夢使い

夢使い

夢と現実を行き来できる夢使いたち。彼女らは神話や心理にまつわる事件を、夢の中で自在にイメージを具現化させ、戦いながら解決していく。「虹の卵」編、「鉱物の聖母」編、最終話の「影の女」の三部で構成されている。同作者の『ディスコミュニケーション』にも本作の登場人物、三島塔子、三島燐子、橘一が登場しているが、「イメージを具現化する」という基本設定は同じものの、夢の扱い方、生い立ちなどは全く別で、パラレルワールドになっている。『アンパンマン』のドキンちゃんなど、他の作品のパロディが、舞台の「童遊斎おもちゃ店」などに数多く盛り込まれている。

正式名称
夢使い
ふりがな
ゆめつかい
作者
ジャンル
オカルト
 
ファンタジー
 
和風ファンタジー
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概要・あらすじ

葩坂女学院で起きた、謎の連続想像妊娠事件と、2年前に起きた見上漾子惨殺事件。ガラクタでできた少女瑠瑠と、彼女をさらおうとする組織の対立。現実では解決できない問題に対して、イメージを具現化することができる三島燐子と三島塔子姉妹、橘一茶川三時花らが、夢のなかに乗り込み、数多くの神話伝承、心理学の知識を用いて、問題の根本を鎮めるべく戦う。

登場人物・キャラクター

三島 隣子 (みしま りんこ)

火曜星の夢使い。9歳。ツインテールの、気が強く活発な少女。三島塔子の妹。自称スーパー小学生。火を用いて夢の扉を開いたり、イメージで作った武器を具現化したりすることができる。箒神の中にはロボットアニメのおもちゃが入っており、具現化の力で自ら超電磁フリスビーを扱うことができる。 一瞬で変装したり、戦闘の技に長けていたりなど、夢使いとしては一人前。ロリコンの橘一が苦手。だらしない姉の三島塔子のツッコミ役に回ることが多い。

三島 塔子 (みしま とうこ)

日曜星の夢使い。三島燐子の姉。頭には、父の三島宙明の形見のきつねの面をつけている(『ディスコミュニケーション』に登場する三島塔子は、主人公の松笛に面をもらっているため、パラレルワールドの別人)。別名「童遊斎」。大雑把にして粗雑な性格で、普段着は制服にジャージ、17歳だが昼間から酒を飲んで酔っ払っている。 ただ、三島宙明が死ぬ前までは普通の格好をしていた。「世捨て人」として、ひょうひょうとした性格を貫いている。しかし夢使いとしての腕は一流で、事件解決の決定打を打つことが多い。

三島 美砂子 (みしま みさこ)

三島信夫の助手で、三島塔子と隣子の叔母。29歳。普段は三島家の本家で静かに暮らしているが、夢使いとして実戦で活動している面々の攻撃サポートを担っており、地上から「ドリームサイクロン」プログラムを封印解除(シールド・アウト)し、転送している。その際は、巫女姿で夢殿に入り、未通女であることをチェックした後に「円目王」にくちづけし、プログラム送信許可を得る。

橘 一 (たちばな はじめ)

金曜星の夢使い。重度のロリコンで、少女たち以外はおばさんだと言い切る29歳。小学生の少女に気に入られるためならなんでもしようとし、喜んでもらうために体中におもちゃをつけたり、頭の上に水槽を載せたりしている。特に三島燐子にアプローチ中だが、激しく嫌われている。箒神にいれたおもちゃでレーザーソードを具現化し、斬撃を繰り出すことができる。 また情報収集に長けており、戸籍調査などを行っている。見た目は美形なため、高校時代はモテており、三島美砂子からも思いを寄せられていたが、当時からロリコンだったため、小学生以上の女性に全く興味を持っていなかった。

茶川 三時花 (さがわ さとか)

福岡から上京してきた。長い髪の毛をコンパクトにまとめ、人民帽をかぶりメガネをかけている、真面目な性格の少女。14歳。土曜星の夢使い。箒神の中に「おやつBOOK」を入れることでお菓子の武具を具現化、射出して攻撃する。決め台詞は「三時花のおやつを召し上がれ!」。福岡では執事がいるほどのお嬢様として暮らしていた。 普段だらしないのに堂々としている三島塔子に憧れている。迷った時には、死んだ彼氏の実相寺悟を涙の中から度々呼び出し、依頼人の事件を引き受けるかどうか伺いを立てている。

三島 信夫 (みしま のぶお)

三島姉妹からは「おじいさま」と呼ばれ、橘一からは「教授」と呼ばれている、三島塔子と三島隣子の祖父で、三島美砂子の父。夢使いに指令を出す元締め。大学では心理学科の教授で、三島美砂子を助手にしている。ベレー帽をかぶり、常にパイプをくわえている。

中島 蕙 (なかじま けい)

葩坂女学院に通う少女。2年前、小学6年生の時に猟奇殺人事件が起きて、見上漾子が死亡。その際事件に巻き込まれたらしいが、記憶を失っている。見上漾子とつきあっていたらしい、というわずかな記憶だけが残っている。三島燐子に連れられて、見上樣子と他の女学生が謎の場所で、性的行為をしているのを目撃。 事件の解明を夢使いに依頼した。

見上 漾子 (みかみ ようこ)

葩坂女学院に通っていた。美しい容姿で愛されていたが、実は少女の姿をした少年だと判明。2年前、小学6年生の時、学校内の猟奇殺人事件で亡くなった。2年後、富士野馨の手引きで郷土資料館から謎の場所に呼び出された少女たちと性的行為を繰り返し、全員に想像妊娠をさせていたものの、誰もその理由がわからず、中島蕙の依頼で夢使いが謎の解明に入った。

富士野 馨 (ふじの かおり)

葩坂女学院に通う少女。中島蕙の幼なじみ。超常現象を操って見上樣子に協力。土器が置かれている地下の郷土資料館から少女たちを見上漾子の元に送り込んでいる。現実と夢の行き来をするうちに、夢使い同様のイメージの具現化ができるようになっている。

阿部 瑠瑠 (あべ るる)

褐色肌の少女。実はガラクタ(卑金属)の塊で、心臓の部分にある黒い石が本体。一日の終りには身体が冷たくなって止まってしまい、朝に銀樹が鼻から息を吹き込むことで、動き始める。彼女の黒い石の中には、完全な人体を形成した人間が住んでいる。

阿部 銀樹 (あべ ぎんじゅ)

瑠瑠と一緒に住んでいる少年。父親が作り上げた模造人間の瑠瑠に息を吹き込むことで生命を宿らせ、彼女を起動している。瑠瑠に恋慕しており、スピカたちに瑠瑠を渡すよう言われた時に激しく拒絶した。父には、瑠瑠との恋愛的行為を一切禁止されている。瑠瑠を人間にするため、甕島(みかじま)へ行くことになる。

スピカ

大量生産された、まったく同じ形をした褐色の模造人間の少女。身体はガラクタで出来ており、心臓の部分に石を宿している。石の中にいる人間は、完全な形を形成することができない。阿部瑠瑠を奪還するために、連携をとって攻撃に出る。クリスタルをあやつる魔術を使うことができる。

二ノ宮 智 (にのみや さとし)

「影の女」に抱きしめられる不思議な経験を一ヶ月続けていたため、夢使いに相談しにきた少年。幼なじみの晃が影に飲み込まれつつあり、自分は影の晃と現実の晃のどちらを気にかけているのか困惑していた。

場所

童遊斎おもちゃ店 (わらべゆうさいおもちゃてん)

「童遊斎」こと三島塔子が営むおもちゃ屋で、レトロな町並みの微睡町にある。所狭しと古今東西のおもちゃがびっしり並べられており、店には同作者の『ディスコミュニケーション』同様にニワトリが住んでいる。店の奥には箱庭のための特別室があり、依頼人に箱庭を作らせることで深層心理を読み解いている。

その他キーワード

遊部 (あそびべ)

『夢使い』の用語。古代における「遊び」の語が、歌や舞踊で神霊と一体化することから、夢使いの「遊び」は「戦う」ことを指しており、度々作中で戦闘時に「遊ぶ」の語が用いられる。三島家は、古代大和朝廷に使えた「遊部」という、死者の荒ぶる霊を歌や舞(遊び)によって鎮める集団の子孫で、転じて現在の夢使いたちの総称にもなっている。

箒神 (ほうきがみ)

『夢使い』に登場する武器および神様。夢使いたちが持っており、頭の部分には箒状の房や角、しめ縄があり、箱が設置されている。箱のなかにイメージの具現化の媒体になるものを入れると、夢使いは具現化された自らの武器を呼び出すことができる。三島燐子は、フリスビーを発射するロボットを入れることで、自らの身体を変形させ超電磁フリスビーで相手に強力な攻撃を繰り出した。 また「グー・チョキ・パー」という三つの機能が搭載されている。グーは強力なパンチを繰り出す「飛行鉄拳」、チョキは、三次元の物理法則を超越して物体を切り取ることが可能な「四次元鋏」、パーは「光粒子包装紙」が召喚できる。元ネタは伊勢神宮に祀られている「ハハキ神」(矢乃波波岐神)。 今作の箒神自体も神様である、という設定である。夢使いが機能を発動する際「現実は夢、夜の夢こそ真実」という江戸川乱歩の言葉がキーワードとして用いられる。

ドリームサイクロン

『夢使い』に登場する必殺技。夢使いが複数人で巨大な銃のイメージを作り出し、トリガー、雷管、弾丸の役割を担うことで、相手の具現化したイメージに打ち込む、人間射出銃。夢が繋がり合って肥大化し、非現実が現実に書き換わろうとした時などの緊急時に、全てを破壊するために使用する。

アニメ

夢使い

古代の呪術師「遊部(あそびべ)」が使用していた「箒神」と呼ばれる呪具。それにおもちゃを納めると、そのおもちゃと一体になり、それぞれの用途毎の技を繰り出すことができるという。この不思議な呪術を司るのが「... 関連ページ:夢使い

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