インノサン少年十字軍

イスラム教諸国から聖地エルサレムを奪還すべく、キリスト教十字軍による遠征が活発に行われていた13世紀のヨーロッパで実際にあった、「少年十字軍」という民間人の遠征隊を題材にした作品。実際の少年十字軍が辿ったとされる悲惨な運命を、創作を織り交ぜつつ描く。「マンガ・エロティクス・エフ」48号から72号にかけて連載された作品。

正式名称
インノサン少年十字軍
作者
ジャンル
ダークファンタジー
レーベル
F×comics(太田出版)
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概要・あらすじ

北フランスのある田舎町に住む信心深い羊飼いの少年エティエンヌは、不思議な喇叭(ラッパ)の音に導かれた森の中で、一通の手紙と血の色をした喇叭を手にし、イエス・キリストから聖地へ赴くようお告げを受ける。その後、町を襲った盗賊を雷で撃退するという奇跡を起こしたエティエンヌは、親友のニコラを隊長とする少年十字軍を結成し、聖地エルサレムを目指して旅を始めることになる。

登場人物・キャラクター

エティエンヌ

田舎町に住む12歳の羊飼いの少年。信心深く、雲や風と会話ができ、彼の天気予報はよく当たると町でも評判だった。ある日、森で一通の手紙と赤い喇叭(ラッパ)を手にしたところ、イエス・キリストから聖地へ赴くようお告げを受ける。その後、町を襲った盗賊を雷で撃退するという奇跡を起こしたことから救世主として担ぎ上げられ、親友のニコラを隊長とする少年十字軍を結成し、聖地エルサレムを目指す旅を始めることとなった。 旅行く先々で喇叭を吹くことで、さまざまな奇跡を起こしていく。

ニコラ

エティエンヌの親友で、12歳の少年。父親が十字軍に参加して死んだため、異教徒を激しく憎んでいる。また騎士に憧れており、十字軍で活躍してテンプル騎士団に入団することが夢。その想いの強さを示すために額にナイフで十字の傷を作った。養豚場を営む叔父に育てられていたが、少年十字軍を結成して隊長になり、エティエンヌと共にエルサレムを目指して町を旅立った。 テンプル騎士団に所属するユーゴと出会ってからは彼の影響を受け、次第に過激な言動を繰り返し、騎士道に背く行いをした者には厳しい罰を与えるようになっていく。

ギー

エティエンヌたちの住む田舎町を襲った盗賊の一員で、14歳の少年。右目に眼帯をつけている。エティエンヌが盗賊を撃退した際に一人だけ捕えられ、さらし者としてのたれ死にさせられそうになっていたが、エティエンヌに仲間に誘われ、解放された。聖地に対して興味はないが、仲間のためなら命をかける義理人情に厚い性格で、エティエンヌを慕っている。 剣の扱いも少年十字軍の中では秀でている。「ジャン」という名前の馬が相棒。

クリスチャン

エティエンヌと同じ町に住む商人の息子で、少年十字軍の一人。容姿や口調に妖艶な女性らしさがある14歳の美少年。知識が豊富で、文字の読み書きをしたり地図を読むことができる。知識欲が旺盛で、彼がエルサレムを目指すのは信仰心からの巡礼ではなく、とある秘術中の秘術を探すためである。「知恵の実は原罪」と考えるミカエルとはあまり仲が良くない。

アンリ

エティエンヌと同じ町に住む10歳の少年。泣き虫で、友人のニコラにからかわれていた。ニコラがエティエンヌについてエルサレムに行くと名乗りを上げた時、2番目に名乗りを上げた。剣技に優れたギーに憧れ、人知れず剣の練習をしているが、森で盗賊に襲われた時は恐怖で木の陰に隠れて震えていた。そのことでニコラからの信頼を失い、ユーゴからもらった剣を奪われてしまう。

ルーク

エティエンヌと同じ町に住む14歳の少年。明るく快活な性格で、少年十字軍の中ではマルクと並んでムードメーカーとなっている。また、クリスチャンに少年十字軍の第一参謀として任命された。ニコラ、アンリと共にユーゴからテンプル騎士団の印章がついた剣をもらい、森で盗賊に襲われた時も勇敢に立ち向かっていった。

マルク

エティエンヌと同じ町に住む13歳の少年。老人を模した「レオナルド」という名前の人形を常に腕に嵌めていて、腹話術で周りを和ませるのが得意。少年十字軍として旅立つことが決まった時は、内心でルークと共に仕事から解放されると喜んでいたが、過酷さが増す旅路の中で明るさを失い、家に帰りたいと思うようになる。

ロラン

エティエンヌと同じ町に住む11歳の少年。リリアンの双子の兄。当時は双子が生まれるのは母親が2人の男性と関係を持ったためだとされていたため、町では「淫売の子」と呼ばれていた。これにより母親は自殺。キリスト教では自殺した人間は地獄に落ちるとされていたたため、エルサレムに行って母親の自殺の罪を神に許してもらおうと考え少年十字軍に参加する。 弟想いの性格で、ギヨームたちと付き合いだしたリリアンを心配している。リリアンとは離れていてもテレパシーで会話できるという特殊な能力があるが、リリアンの心が離れていくに従い、その能力を失っていく。

リリアン

エティエンヌと同じ町に住む11歳の少年。ロランの双子の弟。自殺した母親の罪を神に許してもらうためにエルサレムを目指すが、他のメンバーとなかなか馴染めず、また兄と比べられることに劣等感を抱いていたことから、ギヨームたちと付き合いだすようになる。これによりだんだん兄のロランとは心が離れていき、2人の間にあった距離を問わず会話できるという特殊な能力、テレパシーも失ってしまう。 ロランとは違い、首にあざがある。

レミー

エティエンヌと同じ町に住む12歳の少年。ハンセン病を患っている。当時はハンセン病は伝染する病気だと信じられていたため、町の人々から虐げられており、少年十字軍に参加しようとした時も、ニコラに一時は断られた。しかしエティエンヌは毎日レミーに会いに行き、自身もレミーの家族も感染していないことからハンセン病が伝染しない病気だということを見抜き、少年十字軍への参加を許した。 ハンセン病に感染する前は町一番のかわいい男の子として評判だった。病気の治癒を願うためにエルサレムを目指す。

ギヨーム

エティエンヌと同じ町の荘園主の息子で12歳。貧乏人であるニコラを嘲っている。エティエンヌが救世主の再来だと町で大騒ぎになっている時に、父親からルークやニコラに手柄を取られてはならないと命令され、乗り気ではないものの少年十字軍に参加する。またその際、ニコラからの反発を予想し、少年十字軍の軍服と軍旗を仕立ててきた。 旅の道中、子供ながら売春宿に出入りしたり、エティエンヌの喇叭(ラッパ)を奪うなどしたため、激高したニコラに小指を切り落とされ、それ以降ニコラのことを恨むようになる。

ピエール

エティエンヌと同じ町に住む金持ちの息子で11歳。ギヨームと常に行動を共にしている。しかしギヨームと共に売春宿を出入りするなどしていたため、ニコラに鞭打ち百発という罰を受けてしまう。

ミカエル

シトー修道会に所属する、女の子のような見た目の修練士。少年十字軍が最初に赴いた教会で、院長が旅の途中で過ちを犯した時に告解する相手として同行させた。頭の弱いところがあるものの、美しい歌声の持ち主で、夜空に毎日歌っている。エティエンヌを神の子と崇め、抱き着くこともある。知識を追い求めるクリスチャンを警戒している。

ユーゴ

テンプル騎士団に所属する騎士。少年十字軍と初めて会った時は、十字軍を名乗るエティエンヌたちを生意気で不遜な子供だと決めつけ、奇跡を起こせなければ全員を斬ると脅した。しかしエティエンヌが喇叭(ラッパ)を吹き、盲目の老婆の目を治療することに成功すると、自らの非を認め、少年十字軍をテンプル騎士団直属の騎士団とした。 以後は少年十字軍の行く町での宿泊を手配したり、財産の管理を引き受けたりと協力する。また、騎士に憧れるニコラを弟と呼び、自分を慕うように仕向けた。

イザベル

エティエンヌたちが旅の道中で出会った、とある町で娼婦をしていた少女。ルークの見立てでは、14歳か15歳。愛想がなく、口が利けないことで、店主らしい女性にぶたれていた。エティエンヌと出会った時に何かを感じ取ったのか、店の高価な香油を持ち出し、エティエンヌの靴を涙を流しながら磨いた。その後、店を抜け出してエティエンヌの後を追いかけ、森の中の小さな村で再会することになる。

コレット

森の中の小さな村に住む、明るく元気な大人の女性。飢えに苦しんでいた少年十字軍を温かく迎える。実はキリスト教では異端にあたるワルド派の女性説教師で、教会の教えに疑問を抱き、アルビジョワ十字軍を率いるゴッドフロワーと対立する。この村にずっといたいと甘えるニコラを、信念を貫くよう叱咤した。

ゴッドフロワー

当時の南フランスにはびこっていたアルビ派と呼ばれるキリスト教の異端を討伐するための十字軍、アルビジョワ十字軍を率いる信心深い説教師。異端であるワルド派のコレットも、アルビ派と同様と見なして対立している。異端を憎いと考えるニコラを肯定する一方で、考え方が違うからといって人を殺していいわけがないと言うエティエンヌに対しては眉をひそめて忠告をした。

集団・組織

少年十字軍

エティエンヌを中心に集まった、エルサレムを目指すための集団。結成後、シトー修道会公認となり、またテンプル騎士団直属の騎士団となる。8歳から14歳の男子のみで構成されている。エティエンヌを除く、最初に町を出た時の12人を12使徒と呼び、訪れた町々で十字軍に参加した者たちを「子羊」と呼んで区別している。

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