最年少プロ野球選手の誕生
天才投手と評判の高い鳳啓助は、名門プロ野球チーム「テイオーフェニックス」の不動の四番打者である鳳欽助を父親に持つ、球界のサラブレッド。リトル、シニアリーグの世界大会でMVPを獲得するほどの才能の持ち主で、強豪校からスカウトされることが確実視されていた。しかし啓助自身は教育熱心な母親・百合子の意向で、現在通っている一誠学園の高等部へ進学する予定だった。そんな中、フェニックスのオーナーである宮村範夫は、中学生ながら将来性を重視して啓助をドラフト1位で指名する。啓助と欽助はフェニックスで共に野球ができることを無邪気に喜び、当初は啓助のプロ入りに難色を示していた百合子も、高校に進学することを条件に啓助のプロ入りに同意する。こうして、啓助は最年少プロ野球選手として、テイオーフェニックスに入団を果たす。
熱血漢な天才投手と天才打者
啓助と欽助は、天才的な野球センスを誇る一方で、つねに暴走気味に突っ走る熱血親子としても知られている。二人は親子でありながら、ライバル同士のようなやり取りやケンカを頻繁に繰り返し、母親の百合子や啓助の妹・さやかを呆れさせている。ただし、百合子やさやかも二人の才能と情熱は認めており、素直になれないながらも彼らのトレーニングのサポートや応援を惜しまない。家族仲は極めて良好で、鳳家のほほ笑ましいやり取りや二人のプロ野球選手を温かく見守る家族愛も、本作の魅力の一つとなっている。
試練を乗り越え一軍を目指す
弱冠14歳にしてプロ野球チーム「テイオーフェニックス」に入団した啓助の評価は、シニアリーグ時代に大活躍したことを差し引いても賛否両論で、フェニックスの不動のストッパーである稲垣仁からは、子供にすぎないと一刀両断にされる。そして負けたら二軍行きを賭けた投手戦が繰り広げられ、啓助が知らないうちに会得していた「暴れんボール」でピンチを切り抜けるが、仁は158キロの豪速球で圧倒。開幕一軍を目指して二軍で調整している啓助は、高卒2年目のキャッチャー浜田勝利とバッテリーを組むことになる。勝利は小柄な体型が災いして伸び悩んでいたが、啓助とバッテリーを組むことで自らの弱点を克服するヒントを得る。このように啓助の粗削りながらもがむしゃらな姿にチームメートも感化され、より白熱した一軍争いはヒートアップしていく。
登場人物・キャラクター
鳳 啓助 (おおとり けいすけ)
一誠学園中学に通う3年生の男子。弱冠14歳ながらドラフトで1位指名され、プロ野球チーム「テイオーフェニックス」に投手として入団した。背番号34。三冠王を8回獲得した天才バッター・鳳欽助の息子で、幼少期から野球を始め、リトルリーグやシニアリーグの世界大会でMVPを獲得するなど、目覚ましい活躍を見せていた。毎日父親と共に猛特訓をしては、母親・鳳百合子や妹・鳳さやかを呆れさせている。負けず嫌いのお調子者で、強い相手を前にすると腕を競わずにはいられない性質を持つ。父親の欽助を一人の野球選手として尊敬の念を抱いており、幼い頃から欽助と共に練習を重ねていた。その頃から独特な球の握り方で投球していたが、「面白い」という理由で欽助も矯正をしなかった。その結果、ムービングファストボールを会得し、さらに球が暴れるように変化するようになる。この決め球はのちに「暴れんボール」と名づけられ、啓助が球界から注目を浴びるきっかけとなる。
鳳 欽助 (おおとり きんすけ)
プロ野球チーム「テイオーフェニックス」に所属する男性。年齢は40歳。鳳啓助の父親で、三冠王を8回獲得したチーム不動の四番打者である。背番号3。天真爛漫で豪快な性格だが、啓助同様に負けず嫌いなお調子者。チームを牽引するリーダーシップとファンサービスを積極的に行う姿勢から、地元ファンの絶大な人気を得ている。超愛妻家で家族思いながら金銭感覚は大雑把で、1億円の年俸では一家を支えることができないと言い張り、家族から総ツッコミを入れられている。また、啓助と共に勢いに任せて猛練習に励む癖があり、娘の鳳さやかから啓助と精神年齢が変わらないとあきれられている。妻の鳳百合子との関係は良好で、つねに自らを支えてくれることに感謝と敬意を表している。