麦ちゃんのヰタ・セクスアリス

麦ちゃんのヰタ・セクスアリス

秋田麦の高校時代から浪人時代、大学時代までを描いた作品。タイトルの「ヰタ・セクスアリス」とはラテン語で「性生活」の意味で、男性の性欲や友情、それにまつわる苦悩などが直接的に描かれている。

正式名称
麦ちゃんのヰタ・セクスアリス
ふりがな
ばくちゃんのいたせくすありす
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

母親の秋田冴子を早くに亡くし、父親の秋田記と二人で暮らしていた秋田麦の家に、いとこの曜子がやって来た。女子大生の曜子は小学校の教諭になるべく、実習の都合で一時的に麦の家で下宿生活を開始。共同生活の中で、麦は曜子に恋心を募らせるが、なにも実行に移せずに日々が過ぎていく。そして曜子の実習は滞りなく終了し、麦の家を出て行く前日の夜、麦は曜子に告白する。しかし曜子は、一時的にテンションが上がっているだけだろうと冷たくあしらい、逆に女の子の扱い方を麦に説く。結局、それ以上はなにも起こらず、曜子は北海道の実家に戻って行く。ある日、失意の麦がベランダを見てみると、曜子が残していったハンカチが目に入る。(エピソード「麦ちゃんの微熱」。ほか、4エピソード収録)

第2巻

一時は惹かれ合っていた秋田麦中野やよいだったが、二人のあいだにすれ違いが生じてしまう。麦はそれでもやよいが自分に思いを寄せてくれていると信じていたが、やよいに別の恋人ができた事で失恋を受け入れる。意気消沈した麦が気分転換のために公園に行くと、ベンチに絵本を置き忘れていた小田星子と出会い、二人は親しくなる。やよいに未練のある麦、そして手の届かない相手に恋をしている星子はお互いの傷を埋めるように急接近し、休日にデートを重ねるようになる。次第に麦はやよいの事を忘れ、星子に恋心を抱くようになり、星子と生まれて初めてのキスを経験する。(エピソード「接吻の森」。ほか、4エピソード収録)

第3巻

秋田麦伊東から家庭教師のアルバイトをしないかと誘われる。自らの受験勉強がある事から麦は一旦その誘いを断るものの、破格の条件に目がくらみ、伊東からの依頼を受け入れる。教える相手は中学3年生の榊原雪子で、最初は乗り気ではなかった麦も、次第に教える喜びを覚えていく。そんな中、雪子は麦に対してボディタッチをしたり、さり気なく下着を見せたりと、麦をなにかと誘惑するようになる。(エピソード「個人教授」。ほか、5エピソード収録)

第4巻

久しぶりに瑞恵から呼び出された秋田麦は、柿ノ元スミ子梅室重幸の子供を妊娠している事を知らされる。身に覚えがないと主張する梅室を連れ、麦は岩崎弘太郎と共に、瑞恵とスミ子が通う女子高校の文化祭へと向かう。するとスミ子の妊娠は誤解だと判明し、一同は胸をなでおろす。そして梅室はスミ子と、岩崎は別の女子生徒と文化祭を回る事になり、麦は一人で校内を散策していた。そこで麦は睦月と出会い、底抜けに明るい彼女に、生まれて初めての一目惚れを経験する。だが後日、岩崎の伝で睦月と連絡を取ろうとした麦は、岩崎から「睦月は学生結婚をしていて、既に子供もいる」という衝撃の事実を告げられる。(エピソード「人妻」。ほか、4エピソード収録)

第5巻

志望大学の受験のため、北海道へ向かった秋田麦だったが、試験日を間違えるという初歩的なミスをおかして浪人が決定する。岩崎弘太郎や父親の秋田記から慰められ、麦は何とか前向きに考えようとするものの、やはり1年を棒にふったショックは簡単に消えなかった。そんな中、里見幸子は麦に元気になってほしいという思いから、自分と身体の関係を持たないかと誘惑するものの、タイミングが合わずに未遂に終わる。その後、岩崎が事故に遭って軽傷を負うといった事もあったが、麦は試験を受けられなかったショックが少しずつ薄らいでいき、来年の事を考え始めるようになる。一方、麦が大学進学のために家を出て行く事を覚悟していた記は、麦ともう1年いっしょに暮らせると内心嬉しさを覚えていた。(エピソード「息子よ」。ほか、4エピソード収録)

第6巻

ある日、岩崎弘太郎から呼び出された秋田麦は、里見幸子が最近別の男性と親しくしている噂があると告げられる。岩崎から報告を受ける前から幸子の様子が変わって来た事に気づいていた麦だったが、幸子と正式に交際をしているわけではないため、なにも言えずに時が過ぎていく。そんな中、麦は予備校の模擬試験を受け、成績上位に食い込む。このままいけば今年は第一志望の大学に合格できると喜ぶ麦だったが、同時に幸子からは別れを告げる手紙が届く。直接話し合いに向かった麦に対して幸子は、遠いところに行ってしまう麦を待ち続ける自信がない事、そして自分を好きになってくれた別の男性が現われた事を、素直に麦に打ち明ける。最後に幸子は「追いかけてばかりではなく、誰かから求められたい」と本音を語り、二人の長い付き合いは終わってしまう。幸子が目の前からいなくなった事に意気消沈した麦は、関本鮎子のマンションへ向かい、初めて女性と身体の関係を持つ。(エピソード「すみれすみれ」。ほか、4エピソード収録)

第7巻

秋田麦は第一志望だった北海道の大学に見事合格する。いち早く家族に報告しようと電話をかけると、電話口に出た相手は中野やよいだった。麦はもう忘れていたはずのやよいの電話番号を覚えていた事に自らも驚く。この間違い電話をきっかけに、麦とやよいは久しぶりの再会を果たす。大人びた女性になったやよいとは、以前よりも自然体で話す事ができ、麦は自分の中に眠っていたやよいへの思いが再燃してしまう。(エピソード「春は弥生」。ほか、3エピソード収録)

第8巻

北海道の大学に通うため、秋田麦は札幌で一人暮らしをスタートさせた。すると間もなく中野やよいがアパートにやって来て、両親から強引にお見合いをさせられる事になり、衝動的に家出をして来たと麦に告げる。そんなやよいを麦は受け入れ、同棲生活をスタートさせる。幸せを感じる麦だったが、このままこの関係を続けていく事はできないと、やよいに一度親元に帰るようにと助言する。そして二人は初めて身体の関係を持ち、やよいは両親と話し合いをするべく、実家へと戻っていく。それから数年後、麦と仲間達はそれぞれ自分の道を着実に歩んでいた。(エピソード「一粒の麦が」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

秋田 麦 (あきた ばく)

北斗高等学校に通う2年生の男子。決して目立つ存在ではないが、背は高く、整った顔立ちをしている。成績は校内でも優秀なレベルに入る。高校では放送クラブに所属していたが、のちにラグビー部に所属する。母親の秋田冴子は秋田麦を産んですぐに亡くなっており、作家の父親の秋田記と二人で暮らしている。年頃の男子らしく性欲は人一倍あるが、自分でもどう扱っていいかわからずにとまどっている。女性と交際した経験がなく、いわゆる女心がわからないタイプの童貞。相手が誰でもいいというわけでもないが、早くセックスを経験したいと焦っている。初めて会ったいとこの曜子に恋心を抱くが、軽くあしらわれてふられてしまう。その後は新入生の中野やよいに思いを寄せるようになるが、すれ違いによって交際する事はなかった。その後、やっと心から好きだと思える女性、小田星子と出会ったものの、星子の自殺で思いは叶わなかった。星子の死に絶望した際にリストカットをした傷が手首に残っている。本命の彼女を作らずに過ごして来たが、さまざまな出会いと歳月の経過と共に、やよいへの気持ちが再燃していく。

中野 やよい (なかの やよい)

北斗高等学校に通う1年生の女子。メガネをかけた地味で目立たない容姿ではあるが、愛嬌のある顔立ちをしている。一本筋の通った優しい性格の持ち主。男子生徒のあいだで秘密裏に行われた人気投票で、0票だった事が、秋田麦から逆に興味を抱かれた。麦が放送クラブでDJをしているのを聞き、興味を抱いていた。勇気を出して麦をデートに誘ったがすっぽかされ、さらに女性といっしょにいるところを目撃してショックを受け、高校在学中に付き合う事はなかった。夏休みにいとこの浜野良子といっしょに海の家でアルバイトしている。

小田 星子 (おだ ほしこ)

秋田麦とは別の高校に通う3年生の女子。麦とはベンチに置き忘れていた童話の本をきっかけに会話をするようになる。麦が中野やよいに失恋したばかりで気持ちが沈んでいた事もあり、お互いの近況や悩みを打ち明けるようになった。麦のファーストキスの相手でもある。麦から好意を寄せられている事を嬉しく感じていたが、思い人への恋心を募らせて自ら命を絶ってしまう。

高校生の小谷英子 (こうこうせいのこたにえいこ)

北斗高等学校に通う1年生の女子。1年生の女子生徒の中では一番の美貌を誇り、男子生徒のあいだで秘密裏に行われた人気投票では1位を獲得した。多数の男子からアプローチを受けているため、秋田麦の存在も特に気に留めていない。

小学生の小谷英子 (しょうがくせいのこたにえいこ)

小学6年生の女子。以前曜子が教育実習の際に受け持った生徒。曜子を訪ねて小学校に来ていた秋田麦に恋心を抱き、のちにラブレターを出してデートに誘った。麦は高校生の小谷英子だと勘違いしてデートに応じる事となった。小学生の小谷英子は、麦が最後までいっしょに楽しい時間を過ごしてくれた事で非常に満足する。まだ幼い容姿ながら、麦からは将来が楽しみだと言われるほどかわいらしい容姿を持つ。麦からは「チビ英子」と呼ばれてかわいがられている。

石田 節子 (いしだ せつこ)

北斗高等学校に通う1年生の女子。中野やよいと親しい友達。2年生に進級した際には生徒会副会長を務めた。ショートカットの髪型で、キリリと整った顔立ちをした美人。女子生徒の中でも精力的に校内活動を行っており、リーダーシップを発揮している。中学時代の先輩である岩崎弘太郎と親しくしているが、交際はしていない。岩崎から好意を寄せられている事には気づいているが、同時に岩崎の女遊びが激しい事も知っている。秋田麦が新人警官から一方的に下着どろぼうだと疑われた際、偶然近くを歩いていた石田節子がかばい、知り合いになった。

吉野 桜 (よしの さくら)

秋田麦が3年生の時に、北斗高等学校へ入学して来た1年生の女子。清楚で、はかなげな雰囲気を漂わせた美少女で、入学してすぐに麦の下駄箱に意味深な手紙を入れた。麦からは自分宛てのラブレターだと勘違いされてしまうが、実は麦の父親で作家の秋田記の大ファンで、記に自分の気持ちを伝えようとして麦に接近した。

里見 幸子 (さとみ さちこ)

秋田麦が3年生の時に、北斗高等学校へ入学して来た1年生の女子。奥手なタイプで、おとなしい性格をしている。密かに麦にあこがれを抱いていたが、麦と岩崎弘太郎が交際しているという根も葉もない噂を真に受け、麦に冷たく当たった。しかしのちに誤解だとわかり、麦に謝罪すると共に勇気を出して積極的にアプローチを開始する。麦の志望大学が北海道である事を知っているため、恋が成就しても遠距離恋愛になってしまう事を気にしていたが、一年浪人すると決まってからは独占欲を発揮するようになった。麦の過去の恋愛や、榊原雪子との関係にいちいち腹を立てていたため、麦からは距離を置かれるようになる。その後、麦とは仲直りをして、長く友達以上恋人未満の関係を続けていたが、麦が一向にキスをしてこない事や、別の男性からアプローチされた事で、「追いかけてばかりではなく、誰かから求められたい」という自らの気持ちに正直になろうと、麦に別れを告げた。高校を卒業後は別の男性と結婚した。

榊原 雪子 (さかきばら ゆきこ)

秋田麦が伊東の紹介で、家庭教師になった中学3年生の女子。裕福な家庭に育った天真爛漫なお嬢さま。成績は中の下レベルながら理解力はあり、麦にとっても教えがいのある相手だった。麦に好意を寄せており、榊原雪子なりに誘惑をしていたものの、叶わずに失恋する。麦には両親が不在がちで寂しさを埋めるため、恋人という存在を作りたいだけという気持ちを見抜かれていた。ふられたあと、麦とはまるで兄妹のような良好な関係を築き、実際に妹に間違われると大喜びする。

阿部 美貴 (あべ みき)

秋田麦と別の高校に通う2年生の女子。明るく人懐っこい性格ながら、実は通っている学校の不良グループに属している。万引きをした際、警官を相手に自分はなにも盗っていないと揉めていた時に、偶然通りがかった麦と知り合う。実家はスナックを経営しており、どこにも自分の居場所がないと感じている。麦が交際してくれるならと不良グループを抜けたが、付き合っていた素行の悪い男性につきまとわれ、最終的に相手をナイフで刺してしまった事で警察から追われる身となる。小田星子と雰囲気やなにげない表情がどことなく似ている。のちに麦が北海道の大学に進学した時、偶然訪れたスナックで再会する事となった。

浜野 良子 (はまの よしこ)

中野やよいのいとこの女子大学生。年齢の割に大人びた容姿をしており、細身ながらも胸が非常に大きい。やよいといっしょに海の家でアルバイトをしており、そこにやって来た秋田麦、中里民生と親睦を深めた。一見清楚に見えるが、貞操観念は低く、自分から民生を誘惑した。

吉行 美智 (よしゆき みち)

20代前半のOL。岩崎弘太郎を通じて秋田麦と知り合った。恋愛に関しては受け身なタイプで、清楚な雰囲気を漂わせている。女友達が岩崎とセックスフレンドで、岩崎から麦を紹介された際も、身体の関係を前提に考えていたものの、タイミングが合わずに叶う事はなかった。

睦月 (むつき)

瑞恵、柿ノ元スミ子と同じ高校に通う女子生徒。天真爛漫な性格で、とにかく明るく周囲を和ませるムードメーカー的な存在。年齢の割に子供っぽい言動が多い。学園祭に来ていた秋田麦と偶然知り合い、親しくなった。その際に麦から一目惚れされるが、睦月本人はまったく気づいていない。学生結婚をしており、既に子供もいる。

牧子 (まきこ)

秋田麦達ラグビー部が夏の合宿を行った際、市場で出会った女性。日に焼けた健康的な美人で、手に取っていた赤いトマトがよく似合った事から、買い出しに訪れた麦と大前邦雄には密かに「トマト」とあだ名を付けられていた。夏合宿の際に邦雄と連絡先を交換し、以降交際を続けて邦雄が就職したのちに入籍する。その後は二人の子供と共に幸せな家庭を築く。

瑞恵 (みずえ)

秋田麦達ラグビー部が夏の合宿を行った際、海で出会った女子高校生。柿ノ元スミ子、睦月と同じ学校に通っている。麦の事を気に入り、合宿のあいだはずっと思わせぶりな態度を取っていた。麦との交際は前向きに考えてはいるものの、麦の心の中に別の女性、中野やよいがいる事を見抜いており、必要以上に距離を縮めようとはしなかった。大人びた容姿をしており、岩崎弘太郎曰く、妙な色気のある女性。

柿ノ元 スミ子 (かきのもと すみこ)

秋田麦達ラグビー部が夏の合宿を行った際、海で出会った女子高校生。瑞恵、睦月と同じ学校に通っている。ぽっちゃりとした体型で、素朴な顔立ちをしている。梅室重幸の事を気に入り、出会ったその日にキスをしている。のちに瑞恵に対し、梅室の子供を妊娠をしてしまったと相談している。しかし実際は、妊娠をしたと思い込んでいただけだった。

中里 民生 (なかさと たみお)

北斗高等学校に通う2年生の男子。秋田麦の悪友。彼女がほしいと強く願っており、夏休みには麦を誘ってバイクで海に出掛けるなど、積極的に行動をしているもののすべて空回りに終わっている。女性との交際経験があると言い張っているが、実際は一度の交際経験もなく、麦と同様に童貞。見かけによらず学校の成績は優秀で、東京の一流大学を目指している。

岩崎 弘太郎 (いわさき こうたろう)

北斗高等学校に通う2年生の男子。ラグビー部に所属している。スポーツ万能な事から学校内でも目立つ存在で、見た目もいい事から非常にモテる。お調子者で、つねにクラスの話題の中心にいる。中学時代の後輩で北斗高等学校に入学して来た石田節子を気に入っており、アプローチを繰り返している。あくまで節子が本命でありながらも、ほかにも気になっている女性が多数いる軟派な性格の持ち主。年上のセックスフレンドがいるなど、欲望に忠実に従っている。ラグビー部に転部して来た秋田麦とは気が合い、「岩」と呼ばれるほど仲がいい。

大前 邦雄 (おおまえ くにお)

北斗高等学校に通う2年生の男子。ラグビー部に所属している。まるで2本の角が生えたような髪型で、周囲からは「アトム」というあだ名で呼ばれている。秋田麦がラグビー部に転部して来た事で親しくなった。これまで一度も女性と付き合った経験がない童貞。ほかのラグビー部員達とは異なり、女性には奥手で、シャイな性格の持ち主。夏合宿の際に麦と訪れた市場で牧子と出会い、以降手紙や電話のやりとりをしながら交際を続け、就職後すぐに入籍した。その後、二人の子供に恵まれて幸せな家庭を築く。

梅室 重幸 (うめむろ しげゆき)

北斗高等学校に通う2年生の男子。ラグビー部に所属している。周囲からは「梅」と呼ばれている。ぽっちゃりとした大柄な体型な事もあり、ラグビー部内ではいじられ役。これまで女性とは縁がなかったものの、夏の合宿の際に出会った柿ノ元スミ子に好意を寄せられた。出会ったその日にキスはしたものの、それ以上は身体の関係を持っていないにもかかわらず、スミ子が妊娠したという話を聞いて戸惑う。

伊東 (いとう)

北斗高等学校に通う男子。3年生になってからは生徒会長を務めている。周囲の大人からの信頼も厚く、成績も優秀な事から、受験を控えた子供の家庭教師を頼まれる事もある。自分だけでは手に負えなくなり、秋田麦に榊原雪子の家庭教師のアルバイトを紹介する。

青木 一朗 (あおき いちろう)

神保町にある喫茶「オリーブ」に出入りしている浪人生。美術大学を目指している男性。2年間浪人生活を送っている。たまたま「オリーブ」を訪れて読書をしていた秋田麦に興味を抱き、絵のモデルにした事がきっかけで親しくなった。独特の感性を持っているため、麦から興味を抱かれ、懐かれている。スリムで背の高いモデル体型をしており、女性から好意を寄せられる事も多いが、女性は1回セックスをすると図々しくなるからと、交際する気はまったくない。

梨田 かおり (なしだ かおり)

神保町にある喫茶「オリーブ」に出入りしている浪人生。美術大学を目指している女性。青木一朗を介して秋田麦と知り合った。喫煙者で、サバサバとした性格をしている。一朗に好意を寄せているが、一朗が女性と交際する気がない事から友達として付き合っている。しかし、一朗一筋というわけではなく、かわいい顔立ちをした男性がいるとちょっかいを出してしまう。

関本 鮎子 (せきもと あゆこ)

青木一朗のいとこの女性。秋田麦よりも年上。裕福な家庭で育ったお嬢さま。落ち着いた大人っぽい容姿をしており、言いたい事ははっきりと口に出すタイプ。ただし精神的に不安定なところがあり、左手首に自傷行為の痕がある。麦の事は一朗達から事前に聞いており、出会ってすぐに打ち解けた。麦が以前、小田星子を亡くした際につけた手首の傷にも気づいており、自分と同じ苦しみを経験した者同士だと惹かれ、麦にとっての初体験の相手となった。その後は麦から正式に交際しようと何度も告白されたが断っており、一人スペイン留学へと旅立つ。本当は関本鮎子本人も麦の気持ちを受け入れたかったが、親が決めた婚約者がいるために、その願いは叶わなかった。

佐々木 和彦 (ささき かずひこ)

プロボクサーの男性。青木一朗の高校時代の後輩。B級ライセンスを獲得しており、一朗達が借りているアトリエに用心棒兼居候として暮らしている。デビュー戦を控え、ジムで練習をしていたところ、ボクシングに興味のある秋田麦とスパーリングを行った。見た目は怖い印象を受けるが、話すとサバサバとした性格で人懐っこく、親しみやすい人物。

松木 ゆかり (まつき ゆかり)

北海道の大学に通う女性。秋田麦と同じ1年生。麦とは授業で何度も会っており、顔は知っていた。トップレベルの成績を誇り、さらに美しい容姿から男子学生のあいだでは高嶺の花だと人気が高い。麦に興味を抱いて接近したものの、麦の心は既に中野やよいだけだったために、二人のあいだに入り込めないと、静かに身を引いた。

曜子 (ようこ)

秋田麦のいとこの女子大学生。将来の夢は小学校教諭になる事で、大学では教育学部に在籍している。実習のために北海道からやって来て、一時的に麦の家で下宿していた。明るく朗らかな性格の持ち主で、そこにいるだけで周囲を和ませる不思議な魅力を持っている。また清楚ながらも特有の色気もあり、性に目覚めたばかりの麦を大いに悩ませた。下宿中に麦から好意を寄せられている事に気づいたが、曜子自身は異性として見ていないうえに、一時的な気まぐれだろうと相手にしなかった。

秋田 記 (あきた しるす)

秋田麦の父親。早くに妻の秋田冴子を亡くし、シングルファザーとして麦を育てた作家の男性。浮き沈みの激しい仕事だからと、冴子の親戚からは結婚を大反対された。しかし、冴子と強引に入籍したために親戚とは疎遠になってしまう。麦にとって従弟にあたる曜子が、小学校での実習のために下宿先を探しており、その縁で久しぶりに親戚と連絡を取り合うようになった。のちに文学界で権威ある賞を受賞し、著名な作家の仲間入りを果たす。明るく大雑把な性格で、後先を考えずに行動する事が多い。年齢や性別を問わず知り合いが多く、麦の友達ともすぐに打ち解けていた。のちに家政婦としてやって来た沢田冴子と再婚し、沢田風子が義理の娘になった。

秋田 冴子 (あきた さえこ)

秋田麦の母親。麦を出産してすぐに他界。作家を生業とする秋田記との結婚を親戚中から反対され、入籍後は息子の麦を出産したものの親戚とは疎遠になっていた。気が強く、生前は記を尻に敷いていた。

平沢 (ひらさわ)

出版社の集英堂で編集者を務める女性。秋田記を担当している。年齢は28歳で、清楚で優しい雰囲気を漂わせている。記とかかわっていく中で恋愛感情が芽生えたものの、秋田麦の手前、記との結婚は難しいだろうと、行動に移せずに終わってしまう。

沢田 冴子 (さわだ さえこ)

秋田麦の自宅に家政婦としてやって来た女性。シングルマザーで、娘の沢田風子と二人で暮らしている。婚姻歴はなく、風子は私生児。働きぶりは問題ないものの、秋田冴子の私物を堂々と使用するなど、大雑把でマイペースな一面を持つ。のちに秋田記と再婚し、麦の義理母になる。

沢田 風子 (さわだ ふうこ)

沢田冴子の一人娘。元気一杯な女子中学生。冴子の私生児で、二人で暮らしている。冴子がどんな家の家政婦をしているのかが気になり、秋田麦の自宅を訪問する。まるで小動物のような愛らしさを持っており、秋田記が一目見て気に入った。学校ではソフトボール部に所属しており、記にキャッチボールの相手をしてもらうなど懐いている。のちに冴子が記と再婚し、麦の義理妹になり、かわいがられている。

(なみだ)

秋田麦の実家で暮らすオス猫。麦が中野やよいに失恋をした日に、野良猫だった涙と公園で出会い、そのまま何となくエサを与え続けていた。その後、麦に正式に飼われ、秋田家の家族の一員となる。野良猫だった頃は痩せていたが、麦の家で暮らすようになってからブクブクと太り、訪問客からはデブ猫扱いされるようになった。のちに彼女のメス猫が妊娠・出産し、仔猫をすべて押しつけられてしまったため、子育てに奮闘する。好物はスモークサーモンなど酒のつまみに合う物。涙の名付け親は小田星子。

場所

北斗高等学校 (ほくとこうとうがっこう)

全校生徒300人の高校。これまで男子校だったが、新1年生から女子生徒も入学できるようになった。しかしまだ女子の新入生は約20名と、圧倒的に少ない。少ない女子生徒の中から何とか彼女を見つけたいと願う男子生徒が多い。

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