概要・あらすじ
ある経緯で家族を失い、キュゥべえとの契約により魔法少女となった美国織莉子。彼女は自らの持つ予知の魔法に翻弄されつつ、数週間後に訪れるというワルプルギスの夜への対策に苦心していた。ある時、織莉子は気晴らしに出かけた公園で千歳ゆまと名乗る少女と出会う。母親である千歳眞子に家を追い出されたというゆまにお茶を振る舞い、穏やかな時を過ごす2人。
しかし別れ際に織莉子は、ゆまが母親の虐待によって命を落とすという悲痛な未来を予知してしまう。
登場人物・キャラクター
美国 織莉子 (みくに おりこ)
キュゥべえと契約し魔法少女となった中学生。政治家の娘で、普段は温和な性格ながらも、時折冷徹さを見せることがある。固有魔法は予知で、未来に起こり得る事態が突如脳裏に浮かぶことがある。しかし予知は自在にコントロールできるものではないうえに、発動することによって魔力を消耗してしまう。そのため自ら戦いを行うことは滅多になく、仲間である呉キリカに任せることが多いが、実際の戦闘能力はキリカや優木沙々にも劣らない。
呉 キリカ (くれ きりか)
キュゥべえと契約し魔法少女となった中学生で、美国織莉子の友人。ドライな性格で妙に達観したところがあるが、これは過去の自分を「子供じみている」と認識し嫌っているが故のことである。ただし織莉子に対しては、甘えたり思いの丈をぶつけることもよくあり、大人らしく振舞えているとは言い難い。それだけ織莉子を大切に思っているということでもあり、彼女を脅かすものは誰であろうと容赦をしない。
千歳 ゆま (ちとせ ゆま)
ある公園で美国織莉子と出会った少女。母親である千歳眞子から酷い虐待を受けており、強い絶望感に苛まれている。虐待を受けるのは、自分がいい子になれないからと思い込んでおり、それを織莉子に告げる。彼女からは逆に、自分は親に一度たりとも殴られたことはないが、自分をいい子だと思ったことは一度もないと返される。織莉子との交流で久々に心癒されるも、去り際に織莉子は、千歳ゆまが虐待によって命を奪われる未来を垣間見てしまう。
キュゥべえ
白いぬいぐるみのような外見を持つ謎の存在。第2次性徴期の少女と契約を交わすことで、魔法少女に変身する能力を授けることができる。その後も魔法少女の前に現れては度々助言をする。美国織莉子には敵視されており、千歳ゆまに対する魔法少女への勧誘を妨害されている。なお、織莉子には「インキュベーター」、呉キリカには「しろまる」と呼ばれている。
間宮 えりか (まみや えりか)
かつて見滝原市で暮らしていた少女。母親が再婚し、新しい父親の実家に向かうため、久しぶりに見滝原に帰ってきた。その際に、かつて親友だった呉キリカと出会う。キリカには、過ちからある裏切り行為を働いてしまっていたため、声をかけたところで突き飛ばされてしまう。その後、魔女に魅入られて魔女結界に誘い込まれてしまうが、駆け付けたキリカによって救出される。
千歳 眞子 (ちとせ まきこ)
千歳ゆまの母親。夫とのいざこざによってストレスを溜めており、そのはけ口として娘に虐待を加える卑劣な女性。また、孫を心配する義父に対しては、電話口でいかにもいいお母さんであるという風に振る舞うなど、狡猾な面も見られる。虐待は日に日にエスカレートしており、ついにはゆまを命の危機に晒すこととなる。
優木 沙々 (ゆうき ささ)
美国織莉子のクラスメイト。明るい性格の少女で、学校で孤立してしまった織莉子の唯一の味方であるように振る舞っている。しかしその正体は洗脳の固有魔法を使う魔法少女。内心は腹黒さで満ち溢れており、織莉子に近づいたのも、洗脳して手駒に加えるためだった。他者を操る力は強力だが魔法少女としての戦闘能力は低く、支配下に置いた魔女を差し向けることでそのハンデを補っている。
浅古 小巻 (あさこ こまき)
美国織莉子のクラスメイトの少女。織莉子にライバル意識を抱いており、よく突っかかっている。意識を自分に向けさせるため、父親の話題を持ち出すことすらあるが、織莉子が魔法少女であることは知らない。そのため、予知によって浅古小巻しか知らないはずの出来事を伝えられて撃退させられるのがパターンとなっており、優木沙々からも見下されている。
場所
見滝原市 (みたきはらし)
近代化が進んだ地方都市。美国織莉子や呉キリカらが住んでいる。一見すると何の変哲もない平和な街だが、織莉子の予知によると、近い未来にワルプルギスの夜と呼ばれる強力な魔女が現れるとされており、織莉子はそれに対抗するための戦力を集めている。
その他キーワード
魔法少女 (まほうしょうじょ)
魔法を使い、魔女を狩る使命を課せられた少女たち。魔女に対抗する力を持つ唯一の存在である。キュゥべえと契約することによって変身が可能となる。契約する際に、ひとつだけ願いを叶えてもらうことができ、この願いは使用できる固有魔法に大きく関わることになる。
魔女 (まじょ)
世界を脅かし、人間の害となる謎の存在。生物とすら呼べないような不可思議な姿形をしているものが多い。普段は結界の中に潜んでおり、ターゲットに選定した人間を結界の中に引きずり込み、命を奪い去る。また、ワルプルギスの夜のように、現実世界に顕現して天変地異を引き起こすような魔女も稀に存在する。
ワルプルギスの夜 (わるぷるぎすのよる)
美国織莉子が予知の魔法によって垣間見た、見滝原市に訪れるという謎の災厄。魔女であること以外、その正体は一切不明だが、街をひとつ滅ぼすだけの力を持つなど、その規模や力量は従来の魔女を大きく上回っている。織莉子はこの災厄に立ち向かう術を求めているが、有効な手段は未だ見つかっていない様子。
グリーフシード
魔女が撃破される際に落すことのある謎の物体。黒一色で円形のアクセサリーのような形状をしている。消費した魔力を回復させる唯一のアイテムのため、グリーフシードの回収が魔法少女が魔女を倒す目的のひとつとなっている。魔法少女の生命維持に必要不可欠であるほか、多く所持しているほど魔法少女としての優位性が高まるため、これを巡って魔法少女同士の争いが発生することもある。
予知 (よち)
美国織莉子が所有する固有魔法。夢や幻覚という形で、近い未来に起こり得る事象が瞳に映る。予知された事柄は避けられない未来というわけではなく、織莉子の行動次第で防ぐことが可能である。ただし自らが望むものを予知することはできず、さらに自らの意思とは関係なく発動してしまうという欠点がある。また、発動時には魔力を大きく消費してしまうため、織莉子は率先して戦いに向かえない状態になっている。
オラクルレイ
美国織莉子が使用する必殺攻撃。優木沙々との戦いにおいて使用された。手持ちの水晶玉を分裂させ、敵にめがけて光線を発射する。水晶玉は自在に動かせるため、あらゆる方向から同時に攻撃することができる。非常に強力だが、その分魔力の消耗も相当なものとなる。織莉子はこの技を使うために、沙々の使役する魔女からグリーフシードを奪い取り、魔力を回復させている。
速度低下 (そくどていか)
呉キリカが所有する固有魔法。相手の速度を低下させる力場を発生させる魔法で、受けた相手はキリカの速度が上昇したように錯覚するため、自分の動きが鈍ったことには気づかない。キリカは格闘戦に秀でており、この魔法によって戦いのアドバンテージを得ている。
ヴァンパイアファング
呉キリカが使用する必殺攻撃。間宮えりかを襲撃していた魔女に対して使用された。後ろ向きに身体を捻って遠心力を生み出し、武器となる鉤爪を打ち込む大技。かなりの硬度を持つ魔女すら破砕する威力を持つ。
洗脳 (せんのう)
優木沙々が所有する固有魔法。ありとあらゆる存在を自らに従わせるという魔法で、魔法少女や魔女すらも支配下に置くことができる。また、沙々に関する記憶を書き換えることも可能で、沙々は正体を隠して美国織莉子と接触し、彼女をこの魔法で意のままに操ろうとした。
クレジット
- 原案
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Magica Quartet