概要・あらすじ
都立英知高等学校1年生の剣道部員、宮本浩介は、下着盗難事件の犯人の疑いをかけられたことで、先輩の南と木刀による真剣勝負をすることになってしまう。勝負には敗れるが、それをきっかけに、都大会の団体戦のメンバーに選出される。その大会で浩介は、団体戦の大将を務めることになってしまう。
ほろ苦い思春期の悩みや思いとともに、己の剣の道を極めようとしていく浩介の姿を描く。
登場人物・キャラクター
宮本 浩介 (みやもと こうすけ)
都立英知高等学校1年生、16歳の剣道部員。飄々としているが、剣道部以外にも白井派一刀流道場に通うなど、剣を極めるための鍛錬を続けている。浩介は、校内で発生したバレー部(部員は桜井桃子や横山栄子など)が関わる下着盗難事件の犯人の疑いをかけられる。これが原因となり、先輩の南と木刀による勝負をすることになり、戦いには敗れるが、浩介は都大会の団体戦メンバーに選出される。 大会では、周囲を驚かせる強さを発揮して注目を集めることになる。この団体戦では、西川工業高の鶴田、木島商業の下田、小山西の大川、坂出工大付属の栗林らと剣を交え、目黒東高の日高との一戦は特に注目を集めた。 幼いころは小児ぜんそくを患い、医者から勧められて山奥に住む祖父に預けられて療養と鍛錬をしており、このころに山奥で日高の兄と出会い、面識があった。英知高の屋上から飛び降りた桜井桃子を受け止めたため、怪我をした状態で団体戦に臨むことになる。
南 真太郎 (みなみ しんたろう)
都立英知高等学校3年生。剣道部の元主将で剣道三段。東星大付属の大村らとも付き合いのある都内の強豪選手で、個人戦では世田谷で開かれた大会の準決勝で大村と対戦したこともある。校内で発生したバレー部(部員は桜井桃子や横山栄子など)が関わる下着盗難事件で、木刀で宮本浩介と勝負をすることになった。 この対決で浩介を破ったが、英知高の都大会団体戦の一回戦突破を目指すため、自らは中堅となり、大将を浩介に任せた。同学年のバレー部員、桜井桃子に想いを寄せており、その純粋だが強すぎる想いが浩介を振り回すこともある。
大石 正太 (おおいし しょうた)
都立英知高等学校1年生で宮本浩介の親しい友人のひとり。バスト88の姉がいる山下と行動をともにしていることが多い。浩介と同じバッグを使っていたことから、校内で発生したバレー部(部員は桜井桃子や横山栄子など)が関わる下着盗難事件にも深く関わることになった。
桜井 桃子 (さくらい ももこ)
都立英知高等学校3年生のバレー部員。美貌の持ち主で、校内でも注目を集めている。自暴自棄になり、英知高の屋上から飛び降りるが、宮本浩介に受け止められ、命を救われ、浩介に関わっていくことになる。
横山 栄子 (よこやま えいこ)
都立英知高等学校1年生で、宮本浩介とは中学校からの同級生。バレー部員で、先輩の桜井桃子とともに風呂場の覗き事件、下着盗難事件に関わる。事件の真相に最も近い人物であった。
日高 偵二郎 (ひだか ていじろう)
目黒東高の2年生で剣道4段。剣道部の主将として部を取り仕切っている。1年のとき副将として団体戦で活躍し、個人戦では西川工業高の鶴田を負かして準優勝し、都内高校剣道界の新星として注目を集めている。団体戦から宮本浩介の資質を見抜き、注目した。 日高の兄は、山奥で病気療養と鍛錬を続けていた浩介と出会ったことがある。目黒東高1年生の剣道部員、岡本麗子から想いを寄せられており、日高もまた彼女を想っている。浩介同様、剣を極めようとしている。
岡本 麗子 (おかもと れいこ)
目黒東高の1年生で美貌の剣道部員。剣を見る確かな目があり、日高からの信頼が厚い。日高を慕っており、都の個人戦でライバルとなりそうな宮本浩介の欠点を探ろうとした。その確かな目で、浩介の資質を見抜き、好感を持っている。薙刀もあつかうことができ、白井派一刀流道場で浩介と対戦した。
大村 庄吾 (おおむら しょうご)
東星大付属高校3年で、剣道部の主将。剣道4段で春の都大会個人戦では、目黒東高の日高を降して連続優勝をしている強豪選手。大学に入学しても1年からレギュラー確実といわれている。世田谷で開かれた大会の個人戦準決勝で英知高の南とも対戦している。目黒東高の日高らとも面識があるなど顔が広い。 都大会個人戦を前に迷う南、宮本浩介に示唆を与える。
米田 洋一 (よねだ ひろかず)
紅東高の剣道部員。白い胴着を着用している。「今牛若丸」と評され、女子生徒からも「可愛い」、「女の子みたい」と言われ、英知高剣道部員の山下が見とれるほどの美丈夫剣士。相手を打ち負かそうとするのではない、無邪気な剣を使って天才的な強さを発揮し、目黒東高の日高に勝ったことがある。 個人戦で浩介と戦う。
吉田 (よしだ)
都立英知高等学校3年生。剣道部の主将で剣道2段。元主将の南から後を託された。剣道の実力は今ひとつのようだが、努力家で剣を見る目はある。都の個人戦、英知高代表選出において、宮本浩介と代表の座を争うことになる。
鶴田 (つるた)
西川工業高の剣道部主将。春の都大会で、個人戦3位の成績をおさめた(目黒東高の日高に敗れた)。団体戦1回戦では初戦突破を狙う英知高の大将、宮本浩介と対戦した。気迫をサイに例えられる強豪選手で、他の選手を見る目も確かである。木島商業の下田、小山西の大川らとともに試合を観戦することもあり、坂出工大付属の栗林と浩介の対戦を見て、浩介の実力を考察した。
下田 (しもだ)
木島商業の剣道部主将。都の団体戦で上位進出を狙う英知高の大将、宮本浩介と対戦した。「おっかねえ顔」と言われている。個人戦では、浩介との対戦に異様な執念を燃やす。西川工業高の鶴田、小山西の大川らとともに試合を観戦することもあり、坂出工大付属の栗林と浩介の対戦を見て、浩介の実力を考察した。
大川 (おおかわ)
小山西の剣道部主将。剣道3段。都の団体戦で上位進出を狙う英知高の大将、宮本浩介と対戦した。大男で、浩介の竹刀を叩き落すパワーを発揮した強豪。浩介は「2階を見上げるようだ」と感じた。西川工業高の鶴田、木島商業の下田らとともに試合を観戦することもあり、坂出工大付属の栗林と浩介の対戦を見て、浩介の実力を考察した。
栗林 (くりばやし)
坂出工大付属高校の剣道部員。都の団体戦で英知高の先鋒、宮本浩介と対戦した。実践剣法柳剛流の使い手で、反則すれすれに足を狙うなどして、対戦相手の戦意を奪ったり、ムキになって出てくるところを払うといった戦い方をする。周囲からは「奇怪な技」と言われている。西川工業高の鶴田、木島商業の下田、小山西の大川は、栗林と浩介の対戦を見て、浩介の実力を考察した。
場所
都立英知高等学校 (とりつえいちこうとうがっこう)
宮本浩介が通う高校。東京都世田谷周辺に位置すると考えられる。風紀に厳しく、スポーツが盛んな様子であるが、野球部は予選一回戦敗退で、剣道部も都の団体戦での初戦突破が目標であるなど、いわゆる「スポーツ高」ではないようである。3年に南真太郎(剣道部の元主将)、桜井桃子(バレー部)、2年に吉田(剣道部主将)、1年に、宮本浩介、大石正太、石井(剣道部)、横山栄子(バレー部)らが在籍している。