概要・あらすじ
一見ごく普通でまじめな中学三年生の日高拓也は誰にも言えない秘密を抱えていた。同じ学校の剣道部に所属する、同級生で学校のマドンナ的存在の北原紗月に対して、純粋な恋愛感情とは別の、倒錯した感情を持ち続け、日々あらぬ妄想を抱いていた。そればかりでなく、彼女の体操着や靴下などの使用済みの持ち物を盗み匂いを嗅いだり、果てはトイレに細工をし尿を採取したり録音したりと、その行動は常軌を逸していた。
北原紗月はもちろん、周囲の友人たちもそんな彼の内面など知る由もない。まじめで、優しく思いやりのある性格のように見える日高拓也に北原紗月は惹かれ、二人は交際を始めるも、日高拓也の行動は、周囲に気付かれぬまま異常さを増していく。
その異常な性癖は、やがて北原紗月の知ることとなる。「紗月の番犬になりたい」と懇願しひざまづく日高拓也に対し、北原紗月は悲しみ嫌悪するが、やがてその倒錯した異常な世界へと惹きこまれていく。
登場人物・キャラクター
日高 拓也 (ひだか たくや)
中学三年生。剣道部に所属。周囲からはまじめで優しいだけが取り柄という印象を持たれている。親友である丸山健吾や同級生の友人らと猥談やのぞきに興じることもあるが、いまいちノリが悪いため、女に興味がないのかと疑われるが、北原紗月に対し倒錯した愛情を持ち続けており、彼女の持ち物を度々盗み出し、家で保管している。 また、彼女の脚に対し異常な執着を持っており、隠し撮りもしている。北原紗月から告白され付き合う事となるが、その性癖が彼女の知る事となると、開き直るかのように彼女の脚への執着を見せるようになり、隠そうともしなくなる。一見弱々しいが、ヤクザの構成員の一人である藤原からは「他人と話しながらも自分のことしか見ていない」や北原紗月からは「人の下に立っているふりをして、人の上に立っている」と評される。
北原 紗月 (きたはら さつき)
主人公日高拓也の同級生で同じ剣道部に所属している。容姿端麗で成績もいい。読書が趣味。全校男子生徒のあこがれの存在。剣道部でも活躍を見せている。父は柔道教室を自宅で開いている。度々感じる日高拓也からの視線や行動から彼を意識し始め、純粋に恋愛感情を抱き自身から告白し付き合う事となるが、日高拓也の隠された性癖を知ってしまう。 大変なショックを受け彼を責め苛むが、開き直る日高拓也に対し憎むようになる。だが向けられた嫌悪の視線や言動は、逆に日高拓也にとってはこのうえのない褒美となっていた。自身も徐々に日高拓也の性癖に感化されて行くかのように行動が過激になっていく。
丸山 健吾 (まるやま けんご)
主人公日高拓也の同級生で親友。バスケ部に所属している。スラムダンクの登場人物に憧れて髪型は真似をしている。筋肉質で体格が良く性欲も旺盛。美男子というわけではないが、裏表のないカラっとした性格で、女性にもモテるが、その性欲の強さ故、すぐに振られてしまうがめげない。日高拓也には、生まれ変わったらこういう男になりたいと思われているが、日高拓也が隠し撮り写真を所持していた事を友達に悪気なくバラしてしまうなど、口の軽い一面もある。
景山 哲男 (かげやま てつお)
暴力団景山興行の組長の息子でこれまでもチンピラや教師を半殺しの目に合わせているという札付きのワル。主人公日高拓也らが通う中学の近くの松高に通う高校生。北原紗月に惚れ、なかば強引に手を出そうとするが、日高拓也と丸山健吾によって邪魔される。それを逆恨み、丸山健吾を襲ったり、北原紗月を拉致し日高拓也に復讐しようとする。 機嫌が悪くなると仲間を平気で殴ったり、口にフォークを入れ切り裂いたり、極悪非道。ヤクザの構成員からは、生きているのか死んでるのかわからない目をしていると、恐れられている。
植松 正一 (うえやま しょういち)
主人公日高拓也と北原紗月の所属している剣道部のOBで先々代の部長。現在は同じ市内の商業高校に通い、剣道を続けている。さわやかな美男子で女子達にも人気がある。日高拓也にとってもあこがれの存在で剣道の型などを真似ていた。北原紗月と再会後、付き合う事となる。
北原 美月 (きたはら みづき)
北原紗月の姉。北原紗月同様、容姿端麗で黒髪ワンレンで露出の多いファッションをしているため目立つようで、周辺の男性達の間で有名な存在である。妹想いで日高拓也との仲を応援し、年の功から色々アドバイスや忠告を与える。サド気質の男性と付き合っていたようだが、別れた経験を踏まえながら悩む妹の力になろうとする。 北原紗月曰く、北原家を訪れる男性はみなおねえさんの事を聞いてくるらしいが、日高拓也だけは聞いてこなかった。
大西 (おおにし)
北原紗月に目をつけしつこく付け回す景山哲男のグループの仲間の一人。長髪真ん中分け。景山哲男を心の底では見下しているが恐れるあまり逆らえない。元サッカー部であったらしいが、飲酒、無免許運転により退部になった。丸山健吾を襲う際、原付バイクで追いつめ轢く。北原紗月を襲った際、助けに入った日高拓也により太ももに負傷させられる。
藤原 (ふじわら)
景山哲男の父が運営している暴力団、景山興業の一員。小太りで坊主。暴力団の一員にも関わらず、義理を人情を大切にする性格で、景山哲男の暴走を止めてほしいという日高拓也の懇願を聞き入れ、暴行の場に乱入し景山哲男を止める。父親の右腕的存在であり、小さな頃から世話をしてもらっているらしい彼の指示には景山哲男も逆らえないらしく大人しく引き下がる。
場所
高松市 (たかまつし)
四国の北東部、香川県の中央に位置する市で、香川県の県庁所在地で作者の出身地である。物語内では栗林公園、琴平鉄道、高松南新町商店街、高松市総合体育館などが度々登場している。扉絵には高松港が登場する回もある。また、方言も忠実に再現されている。