あらすじ
第1巻
3年前に父親の故郷である大分県に引っ越してきた女子高校生の青井海は、引っ込み思案で自分の思ったことを口にすることができず、鬱屈とした日々を送っていた。そんなある日、海は野良猫を追いかけていった先の神社の境内で、剣道の素振り練習をしている男性を目撃する。今朝夢に見た白馬の王子様と同じ顔をしていたその男性に、海は一目惚れする。後日、学校の剣道部を覗きにいき、その男性が剣道部主将の水口洋平であることを確認した海は、成り行きでそのまま剣道部に入部することになる。部には唯一の女子部員であり、クラスメートでもある勝気な佐々木ゆずも所属していた。海を、いつもの男子部員目当てで入部してきた女子だろうと考えたゆずは、海に竹刀を渡して打ち込みを命じる。ほとんど動くこともできず、ゆずに竹刀を打ち下ろされた海だったが、自分を変えたいという強い思いがこみ上げてきて、涙があふれる。そして、水口の「飛べ!」という掛け声で高く跳びあがった海は、ゆずに面を打ち込む。(1振り目「剣道場の中心でココロを叫ぶ」。ほか、3エピソード収録)
登場人物・キャラクター
青井 海
大分県立佐伯竜南高等学校家政科の1年2組に在籍する女子高校生。3年前に、父親の故郷である大分県に家族で引っ越してきた。田舎暮らしを嫌う母親は夫との言い争いが絶えず、家庭では居心地の悪い思いをしている。引っ込み思案な性格で、幼い頃から母親の言いなりになってきた。現在も帰りが遅いと注意されるなど、母親から強い干渉を受けている。夢で見た白馬の王子様と同じ顔をした剣道部主将の水口洋平に一目惚れし、剣道部に入部する。他人に自分の気持ちをはっきり伝えられないことにコンプレックスを感じており、自分の意見をはっきり言えるクラスメートで剣道も強い佐々木ゆずに、あこがれと友情を抱いている。
水口 洋平
大分県立佐伯竜南高等学校に在籍する3年生の男子。剣道部の主将を務めており、後輩の面倒見もいい好青年。剣道一筋で、今年が最後となる全国大会出場を目指して稽古に打ち込んでいる。
佐々木 ゆず
大分県立佐伯竜南高等学校家政科の1年2組に在籍する女子高校生。剣道部に所属している。勝気な性格で、剣道部の先輩に対しても遠慮ない物言いをする。真剣に剣道に打ち込んでいるため、これまで男子部員目当てで入部してきた女生徒をしごいては、全員退部に追い込んでいた。当初は青井海のことも男子部員目当てと考えて厳しい練習でしごくが、海が剣道に真剣に打ち込む姿を見て考えを改め、友情を育んでいく。中学の時に一度だけ喧嘩に剣道を使ったことが自分で許せず、剣道をやめていたが、水口洋平から何度も説得されて入部を決意した。実力者である水口の稽古の相手ができるのは佐々木ゆずだけで、主将の水口相手にも遠慮なくダメ出しをする。水口に思いを寄せていることを海に伝える。
玉木 勇気
大分県立佐伯竜南高等学校に在籍する3年生の男子。剣道部に所属している。茶髪のチャラ男で、剣道場には玉木勇気目当てによく女子生徒がたむろしている。剣道部の3年生は、自分と主将の水口洋平だけで、玉木は水口をなんとか全国大会へ出場させてやりたいと考えている。