魔女を救うために超絶マジックを繰り出す
天才マジシャンの針井マキトは、演技力が高いうえに非常に器用で、手にものをひそかに隠し持つパーム技術を得意としているため、一般人にとって彼のマジックは魔法にしか見えない。中世ヨーロッパの魔女狩りの時代に転移してしまったマキトは、自らのマジックで魔女狩りの女性たちを救出すべく、「魔女革命」を起こす。ちなみに本作は、マジックが披露されるたびに読者にもわかりやすいようにトリックが解説されており、物語の理解を深めるために一役買っている。
引退マジックに失敗して中世ヨーロッパへタイムスリップ
2021年の東京、マキトはマジックへの情熱を失い、引退公演の真っ最中だった。客席の誰もがマジックに興味があるのではなく、有名人を見に来ている感覚でマジックを不思議がらないことを知ってしまったマキトは、本当の魔法が存在する異世界に行きたいと考えながら公演を行っていた。そして、最後のマジック「炎からの脱出」に失敗し、体に火が燃え移ってしまう。しかし死を覚悟した瞬間、中世ヨーロッパ風の建物が立ち並ぶ世界で目を覚ます。
敵は「鉄槌」と呼ばれる異端審問官たち
マキトやミア・カルペッパーをはじめとした「魔女革命」を志す一団の最大の障害になるのは、「鉄槌」と呼ばれる教会から派遣された異端審問官の集団。全員が奇跡をあやつると噂されており、特にヴァレリー司祭は、マキトでも初見のトリックを見破ることができなかったほどの実力者。ちなみに「鉄槌」に所属する司祭たちのあやつる奇跡は、すべてリーダーであるピエトロ大司教が授けている。
登場人物・キャラクター
針井 マキト (はりい まきと)
マジシャンの少年。年齢は17歳。七三分けにした黒髪で、角のように見える二本の跳ね毛がある。すご腕マジシャンで華もあるが、性格が非常に悪い。子供の頃から天才マジック少年と注目を浴び、TV業界から甘やかされて天狗になっている。6年前、マジックの師匠でもあった母親を亡くして情緒不安定になり、マネージャーや業界人の手を焼かせているが、チョコレートを食べるとメンタルが安定する。かねてから本物の魔法が存在する異世界に行きたいと願っていたが、引退マジックショーの最後の演目「炎からの脱出」に失敗して焼死しそうになった瞬間、魔女狩りが盛んな中世ヨーロッパにタイムスリップした。そんな中、子供を毒殺した魔女として冤罪で処刑されそうになっていたミア・カルペッパーをマジックで救助したことから、教会から「悪魔マギト」と呼ばれて追われる身となる。その後、ミアと共に魔女狩りの疑いをかけられた女性たちを救出すべく奔走する。
ミア・カルペッパー
中世ヨーロッパで魔女と判断された女性。ピンク色の長髪を毛先で四つにまとめている。薬学に長けており、薬草で傷を治したり、薬として輸入されていたカカオをチョコレートに加工したりすることもできる。病気で瀕死の子供を薬で治療しようとしているが、効果が薄く子供を死亡させてしまい、毒殺した魔女として告発された。信心深く、教会の言葉を絶対のものと受け止めており、魔女として処刑される運命も受け入れていたが、針井マキトに救出されてからは、魔女狩りの真実を知り、教会と戦う覚悟を決める。
書誌情報
魔女に捧げるトリック 4巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2020-11-17発行、 978-4065214350)
第2巻
(2021-01-15発行、 978-4065219584)
第3巻
(2021-04-16発行、 978-4065228869)
第4巻
(2021-06-17発行、 978-4065235782)