親に売られた私の幸せな家族

親に売られた私の幸せな家族

母親のリサに金で売られ、奴隷の身に落ちたソフィアは、さまざまな主人のもとを転々としたのち、サディストの変態と悪名高いウィリアム・オルドリッジに買われることになった。だが、実際のウィリアムはそんな噂(うわさ)とは異なる人物だった。自らの中にある葛藤にもがき苦しみながら、新たな家族と共に幸せを求めるソフィアの姿を描く、ハートウォーミングストーリー。「ガンガンONLINE」で2021年12月から配信の作品。コミックス刊行にあたり、描き下ろしの番外編も収録されている。

正式名称
親に売られた私の幸せな家族
ふりがな
おやにうられたわたしのしあわせなかぞく
作者
ジャンル
執事・メイド
 
家族
レーベル
ガンガンコミックスONLINE(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊4巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

母親のリサに金で売られたソフィアは、さまざまな主人のもとで奴隷として虐げられ、過酷な労働を強いられていた。そんなソフィアが行きついた先は、加虐性愛の変態と悪名高い、死んだ眼をしたウィリアム・オルドリッジのもとだった。ソフィアは、これから待ち受けるであろうおぞましい境遇を想像しながらも、こんな奴には絶対に屈しないと心に誓い、気丈に振る舞おうとする。しかし、身構えるソフィアに差し伸べられたウィリアムの手は暖かく、優しさに満ちあふれていた。温かくおいしい食事に、ふかふかのベッドと、ソフィアには初めて経験するものばかりだった。それでも安易にウィリアムを信じることができないソフィアは、ふと夜中に叫び声を耳にしたことで恐怖を覚え、ウィリアムのもとから逃げようとする。だが、窓から逃げようとしたソフィアが2階から落ちかけた時、とっさにウィリアムに助けられる。ウィリアムに抱きしめられたソフィアは安心感から号泣し、このままウィリアムのもとに留まることを決意。以降、使用人として働きながら、ウィリアムが本当に善人なのかを自分の目で見極めようとする。そんな中、洗濯係として年下の先輩のトマと共に、使用人としての仕事をするようになったソフィアは、過去に受けた虐待によって負った心の傷に苦しむことになるが、トマや使用人仲間のアイザックと信頼関係を築き、ウィリアムの優しさにも触れ、その苦しみから少しずつ解放されていく。そんなある日、1か月分の仕事の報酬として、銀貨を受け取ったソフィアはウィリアムからの提案で、アイザックと共に町へと繰り出すことになる。おいしそうなパンやドレス、帽子などを見て回ったのち、ソフィアが音楽に興味を持ったことをきっかけに、二人は一件の店へと足を運ぶ。そこで店主からオルドリッジ家は人間の血が通っていないと言われたことを受け、ソフィアはなぜウィリアムがそんな言われ方をしなければならないのかと、アイザックに詰め寄る。そしてソフィアは、アイザックの口から語られたオルドリッジ家についての驚くべき過去を知ることになる。

登場人物・キャラクター

ソフィア

母親のリサに金で売られて奴隷となった少女。さまざまな家を転々としてきた。リサからは、暴言や暴力を繰り返し受け、産まなければよかったと蔑まれてきた。また、初めて金で売られた先の工場では、気絶するまで働かされ、まともな食事も与えられず、小さなミスだけでひどい仕置きを受けた。そんな日常で左足が不自由になり、現在は走ったり跳んだりすることができない。また、人格を否定され続けてきたため、心に深い傷を負っている。その後、加虐性愛の変態と悪名高いウィリアム・オルドリッジに買われたことで最悪の日々を想像しながらも、絶対に負けないと覚悟を固めていたが、予想に反して穏やかな毎日を送ることになる。しかし、自分を買ったウィリアムに対しては、当初は警戒心をあらわにし、どんなに優しくされても信じることができず、逃げ出すことを考えていた。だが、ウィリアムが本当に善人なのかをソフィア自身の目で見極めるようと、オルドリッジ家の使用人として家に留まることを決めた。オルドリッジ家で与えられた仕事は洗濯係で、年下の先輩、トマに仕事を教えてもらっている。気の強い性格ながら、大人が決めたことに対しては従順であろうとする。これまで育った環境から、さまざまなトラウマを抱えており、ぐっすりと眠ることもできない。しかしウィリアムや使用人仲間のトマ、アイザック、シャーリィとの信頼関係を築くうちに、少しずつ自分を取り戻していく。ウィリアムに対しては、素直になれないところがあるが、自分を家族として迎え入れてくれたことに感謝し、恩を感じるようになる。その後、オルドリッジ家の過去を知り、アイザックからの提案で、町の人々から嫌われているウィリアムが、周囲からの信頼を取り戻すことを目的に自分が学校に通い、淑女になることを決意する。

ウィリアム・オルドリッジ

奴隷として売られていたソフィアを買った男性。オルドリッジ家の当主を務める。商才に富み、若くして財を成したが、まるで心がないかのような死んだ眼をしている。誰も興味のない難ありの奴隷を買い漁(あさ)る奴隷収集家として有名で、欠陥のある人間に興奮するとか、弱い者をいたぶって楽しむ加虐性愛の変態という悪評が立っているが、実際は売れ残った奴隷が処分されることを知り、そんな奴隷を助けるために買うようになったというのが真相である。現在、ウィリアム・オルドリッジ自身が住んでいる館にいる使用人はすべて、もともと奴隷として売られていたが、全員に報酬も支払っており、一人の人間として尊厳を守られるように配慮している。また、トマやシャーリィ、アイザックは建前上使用人として雇っているが、ウィリアムはみんなを家族同然の存在と考えている。そんな中、ソフィアが逃げ出そうとしたものの、使用人として家に留まることを決めてくれたことに安堵(あんど)し、ソフィアをオルドリッジ家の洗濯係を務めているトマにまかせることにした。実はウィリアムは10歳の頃に放火により家も家族も失い、自分一人だけが生き残った過去がある。葬儀屋と墓守の家系ということで人々から信頼されていたが、売れ残った奴隷を身元不明死体として処分するという、裏の家業のことが発覚。さらにオルドリッジ家が管理している墓をあばき、バラバラにした奴隷の死体を町の人々の遺体と共に埋め直していたという事実が明らかになり、ウィリアムは追われるように町を去ることになった。その後、再び町はずれの館に戻り、アイザックらと共に生活を始めたが、町の人からの信頼を取り戻すことはできておらず、オルドリッジ家は人間の血が通っていないとまで言われ、忌み嫌われている。何かと人の頭をなでるのがクセで、ソフィアからは嫌がられている。

リサ

ソフィアの母親。ソフィアの実母だが、異性との関係を維持するためソフィアの存在を目障りに感じていた。暴力や暴言を日常的に繰り返しており、部屋の隅に置いてある箱の中でじっとしているように指示し、鬱陶しいものとしてソフィアを扱っていた。ソフィアには産まなければよかったと言い続けていたが、工場の働き手としてまだ幼いソフィアを金で売った際、予想よりも高額を手にしたことで上機嫌になり、初めてソフィアを産んでよかったと口走った。

シャーリィ

ウィリアム・オルドリッジの家で、使用人として働いている女性。長い前髪で目元が隠れて表情が読み取りづらい。口数が少なく物静かだが、優しくて穏やかな性格をしている。使用人仲間のアイザックと共に、3日で記憶をなくすトマを気遣っている。花が大好き。

アイザック

ウィリアム・オルドリッジの家で、使用人として働いている男性。穏やかな性格で、人を褒めることに長(た)けている。ウィリアムが10歳の時に買った初めての奴隷で、オルドリッジ家では一番の年長者。奴隷になる前は、教師を務めており、ソフィアがオルドリッジ家の使用人として初めて報酬をもらい、町に外出する際の同行者として指名された。町ではアイザックのお気に入りのパン屋をはじめ、さまざまな店にソフィアを連れて行ったが、結局ソフィアはパンしか購入しなかった。街並み以外に興味を示そうとしなかったソフィアを見て、これまで育った環境や気が強そうに見えて大人に対する従順な性格であることを察した。使用人仲間のトマが3日で記憶をなくすため、シャーリィと共に気遣っている。ウィリアムには恩を感じており、彼の信頼を取り戻すために何かできることがないかと考えていた。その考えに賛同したソフィアに対し、自分が支援することを約束したうえで、学校に行くことを勧めた。

トマ

ウィリアム・オルドリッジの家で、使用人として働いている少年。年齢は10歳。主に洗濯係を担当しており、新入りのソフィアを教育することになった。新人は教育係と共に生活する決まりとなっているため、仕事も食事もソフィアと共にしている。後輩のソフィアに対して全力で先輩風を吹かせようとしているが、彼女が反抗的な態度を見せるために手を焼いている。もともと、トマ自身は奴隷として売れ残っていたところをウィリアムに買われ、オルドリッジ家に来てから半年間、部屋に引きこもっていた過去がある。そのため、買われてすぐに働き始めたソフィアを高く評価している。実は3日ごとに記憶がリセットされてしまう特異体質で、オルドリッジ家に来る前の記憶はまったく覚えていない。オルドリッジ家の使用人になってからは、自分の行動や仕事の仕方、今日起きたこと、感じたことなどを日記につけており、リセットされるたびに日記を読み返して記憶を取り戻そうとしている。ただし文字の読み書きや、体で覚えたことは絶対に忘れない。自分がみんなに迷惑をかけていないかを心配しており、自分のふがいなさに涙することもあるが、ウィリアムや使用人仲間のシャーリィ、アイザックからの気遣いに感謝しながら、一生懸命に生きていこうと決めている。好きな食べ物はトマト。

その他キーワード

オルドリッジ家 (おるどりっじけ)

古くから続く葬儀屋と墓守の家系。町の葬儀のほとんどがオルドリッジ家で行われ、住人の信頼も厚かった。しかしオルドリッジ家には、売れ残った奴隷を身元不明死体として処分するという裏家業があった。奴隷は主人の所有物であるため、処分することで罪に問われることはなく、死体の処理に困った者たちからの依頼を受けていた。町の住人はそんなこととは知らず、オルドリッジ家は表と裏の顔を巧みに使い分け、莫大な資産を築いていた。しかしある日、何者かによってオルドリッジ家が放火され、瞬く間に火が家を飲み込み、鉄の扉で閉ざされた地下だけを残して屋敷は全焼。生き残ったのは、当時10歳のウィリアム・オルドリッジだけだった。その後、地下で見つかった書類から、オルドリッジ家の所業がすべて明るみに出ることになり、さらに奴隷の遺体のために土地を使うことを惜しんだオルドリッジ家は、自分が管理している墓をあばき、バラバラにした奴隷の死体を町の人々の遺体と共に埋め直していたことが明らかになる。これでオルドリッジ家は完全に町の人々の信頼を失い、ウィリアムも一度は町を離れたが、5年ほど前に数人の使用人を連れて再び町はずれの館に戻って来た。未(いま)だにオルドリッジ家には人間の血が通っていないと忌み嫌われており、ウィリアム自身には非はないものの、住人からの信頼を取り戻すことはできないでいる。

書誌情報

親に売られた私の幸せな家族 4巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスONLINE〉

第2巻

(2022-11-11発行、 978-4757582514)

第3巻

(2023-10-12発行、 978-4757588486)

第4巻

(2024-03-12発行、 978-4757591004)

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