大罪人と名家の令嬢の出会い
大財閥ギブソン家の令嬢、フレイヤは、父を失い会社を継ぐが、舵取りに失敗。その後、家督争いに敗れ、腹違いの姉、アンナに追放されてしまう。失意の中、極寒の僻地に向かう途中、フレイヤの目に止まったのは、市中を引き回されていた大罪人のネネオだった。フレイヤは、50人を殺したというネネオを大金で買い取った。彼女の目的は自分を追い出した家への復讐だった。極悪人を放てば、世の中がもっとめちゃくちゃになり、家名に泥を塗ることができると考えたのだ。こうして、大罪人と名家の令嬢という、まったく立場が異なる二人は出会い、共に旅をすることになる。
居場所のない二人が互いに寄り添い合う
ある日、ネネオの故郷の村人全員が、生きたまま体が腐る謎の伝染病に侵されてしまう。弟からの連絡で帰省したネネオは、苦しみに耐えかねた村人たちに頼まれ、彼らを殺して故郷を焼きすてる。そして、自分だけが生き残った罪悪感から大罪人の汚名を受け入れた。ビジネスのことが何もわからないまま会社を継いだフレイヤは、人々の悪意や欲望に傷つけられる。やがて周囲の人々全員に裏切られ追放されたフレイヤは、世間の嘲笑と罵倒を一身に背負い、感情を失っていった。そんな、世間から蔑まれ居場所がない二人は、事情を知るにつれ惹かれ合い、やがて不器用でも共に生きようと思える存在になっていく。
二人の良き理解者となる元婚約者
ネネオを連れてフレイヤが向かったのは、婚約時に仮住まいとしてあてがわれた家だった。二人は謝罪と報告のため、近くに住む婚約者で医学研究者でもあるハルバード宅へと向かう。ハルバートは嫌味な口調で二人を責め、自分のほうがフレイヤに相応しいとまで言い放つが、それはネネオの覚悟を引き出すためのものだった。ハルバートは二人の関係を許し、ネネオの故郷で流行した伝染病の研究のため、ネネオを助手として雇うことにする。その後もハルバートは、「好きな女性の幸せを願うのは当然」だと言い、二人の良き理解者、協力者として行動する。
登場人物・キャラクター
フレイヤ・ギブソン
次々と官僚を排出したことで成り上がった100年つづく名家、ギブソン家の令嬢。アンナという腹違いの姉がいる。銀色のロングヘアーが特徴。世間知らずで世渡り下手。損得勘定も苦手である。父が亡くなった際、ギブソン家が経営する会社を引き継ぐが、采配に失敗。中間決算の報告で株主に詰め寄られ、気絶してしまう。代わりにアンナがすべてをうまく収めたことから、彼女が頂点に立つことになる。フレイヤは家を追放され、極寒の僻地に向かう。市中を引き回されていた大罪人のネネオを買い取り、従者にする。
ネネオ
ある辺境の村出身の青年。弟と母がいたが、伝染病で死亡した。故郷の村人50人を殺害したという大罪人。市中を引き回されていたところを、フレイヤに買われ、斬首を免れた。しかし、村人を殺害したのはやむを得ない事情からだった。殺害の体験は強烈なトラウマとなっており、フレイヤに買われた後も、最初はよくフラッシュバックを起こし、様々な傷害に悩まされていた。
ハルバード
フレイヤの元婚約者の男性。田舎に住む資産家で、医学研究者でもある。おしゃべりな変人で、高圧的だが優しい一面を持つ。また、理屈っぽくネチネチと相手を責めるクセがある。ネネオの故郷の伝染病に興味を持ち、ネネオを助手にして、死体を検分したいと申し入れる。
書誌情報
雪と墨 6巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2023-01-19発行、 978-4065303672)
第2巻
(2023-06-20発行、 978-4065320556)
第3巻
(2023-10-19発行、 978-4065334003)
第4巻
(2024-02-20発行、 978-4065346181)
第5巻
(2024-06-19発行、 978-4065359235)
第6巻
(2024-10-18発行、 978-4065373057)