零れるよるに

零れるよるに

『パーフェクトワールド』で知られる、有賀リエによる連載作品。海の近くにある児童養護施設や東京が主な舞台。2012年の夏、10歳の少女・遠野夜は、母親のネグレストによって児童養護施設に入所する。周囲になじめずにいた夜を守ってくれたのは、同い年の成田天雀だった。愛情に飢え、苦しみを分かち合う夜と天雀の、痛切な恋を描いたラブストーリー。講談社「Kiss」2022年11月号より連載。宝島社「このマンガがすごい! 2024」オンナ編第10位に選出された。

正式名称
零れるよるに
ふりがな
こぼれるよるに
作者
ジャンル
社会問題
 
虐待
レーベル
KC KISS(講談社)
巻数
既刊4巻
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児童養護施設から生まれる痛切な恋を描く

本作の舞台となるのは、おおむね2歳から高校3年生までの子どもたちが保護されて生活する、児童養護施設である。親からのDVやネグレクト、貧困といったさまざまな事情で施設に入所してくる子どもたちの生活や、施設の体制・規則、施設出身者への差別や偏見などを丁寧に描いている。また、子どもたちの気持ちに寄り添った描写も多い。例えば、ひどい仕打ちを受けてなお親を待ち続ける子、脱走を繰り返す子、事件を起こして親を呼ぼうする子などが登場する。本作は、そんな社会派作品としての一面を持ちながら、施設で出会った遠野夜と成田天雀の成長と純粋で危うい恋、二人を襲う悲劇を描いていく。

10歳で出会った夜と天雀は兄妹のように育つ

父親が行方不明になり、母との二人暮らしでネグレクト状態になってしまった夜は、学校からの通報で保護され、10歳で児童養護施設に入所する。優しかった頃の母に買ってもらったルービックキューブをめぐり、勇大という男子と揉めて殴られそうになった時、助けてくれたのが、同い年の成田天雀だった。天雀は父親にひどい虐待を受け、8歳の時に施設にやって来た少年である。何もわからず孤独に潰されそうだった夜は、「おれが味方になる」という天雀の言葉に、一人ではないと思えるようになった。また、施設が火事になった際も、天雀は夜のために、命懸けでルービックキューブを取りに戻った。こうして施設で出会った二人は、兄と妹のように仲睦まじく成長していく。

寄り添い支え合う二人の運命が大きく変わっていく

16歳の高校2年生になった夜と天雀に、施設を出る日が近づいてくる。施設にいられるのは18歳まで(作品の舞台である2018年当時)。入所した日、「新しい家」「新しい家族」だと言われたが、18歳になると突然戻れなくなる家と家族なんてあるんだろうか。夜はそんな思いを抱き、施設を出た未来がまったく想像できないでいた。一方天雀は、部活のほかはバイトに明け暮れ、施設を出たあとの資金を着実に貯めていた。そんなある日、行方不明だった天雀の父が突然現れ、天雀と一緒に暮らしたいという。幼少時、父からひどい虐待を受けた天雀は拒絶するが、仲がよかった頃の家族写真を見せられて動揺してしまう。夜は、そんな天雀の気持ちに理解を示すが、本心はもちろん一緒にいたかった。泣きながら「お父さんとの生活を選んでもいい」と言う、夜の姿を見た天雀は、施設に残る決心をする。そして花火大会の日、夜に「好きだ」と告げ、二人はずっと一緒にいることを誓い合う。しかし翌年、再び天雀の父が現れたことで事件が起こり、二人の運命は大きく変わってしまう。

登場人物・キャラクター

遠野 夜 (とおの よる)

児童養護施設で生活している少女。7歳の頃に父が行方不明になり、母親と二人暮らしになる。その後、ネグレクト状態になってしまい、10歳の時に施設に入所した。施設での生活に戸惑い、孤独を感じてしまうが、同年齢の成田天雀の存在に救われる。兄妹のように仲よく育った天雀だが、高校生になる頃には彼への思いが変化していく。10歳の頃はおかっぱ頭、高校生以降は黒のロングヘアーが特徴。

成田 天雀 (なりた てんじゃく)

児童養護施設で生活している少年。父親からひどい虐待を受け、8歳の時に施設に入所した。背中には、父につけられた火傷の跡がある。そのせいで、「火」が苦手だが、施設が火事になった時は、火の中に飛び込み、遠野夜のルービックキューブを取りに行く。小さい頃から運動神経が抜群で、高校では陸上部で活躍する。施設を出たあと、自立するためにアルバイトに励む。

書誌情報

零れるよるに 4巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2023-03-13発行、 978-4065312995)

第2巻

(2023-08-10発行、 978-4065324646)

第3巻

(2024-02-13発行、 978-4065346327)

第4巻

(2024-08-09発行、 978-4065366202)

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