概要・あらすじ
芸術家を目指す大学生の鈴木二汰は、友達がおらず、SNSに「いいね」もまったくつかない。「どうすればバズる絵を描けるのだろう」。悩みながらあちこちの塀や道路にチョークアートを描いていた二汰は、警察官に見つかり、尋問を受けそうになる。そこへ、カタコトの日本語を使う男が現れ、警察官に道を尋ね始めた。外国人風の男は、二汰の方に顔を向け、口パクで「に・げ・ろ」と言う。警察官は男に気を取られ、おかげで二汰はその場を離れることに成功した。それからしばらくあと、二汰は自分を助けてくれた男と再会する。男は天沢陽一郎という名前の日本人だった。陽一郎は、二汰のチョークアートを褒め、絵の才能があると熱弁する。嬉しくなった二汰がさらに具体的な話を聞こうとすると、陽一郎はものすごく空腹な様子で、「その前にカレーを」とつぶやいた。倒れそうになる陽一郎を抱きかかえるように、二汰は近くのカレー屋に入店。二人は日替わりカレーを注文した。しばらくして運ばれてきた骨付き肉のスパイスカレーを、陽一郎はさも愛おしそうに眺めると、素材やスパイスのうんちくを語りながら、幸せそうに完食した。その様子に見とれていた二汰も、陽一郎にうながされて、カレーを食べ始める。口の中にいろんな香りがして、頭もスッキリ。食欲も増してくるチキンカレーに、二汰も大満足だった。幸せな気持ちになった二汰だったが、いつの間にか先に帰ってしまった陽一郎の分も代金を払うことになってしまう。しかし、たった一人でも自分の絵を見てくれる人がいたことで、二汰はまた絵を描こうという前向きな気持ちになっていた。その後、またまた陽一郎と遭遇した二汰は、家に招いて自分の絵を見せる。そして結局、身よりがなく行くあてのない陽一郎は、そのまま二汰の家に居座ることになった。
登場人物・キャラクター
天沢 陽一郎 (あまさわ よういちろう)
両親に捨てられたあと、世界中を放浪しながら一人で生きてきた男性。破天荒な自由人だが、5歳までは両親と幸せに暮らしており、母親が作るカレーが大好きであった。カレーに精通しており、毎日カレーを食べないといられない体質。亡くなった父親の件で役所から連絡を受け、東京へやって来たところ、父の遺骨を預かっているという不動産屋経営者の清川薫子と出会う。その縁で、薫子の不動産屋で働くことになる。また、偶然出会った美大生、鈴木二汰を助けたことがきっかけで、二汰の部屋に居候する。
鈴木 二汰 (すずき にた)
芸術家を目指す美大生の男子。イケメンで成績優秀な人気者の弟、鈴木一汰にコンプレックスを持つ。内気な性格で、友人もおらず、SNSでもまったく「いいね」がつかないため、自分に自信をなくしている。「何者」かになりたくて、道路や塀にチョークアートのパフォーマンスを続けている。
クレジット
- 原作
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山﨑 佐保子