魅女物語

魅女物語

ぽっちゃり体型で冴えない普通のOLが、あれこれと美容法を試しては失敗しながらも、周囲のアドバイスでどんどん美しい女性に変身していくさまを描いた作品。綿密な取材に基づいた実践的な美容法が掲載されている他、働く女性の微妙な心情や恋愛、ミステリー要素も加わって、ただの美容ハウツー漫画ではない奥深さを持つ。「YOU」1987年9月号から1989年5月号にかけて連載された作品で、タイトルと資料提供はバーバラ寺岡。

正式名称
魅女物語
ふりがな
みじょものがたり
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

ぽっちゃり体型で冴えないごく普通のOLである真壁あさみは時折、美しい女性が自分を呼ぶ夢を見ることがある。そんななか、同じくぽっちゃりしていた同僚の江原かおりが入院から復帰し、見違えるほど綺麗になったことに驚く。時を同じくして、大学時代から想いを寄せていた滝沢直樹が結婚することを知ったあさみは、ダイエットを決意。

そんななか、あさみはお腹を壊して駆け込んだ「英画廊」で見かけた「黒衣夫人の肖像」という絵の女性が、自分の夢に出てくる女性とそっくりなことに気付く。仕事で出会った高梨萌子が、「黒衣夫人の肖像」のモデルである樫原由布子の古い友人であると知ったあさみは、高梨と一緒に樫原の消息を追うことにする。

それと並行してダイエットも続けるあさみだが、こちらは失敗ばかりを繰り返していた。それでもその都度、高梨やかおりなどさまざまな人からアドバイスをもらい、あさみは少しずつ痩せて美しくなっていく。しかし、仕事面では庶務課に異動となり、キャリアを活かせず悩んでいた。そんなある日、あさみはかおりからフランスの外資系企業である「ラ・ボエーム」への転職の話を持ちかけられる。

登場人物・キャラクター

真壁 あさみ (まかべ あさみ)

大学を卒業して生命保険会社に就職してから、5年目になる27歳のOL。広報課に所属し、仕事にあまり面白みを感じていないながらもキャリアを積んでいる。ぽっちゃり体型で冴えない印象ながら、上司の神田真紀子には無難な部下として気に入られている。会社の同期の江原かおりの変身、また滝沢直樹の結婚の知らせを聞いたことで焦り、ダイエットをして綺麗になることを決意。 シェイプアップ下着や生野菜ダイエット、レモンパックなどの美容法をいろいろ試すが、いずれも失敗している。その都度、芝木留美子や高梨萌子、そして美しくなったかおりからアドバイスをもらい、徐々に痩せて美しくなっていく。広報課から庶務課に異動になったことに悩んでいたところ、かおりから「ラ・ボエーム」への転職の話を持ちかけられ、採用試験を受けることになる。 一方で、いつも夢に出てくる女性と「黒衣夫人の肖像」の謎について追っている。

江原 かおり (えはら かおり)

生命保険会社で真壁あさみの同期であり、同じ広報課の27歳のOL。もともと、あさみと同様にぽっちゃり体型で一重まぶたの冴えない女性だった。しかし痔の手術と偽り2か月ほど入院し、復帰した時には美しく痩せて、目も二重まぶたで見違えるように変身した。その後、欠員補充で受付に配転され、さらに美しさに磨きをかけていく。一部では整形疑惑がささやかれていたが、江原かおりいわく血の滲むような努力をしたとのこと。 ある日、「ラ・ボエーム」への転職の話をあさみに持ちかけ、一緒に採用試験を目指すことになる。

高梨 萌子 (たかなし もえこ)

かつて大女優としてその名を馳せた女性。突然映画界を引退した後、現在は文筆家となり、真壁あさみの会社にもエッセイを寄稿している。あさみが高梨萌子の自宅に原稿を取りに行った際に知り合い、60歳を過ぎてなお保たれる高梨の美貌はあさみを大いに驚かせた。それ以降、自分が責任を持ってあさみのダイエットを成功させると申し出て、あさみに美容のアドバイスを何度も送るようになる。 一方、「黒衣夫人の肖像」のモデルとなった樫原由布子の女学生時代の友人でもあり、あさみと一緒に樫原の消息を追うことになる。

樫原 由布子 (かしはら ゆうこ)

「英画廊」に展示してあった「黒衣夫人の肖像」のモデルとなった女性。真壁あさみが時折夢に見る女性でもある。現在の消息は不明だが、高梨萌子の女学生時代の友人であり、卒業してすぐに子供を生んだことがわかっている。あさみは自分と樫原由布子との関係を追うため、高梨はかつての友人の消息を知るため、樫原について調査をしている。

芝木 留美子 (しばき るみこ)

「英画廊」に勤める女性。真壁あさみがダイエットのためにシェイプアップ下着を身に着け、その締め付けがキツかったことからお腹を壊して「英画廊」に駆け込んだ来た時に、あさみを介抱した。「黒衣夫人の肖像」を見て驚いた表情をしたあさみのことを気にしており、肖像画のモデルである樫原由布子とも関係がある。

坂上 啓二郎 (さかがみ けいじろう)

庶務課に異動になり、仕事を辞めようかと考えていた真壁あさみが見合いをした男性。実家は外国と提携する薬品メーカーを営んでおり、自身もその会社で働いている。坂上啓二郎の母親は、結婚後はあさみに家庭に入ってもらうことを望んでいたため、仕事を続けたいあさみは彼との縁談を断った。後日、ルイ・ヴィトンのバッグをプレゼントするためにあさみの会社を訪れ、その後もしばしばあさみと会うようになる。

神田 真紀子 (かんだ まきこ)

真壁あさみが勤める生命保険会社の広報課で課長を務める女性。新人の女子社員いびりで有名な厳しい上司として知られているが、敵愾心を刺激しないあさみのことは気に入っている。特に若い社員に厳しく当たるため、若さに嫉妬していると噂されているが、神田真紀子本人には特にそんな意識はなく、今の人生を謳歌している。広報課がなくなるのを機に退社し、15年間同棲していた彼の会社を手伝うことになり、ついでに入籍した。

滝沢 直樹 (たきざわ なおき)

真壁あさみの想い人で、大学時代のゼミで先輩だった29歳の男性。あさみとは時々会ってフランクな付き合いをしていたが、30歳を目前にして結婚することをあさみに告げた。これが、あさみがダイエットを始める直接のきっかけとなった。新婚の家にゼミ仲間を招いて、妻の滝沢真知子と仲むつまじい様子を見せていたが、ある日真知子に家を飛び出されてしまう。

滝沢 真知子 (たきざわ まちこ)

滝沢直樹の新婚の妻。真壁あさみが憧れている色白で可愛らしい女性。あさみの見た目に対して、歯に衣着せぬ率直な感想を言う無邪気さを持ち、人知れずあさみを傷つけている。滝沢いわく、お嬢様育ちで金や物への執着がないとのことだが、それは今までが恵まれ過ぎていたため。結婚を機に、独身時代のような自由な生活ができなくなったことを理由に、滝沢の家を出て行ってしまう。

シンプソン 恵子 (しんぷそん けいこ)

フランス資本の総合美容会社「ラ・ボエーム」の日本支社長の女性。採用試験を受けた真壁あさみと江原かおりを採用し、各界関係者に日本支社のオープンを紹介する大々的なパーティの企画をあさみに一任する。

小島 章司 (こじま しょうじ)

スペイン舞踊の有名なダンサーの男性で、スペインでは「ハポネス・ヒターノ(日本人のジプシー)」と称され、高い評価を得ている。日本にスタジオを持っており、江原かおりはこのスタジオでスペイン舞踊を習い、指先まで美しい所作を身につけた。さらに小島章司は、真壁あさみにスペイン舞踊の魅力を伝える。

集団・組織

ラ・ボエーム (らぼえーむ)

フランス資本で、名の知れた総合美容の会社。日本に支社を出すことになり、江原かおりは真壁あさみに対し、ともに「ラ・ボエーム」に転職しないかと話を持ちかける。入社の条件は厳しく、フランス語と英語のスキルや芸術への造詣、国際的視野といった要素だけではなく、美しい身体とプロポーションも求められる。

場所

英画廊 (はなぶさがろう)

芝木留美子が勤める画廊で、もう1人柏崎という男性従業員がいる。シェイプアップ下着のせいでお腹を壊した真壁あさみが駆け込んだ場所で、ここであさみは「黒衣夫人の肖像」を見て衝撃を受けることになる。ちなみに「黒衣夫人の肖像」は外部から持ち込まれた展覧会用の絵画で、再度あさみが訪れた時には「英画廊」にはなかった。

その他キーワード

黒衣夫人の肖像

黒髪の日本人女性が黒いドレスを着てたたずんでいる肖像画。真壁あさみは、「英画廊」でこの肖像画を見て、自分の夢に時折出てくる女性にそっくりだったことに衝撃を受ける。のちに、高梨萌子の古い友人である樫原由布子がモデルであると知らされたあさみは、夢の謎を解くため、この肖像画の謎と樫原の消息を追うことになる。

クレジット

協力

バーバラ寺岡

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