概要・あらすじ
有名進学校での競争に疲れ、父親との確執を避けるため、全寮制というだけで大蝦夷農業高等学校に入学した八軒勇吾。生まれて初めて身体を酷使する生活に挫けそうになるが、先生、先輩、同級生、中でも想いを寄せる御影アキの助けを得て高校生活に慣れていく。
同時に北海道の農業を巡る明るくはない現実を知り、産まれたばかりの豚の子の育成と別れを通して、命の重みに向き合うようになっていく。
登場人物・キャラクター
八軒 勇吾 (はちけん ゆうご)
札幌の進学校で挫折し、父親とも衝突して、逃げるように全寮制の大蝦夷農業高等学校(通称エゾノー)に入学した。生きものの命の重さと農業の現実に向き合い悩む。頼みごとを断れない性格で、キャパシティを超えてしまうことも多い。 御影アキが好き。
御影 アキ (みかげ あき)
実家は酪農を営む。幼少から馬と親しんでいたので、高校でも馬術部に入っている。天真爛漫な性格で、勇吾の気持ちに気づいていない。
吉野 まゆみ (よしの まゆみ)
そばかす顔で髪型はツインテール。酪農家の実家の牛乳を使った自分のチーズ工房を作る夢を持っている。チーズの知識が豊富で、「食品製造」の試験では満点を取った。明るくハッキリした性格をしている。
相川 進之介 (あいかわ しんのすけ)
小さい頃から獣医を目指しており、獣医学研究の施設が充実しているエゾノーに入学した。しかし幼少期のトラウマが原因で血を見るのが苦手で、失神することもあるという致命的な欠陥を持っている。学業優秀。放課後も家畜とふれ合いたいと、部活はホルスタイン部を選んだ。
校長 (こうちょう)
大蝦夷農業高等学校校長。髪の毛が1本だけ残った頭が特徴の小柄な男性。いつも笑顔で生徒の成長を見守っている。さりげないアドバイスが生徒の心を動かすことも度々ある。
富士 一子 (ふじ いちこ)
豚舎管理の担当教師。いつもキャップにサングラス、迷彩柄のカーゴパンツに半長靴という軍人のような格好をしている。口調も教育も厳しいが、冷たい性格ではなく生徒の気持ちを推し量っている。
中島 美雪 (なかじま よしゆき)
仏のような外見の食品化学担当教師。馬術部の顧問。普段は温厚だが、怒ったときは背後に不動明王が現れる。畜産管理棟の管理人の地位を利用して、密かにチーズ製造工房を造っていたが、吉野に見つかりチーズを没収される。
常盤 恵次 (ときわ けいじ)
ニワトリ農家の長男で高校には推薦で入学した。勉強が苦手で、教わったことを3歩あるいただけで忘れてしまうことも多い。その一方、実技では豊富な知識と実践能力を持つ。悪気はないのだが、何かと騒動を起こし、学内でも問題児扱いされている。
稲田 多摩子 (いなだ たまこ)
丸々とした体型と名前からタマコと呼ばれる。実家は共同経営型の大規模農場。お金が大好きで、将来は父から社長の座を奪い、さらに規模を拡大して世間と渡り合える農場にする野望を抱いている。痩せると誰もが見間違えるほどの美人になるが、ほどなく元に戻る。
八軒 慎吾 (はちけん しんご)
勇吾の兄。生真面目な勇吾と違って要領がよく、それほど勉強せずに東大に入るが、父親の顔を立てただけだったため、すぐに退学してラーメン屋に弟子入りした。北海道を放浪中、弟を訪ねてエゾノーにやってくる。
駒場 一郎 (こまば いちろう)
御影家とは約8キロ離れた隣同士で、アキとも幼馴染み。野球部に入り、1年生ながらピッチャーとして公式戦に登板し、その勇姿は同級生男子に無駄な影響を与えた。母ひとりでやっている実家の牧場を建て直す目標を持っている。
大蝦夷農業高等学校 (おおえぞのうぎょうこうとうがっこう)
通称エゾノー。農業科学科・酪農科学科・食品科学科・農業土木工学科・森林科学科の5つの学科がある。高校ながら最先端研究施設がある。敷地の外周は20キロにも及ぶ。実習を兼ねて農作物の栽培、家畜の育成を手がけており、校内で自給自足が可能となっている。 1年生は全員入寮義務がある。
クレジット
原作
銀の匙 Silver Spoon (ぎんのさじ しるばー すぷーん)
作者・荒川弘の初の週刊連載で、小学館媒体での初連載作品。農作業に一切かかわりのなかった一般家庭の次男・ 八軒勇吾が、入学した先の農業高校で苦悶し成長する青春ドラマ。「食べること」の本質に迫り、農畜産物... 関連ページ:銀の匙 Silver Spoon