陸奥圓明流外伝 修羅の刻

陸奥圓明流外伝 修羅の刻

『修羅の門』の主人公である陸奥九十九の、代々の先祖にスポットを当てたスピンオフ作品。現在は八章まで発表されており、それぞれ舞台となる時代と主人公が異なっている。歴史上の人物も数多く登場している。作者川原正敏の長期連載と並行あるいは交代する形で、章ごとの短期連載として発表されている。

概要

関ケ原の合戦から十年余り、天下の趨勢は定まりつつも、刻は未だ戦乱の息吹を留めていた。そして、この時代にも修羅の技を使う男がいた。その男・陸奥八雲が山茶屋で麦飯を食べていると、突然、目の前に現れた若様・吉祥丸が、刺客に斬られそうになる。しかし八雲は動かず、偶然通りかかった宮本武蔵が刺客を両断。吉祥丸は命を救われる。同行していた吉祥丸の家老は、武蔵に用心棒を依頼するが断られ、代わりに八雲を推薦される。武蔵は、目の前で刺客が武蔵に斬られ、その白刃が鼻先に迫っても、まばたき一つしない八雲を達人と見抜いていた。麦飯代5文を払って貰うことを条件に八雲は吉祥丸の用心棒になる。

吉祥丸は男装をしていたが実は女性だった。藩主の父を毒殺し、城主の座についた叔父へ復讐するため、家老により吉祥丸は男としていつわり育てられてきた。その吉祥丸を亡き者にしようと叔父が刺客を差し向けてきたのだ。姫の命を守り切れないと悟った家老は、女性の姿に戻ることを勧めるが、吉祥丸は取り合わない。叔父は武蔵が吉祥丸の用心棒についたと勘違いし、将軍家指南役柳生流・柳生兵馬に暗殺を依頼する。10人の刺客たちに囲まれ絶対絶命の吉祥丸だったが、八雲は一瞬でなぎ倒す。裏柳生であった柳生兵馬をも仕留めると、八雲は、麦飯5文分の働きはしたと言い残し去っていく。

 一年が経ち、本来の女性の姿に戻った吉祥丸こと詩織は、政略結婚の憂き目にあっていた。八雲を求め城を飛び出した詩織。ようやく安芸国で、飯代が払えずにいた八雲と出会った詩織は、また勘定を立て替えた。八雲は安芸国福島家の雪姫に気に入られるが、それが兵法指南役・九鬼一門の立場を危うくしてしまう。詩織を人質にし、鉄砲隊まで雇った九鬼一門ですら八雲の相手では無かった。この闘いを見て八雲の強さを放置できなくなった武蔵は決闘を挑んでくる。必殺の二刀流に追い詰められた八雲だが、陸奥圓明流『無空波』で生き残る。雪姫は八雲を兵法指南役に召し抱えようとする。しかし立て替えられた飯代分の働きが済んでいないと言う八雲は、詩織を連れて何処かへと旅立っていく。(宮本武蔵編 陸奥八雲の章)

登場人物・キャラクター

陸奥 八雲

陸奥圓明流の継承者で、飄々とした雲のような人物。道中で国を追われた姫君と関わり、その過程で宮本武蔵と知り合う。後に安芸国で九鬼一門と争い、その戦いの後武蔵と勝負する。武蔵を倒すも、無手を身上とする陸奥圓明流が防御の為とはいえ短刀を抜いてしまったため、この一戦を引き分けとした。

主人公

陸奥圓明流の継承者。土佐藩邸で行われた御前試合を観戦し、優勝した坂本龍馬の秘められた強さを見て戦いを挑む。勝利するも龍馬を気に入り、彼を陰から支える。龍馬の死で、一時、戦う気力を失うが、沖田総司との再... 関連ページ:陸奥 出海

主人公

「風雲幕末編」の主人公陸奥出海の弟であり、陸奥圓明流の継承者ではないため姓は名乗らない。舟で漂流していた所を外国船に拾われ、そのままアメリカを放浪していた。行き倒れていた所をジルコォー・マッイイツォに... 関連ページ:

陸奥 天斗

陸奥圓明流の継承者だが、圓が陸奥の名を騙っている事を知り、当初はあえて姓を名乗らないでいた。一見呑気者に見られがちだが、柳生十兵衛や宮本伊織にはその実力を看破されている。鍛錬の一環として、しばしば一方の目を閉じており、一見して隻眼に見える。

陸奥 鬼一

陸奥圓明流の継承者であり、後に静御前を妹に持つ。平安時代の京で夜ごとに強者へ挑んでは倒していた。武蔵坊弁慶との戦いを収めた源義経に興味を抱く。義経の身を案じて彼を藤原秀衡の下へ送り、彼がそのまま奥州で平穏に暮らすことを望んでいた。 しかし奥州を出て挙兵した義経に、文句を言いながらも度々援助する。

源 義経

力が弱く泣き虫だが、平家を討つ使命にこだわり続ける少年。人の目を見て性質を見抜く才能があり、初対面で武蔵坊弁慶や陸奥鬼一を深く信用した。奥州で藤原秀衡の庇護の下に成長し、やがて挙兵。弁慶ら家臣と、鬼一の助力を受けながら、平家打倒の立役者となる。 だが兄の源頼朝に疎まれ、次第に追い詰められていく。

主人公

『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』「織田信長編」の主人公の一人。陸奥圓明流の継承者。握り飯欲しさに若き織田信長や家臣と相撲勝負をして、全員を打ち倒す。成り行きで信長の腹違いの妹琥珀を娶ることになり、共に陸奥... 関連ページ:陸奥 辰巳

虎彦

『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』「織田信長編」の主人公の一人。陸奥辰巳の子だが、当初は陸奥圓明流を未継承のため姓を名乗っていない。双子の兄弟である狛彦と共に、伯父にあたる織田信長の「天下布武」を手助けする。信長の情を汲み取り、意に沿わぬ暗殺を繰り返す。

狛彦

『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』「織田信長編」の主人公の一人。陸奥辰巳の子だが、当初は陸奥圓明流を未継承のため姓を名乗っていない。双子の兄弟である虎彦と共に、伯父にあたる織田信長の「天下布武」を手助けするが、雑賀孫一への対処をめぐり信長と疎遠になる。

宮本 武蔵

鬼神の如き気を発する、生涯不敗と言われる剣豪。初対面で陸奥八雲の強さを見抜き、後に対戦する。その結果を八雲は引き分けとしたが、武蔵は負けと受けとめ、武芸者として一線を退いた。「寛永御前試合編」では御前試合に養子とした弟子の宮本伊織を推挙する。

宮本 伊織

「宮本武蔵編」では宮本武蔵に弟子入りを望む少年として登場した。「寛永御前試合編」では武蔵の代理として、御前試合に出場し、道中で陸奥天斗や圓と出会う。剣の技量では武蔵や柳生十兵衛と同等とされるが、優しい性格が人を斬るには向かないと評され、自身も己と、天斗や十兵衛との違いを自覚している。

坂本 龍馬

北辰一刀流の塾頭であり凄まじい実力を持つが、優しい性格で自分でも気づかぬうちに実力を抑えていた。陸奥出海に敗れたことで剣を捨て、以後は倒幕に力を注ぐ。刺客を前にしても殺傷を嫌い、剣を抜けば勝てたであろう相手に暗殺される。

沖田 総司

少年期に江戸で陸奥出海と戦うも、五年後が楽しみな天才剣士としてあしらわれる。出海との再戦時は労咳で静養していたが既に死期を悟っており、病が治ったと主張して出海と戦い、敗れる。

ニルチッイ

西部の無法者に家族を殺され、土地を奪われたアメリカ原住民の少女で弓の名手。自分の手で復讐を果たすことに強いこだわりを見せる。当初は雷を弱虫と思い嫌っていたが、彼に助けられ認識を改めた。雷との約束を胸に百年以上を生き、後に『修羅の門』にて陸奥九十九と会う。 名前は「風」の意。

ジルコォー・マッイイツォ

アメリカ原住民ネズ・パース族の長を務める青年で、行き倒れていた雷に干し肉を与え、命を救った。後に雷によって、ニルチッイと共に一族を救われる。名前は「穏やかな狼」の意。『修羅の門』では彼の子孫が登場し、その名を受け継いで陸奥九十九への協力を誓う。

柳生 十兵衛 三厳

一見は穏やかだが「宮本武蔵と同じ質の剣気を持つ」と評される剣の達人。柳生家の屋敷に現れた陸奥天斗の実力と、自分と同じく「強い者と戦いたいだけの馬鹿」という性質を見抜き、御前試合への参加を要請した。常に眼帯を着けており隻眼と思われていたが、実は鍛錬のため一方を封じているだけであった。

御前試合に出場するため宮本伊織に挑み、その場で陸奥天斗と知り合った少女。陸奥圓明流を名乗っているが実は真田幸村の娘であり、御前試合の場で徳川家光を討つことを目的としていた。戦闘技能は高く、特に暗器を得意としている。

陸奥鬼一の妹であり、源義経と初めて会った時は、鬼一を先導しながら舞う童女であった。奥州から挙兵した義経と再会した時には美しい白拍子に成長しており、後に義経の子をもうける。子は源頼朝によって奪われ殺されかけるが鬼一に救出され、陸奥の子として育てるよう静に託された。

薙刀を使う怪力巨体の僧兵で、陸奥鬼一が夜ごとに強者を狩っている噂を聞き、橋の下で待っていたところを源義経と出会う。あまりの強さに昔から「鬼」と呼ばれてきたが、普段は穏やかで聡明な人物。強者との勝負に飢... 関連ページ:武蔵坊 弁慶

織田 信長

織田家の当主。「うつけ者」と呼ばれる変わり者の青年だったが、相撲を通じて陸奥辰巳と意気投合。陸奥圓明流の噂を聞いていた信長は、「鬼」と呼ばれる彼らとの血縁を求めて腹違いの妹琥珀を嫁がせた。辰巳の協力で桶狭間の戦いに勝利するが、そこで琥珀の病没を知り、妹への手向けとして「天下布武」を誓う。

雑賀 孫一

傭兵集団である「雑賀衆」を率いる男。織田信長が催した相撲大会を観戦中に、少年期の虎彦狛彦と会っており、かなりの強者と評されていた。鉄砲の腕に優れており、遠距離でも正確に命中させる上、息子が銃の交換に協力することで速射を可能にしている。狛彦と二度の死闘をした。 本願寺につき、織田家とは敵対関係となる。

書誌情報

修羅の刻 既刊9巻 講談社〈講談社漫画文庫〉 連載中

第1巻

(2013年8月発行、 978-4063709346)

第2巻

(2013年8月発行、 978-4063709353)

第3巻

(2013年9月発行、 978-4063709414)

第4巻

(2013年9月発行、 978-4063709421)

第5巻

(2013年10月発行、 978-4063709438)

第6巻

(2013年10月発行、 978-4063709445)

第7巻

(2013年11月発行、 978-4063849530)

第8巻

(2013年11月発行、 978-4063849547)

第9巻

(2013年12月発行、 978-4063849585)

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