3週間交際した彼女の死の真相
地元を離れ、社会人としての生活を送る勝之は、中学時代に恋人だったハルを忘れられずにいる。現在の恋人と穏やかな日々を過ごしながらも、事故死とされているハルの遺骨を大切に持ち続けていた。結婚を考え始めた矢先、中学の同級生でハルの友人でもある音無紗衣子から「ハルはただの事故死ではない」と告げられる。不審な証拠も示されたことをきっかけに、勝之は10年前のハルの死の真相を独自に調査することを決意する。
ハルの死と元友人たちの秘密
ハルの死の真相を探るため、勝之はかつての同級生たちと再会する。しかし、網口龍樹と佐伯亮はハルについていっさい触れず、水川わゆはあえてハルの事故死に言及したあと、勝之を強く拒絶する。また、古崎ふみは勝之の呼び出しにも応じようとせず、各々がハルに対して少なからず悪意を抱いていたことが明らかになる。そんな同級生たちに対し、勝之は寄り添いながら話を聞こうとするが、ハルを盲目的に愛し続ける紗衣子は、四人に対して強硬な姿勢で過去の情報を引き出そうと試みる。
ハルへの狂気じみた執着
ハルに対する紗衣子の執着は、まるで狂気の域に達している。貧しい家庭に生まれた紗衣子は、中学校で初めて優しく接してくれたハルにあこがれを抱き、彼女の行動や好みを徹底的に調査するほどの深い愛情を抱いていた。ハルの死後もその思いは変わらず、命日にはわざわざ勝之を呼び出し、さらには勝之の恋人である真鍋千鶴に接触して彼の動向を探るなど、ハルの真相を追い求めるためには手段を選ばない。また、わゆの自宅を訪れ、首を絞めながら脅迫する彼女の行動は、まさに狂気そのものであり、物語に緊迫感を与えている。
登場人物・キャラクター
近藤 勝之 (こんどう かつゆき)
和歌山県出身の社会人男性。年齢は25歳。中学時代に3週間だけ交際し、その後亡くなった彼女、ハルを今でも忘れられずにいる。現在は年上の彼女、千鶴と付き合っている。ある日、ハルのアカウントを名乗って接触してきた中学の同級生、紗衣子から「ハルはただの事故死ではない」と告げられたことをきっかけに、10年前に起こったハルの死の真相を突き止める決意を固める。ハルの死後、彼女といっしょにキャンプに行っていた同級生たちを避けていたが、再会後は真相究明のため積極的に交流を持とうと考えている。友人たちからは「かっちゃん」と呼ばれている。
百々瀬 ハル (ももせ はる)
中学3年生の時に同級生の勝之と交際していた少女で、故人。東京から和歌山に引っ越してきた直後、その美しい容姿が話題となり、中学校の男子たちから多くの好意を寄せられていた。また、写真投稿サイトでは2万人のフォロワーを持つインフルエンサーとしても知られていた。どこか謎めいたところがあり、高校生や大学生、学校の先生とさまざまな男性と交際した経験がある。ひょんなことから勝之と付き合うことになったが、3週間後に亮たちとキャンプに行った際に事故で亡くなってしまう。友人の紗衣子は、キャンプに同行していた四人の同級生たちが、ハルの死の真相を知っているのではないかと考えている。
書誌情報
青年少女よ、春を貪れ。 全5巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2021-04-19発行、978-4088918457)
第5巻
(2022-04-19発行、978-4088922782)







