あらすじ
第1巻
その業績により、会社で上司の称賛を浴び、ほかの社員からも羨望のまなざしを向けられる28歳のキャリアウーマンの紅河明は、仕事からの帰り道、クールなたたずまいのまま、安いチェーンの天丼屋に足を踏み入れる。店に場違いなその美貌で、ほかの客から店員まであらゆる人たちの注目を一身に浴びながら、紅河は小天丼とグラスの小ビールを注文。そして紅河はビールを一口飲み、衆人環視の中、「なまらうみゃ~」の言葉とともに縮んで三頭身のかわいらしいフォルムとなる。その一部始終を目撃して困惑する周囲をよそに、紅河はそのかわいらしい姿のまま、ビールと天丼を存分に堪能する。(1軒目。ほか、18エピソード収録)
登場人物・キャラクター
紅河 明 (べにかわ めい)
コスメ会社の広報部に所属する女性で、年齢は28歳。その美貌とスタイルのよさ、そして仕事における並はずれた能力と実績から、上司や同僚からは社内で一目置かれる存在。さらに後輩には的確なアドバイスで手助けすることを惜しまず、あこがれのまなざしで見られている。こと仕事中においては、クールで颯爽としたたたずまいを崩すことのない、キャリアウーマンの鑑。一方で、食においては庶民的な味を好み、仕事帰りに居酒屋ではないチェーン店で、食事を取りながら軽く飲むことを趣味としている。これらの店でおいしいものを食べると緊張が解け、口癖の「なまらうみゃ~」の言葉とともに、一気に縮んでマスコットのような三頭身となる。ちなみに、食事を終えると一瞬で元の姿に戻る。この変容する過程は毎回、店に居合わせたほかの客に目撃されており、大いに驚かれている。ちなみに父親は北海道、母親は名古屋出身。
後藤
紅河明と同じコスメ会社の広報部に所属する女性で、紅河と同期。優秀な人材で、紅河とはいっしょにバリバリ働いてのし上がっていこうと約束を交わしたいわば戦友のような関係だったが、自分の限界を感じ、転職を決意した。その際には、冗談交じりに新しい会社に紅河を引き抜こうとしたりと、たくましいところもある。紅河には互いに支え合う相棒として、その優れた才覚を非常に高く評価されており、後藤の退職は紅河に大きな喪失感を抱かせることとなった。
烏丸 (からすま)
紅河明と同じコスメ会社の広報部に所属する新人の女性。紅河が指導を担当することになった。仕事への情熱にあふれ、さまざまな企画を紅河に提出するが、そのほとんどは勢い任せで計画性がなく、実現が難しいものばかり。また、企画立案に傾倒するあまりほかの業務をおろそかにしがちで、何かと紅河の手を煩わせることが多い。その空回りする様子から、社内では「爆弾」と評されている。ただし紅河からは、肝が据わっており、入社したての頃の自分とよく似ていると一定の評価はされており、将来性を見越して根気強く指導されている。烏丸自身も紅河の指導には感謝しており、彼女のことを強く慕っている。
是枝
紅河明と同じコスメ会社の上層部に籍を置く女性。化粧が濃く派手な容姿をしている。その言動により、周囲からはクールで孤高な厳しい人物と見られているが、実際は優しく面倒見がいい。入社したての頃の紅河の指導を担当し、現在も陰から紅河のことを見守っている。やり手として社内では高く評価されているが、自分が会社に都合よく使われてきたことを自覚しており、紅河には自由な将来を歩んでほしいと願っている。
朝丘 類次 (あさおか るいじ)
老舗の化粧品メーカーである美勢堂の広報部代表を務める男性で、年齢は30歳。「マーケティングの閃きは遊び心から」をモットーに、仕事1割、遊び9割で生きているチャラ男。ただしそれは、「そのほうが伊達だから」というだけの理由で見せている表向きの姿である。実際は超効率重視の仕事人間で、食事も手軽で早いからと、大衆的なチェーン店で必ず5分以内に済ませている。紅河明に対し、プチプラ(低価格商品)で台頭してきただけの新興コスメ会社と見下した態度を取っており、事実、仕事においてはつねに朝丘類次の方が一歩先んじている。一方で、自社の製品に向ける愛情だけは唯一敵わないと、紅河に一目置いている。のちに会社から独立する。