黄泉のツガイ

現代文明から隔絶された山奥にある東村で、「夜と昼を別つ」といわれる双子の兄妹、ユルとアサが誕生する。それから16年後、迷彩服の兵士たちを引き連れた眼帯の少女が東村を襲撃する。彼女たちは村人を次々に殺し、牢の中で毎日のお務めを果たしていたアサの命をも奪う。ユルは村人・田寺リュウの導きで、二人で一組の「ツガイ」という超常的な存在「左右様」の主となり、襲撃者たちに対抗する。眼帯の少女が言うには、自分こそが妹のアサであり、村にいたアサは10年前に両親とアサが村を逃げ出した後、ユルを村に縛り付けておくためにつくられた偽物だという。お互いの被害を考慮し、アサを名乗る少女たちはいったん退く。わからないことだらけのユルは、事情を知る田寺と共に自身を取り巻く謎の正体を探る旅に出る。

10年前、東村から逃げたアサとその両親を保護したのは影森家と呼ばれる一族。影森家は、東村を捨てて現代社会で地位を得たいわば分家のような存在だが、両者は激しく対立している。夜と昼を別つ双子は「解」と「封」という特別な力を手に入れる資格を持ち「ツガイ」を統べる者になりえる。そのため、東村は双子の力で天下を取ることを考えている。一方、影森家の当主は、運命の双子が生まれるたびに世が乱れるため、ユルとアサを最後に運命の双子も東村も存在しなくなったほうがいいと考えている。運命の双子に対する考え方の違いから、ユルを守る東村とアサを保護している影森家の争いは絶えない。ただし、影森家の中には「解」と「封」の力をコントロールしたいと考える者もおり、影森も一枚岩ではない。

本作では「ツガイ」を操る力を持つ「ツガイ使い」同士のバトルが繰り広げられる。「ツガイ」とは「対なるもの」であり、幽霊、妖怪、化け物、UMA、異形など、さまざまな呼ばれ方をする一対の存在。いずれも主を持ち、基本的にはその命令に従う。引き継ぎをしないまま主が死ぬと「野良ツガイ」となり、その場に縛られてしまうため、主を守ることを優先する。「ツガイ」の能力は多種多様。攻撃力が高いもの、諜報活動が得意なもの、破壊された物を修復できるものなど、ユニークな能力を駆使した闘いが見どころである。