる凸凹高校にいることをつねに心配されている。実は幼少の頃に樹里と友人だった時期があるが、金田一はそのことを覚えていない。留守がちな父親と二人で暮らしている。
春原 樹里 (すのはら じゅり)
初登場時、凸凹高校に通っていた1年生の女子。金髪ロングヘアに派手なメイクとファッションを身につけた典型的なギャル。能天気な性格で、クラスの中心的な人物。派手な外見とは裏腹に内面は割と乙女で、世話好きなうえに心優しいところもある。落ち着いた男性が好み。大好きだったおじいちゃんに似た雰囲気の金田一太郎に興味を抱き、思い切って告白した。金田一が勘違してこの申し出を承諾したことから、春原樹里自身は彼と付き合っていると思い込んでいたが、一方の金田一は付き合っている自覚はまったくなかった。その後は恋愛事情に奥手な金田一にアタックし続け、友人以上恋人未満として長い付き合いを続けていくことになる。習字の先生だったおじいちゃんから字の書き方を学んでいたことから、ペンの持ち方が非常に美しい。すっぴんでも美人だが、樹里自身は金田一に素顔を見られるのは恥ずかしいと思っている。金田一とは幼い頃に友達だったことがあるが、樹里はそのことを覚えていない。
遊馬 悠斗 (あすま ゆうと)
進学校として知られる東名高校に通っている1年生の男子。栗色のロングヘアをしている。明るくて勉強もできるクラスの人気者。剣道部に所属している。金田一太郎の中学校からの親友で、進学先が別々になった今でも放課後に金田一の家に入り浸るほど仲がいい。大の動物好きでもある。かつてはペットの梟以外には誰に対しても当たりが厳しい乱暴者で、妹の遊馬ハルヒからは暴君扱いされていた。梟(ふくろう)が死んで荒れていた時期に憂さ晴らしとして金田一をいじめていたが、ペットロスに陥っている自分の悲しい気持ちを汲(く)んでもらったことがきっかけで金田一となかよくなり、それ以来唯一無二の親友となった。違う高校に進学したため、金田一が陽キャにいじめられていないかをいつも心配している。女子から非常にモテるが、遊馬悠斗自身は歯牙にもかけておらず、金田一に言い寄る樹里に警戒心をあらわにしていた。実家は裕福で、大きな邸宅に家族と住んでいる。
遊馬 ハルヒ (あすま はるひ)
中学生の女子。遊馬悠斗の妹で、瞳がぱっちりした華やかな雰囲気を漂わせた美少女。明るく賑やかな性格で、春原樹里が悠斗の家を訪問した時は、生で見るギャルの姿に大興奮していた。まだメイクをしたことがないが、樹里のようなギャルになってみたいと思っている。悠斗からは「ハル」と呼ばれている。
留美 (るみ)
凸凹高校に通っている1年生の女子。一見するとおっとりして物腰の柔らかい少女だが、実はかなり腹黒なところがある。春原樹里をライバル視している。樹里が金田一太郎にアプローチしていることを知り、樹里に一泡吹かせるためだけに髪を金髪にし、その気もないのに金田一に言い寄っていた。
静流 (しずる)
金田一太郎のいとこの女性。ショートヘアで派手な服装を身につけている。言動も荒くヤンキーっぽいが、姉御肌で頼りがいがある。両親に愛されて何不自由なく育ったが、自分が養女として引き取られていたことが大きなコンプレックスとなっている。小学生だった金田一に対し、家族と血のつながりがあることに嫉妬して「大嫌い」という言葉を浴びせてしまった過去があり、内心で金田一からは嫌われていると思っている。スナックのママをしている実母からいっしょに働かないかと誘われ、何もかも嫌になって家出した。
甲斐谷 蓮 (かいたに れん)
進学校として知られる東名高校に通っている1年生の男子。アイドルばりの容姿をした長身の美少年。軟派な性格で、常時複数人と付き合っている大の女好き。女性の知り合いが多そうなクラスメートの遊馬悠斗に付きまとい、女の子を紹介してもらおうとしていた。悠斗からは内心でゲス扱いされて少し煙たがられていたが、特に気にする様子も見せていなかった。また、マイルールで彼氏がいる女性には手を出さないことにしている。
速水 翼 (はやみ つばさ)
進学校として知られる東名高校に通っている1年生の女子。背が低く、かわいらしい印象を与える。おとなしい性格で声が小さいため、クラスの中でも目立たない存在。剣道部に所属している。同じ剣道部の遊馬悠斗と成り行きからなかよくなり、早く家に帰りたいと思っている悠斗の愚痴をよく聞いていた。剣道部で悠斗と会う時はいつも防具を着込んでおり、声も小さかったため悠斗から男だと思われていた。速水翼が女の子であることを知った悠斗からなんとなく避けられるようになるが、のちに再びなかよくなる。
氷上 直七 (ひかみ なおしち)
凸凹高校に通っている1年生の男子。おかっぱ頭をしている。女の子との運命的な出会いを欲しており、特にかわいい女の子には目がない。文化祭で出会った滄木一美のことを第一印象で女の子だと思い込み、恋心を抱く。しかし、のちに一美が男性だと知って激しくショックを受けていた。
滄木 一美 (あおき かずみ)
進学校として知られる東名高校に通っている1年生の男子。細身で小柄な中性的な顔立ちがかわいらしく、たまに女性に間違われることもある。遊馬悠斗のクラスメートで、滄木一美自身は悠斗のことを友達だと思っていた。しかし、悠斗から友達ではないと言われてしまい、少々ガッカリしていた。
北条 早月 (ほうじょう さつき)
社会人になった金田一太郎と同じ企業に勤めている女性。美人だが人付き合いが苦手で、同僚からの飲み会の誘いに乗ることもなく、男性社員から「氷姫」というあだ名で呼ばれている。何かと話しかけてくれる金田一の明るく優しい人柄に魅かれ、彼の影響から徐々に同僚とも打ち解けるようになった。しかし金田一に彼女がいると知り、ショックを受けて再び気難しい性格に戻ってしまう。