鳥葬のバベル

鳥葬のバベル

『ガンニバル』で知られる作者の二宮正明(当時は二宮志郎名義)の初連載作品。舞台は現代の日本。悲惨な過去を持ちながら、今を懸命に生きる青年、加瀬宗助が主人公。恩師が巨鳥、サンダーバードに喰い殺されたことをきっかけに、宗助は深い因縁に満ちた事件に巻き込まれる。巨鳥に喰われた後、甦(よみが)えってくる人間の謎を描いたダークファンタジー。講談社「モーニング」2016年43号から2017年27号まで連載。

正式名称
鳥葬のバベル
作者
ジャンル
ダークファンタジー
 
バトル
レーベル
モーニング KC(講談社) / モーニングKC(講談社)
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謎の巨鳥の出現と遺体の落下事件

宗助は、20年前に両親を目の前で惨殺された、悲惨な過去を持つ。そんな宗助を支え続けてくれたのが、当時、施設のカウンセラーを務めていた駿河光だった。ある日、光の家を訪ねた宗助は、光を喰らう異様な巨鳥と、その横に座り込む6歳の娘、駿河マリを発見する。そして、怒りに任せて突進する宗助を一蹴すると、怪鳥はどこかへ飛び去った。その後、宗助は一人ぼっちになったマリと一緒に暮らすことにした。光の死後、人体の一部が空から落ちてくる奇怪な事件が連続し、世間は騒然としていた。事件を追っていた黒田刑事は、12件目の遺体落下現場で信じられないものを目撃する。それは、宗助と暮らしているはずの、マリの頭部であった。

鳥葬を経て生まれ変わる者たち

本作に登場する「サンダーバード」と呼ばれる鳥は、翼幅8メートルを超す、異様な容姿の巨鳥である。巨鳥は次々と人を喰らい続けており、喰われた人間は、気がつくと全裸で真っ暗な泉に立っている。そして宙に浮く仮面を触った後に甦るのだが、記憶や感情を受け継いでいるだけで、元の人間とは別人である。これら一連の流れを「鳥葬」といい、鳥葬を経た人間は、どこかしら理性を欠いていて、特殊能力を得る。特殊能力は、千里眼のような超能力的なものや、怪物に変身するものなど様々で、人だった時の強い欲求に依存するらしい。なお、巨鳥の正体や目的は不明である。

意外な事実が判明していくファンタジーミステリー

ある時から、宗助は特殊能力を持った人間に命を狙われ始める。彼らは鳥葬を経た人間で、その背後には姿を消していた光の存在があった。巨鳥に喰われた光は、この世に甦っており、特殊能力を持つ人間を集めてひとつのグループを築いていた。光が宗助の命を狙うのには理由があり、20年前、宗助の両親が惨殺された事件が関連している。当時18歳だった犯人は、ある警察組織の人間の友人であり、「巨鳥に喰われた者たちは、必ず甦ってくる」と言っていたという。本作には、ホラーやファンタジーに加え、ミステリー要素が盛り込まれており、ストーリーが展開するにつれ、次々と意外な事実が判明していく点が大きな魅力である。

登場人物・キャラクター

加瀬 宗助 (かせ そうすけ)

友人のリサイクルショップで働く26歳の男性。6歳の時に目の前で両親を惨殺され、それ以来、施設のカウンセラーだった光に支えられて育つ。そのため、光のことを恩師と慕い、光が養子に迎えたマリのことも大切に思っている。謎の巨鳥に光が喰われ、一人ぼっちになったマリを守ろうとする。

駿河 マリ (するが まり)

天涯孤独だったが、光に引き取られ、養女になった6歳の少女。巨鳥に喰われて甦り、怪力になる。光が姿を消した後、宗助と一緒に暮らしていた。しかしある時、マリの変化に気づいた宗助が、思わずマリを拒否してしまったため、一時は離れ離れになっていた。

駿河 光 (するが ひかる)

61歳の男性。2年前まで都内の児童養護施設に勤務しており、退職後も個人でカウンセリング室を開いている。20年前、両親を亡くした宗助の父親が代わりになり、支え続ける。また、身寄りのないマリを引き取り、娘として育てていた。巨鳥に喰われて甦った者の一人だが、巨鳥については、20年前から知っている。

書誌情報

鳥葬のバベル 全4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2017-01-23発行、978-4063886863)

第4巻

(2017-10-23発行、978-4065104484)

鳥葬のバベル 3巻 講談社〈モーニングKC〉

第2巻

(2017-04-01発行、978-4063887174)

第3巻

(2017-07-01発行、978-4065101377)

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