概要・あらすじ
ヤクザと人情に覆われた町・宝町。その上空を、高く飛び回ることのできる少年クロとシロ。彼らと昔ながらのヤクザ・鈴木らは古くからのこの街を愛していた。ところがある日、開発と称して蛇という男がやってくる。彼は正体不明の建物「子供の城」を建設。皆の思い出がある街を変えていこうとする。ある時、3人組の殺し屋がやってきてクロとシロを襲う。
シロはその際いざこざで刺されてしまう。クロはシロを守れなかったことに絶望し、警察に任せて、一人この街を彷徨いはじめる。だが、彼はシロが必要だと理解し、また共に生きていこうと決める。
登場人物・キャラクター
クロ
シロと共に、廃車をねどこにして暮らしている少年。右目に傷跡がある。スリや強盗でお金を手に入れて生活資金にしている。ずば抜けた身体能力を持っており、街をジャンプで飛び回ることが出来る。またケンカがめっぽう強く、手練の殺し屋にも負けない。宝町を愛しており、シロを傷つける人間には容赦しない。 シロを守ることだけが自分の存在意義になっており、人を一切誰も信用しない。シロが怪我を負ってしまってからは、彼を警察に預け、一人で町で暴行を働くようになった。シロといないときは、生きることに絶望している少年。
シロ
クロと共に、廃車をねどこにして暮らしている少年。クロが強奪してきたお金を生活資金にしている。クロほどではないが、大人相手なら簡単にのめすほどのケンカの力を持っている。身体能力はクロ同様ずばぬけており、街をジャンプで飛び回る事ができる。変な帽子と腕時計が好きで、襲った相手からいつも奪っては腕につけている。 右目に泣きぼくろがあり、みそっ歯。純朴な性格で、クロといるのが大好き。クロ同様宝町が好きだったが、今の街を見て「こんな街いらない」と言う。夜になると悲しくなるクセがあり、冬が嫌いでよく泣く。10までしか数えられない。
鈴木 (すずき)
宝町に昔からいたヤクザ。一度は刑事藤村が鬱陶しくて出て行ったが、最近戻ってきた。宝町のことをこよなく愛している。すっかり健全になった宝町で、最近始まろうとしている町の開発に反対している。かつての混沌としていた宝町を愛する仲間として、クロと話すことがたまにある。
木村 (きむら)
ヤクザ「大精神会」の舎弟頭。チンピラ時代に鈴木に拾われて以来、鈴木のことを深く尊敬し、ヤクザ世界での生き方の見本としている。
藤村 (ふじむら)
ベテランの刑事。宝町の宝署に勤務しており、柔道でも全国大会に出るほどの腕っ節の持ち主。以前鈴木を追い詰めたため、鈴木は一度宝町を出て行っている。戻ってきた鈴木とはゆっくり話し合える仲になっている。
沢田 (さわだ)
宝町の宝署に、藤村と共に勤務する若手刑事。東大卒で、拳銃が使いたくて刑事になった。シロがケガをして警察に保護された時、シロの世話役になっている。不感症。
源六 (げんろく)
クロとシロの親代わりともいえる片目のホームレス。何も知らない二人に、経験上得てきた知識を教え、二人の生活を見守っている。
蛇 (へび)
巻いた前髪、耳と鼻中につけたピアス、常に葉巻を吸い、全ての指に指輪をはめている。所属先・正体不明の人物。宝町を開発するためにやってきており、「子供の城」宝町支店を取り仕切っている。自分の目的を達成するためには手段を選ばず、殺傷沙汰もすぐに起こす非情さを持つ。
チョコラ
クロとシロとも知り合いの、宝町のチンピラ。自分たちが宝町を仕切っていると言いはっている。しかしヤクザ相手には手が出ない。青森出身。
蝶・虎・龍 (ちょう・とら・りゅう)
宝町にやってきた謎の人物蛇の3人の用心棒で暗殺者。クロとシロ並みの跳躍力で町を飛び回り、剛力で壁を突き破る。
朝夜兄弟 (あさよるきょうだい)
豊町で幅を利かせていた子供の兄弟。宝町に住むクロとシロに勝負を仕掛けてくる。一度は二人を引き離そうとするも、失敗。
イタチ
牛の頭蓋骨の仮面をかぶっている子供。どんな相手でも「闇の力」と称する殺人術で倒す。偽善をなによりも嫌う。クロに接触してきたとき、シロを「偽善の代表者」と呼ぶ。
バニラ
チョコラ率いるグループの一員。ヤクザに憧れ、チョコラの住民票と引き換えに木村の子分になろうとするも、両耳をそがれ、チョコラを誘い出すエサとして使われてしまう。
場所
宝町 (たからまち)
昔ながらの商店が立ち並び、いかがわしい店も多く、それでいて人情にあふれていた街。ヤクザが幅を利かせており、人々と共存していた、混沌を絵に描いたような空間。しかし近年は開発の手が入り、小さな犯罪でも捕まるような健全な街に変わりつつある。「子供の城」ができてからは、ヤクザの鈴木やクロとシロもいぶかしがるようになる。
書誌情報
鉄コン筋クリート 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(1994-02-07発行、 978-4091847317)
第2巻
(1994-04-04発行、 978-4091847324)
第3巻
(1994-05-30発行、 978-4091847331)