概要・あらすじ
ある相撲部屋に、一人の男が出稽古にやってきた。彼の名は銀(シロガネ)。千の技を持ち、入門以来負けなしと噂される男だった。身長190センチメートル超、体重150~160キログラムという堂々たる体軀、厳かな雰囲気は、噂を信じさせるには十分であった。しかし、いざぶつかり稽古が始まると、銀はてんで弱かった。一撃でふっ飛ばされたうえ、足がつってしまい、早々に稽古を終了してしまったのだ。その日のちゃんこ時。部屋のみんなは、銀のことをあざけり笑っていた。そんな中、銀は巨大な鍋を抱えてやってきた。そして、これからが本番だという。まったく意味がわからない力士たちだったが、銀のちゃんこ鍋を一口食べた一人が、突然もんどり打って倒れてしまう。毒による復讐かと周りは殺気立つがそうではなく、あまりのうまさゆえであった。ちゃんこを口にした者を内側から掌握する「胃摑み」、おかわりを拒む「お預け」、落胆する相手に再び料理を出す「手の平返し」など、銀は様々な技を繰り出し、相撲部屋全員を満腹状態で動けなくしてしまう。決まり手は「食い倒れ」だった。こうして相撲部屋の連中は、みな、銀を崇拝してひれ伏すことになった。
登場人物・キャラクター
銀 (しろがね)
身長190センチメートル超、体重150~160キログラムという堂々たる体格の力士。前髪からひょろりと伸びる長いアホ毛が特徴。「入門以来負けなし」「千を超える技を持つ男」と噂されているが、実技ではなく、すべてちゃんこ料理のこと。奇想天外なグルメ技で、最強力士や脱走した虎さえも負かしてしまう。