願いのアストロ

願いのアストロ

『東京卍リベンジャーズ』で知られる和久井健の、集英社媒体では初連載となる作品。流星群の落下によって混乱を極めた現代の東京を舞台に、極道組織「世剣組」の組長だった世剣金剛の一人息子であるヒバルが、義兄弟との跡目争いを勝ち抜いていく姿を描いた異能極道バトルアクション。登場人物の大半は「アストロ」と呼ばれる特殊な能力を持っており、彼らのアストロがぶつかり合う派手なアクションシーンが楽しめる。さらに、アストロや流星に隠された謎が次第に明らかになるストーリー展開も見どころとなっている。集英社「週刊少年ジャンプ」2024年20号から連載。

正式名称
願いのアストロ
ふりがな
ねがいのあすとろ
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
 
アクション
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊4巻
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東京の救世主「ヒバル派」の奮闘

昭和の時代から続く極道組織「世剣組」組長の金剛は、弱者を助け強者をくじくことを自認し、地元住民から「浅草の弾丸」として親しまれてきた。平成の時代においても、インバウンドビジネスの運営やエネルギー開発などの分野で地域住民に積極的に貢献し、表社会とも良好な関係を築いていた。しかし、金剛が死去すると、彼の唯一の実子であるヒバルは、葬儀の際に金剛の代理として後継者にテラスを指名するが、組員たちからは一斉に不満の声が上がる。ほぼ同時期に、地球周辺を「大事なものを握りながら願い事を言うと、その願いが叶う」と噂される流星群が横切り、その中の一つが東京に落下する。その際に願い事をしていた人々はアストロを手に入れ、ヒバルも「素手発砲(ステゴロマグナム)」と呼ばれるアストロを身につける。そんな中、テラスへの継承に不満を抱く義兄弟に従うチンピラたちがアストロを使って悪事を働き、東京各地の治安が悪化していく。そしてヒバルとテラスは「ヒバル派」を結成し、混乱した東京の平定と世剣家の再統一を目指して戦いに身を投じることになる。

謎の超能力「アストロ」

アストロとは、地球に飛来した流星群の一つが東京に落下したことを契機に、周辺地域の住民たちが得た特殊能力である。各人は一つのアストロを手に入れ、その能力は多岐にわたり、使用者のカロリーを消耗する代わりに対象の傷を癒す「ヒルヒール」、背中に4本の腕を生やして自在にあやつる「阿修羅(アシュラ)」、自分の姿を自由に変化させる「チシャ猫」など、アストロの効果は、流星に向けて願った内容に基づいて決まる。たとえば、ヒバルは「家族を支えてテラスを守る力を持つ最強の極道になりたい」と願った結果、高い威力を誇る「素手発砲」を会得し、テラスは「世剣組を守りたい」と願ったことで、衝撃を弾く盾を形成する「八咫鏡(ヤタノカガミ)」を会得している。なお、アストロを使用するためには、流星群に願う際に握っていた物体が必要となり、この物体は「コネクター」と呼ばれている。

世剣組の跡目争いは、兄弟同士の壮絶な決闘へ

世剣組の初代組長である金剛は、敵対する組織に対して抵抗の意志がない限り手を出さず、身寄りのない子供たちを養子として引き取っていた。12人の養子は、それぞれ組の重要な役割を担って活動していたが、組員の多くは金剛が最初に養子にした獅鷹を支持していた。そのため、金剛の一人息子のスバルがテラスを後継者に指名したことに対して、多くの組員が不満を抱くことになり、金剛の養子や組員がアストロを会得すると、彼らは独自の行動を取り始める。その結果、獅鷹と第2養子のサツキは新宿に、第5養子の伍色は渋谷に、第8養子のシカバと第9養子の対羅は横浜に、第10養子の久蘭と第11養子の釦は池袋に拠点を構え、テラスの排除を企てる。そこでヒバルとテラスは、義兄弟を打ち負かして反乱を鎮めるため、彼らのもとに直接出向くことを決意する。なお、世剣組では兄弟同士の争いの際には、素手で1対1の決闘を行なうというルールがある。このルールは兄弟全員が今でも守り続けており、跡目争いの際にも適用されているが、アストロの使用については制限されていない。

登場人物・キャラクター

世剣 ヒバル (よつるぎ ひばる)

極道組織「世剣組」の組長、金剛の一人息子である15歳の少年。身長は172センチで、体重は60キロ。外出時にはつねに法被を身にまとっており、金剛の葬式でも同じ服装で参加するほどのこだわりを持っている。金剛から弾丸のペンダントを託され、世剣組の次期組長にテラスを指名した。人とのつながりを大切にし、基本的には誰に対しても優しく接するため、浅草の住民からは評判がよく、特に大人たちから愛されている。親友のテラスからは「危なっかしいが頼りになる」と評されている。弾丸レベルの破壊力を拳に宿すアストロ「素手発砲」を使いこなし、さらに力を最大限に充填することで、ビルを破壊するほどの威力を持つ「素手発砲・万金丹」を発動させることができる。ただし、その負担は大きく、初めて素手発砲・万金丹を使用した際は2週間ものあいだ、休眠状態を強いられる。

世剣 テラス (よつるぎ てらす)

極道組織「世剣組」の組長、金剛の12番目の養子である16歳の少年。身長は164センチで、体重は48キロ。慎重な性格で、突っ走りがちなヒバルの信頼できるサポート役を務めている。金剛から弾を溶かして作った鏡のペンダントを託され、ヒバルから世剣組の次期組長に指名される。衝撃をはじき返す盾を具現化するアストロ「八咫鏡」や、八咫鏡を遠隔操作する「八咫鴉(ヤタガラス)」を巧みに使いこなす。金剛に引き取られた時は、母親から「誰も信用するな」と忠告されていたため、金剛を含むすべての存在を敵視し、誰にも心を開いていなかった。しかし、ある時出会ったヒバルの度量と強い信念に心を打たれ、それ以来彼を支えることを決意し、共に行動するようになった。金剛の逝去後も、その行動理念は変わることなく、ヒバル派の一員としてヒバルを支え続けている。

書誌情報

願いのアストロ 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2024-07-04発行、 978-4088841229)

第2巻

(2024-10-04発行、 978-4088842103)

第3巻

(2024-12-04発行、 978-4088843803)

第4巻

(2025-03-04発行、 978-4088844169)

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