あらすじ
第1巻
大手デベロッパーの三友地所に勤める麻生ミホは、部長の川上信也や主任の風間隆太の手伝いを命じられて出掛けると、実際は接待のお酌係だった事に憤慨する。そして麻生は、接待後に風間のツケで飲めると紹介されたバーに行って酔いつぶれるほど飲んでしまうものの、そこは紹介されたバーではなかった。後日、勘定を払いに店を訪れた麻生は、店のママから、今の自分を変えたいならこの店に行くようにと、銀座のある店を紹介される。麻生はママの意図がよく理解できないまま、指定された店へ向かうのだった。(レッスン1「資生堂パーラー銀座本店レストラン」。ほか、6エピソード収録)
第2巻
ママからのレッスンを受けて人間として成長した麻生ミホは、仕事で着実に成果を出し続け、ついにサブリーダーに抜擢される。よりやる気を出した麻生は、部下への指示だけなく、部下の仕事内容にまで口を出すようになる。そんな麻生に部下達は反感を抱き、麻生は落ち込む。そんな中、麻生はママから確実に成長していると励まされ、次のレッスンとなる店へと向かう。(レッスン11「瀬戸内料理すみのえ」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
麻生 ミホ (あそう みほ)
大手デベロッパーの三友地所の商業施設開発部に勤める女性。30歳を過ぎても大きな仕事を任せてもらえない現状に不満を募らせている。接待のお酌係として呼び出された事に憤慨した帰りに、上司の風間隆太の行きつけのバー「ペガサス」に行こうとして、間違ってクラブ「ベリタス」に入ってしまう。この事でベリタスのママと知り合い、現状を変えたいという思いからママのレッスンを受ける事を決める。そしてレッスンで訪れる店の主人や客から考え方や気持ちの持ちようを学び、さらに人脈を築いていった結果、意識改革が起きて仕事の成果も上がっていく。
風間 隆太 (かざま りゅうた)
大手デベロッパーの三友地所の商業施設開発部に勤める男性。役職は主任で、麻生ミホの上司にあたる。麻生に対しては無愛想で口が悪く、やや横暴な態度を取るが、秘かに期待している。銀座という街に心底惚れ込み、一生銀座にかかわる仕事をしたいと思っている。
ママ
銀座でクラブ「ベリタス」を経営する女性。多くの客から「ママ」と呼ばれているが、本名は不明。麻生ミホとは、麻生が風間隆太の行きつけのバー「ペガサス」と間違えてベリタスに入った事で知り合う。麻生の素直さと自分を変えたいと願う強い心に打たれて、レッスンと称して店を紹介している。しかし店や時間帯を指定するだけで、レッスンの目的は一切明かさず、店でなにを得るかは麻生に任せている。
勅使河原 幸之助 (てしがわら こうのすけ)
麻生ミホが「資生堂パーラー銀座本店レストラン」で出会った壮年の男性。銀座の大地主で、勅使河原エステートの総帥を務める。麻生のビーフシチューの食べ方に興味を持ち声をかける。その後、麻生がママに見込まれた事を知ると、自分の名刺を麻生に手渡した。
樋口 葉子 (ひぐち ようこ)
麻生ミホが「KOMATSU RESTAURANT & BAR」で出会った女性。全国で100以上のサロンを展開するHGCビューティーグループのCEOを務める。学生だった頃に好きだったランプや柱時計が「KOMATSU RESTAURANT & BAR」に置いてあるため、まだ客の少ない開店時間前に訪れては昔を懐かしんでいる。
朝倉 レイラ (あさくら れいら)
総理大臣や大臣経験者を多く輩出し、日本有数の自動車メーカーの創業者一族である朝倉財閥会長の孫娘。クォーターで、魅惑の美貌と抜群のプロポーションの持ち主。わがままな性格ながら、「ぎんざ 寿し幸」で出会った麻生ミホに叱責され、さらに祖父からも諭されて徐々に性格が改善される。その後は麻生とは友達となり、椿原樹三郎や松井正人、市村豹エ門を紹介する。
成田 光男 (なりた みつお)
浅草で「成田屋」という老舗鯛焼き屋を営む男性。3代目としてこれまでになかった鯛焼きを次々と開発し、それを大手デベロッパーの三友地所の商業施設開発部が計画しているランドマーク銀座で売りたいと話を持ち込む。鯛焼きをもっとメジャーにして日本のソウルフードにしたいと考えているが、目先ばかりを考えすぎて基礎が疎かになっている事を麻生ミホに指摘される。
椿原 樹三郎 (つばきばら じゅざぶろう)
日本画の大家と称され、最近は彫刻家としても評価の高い男性。朝倉レイラの祖父に推薦された大手デベロッパーの三友地所の商業施設開発部から、商業施設開発部が計画しているランドマーク銀座のメインエトランスに置くオブジェを依頼される。一時期、スランプに陥ってオブジェ制作が頓挫するものの、レイラに連れて行かれた「てんぷら真」で食べたてんぷらと、麻生ミホの言葉で迷いを吹っ切る。なお、本名は「椿原薫」。「椿原樹三郎」は世襲で受け継がれる名前で、今は8代目にあたる。
猪田 毅郎 (いのだ たけろう)
大手デベロッパー・三友地所の常務執行役員を務める男性。色黒の外見のうえに怒鳴りながら部下に指示するため、周囲からは「鬼の猪田」とも呼ばれている。仕事に対しては生真面目で、接待は苦手。色黒なのは40歳の時に大病で入院した事を、社内のライバルや取引先に見せないためのカモフラージュでもある。実は繊細な性格で、ベジタリアンでもある。「お多幸 銀座八丁目店」で日々の疲れを癒している。
樫木 智恵子 (かしき ちえこ)
銀座を舞台にしたベストセラーをいくつも生み出している女性作家。昭和を代表する恋愛小説家と知られているが、高齢という事もあって最近はあまり作品が出版されていない。非常に偏屈で気難しい性格のため、周囲の編集者からは、樫木智恵子から原稿をもらうのは、飢えた虎の首に鈴を付けるようなものだと囁かれている。大手デベロッパーの三友地所の商業施設開発部が計画しているランドマーク銀座の広告冊子にエッセイの執筆を依頼される。
小川 (おがわ)
麻生ミホが「瀬戸内料理 すみのえ」で出会った女性。広島県出身。銀座のクラブ「ベリタス」の先代ママからレッスンを受けており、麻生の先輩ともいえる人物。麻生には「ただのおばさん」と自己紹介したが、実は「女性初の首相候補」ともいわれている大物国会議員。麻生から悩みを相談されると、信念を貫く事の大切さを伝える。
松井 正人 (まつい まさと)
麻生ミホが「ナイルレストラン」で朝倉レイラと相席した際に出会った男性。若手アイドルとして人気が高く、実家は銀座の老舗呉服店である事からも銀座と縁が深い。樋口葉子のHGCビューティーグループのCM出演が決まり、HGCビューティーグループが麻生達が計画しているランドマーク銀座に出資している事から、ランドマーク銀座のオープニングセレモニーのテープカット役に抜擢される。
市村 豹エ門 (いちむら ひょうえもん)
麻生ミホが「ナイルレストラン」で朝倉レイラと相席した際に出会った男性。若手の歌舞伎役者として人気が高く、歌舞伎座が銀座にあるため小さい頃から銀座によく来ていた。勅使河原幸之助の勅使河原エステートのイメージキャラクターに選ばれ、勅使河原エステートが麻生達が計画しているランドマーク銀座に出資している事から、ランドマーク銀座のオープニングセレモニーのテープカット役に抜擢される。
クレジット
- 原作
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山崎 ヒロキ