あらすじ
第1巻
見滝原の街では、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子ら三人の魔法少女達が、魔獣と呼ばれる怪物達との戦いを繰り広げていた。手強い魔獣が現れ、苦戦を続ける日々の中、さやかは友人の志筑仁美とのあいだで幼なじみの「上条恭介」という男子を巡っての恋のトラブルで、戦いに集中する事ができなくなっていた。そんな中、さやかは次第に戦いの中に溺れ、ソウルジェムを濁らせていく。そしてある日、最期の一撃にすべてを込めたさやかは、「円環の理」に導かれて消滅してしまうのであった。そしてそこに、入れ替わるようにしてもう一人の魔法少女である暁美ほむらが現れる。この「改変後の世界」が生まれる前の記憶を留める、ただ一人の存在であるほむらは、魔獣との戦いに参加しながらも、どこか冷めた目でこの世界を眺めていた。しかしその油断が祟り、ある時魔獣に襲われて倒れ、意識を失ってしまう。
第2巻
間一髪で巴マミに救助された暁美ほむらは、魔獣に魔力を奪われ、魔法少女に変身する事はできるものの、武器であるはずの魔法の弓を召喚できなくなってしまう。力を失った自分に焦りを感じるほむらであるが、差し当たっては魔獣も姿を見せなくなり、どうする事もできなかった。一方、マミの前には両親の姿をとった魔獣が、佐倉杏子の前には美樹さやかの姿をとった魔獣サヤカが現れる。はじめのうちはさやかのふりを演じていた魔獣サヤカだが、まもなく魔獣としての本性を現す。一方、ほむらの前には杏子の姿を取る魔獣キョウコが現れるが、偽物の両親の魔獣を倒したマミがほむらに加勢する。戦いが痛み分けに終わったあと、さらに新たなる存在である魔獣マドカが現れ、ほむらにコンタクトを取って来る。魔獣マドカは自分が鹿目まどかではなく、魔獣のうちの一体である事を隠しもせずに語り、たどたどしい言葉でほむらに、ほむらの魔力を吸収した事で変異してしまった魔獣達を倒してほしいと依頼する。ほむらはマミと杏子に内緒で魔獣マドカと行動を共にし続けるが、ほむらと偶然街ですれ違ったマミは、ほむらの姿が怪物そのものの姿をした魔獣マドカに取り憑かれているようにしか見えない事に気づく。しかし手出しができず、ほむらは魔獣マドカと共にどこかへ消えてしまう。
第3巻
魔獣マドカに魔力を吸い尽くされた暁美ほむらは、心を殺されて廃人同然の状態になってしまった。一方、巴マミと佐倉杏子の前には大勢の普通の魔獣が現れたが、何故か攻撃して来ない。魔獣達が進む先に行くと、多くの人が命を奪われ、冷たくなっている姿を目撃する。そして、これは魔獣の仕業ではないとマミは悟る。そこに魔獣サヤカ、魔獣キョウコ、そして新手の魔獣マミが現れる。彼らは敵意を持って魔法少女達に襲いかかって来る。杏子は魔獣サヤカを撃破し、マミはその場に現れた魔獣マドカの協力を得て、魔獣キョウコと魔獣マミを倒した。しかし、その場に新たに現れたのは、魔獣であって魔獣でない存在、すなわち大物魔獣を憑代として顕現した糸車の魔女であった。その発生のそもそもの元凶は、ほむらのかつての能力のキーアイテムであった「盾」。盾には内部の世界があり、その中に、世界が改変される前に存在していた魔女の痕跡が残っていたのだ。ほむらはこれまで自らの能力を使ってそれに関する記憶を自らの内から消し去り、盾を自身の身に封じ込めていた。だが、魔獣がそれを魔力と共に吸収してしまったために、その魔女の力が解放されてしまったのである。そして魔獣達は糸車の魔女の力によって次々に吸収され、世界をも滅ぼしうる災厄へと変貌しようとしていた。ほむらはすべてを思い出し、糸車の魔女との対決を決意する。
登場人物・キャラクター
暁美 ほむら (あけみ ほむら)
見滝原中に通う魔法少女。弓を武器としている。「改変後の世界」において、かつての「魔女のいる世界」、並びに鹿目まどかについての記憶を保持しているただ1人の存在。ある日、魔獣に魔力の大部分を奪われてしまい、弓を使えなくなった。それを境に、見滝原には魔法少女たちの姿と記憶を持った特異な魔獣が出没するようになった。
巴 マミ (ともえ まみ)
見滝原中に通う魔法少女。銃を武器としている。見滝原の魔法少女たちのリーダーを務めている。だいたいいつも年上ぶった態度を取っているが、実は精神的には脆いところがある。故人である自分の両親の姿を取った魔獣が現れた時、一時魔法少女としての自分を見失いかけたが、自力で立ち直って、その魔獣をその手で撃破する。必殺技は、巨大な銃を召喚して敵を吹き飛ばす「ティロ・フィナーレ」。
美樹 さやか (みき さやか)
見滝原中に通う魔法少女。剣を武器としている。上条恭介という同じ学校の男子生徒との関係を巡り、友人の志筑仁美との間に恋愛トラブルがあって悩んでいた。そこへ大物の魔獣との戦いに巻き込まれ、円環の理に導かれて消滅してしまう。
佐倉 杏子 (さくら きょうこ)
別の街から見滝原にやって来た魔法少女。槍を武器としている。たまに潜入する必要に迫られることがあるため、見滝原中の制服を所有しているが、学校には通っていない。美樹さやかとは喧嘩ばかりしていたが、友情を芽生えさせつつある、という関係にあった。
志筑 仁美 (しづき ひとみ)
見滝原中に通う普通の人間の女子。美樹さやかの友人であるが、上条恭介という同じ学校の男子生徒を巡り、さやかとは恋のライバルの関係にある。さやかが消滅して、世間的には行方不明となった後、その消息について気を揉んでいる。
キュゥべえ
小動物のような姿をしたマスコットキャラクター的存在。見た目には愛くるしく、高い知性を持つが、感情は持っていない。人間の少女の願いを叶え、その代償として契約を交わし、魔法少女に変える力を持つ。魔獣との戦闘に直接参加はしないが、情報面のサポートなど、多少は役に立つ場面もある。暁美ほむらが語る、世界の改変並びに「鹿目まどか」という概念について興味を示す。
魔獣マドカ (まじゅうまどか)
魔獣の中でただ1体、人間および魔法少女に対して戦意を示さない、極めて特異な個体。暁美ほむらの目にだけは、人間の少女であった頃の鹿目まどかの姿に見えている。他の魔法少女たちからは異形の姿に見えており、人間に擬態することはできない。また、まどかの記憶も持っていない。
魔獣サヤカ (まじゅうさやか)
美樹さやかの姿と記憶を持った特異な魔獣。本物のさやかそっくりの姿を取ることもできるが、戦闘態勢を取る時は、それをベースとした異形の姿に変貌する。本物と同じく剣を使うほか、時間操作の能力を持っている。人語を解するが、人間に対しては敵意を持っている。最後は佐倉杏子によって滅ぼされる。
魔獣キョウコ (まじゅうきょうこ)
佐倉杏子の姿と記憶を持った特異な魔獣。本物と同じく槍を使う他、時間操作の能力を持っている。人語を解するが、人間に対しては敵意を持っている。魔獣マドカの力を借りて一時的に時間操作能力を得た巴マミによって滅ぼされる。
魔獣マミ (まじゅうまみ)
巴マミの姿と記憶を持った特異な魔獣。本物と同じく銃を使い、マミの必殺技である「ティロ・フィナーレ」までコピーできる。さらに時間操作の能力も持っている。人語を解するが、人間に対しては敵意を持っている。魔獣マドカの力を借りて一時的に時間操作能力を得た本物のマミによって滅ぼされる。
糸車の魔女
魔女が存在しないはずの「改変後の世界」の世界に突如として現れた謎の魔女。魔獣たちからも敵であるとみなされている。熱量の因果を司る力を持ち、巨大な触手を伸ばして、触れた人間を冷たい亡骸に変えてしまう。また、変異魔獣(モデル・ホムラ)という、黒い矢を放つ下僕を生み出すことができる。
鹿目 まどか (かなめ まどか)
かつて「魔女のいる世界」で魔法少女となり、その願いによって「改変後の世界」を生み出した存在。現在は既に人間でも魔法少女でもなく、「円環の理」そのもの。同時に「魔法少女を円環の理に導く神」となっているが、その存在について、暁美ほむら以外の人間たちは認識することすらできない。
場所
改変後の世界 (かいへんごのせかい)
魔獣が存在する世界。かつて、「魔女のいる世界」で魔法少女となった鹿目まどかが、その契約の願いによって世界の法則を改変し、この世界を生み出した。世界が改変されたという事実を、この世界において認識することのできる存在は、暁美ほむらただ1人である。
見滝原 (みたきはら)
見滝原中という中学校がある町。人口も多く、高層ビルなどが立ち並んでいる。見滝原中には、暁美ほむら、美樹さやか、巴マミらが通っている。
その他キーワード
魔法少女 (まほうしょうじょ)
何らかの願いと引き換えにキュゥべえと契約し、特殊な力や戦闘能力を手にした少女たち。魔獣と戦うことを宿命づけられている。全員がソウルジェムと呼ばれる石を持っている。「円環の理」と呼ばれる法則に従い、ソウルジェムが濁り切った時、消滅する運命を持つ。
ソウルジェム
魔法少女たちが1人につき1個ずつ所持している、宝石のようなもの。魔法少女たちの力の源であり、力を使えば使うほど濁っていく。濁ったソウルジェムはグリーフキューブを用いることによって浄化し、濁りを取り除くことができる。
魔獣 (まじゅう)
魔法少女と敵対する存在。多くのタイプと形状のものが存在し、その戦闘能力もさまざま。基本的に人間の命を奪うことはないが、その感情のエネルギーを吸収し、廃人に変えてしまう。魔獣マドカが語ったところによれば、人間の感情のエネルギーは、彼らにとって何らかの理由で「危険」であるため、グリーフキューブという安全な形態に変換しているのだという。
グリーフキューブ
小さなキューブ状の物体。魔法少女が魔獣を倒すと手に入れることができる。これを使用することによって、ソウルジェムの濁りを取り除くことができる。魔獣マドカが語ったところによれば、人間の感情エネルギーを「安全な形」に変換したものである。
記憶操作 (きおくそうさ)
「改変後の世界」で暁美ほむらが有している魔法少女としての能力。人間の記憶内容を改竄することができる。「魔女のいる世界」では「時間操作」の能力を持っていたほむらが、改変後の世界では何故「記憶操作」の使い手になっているのかは、本人にも分からない。
盾 (たて)
暁美ほむらがかつて使っていた「時間操作」の能力に関わる道具。「魔女のいる世界」の遺物の1つ。盾の形をしているが防具ではなく、時間操作能力を発動させるためのトリガーである。「改変後の世界」に糸車の魔女が出現する元凶となった。