記憶を失った女子高校生
主人公の菊川詩織が交通事故に遭い、意識を取り戻すところから物語が始まる。詩織は、命は助かったものの事故の強いショックから、自分とその周囲に関する記憶だけがすっぽりと抜け落ちてしまう。退院して家や学校に戻ったあとも記憶が戻ることはなく、詩織は家族に支えられながらも過去の自分の行いを知って混乱する。過去にこだわらずに自分らしく生きていこうと模索する詩織の姿や、記憶を失う前の詩織のギャップに周囲の人々は戸惑いながらも、彼女との複雑な関係性が描かれる。
菊川詩織に関する噂の真実
退院後も菊川詩織は、妹・菊川真歩と兄・菊川明夫との三人暮らしをしていた。真歩には相変わらず嫌われている一方で、明夫には助けられることが多くなる。学校に復帰した詩織は、記憶喪失前の自分が男にだらしない女子で、一部生徒からビッチ呼ばわりされていたことを知る。しかしそのウソの噂を、まことしやかに流していたのは親友の一人・横田チカであることが判明し、チカと縁を切るものの詩織はクラスで浮いてしまう。一時は学校を辞めて街を出ることを考えた詩織は、家族に支えられる中で新たな決意を胸にする。
兄への恋心を自覚する菊川詩織
事故により記憶を失ってしまった菊川詩織は、妹の菊川真歩からは相変わらず毛嫌いされているが、兄の菊川明夫だけが唯一の心の支えになっていた。明夫はのんびりした性格ながら、両親の死後に二人の妹の面倒を見てきた一家の大黒柱でもあった。明夫に励まされる度に詩織は、彼に対する気持ちが恋心なのか家族愛なのかを悩むようになる。やがて明夫に恋心を寄せていることを自覚した詩織の前に、明夫の幼なじみ・松本瑞希が現れる。過去の自分と決別し、平穏を取り戻した詩織に訪れた淡い恋の行方や、モデル活動を始めた詩織の新たな活躍も見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
菊川 詩織 (きくかわ しおり)
バイク事故で記憶を失ってしまった高校2年生の女子。年齢は16歳。母親と離婚した父親はすでに亡くなっており、父親が遺した一軒家で、兄の菊川明夫、妹の菊川真歩と三人で暮らしている。記憶をなくす前は派手な容姿と化粧で、頻繁に他人の彼氏を寝取る、男にだらしない女だと悪い噂が絶えなかったが、実はクラスメートの横田チカが流したウソだったことがのちに判明する。妹からは嫌われているが、いつも明るく励ましてくれる明夫のおかげで徐々に明るさを取り戻し、やがて明夫に恋心を寄せるようになる。
菊川 明夫 (きくかわ あきお)
菊川詩織の兄。大学2年生で、年齢は21歳。父親が亡くなったあとは、二人の妹の面倒を見続けている。家族思いの明るい性格で、詩織や真歩に優しく接していた。若いながらも一家の大黒柱として詩織が記憶を失ってからも、つねに彼女を気遣い励ましている。そのため、詩織にとっては唯一の心の支えとなっている。実は詩織の事故前に彼女とひと悶着あったが、そんな素振りをいっさい見せないまま、笑顔で接している。のちに菊川兄妹とは幼なじみの松本瑞希と付き合うようになる。
書誌情報
シックス ハーフ 全11巻 集英社〈りぼんマスコットコミックス〉
第1巻
(2010-06-15発行、 978-4088670614)
第11巻
(2015-03-13発行、 978-4088673646)