概要・あらすじ
遠縁のいとこで、長年の友人であるハプトとメールデール。遊び人だが故郷の領主を務めるハプトと、僧侶となるための修行をしているメールデールは、性格は正反対ながら、お互いに惹かれあう思いを持っていた。二年ぶりにハプトを訪ねてきたメールデールに、ハプトは婚約者のリア姫を紹介した後、モグリの貿易商人から買った夢鳥を見せる。
人間の少女のような姿だが、夢鳥は飼い主の深層心理に入り、その人間が望む夢を見せるという能力を持つ鳥だった。ハプトの夢鳥に対する心無い仕打ちを見て、夢鳥を引き取ったメールデールは、夢鳥の故郷へと向かう宇宙船の中で、汚濁に飲まれる悪夢を見る。
登場人物・キャラクター
ハプト
黒髪の青年。メールデールとは遠縁のいとこで、長年の友人。彼と同じ僧院を出た後、故郷へ帰り領主となった。リア姫との結婚が決まっている。尊大で傲慢な性格だが、内心には繊細さを持つ。人の深層心理を夢に見せる夢鳥から、メールデールへの淡い思慕を夢で見せられ、やるせない思いを抱く。
メールデール
長髪の青年。ハプトとは遠縁のいとこで、長年の友人。彼と同じ僧院に通い、彼が卒業した後も僧院に留まり、聖職者となるための修行を続けている。優しく穏やかな性格。人の深層心理を夢に見せる夢鳥から、汚濁の夢を見せられ、狂乱して夢鳥を殺してしまう。
夢鳥 (ゆめどり)
辺境にあるラズリ星の森に住む少女の姿をした鳥。近くにいる人間の深層心理を夢として見せる能力を持つ。保護動物だが、モグリの貿易商などによってペットとして闇取引されている。深層心理を夢として見た結果、発狂した人間もいるという。
リア姫 (りあひめ)
ハプトの婚約者。黒髪の美しい女性。ハプトの我侭で自分勝手な態度に呆れてはいるものの、彼の本質的な繊細さを理解しており、メールデールのことで悩むハプトを思いやる。
僧院の先生 (そういんのせんせい)
ハプトとメールデールが通っていたフォラム星区にある五月僧院の先生。夢鳥を殺し心を病んでしまったメールデールの世話もしている。
医師 (いし)
ハプトとメールデールが通っていたフォラム星区にある五月僧院の医師。夢鳥を殺して心を病んでしまったメールデールの自傷行為をやめさせるため、夢鳥の眼球を、自傷によって目を抉ってしまったメールデールに移植することを提案する。