概要・あらすじ
世界に三人しかいない魔を滅ぼす針である退魔針の使い手である退魔士の大摩は、助手の十月真紀とともに魔性に憑かれた生物学者の藤尾の治療を、その妻の美弥から依頼される。さっそく、真紀とともに、大摩流鍼灸術を駆使して藤尾の治療に取り掛かる大摩だが、急所が見つからない。
ルポライターの風早三平も現れ、伝奇的な魔との闘いが幕を開ける。
登場人物・キャラクター
大摩 (たいま)
世界で三人しかいないという魔性(妖魔)を倒す針である退魔針の使い手、退魔士のひとり。大摩流を用いる。退魔士として他に妖流の妖京梧、来須流の来須隼人がいる。大摩流鍼灸術の総帥で東日本を中心に活動している。作中に名の記述はない。どのようにして技術を身につけたかは明らかにされていないが、清和源氏の誕生とともに作られた対妖魔撲滅機関である夜狩省の針師、大摩童子の子孫であり、超古代文明を持つムー大陸を一日で滅ぼした魔神ザグナス=グドを封じ込めた5人の魔道士の末裔。 沈着冷静で、周囲が見とれるほどの美貌の持ち主。治療の際には助手の十月真紀(看護師姿)を伴う。 魔性に憑かれた藤尾重慶の治療を重慶の妻の美弥に依頼されるが、魔性を消滅させるためのツボ(急所)がなく、大摩はアメリカに向かうことになる。その過程で如来活殺の使い手、風早三平やもう一人の退魔針の使い手、妖京梧と出会うことになる。 京梧からは大摩流と呼ばれることがある。
十月 真紀 (とげつ まき)
大摩流鍼灸術総帥、大摩の助手。看護師姿をしている。大摩流鍼灸術を操り、魔性を封じ込めることもできる一方、銃器の取り扱いに長けている。藤尾重慶の魔性を消滅させるためのツボを探るため、大摩がアメリカを訪れる際の留守を藤尾家の使用人、門土とともに任されることになる。
藤尾 重慶 (ふじお じゅうけい)
日本有数の資産家である藤尾家の当主で、在野の生物学者。妻の美弥が、重慶に憑いた魔性の治療を大摩に依頼したことが事件の直接のきっかけとなる。重慶は、ある目的のために、自身の生物学者としての研究成果を利用して、愚怒家の長男ザグナ、次男テゴス、長女ジャギュルを蘇らせていたことが明らかとなる。 のちに紅虫や沙織とも関わっていく。
風早 三平 (かざはや さんぺい)
フリーのルポライターを自称し、藤尾家をいったん立ち去ろうとする大摩と助手の真紀の前に現れる。対妖物柔挙法である如来活殺の使い手で、清和源氏の誕生とともに作られた対妖魔撲滅機関の夜狩省の拳士、風早狂里の子孫(風早一族)であり、超古代文明を持つムー大陸を一日で滅ぼした魔神ザグナス=グドを封じ込めた5人の魔道士の末裔。 風早一族は代々、血に妖物専用の毒物を注入し、これを何代も続けることでDNAに毒がインプットされた体質を獲得している。魔性による事件を追って訪れた寺で、突然現れた「通路」によって魔性と化した住職の孫、沙織と闘うなどして、しだいに事件と戦いに巻き込まれていく。
妖 京梧 (あやかし きょうご)
世界で三人しかいないという魔性(妖魔)を倒す針である退魔針の使い手、退魔士のひとり。退魔士として他に大摩流の大摩、来須流の来須隼人がいる。喫煙者。妖流を用いて西日本を中心に活動しており、吹き針を自在に操る。超古代文明を持つムー大陸を一日で滅ぼした魔神ザグナス=グドを封じ込めた5人の魔道士の末裔。 陽気な性格。大摩が、藤尾重慶に憑いた魔性を消滅させるためのツボを探るためにアメリカを訪れた際に出会った。京梧は藤尾重慶の妻、美弥のボディーガードとしても行動するようになる。大摩を大摩流と呼ぶことがある。
来須 隼人 (くるす はやと)
世界で三人しかいないという魔性(妖魔)を倒す針である退魔針の使い手、退魔士のひとりで、来須流を用いる。退魔士として他に大摩流の大摩、妖流の妖京梧がおり、大摩、妖京梧からは「モグリの針師」と呼ばれるれ、これを嫌がっている。落ち着いた性格をしている。 超古代文明を持つムー大陸を一日で滅ぼした魔神ザグナス=グドを封じ込めた5人の魔道士の末裔。大摩が、藤尾重慶に憑いた魔性を消滅させるためのツボを探るためにアメリカを訪れたが、その帰りに大摩の前に姿を現す。
門土 (もんど)
藤尾家の使用人。密かに藤尾重慶の妻の美弥を慕っている。自室には伝説の大陸ムーで奉られた神のひとつ、ジック神配下の剣将ゾアホーガの像があり、これを十月真紀に見せたことで、ムー人の末裔であることが明らかになった。剣将ゾアホーガのパワーがこもった独鈷杵(とっこしょ)を所有しており、魔性に憑かれた犬の撃退に成功した。
藤尾 美弥 (ふじお みや)
日本有数の資産家である藤尾家の当主、藤尾重慶の妻。魔性に憑かれた重慶の治療を大摩と助手の十月真紀に依頼した。その後、魔性に憑かれた沙織によって変質させられてしまい、藤原紅虫にも接近する。のちに妖京梧をボディガードにする。藤尾家の使用人の門土に想いを寄せられている。
藤原 紅虫 (ふじわら の あかむし)
平安時代の魔物(怨霊)。清和源氏の誕生とともに作られた対妖魔撲滅機関である夜狩省の針師、大摩童子と拳士、風早狂里によって封印されていたが、魔性に憑かれた沙織によって封印を解かれて復活した。退魔針の使い手の大摩と来須隼人と相対し、互角以上の戦いぶりを見せた。 平安時代と現代を混同している様子が描かれている。出自は意外なものだった。
沙織 (さおり)
如来活殺の使い手の風早三平が、魔性による事件を追って訪れた寺の住職の孫娘。突然現れた「通路」によって魔性と化してしまう。髪を使って物を切り刻んだり、目から光線を放つなど高い戦闘力を見せた。藤原紅虫を現代に蘇らせ、藤尾美弥を取り込むなど暗躍した。最終的に魔性化した藤尾重慶とは敵対することになった。
ザグナ
日本有数の資産家である藤尾家の当主、藤尾重慶が蘇らせた魔性、愚怒家の長男。妹のジャギュル、弟のテゴスがいる。ザグナの正体は、超古代文明を持つムー大陸を一日で滅ぼした魔神ザグナス=グドの幼体で、その能力を藤尾重慶が利用しようとしていた。 重慶の計らいがもととなり、十月真紀に執着するようになる。
テゴス
日本有数の資産家である藤尾家の当主、藤尾重慶が蘇らせた魔性、愚怒家の次男。兄にザグナ、姉にジャギュルがいる。一つ目の大男で、兄や姉より多い七つの命があるため、倒されても命の数までは蘇生が可能。対戦相手の能力等をコピーした偽者ルギラドゥを作り出す能力もあり、戦闘力が高い。
ジャギュル
日本有数の資産家である藤尾家の当主、藤尾重慶が蘇らせた魔性、愚怒家の長女。兄にザグナ、弟にテゴスがいる。全身に目があり、その目玉は体を離れて敵を攻撃することができる。触れた相手と同化し、あらゆる成分を吸収して石化させる能力も持つ。風早三平とともにいた藤尾家の使用人の門土を襲い、さらに妖京梧と闘うことになる。
その他キーワード
退魔針 (たいましん)
『魔殺ノート退魔針』に登場する技術・医術。魔性(妖魔)を倒す針術で、戦闘にも医療にも用いられている。世界に三人(三流派)しか使い手がいない。その三人とは、大摩(大摩流)、妖京梧(妖流)、来須隼人(来須流)である。清和源氏の誕生とともに作られた対妖魔撲滅機関である夜狩省の針師、大摩童子が用いたのは大摩流と考えられる。 大摩と妖京梧は来須隼人(来須流)をモグリと評した。具体的にその理由は明かされないが、ツボ(脈)の探り方などに大きな違いがあることが描かれている。
如来活殺 (にょらいかっさつ)
『魔殺ノート退魔針』に登場する対妖物柔挙法。清和源氏の誕生とともに作られた対妖魔撲滅機関である夜狩省の拳士、風早狂里や風早三平が用いる。風早一族は、魔性(妖魔)に対する格闘術だけでなく、血に妖物専用の毒物を注入し、これを何代も続けることでDNAに毒がインプットされた体質を身につけている。