概要・あらすじ
病気の母を支えるため活版所で働く学生ジョバンニ。彼をひやかす生徒も多く、親友のカムパネルラとの交流もぎこちない日々が続いてた。星祭りの夜、一人黒い丘で夜空を見上げていると、ジョバンニはいつの間にか銀河鉄道に乗っていた。同乗していたカムパネルラと星を巡る夜汽車の旅に出かける。
登場人物・キャラクター
ジョバンニ
貧しい家の少年。母は病気で寝たきりで、父は漁に出たまま戻らず、連絡もない。姉は家を出て生活し、時おり母の面倒を見に来ている。学生ながら、朝や放課後には活版所で働いて家計を助けている。空想好きで、内気。感受性が高く、繊細で泣き虫。気がつくと銀河鉄道に乗車していた。知らないうちに、天上へさえ行ける特別な切符を所持していた。
カムパネルラ
裕福な家の少年。ジョバンニのクラスメイトで親友。父親同士が親友で、幼い頃から交友があった。最近はクラスで浮き気味なジョバンニに気を遣って、なかなか話しかけられずにいる。クラスでは友達も多く人気者。ジョバンニと同じく銀河鉄道に乗車していた。
ザネリ
ジョバンニ、カムパネルラのクラスメイト。意地が悪く、事あるごとにジョバンニを父親のことで「らっこの上着が来るよ」と言ってからかう。
先生
ジョバンニの通う学校の老教師。理科の授業で天の川について教える。
学者
白鳥停車場のプリオン海岸で牛の先祖の化石発掘作業を行っている。発掘現場に立ち寄ったジョバンニらに詳しく説明してくれる。発掘作業員には厳しい。
鳥捕りの男
銀河鉄道の乗客で、ジョバンニと乗り合わせる。ボロボロの恰好をした男。サギやガンを捕まえて、押し葉にしたものを食用として卸す商売をしている。ジョバンニら乗客にガンを振る舞うが、その味は御菓子のようだった。
灯台守
銀河鉄道の乗客で、ジョバンニと乗り合わせる。灯台の灯を規則どおりに明滅させるのが仕事。ジョバンニら乗客にりんごを振る舞う。
家庭教師の青年
銀河鉄道の乗客で、ジョバンニと乗り合わせる。かおる、タダシ姉弟の家庭教師。本国に帰った父親の後を追い、客船に乗るが、氷山にぶつかり客船が沈没。姉弟だけでも救難ボートに乗せようとするが、既に子供やその親たちで満員のボートをかき分けて乗せることもできず、客船とともに沈んだ。気がついたら銀河鉄道に乗車していた。 サウザンクロスで下車する。
場所
銀河鉄道
北十字から南十字(サウザンクロス)の星間を走る蒸気機関車。様々な乗客を乗せている。アルビレオ観測所付近では検札も行われる。
その他キーワード
さそりの火
『銀河鉄道の夜』に登場する逸話。サソリがある日イタチに見つかり、逃げ回った末、井戸に落ちてしまう。その時サソリは、「自分はこれまで多くの命を奪い生きてきたのに、イタチに教われると逃げてしまった。逃げなければイタチは1日生き延びることが出来たのに。」と後悔する。むなしく命を捨てず、この次はみんなの幸いのために私の体をお使いくださいと神さまへ祈りつつ、サソリは死んだ。 サソリの体は真っ赤な火と燃えて夜の闇を照らしている、というお話し。
クレジット
- 原作
-
宮沢賢治
ベース
銀河鉄道の夜
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