概要・あらすじ
常人離れした動体視力を持ちながらも運動神経はゼロの黒鉄博人(クロガネ)は、剣道部の白鳥乙鳥(つばめ)から女剣士の幽霊の話を聞いた帰り道、噂の幽霊刀条さゆりに襲われる。幕末最強と謳われた「桜一刀流」復興のために後継者を探していたさゆりは、黒鉄に可能性を感じ後継者にすることを決意。はじめは拒むクロガネだったが、つばめが不良に絡まれているところをさゆりと共に助けたことをきっかけに、昔憧れたヒーローになることを思い出し「桜一刀流」を学んでいく。
登場人物・キャラクター
黒鉄 博人 (くろがね ひろと)
桜夏高校に通う、ヒーローに憧れる少年。生まれつき眼は良いものの、絶望的な運動神経の悪さから体育の成績は小学生の頃からずっと1。ある日、桜一刀流七代目師範を名乗る刀条さゆりに出会ってから剣道の道へ半ば強制的に引きずり込まれる。普段は眼鏡をかけているが、視力矯正のためではなく見えすぎて疲れてしまうためで、レンズは曇りガラスになっている。
刀条 さゆり (とうじょう さゆり)
桜夏高校に通う学生たちの間で噂される、真剣を持った和服の女性。江戸時代末期に竹刀を主に使用した実践型剣術として広まった、桜一刀流の七代目師範。自身の剣術を蘇らせ、その強さを再び世に広めるために現代へ幽霊として現れた。普段は黒鉄家にある、母親が大事にしている市松人形の「小町ちゃん」に憑りついている。
葉桜 士道 (はざくら しどう)
黒鉄の同級生。中学生時代から剣道で一本も取られたことがなく、周りからは最強剣士として謳われていた。強豪校の落陽高校へ推薦が決まっていたが、左手首に怪我を負ったことで推薦が取り消され、桜夏高校へ進学した。怪我の後遺症により重い物が持てないものの、普段の生活には支障ない。下半身の鍛錬のため常に下駄を履いている。
白鳥 乙鳥 (しらとり つばめ)
明るく元気で優しく、さらにスタイルも抜群の桜夏高校剣道部のアイドル的マネージャー兼女子剣道部員。中学生時代には美少女剣士として地元メディアの取材を受けたこともある、ちょっとした有名選手。その外見に加えて少々天然な性格で、ヤンキーに絡まれやすい。黒鉄博人には特別な思いを抱くものの打ち明けられずにいる。
隠居 武文 (かくらい たけふみ)
桜夏高校の剣道部顧問。女好きがたたってか、妻と娘とは別居中。市松人形に憑りついた刀条さゆりとは剣道の話をしたり、将棋を指したりと妙に仲がいい。適当な言動とは裏腹に選手のことを人一倍思いやる人物だが、時には非情な判断を下すこともある。彼自身、大学時代は有名な剣士として名を馳せていたらしいが、剣の腕については謎に包まれている。
神宮 剣 (かみや つるぎ)
桜夏高校の3年生男子で、剣道部主将を務める。剣道一家に生まれ、物心つく頃から竹刀を握っていたという。元々は才能、体格共に特別恵まれていたわけではなく、小学生の頃から辛い練習を重ねてきた。中学生時代に成長期を迎え、現在は身長が190センチを越えるほどのりっぱな体格。顔に傷があるが、そのことについては誰にも話そうとしない。
夜鷹 泰山 (よだか たいざん)
白零高校の3年生男子で、剣道部主将を務める。インターハイの個人戦2連覇を成し遂げ、「剣聖」と呼ばれる日本一の高校生剣士。刀条さゆりが惚れ込み立ち合いを申し込むほどの剣術に、黒鉄博人と同じ高い動体視力を持ち合わせている。一見とぼけたところがあるものの、先輩後輩分け隔てなく接する姿から部員からの信頼は厚い。
大狼 空 (おおかみ そら)
白零高校の男子剣道部員で、唯一の1年生レギュラー。中学時代は、東京都大会で幾度となく葉桜士道と対戦した。超天然で能天気な性格から、剣道部の先輩たちからはペットのように扱われている。剣術スタイルは、獣のような剣さばきと無尽蔵のスタミナを活かしたラッシュで相手を翻弄する全方位無限連続攻撃を得意としている。
童子 晴臣 (どうし はるおみ)
白零高校剣道部所属の2年生男子。常にルービックキュービックやけん玉などのおもちゃで遊んでいるが、一番のおもちゃは大狼空で、何かと彼をからかっては楽しんでいる。剣道には派手な技が必要だと思い日々研究しているが、考えた技のほとんどは鎧坂剛からボツを食らっている。試合でも自分が考案した技を披露したり、遊び癖はあるが剣道の腕は立つ。
鎧坂 剛 (よろいざか ごう)
白零高校剣道部所属の2年生男子。童子晴臣のギャグから対戦相手の強さまで、何事にも点数をつける癖がある。竹刀5本を片手で振り回すほどの剛腕で、得意技は対戦相手を場外に吹き飛ばすほどの体当たりと、192センチの長身から繰り出される兜割り。
鳥堂 真弓 (うどう まゆみ)
白零高校の3年生男子で、剣道部副部長を務める。夜鷹泰山の抜けたところや童子晴臣をはじめとする後輩からのイジりに耐えながら、陰で部を支える苦労人。レギュラー陣においては人一倍勝ちにこだわり、他の誰よりも結果を残すことに執着する。最近、大狼空というイジられキャラが新たに部に入ってきたので少し心に余裕ができた。
江花 青春 (えばな あおはる)
桜夏高校の1年生男子。隠居顧問のはとこの子供で、幼少の頃に父の言いつけで隠居の道場に預けられたが、無理矢理やらされていたことから剣道が大嫌いになる。入学早々他校とのケンカで停学していた。停学の最中もケンカに明け暮れていたが、怪我していたところを手当をしてくれた白鳥乙鳥に惚れ、嫌いな剣道部に入部する。
朝霧 直 (あさぎり なお)
桜夏高校の3年生男子で、元剣道部副主将。神宮剣の剣道に対するひたむきな思いに惹かれ、剣道の道に足を踏み入れた。効率的で計画的な思考による要領の良さで剣道の腕はみるみる上達し、高校2年生の時には神宮よりも強かった。桜夏高校最後の切り札(エース)と呼ばれていたが、昨年の関東予選を最後に剣道部を去っている。
護国 無人 (もりくに むじん)
落陽高校の3年生男子で、剣道部副部長を務める。坊主頭に眉を丁寧に剃り、黒いマスクを付けている。本人曰く、マスクは表情を読まれないため着用しているとのこと。部の中でも彼と親しい部員はおらず、謎に包まれた存在。
灰咲 芭蕉 (はいざき ばしょう)
落陽高校剣道部所属の2年生男子。常にペロペロキャンディーを舐め、ぼさぼさの髪を肩まで伸ばし目の周りにはクマができている不気味な男。わがままで自分勝手ではあるが、落陽高校の人間に対しては一目置いている。
馬空 (ばくう)
落陽高校の3年生男子で、剣道部部長を務める。他校の生徒からは怪物と恐れられている。勝ちに執着し、勝つことこそが目的であり至上だと考え、自分が出場しなくても勝てる試合には出場しようとしない。
音無 奏 (おとなし かなで)
城礼高校剣道部所属の1年生男子。普段はイヤホンで音楽を聴き、世間に流れる生活音や雑音を遮っている。相手の攻撃リズムを読んで攻撃をかわし、相手が重心を移す瞬間に攻撃を行うカウンター戦術を得意とする。
大木 昴 (おおき すばる)
城礼高校剣道部所属の1年生男子。中学時代は長身でありながら運動神経が鈍いことから「独活の大木」と呼ばれていた。そう呼ばれることを嫌ってかなりの練習量をこなすが、過度な練習で左足のアキレス腱を痛めてしまう。それ以来、返し技に磨きを掛けた。
白銀 光輝 (しろがね こうき)
錬兵高校剣道部所属の2年生男子。無名だった錬兵高校を強豪校と呼ばれるまでに押し上げた人物で、彼が入部したことで錬兵高校剣道部は劇的に変化したと噂されている。黒鉄博人が小学校時代にあこがれていたヒーロー的存在であり、幼い頃からあらゆるスポーツを得意としていた。
怒門 勉 (どもん つとむ)
錬兵高校の3年生男子で、剣道部主将を務める。彼が入学した時には既に文献が残っているだけで廃れていた錬兵流の二刀流をコーチと共に復活させ、現在では後輩に教えられるまでに磨きをかけている。
刀条 真 (とうじょう まこと)
雲鶴高校剣道部所属の2年生男子で、桜一刀流の現当主。桜一刀流を代々受け継ぐ刀条家15代目の跡取り。桜一刀流の歴史の中でも特に優れた才能を持ち、桜一刀流「桜花七式」を現代剣道に合わせて進化させた「新七式」を操る。関東予選で一子相伝であるはずの桜一刀流「桜花七式」を操る黒鉄博人(クロガネ)を見て、桜一刀流の秘伝書を隠し持っているのではと疑い、クロガネの前に現れる。
狐賀 敦之 (こが あつゆき)
雲鶴高校剣道部所属の2年生男子。一応東京都民なのだが訛りが強く、周りからは田舎者だと思われている。白鳥乙鳥(つばめ)に一目惚れし、何かにつけつばめの気を引こうとする。「剣道の本質は勝敗をつけることではない」という学校の理念から対外試合を一切してこなかったせいか、一本を決めた後ガッツポーズをして取り消されてしまうなど細かなルールを知らない。
その他キーワード
桜一刀流 (さくらいっとうりゅう)
150年前に最強と謳われたが、不慮の火事で道場が焼け落ち、当主と門下生を同時に失ったことでこの世に名を遺すことなく滅びた流派。力で劣る女性や子供のために生まれた剣術で、力や速さで相手を制するのではなく相手の動きを利用することを真髄とする。