血界戦線

血界戦線

かつて紐育(ニューヨーク)があった場所に突如として現れた異界の街ヘルサレムズ・ロットを舞台に繰り広げられる、世界に危機をもたらす異界の者達と秘密結社ライブラの戦いを描いた伝奇SFファンタジー。コンセプトは「技名を叫んでから殴る漫画」。

世界観

舞台は紐育(ニューヨーク)が大崩落と呼ばれる事件によって一夜にして消失し、異界(ビヨンド)世界との融合によって再構成された街、ヘルサレムズ・ロット

霧によって外界から隔絶された街は、異界人と通常の人間が同居し、現実世界ではありえない奇跡も起こりうる場所である。

見た目は多種多様で異様な外見を持つ異界の住民たちには善良で平和に暮す者達も多いが、「13王」のように人類や世界に害をなす存在も少なくない。さらに異界の力に魅かれた犯罪者やテロリスト、大企業や宗教家や諜報機関といった連中が現世から流入してきており、渾沌と活気が入り交じった都会である。

この世界のテクノロジーは現実のものより進んでおり、警察や軍の特殊部隊にはパワードスーツが配備されている。

ライブラは、ヘルサレムズ・ロットで活動する秘密結社であり、その目的は世界の均衡を保つことである。

ヘルサレムズ・ロット中心部の「永遠の虚」の霧の底には、創製されし13人(エルダーズサーティーン)と呼ばれる長老達以下、無数の血界の眷属(ブラッドブリード)が住んでいる。

ライブラメンバーの主な戦闘技法や血界の眷属に見られるように、「血」をモチーフとした事象が多い。

作品構成

1?数話からなる短中編による1話完結型。

主人公レオナルド・ウォッチ、その他の登場人物、あるいは世界の謎について様々な伏線やはっきりしない言及はみられるが、10巻の時点ではほとんど解明されてはいない。

あらすじ

異界と現世が交差する街、ヘルサレムズ・ロット。新聞記者レオナルド・ウォッチ]は、銀行強盗騒ぎに巻き込まれている最中、秘密結社ライブラの一員ザップ・レンフロと出会った。新メンバーの出迎えに来ていたザップの勘違いに便乗し、レオはライブラのアジトに潜入することに成功する。

レオはかつて謎の存在から妹の視力と引き換えに「神々の義眼」を与えられたことを悔いており、裏の世界に通じるライブラは義眼の謎を解く手掛かりとなる可能性が高い。しかし、潜入はあっさり露見する。

ところがその時、堕落王フェムトの召喚による半神の襲撃が発生。しかしこれを義眼の力によって回避したことから、ライブラのリーダーであるクラウス・フォン・ラインヘルツに互いに協力することを申し出られ、事件解決後は正式にライブラの一員として認められることになる。

第1巻 魔封街結社

犯罪者たちの中でも大きな力を持つ者たち13人。その「13王」の一人である堕落王フェムトは、邪神ヨグ=グフォトの肉体を真っ二つにしたうえでヘルサレムズ・ロットに解き放つ。理由は「退屈だから」。さらに117分以内に召喚ゲートを発見して破壊しない限り、残りの半身も召喚されてひとつに合体、外界を隔てる結界すら切り裂く力を得るであろうと予告する。

レオの「神々の義眼」によって「音速猿」が召喚門(ゲート)に関係していることを知ったライブラは、猿を召喚門(ゲート)ごと破壊すべく追跡を開始。しかしレオの機転により、実際の召喚門(ゲート)は猿にくっついていた蚤に仕掛けられていたことが分かり、世界も猿の生命も救われる。

第2巻 世界と世界のゲーム

ヘルサレムズ・ロットでは、人体に作用して一時的に身体能力を高め「狂戦士(バーサーカー)」とする麻薬、「エンジェルスケイル」が蔓延し始めていた。しかも異界と人界を通る二重門を越えて外の世界にまで広まりつつあった。

事態を重く見たライブラは調査を開始するが、手がかりすらまったく掴めない。

ライブラのリーダーであるクラウスは「エンジェルスケイル」の手がかりとチェスチャンピオンの生命を賭け、異界側の顔役ドン・アルルエル・エルカ・フルグルシュと、異界のゲームプロスフェアーの対戦に臨む。

第3巻 震撃の血槌(ブラッドハンマー)

「13王」の一人「偏執王アリギュラ」は、一般車両を捕食して成長するモンスタートラックを街に放つ。目的は「パンドラム超異常犯罪者保護拘禁施設(アサイラム)」を襲撃して「ブローディ&ハマー」を奪還すること。

デルドロ・ブローディは元々アリギュラの恋人であったが、顔が気に入らないとの理由で粉々にされた上で血液として錬成され、ドグ・ハマーの肉体に血液として注入されている。ハマーはライブラのメンバーであるが、「血液」であるブローディが懲役1000年以上の犯罪者であるため共に服役しているのである。

緊急事態に対応するためクラウス達と共に拘禁施設を出て街へ向かうハマー。技はブローディ(血液)を全身に纏う血殖装甲(エグゾクリムゾン)!

第4巻 拳客のエデン

ザップは借金を清算するため、クラウスを騙して地下闘技場での賭け試合に出場させる。

「ステゴロ最強」を目差す試合はクラウスの圧倒的な勝利で進みチャンピオンも撃破,とうとう不倒の元チャンピオンであった闘技場のオーナー「拳豪オズマルド」が立ちはだかる。クラウスはオズマルドにも勝利するが、その体内から血界の眷属が現れる。

彼も「ステゴロ最強に心奪われたただの男」であり、強すぎるおのれの肉体では下位存在とは試合にならないため、死体を纏って戦っていたのだった。

第5巻 Zの一番長い日

インドから血界の眷属(ブラッドブリード)がやって来る。追って来たのはザップの師匠、裸獣汁外衛賤厳(らじゅうじゅうげえしずよし)。斗流血法創始者にして伝説の火と風の2重属性使いである。

半身欠損の血界の眷属は捕獲されるが、残りの半身に心臓があるためレオの「神々の義眼」を持ってしても諱名(イミナ)が分からず封印できない。

その頃、残りの半身は裸獣汁外衛のもう一人の弟子、ツェッド・オブライエンと共にヘルサレムズ・ロットに近づきつつあった。

第6巻 人狼大作戦(チェイン:ポッシブル)

チェイン・皇はライブラメンバーであると同時に、協力組織である「人狼局特殊諜報課(ルー・ガルーズフロムノーウェア)」の一員でもある。彼女ら「不可視の人狼」は存在自体を希釈することにより、すぐそばにいる相手にも気付かれないどころか、透明化したり、壁をすり抜けたりすることもできる諜報活動のエキスパートである。

某国のミサイル基地からミサイルが発射されるという情報をキャッチした人狼達は、基地に進入するが次々に捕らえられる。

人狼を狩って金にするという裏切り行為によって、能力を失い、局を追われたはずの元人狼局員ベルベッド・WS・ラインカマーが、13王のひとり「過敏王ゼオドラ」との契約で人狼を捕らえることのできる能力を手にしたことによる罠であった。

第7巻 マクロの決死圏

レオはある日空から落ちてきた「機装医師リ・ガド」と出会う。それはミジンコにしか見えない外気遮断用強化スーツを着た、細菌サイズの生命体であった。

リ・ガドはテロリスト病原菌ゲムネモを追っていることをレオに告げる。

その頃レオの友人であるリールは、ゲムネモと出会っていた。

虚弱な身体にコンプレックスを持つリールは、ゲムネモによる細胞組織の超強化加速分裂菌術式によって逞しい身体を手に入れ、かつて痛めつけられた連中に復讐を始める。ダメージを受けるとすぐさま倍返しに成長する肉体は、止めようとする警察やクラウス、ハマーらの攻撃で見る見る巨大になっていく……。

第8巻 幻想病棟ライゼズ

重症を負ったザップは、小一時間前まで存在していなかった病院に担ぎ込まれる。それはかつての「大崩落」によって紐育が崩壊し再構成されている時、クラウスとスティーブンが訪れたことのある病院だった。

クラウスとスティーブンはあの日、魔獣を連れた血界の眷属と対峙したが、倒し切れないうちに街は再構成を終えて二人は意識を失い、病院は姿を消していた。

再び病院に入って出会ったのは、かつて出会った医師と、己自身を複数の個体に分裂させて同時高速処理を行うことができるようになった女医、そして本の形をした院長であった。

その時、そこに再びあの時の血界の眷属と魔獣が現れる。

第9巻 鰓呼吸ブルース

半魚人であるツェッド・オブライエンは、地上で生活する際に鰓に水を供給するための「逆アクアラング」ともいうべき装置「エアギルス」を身に付けている。

オーディオだけが心の支えのヴァルハラ・ダイナミクス社長は、街中で見かけたエアギルスを開発中止になったヘッドフォンの試作版であると勘違いし、手下を使ってツェッドを襲わせ強奪する。

かすかな痕跡を遡ってヴァルハラ・ダイナミクスまで辿り着いたレオとチェインは慎重にことを進めようとしていたが、別の事件を片づけて追ってきたザップに押し切られ、強引な突入に付き合わされることになってしまう。

第10巻

ある日レオは外に残してきた妹、ミシェーラから結婚すると告げられる。

挨拶のためにヘルサレムズ・ロットを訪れるミシェーラと婚約者トビー・マクラクラン。しかしトビーには別の「神々の義眼」を持つ魔物Dr.ガミモヅが取り憑いていた。

妹を人質に取られたような状況のレオ。義眼について研究してきたガミモヅ相手ではレオの義眼も役に立たない。そしてガミモヅはついにレオに憑依しようとする。

メディアミックス

2012年にヴォイスコミック。2015年にTVアニメが放映されている。アニメは原作をベースにした上でさらに,オリジナルのキャラクターが重要な役目を持って登場している。

最終12話が放送されないまま終了したが、46分に枠を延長したうえで2015年10月に放送予定である。

作家情報

内藤 泰弘(ないとう やすひろ、1967年4月8日)。神奈川県横浜市出身。代表作は『トライガン』、『トライガン・マキシマム』。

登場人物・キャラクター

癖っ毛の青年。神々の義眼の能力を使うとき以外は、いつも笑っているかのように目を細めている。元々の職業は新聞記者。妹の視力と引き換えに、レオに神々の義眼を与えた魔人の正体を探るべく、ヘルサレムズ・ロット... 関連ページ:レオナルド・ウォッチ

秘密結社ライブラを率いる才知と武術に優れた豪傑。鋭い眼差し、口からはみ出るほど鋭く伸びた下顎の犬歯、堀が深くがっしりとした堀の深い顔など、非常に威圧感のある風体であるが、性格は紳士的で思慮深く、また人... 関連ページ:クラウス・フォン・ラインヘルツ

銀髪紅眼で褐色の肌をした青年。秘密結社ライブラのメンバー。レオを新たなライブラのメンバーと勘違いして、彼をライブラのアジトへ連れて行く。乱暴かつ気の短い性格で、扱いが難しい。また女好きで、女性がらみの... 関連ページ:ザップ・レンフロ

パンツスーツを着こなしたショートボブの女性。顔立ちは整っており巨乳。秘密結社ライブラの紅一点。不可視の人狼と呼ばれる超人能力を持ち、自らの存在を希釈し透明化することができる。希釈すると、視覚及び各種セ... 関連ページ:チェイン・皇

秘密結社ライブラのメンバーでクラウスの片腕的な存在。左目の下に刃物でできたような切り傷が特徴の男性。高速の蹴りによって触れたものを全て凍らせるエスメラルダ式血凍道を用いた戦闘を行う。クラウスの優しい性... 関連ページ:スティーブン・A・スターフェイズ

秘密結社ライブラのメンバー、かつクラウスの執事役。物腰が柔らかで紳士的な振る舞いの老年の男性で、包帯を顔中に巻いている。普段は誰に対しても誠実な態度を取るが、こと仲間の危機に関しては怒りをあらわにして... 関連ページ:ギルベルト・F・アルトシュタイン

右目に眼帯を付けた高身長の女性。秘密結社ライブラのメンバー。既婚。移動手段にバイクを使うため、常にライダースーツを着用している。本名は明かされていない。スティーブンとの相性は最悪のようで、事あるごとに... 関連ページ:K・K

ツェッド・オブライエン

半透明の体色をした、半漁人の男性。ザップの弟弟子で、風の属性の斗流血法、シナトベを自在に操る。チンピラに似た性格のザップとは対照的で、礼儀正しく真面目な性格。ザップとは争いが絶えないが、兄弟弟子同士ということもあってか相性はいい様子。ライブラの新しいメンバーとしてヘルサレムズ・ロットにやってくる。

フェムト

仮面を付けた長髪の魔人。突然街中の中継画面に現れたかと思えば、ゲームと称して世界を危機に陥れる悪逆非道の王。ライブラのアジトを訪れたばかりのレオは、彼の召喚した半神に殺されかけてしまう。ゲームに負けるとあからさまに悔しがり、子供のように騒ぎ立てる。レオのような“普通”の存在が嫌い。

懲役1000年を越えるほどの大犯罪者。偏執王アリギュラの恋人だったが、顔がアリギュラの好みでなかったため、全身を粉々にされ液状となり、ドグ・ハマーの身体の中に血液として入れられた。粗暴な言葉遣いだが、... 関連ページ:デルドロ・ブローディ

褐色の肌にオールバックで鼠色の髪、碧い瞳の青年。偏執王アリギュラに容姿を気に入られたため、血液をデルドロ・ブローディと入れ替えられた不運な男性。血を操り、全身に纏うことで巨大な怪物へと変身する血殖装甲... 関連ページ:ドグ・ハマー

集団・組織

秘密結社ライブラ

『血界戦線』に登場する組織。クラウスがリーダーを務める、ヘルサレムズ・ロットを拠点とした秘密結社。ビルの高層階にアジトを持つ。その素性は一般には明らかにされてないながらも、かなりの影響力を持っており、... 関連ページ:秘密結社ライブラ

血界の眷属

『血界戦線』に登場する種族。俗に吸血鬼とも呼ばれ、「鏡に映らない」、「人の血を吸って眷族にする」といった伝承における吸血鬼と似た特性を持つ。異界に潜む人知を越えた存在が、人間のDNAに直接手を加えるこ... 関連ページ:血界の眷属

場所

ヘルサレムズ・ロット

かつてニューヨークがあった場所に突如として現れた、異界と現世が交錯する街。現在のニューヨークを思わせるような高層ビルが立ち並ぶ繁華街である。この街では、あり得ない出来事が次々と起こり、非日常が日常であ... 関連ページ:ヘルサレムズ・ロット

その他キーワード

13人の長老

『血界戦線』に登場する用語。吸血鬼に似た生命体である血界の眷属の中でも最初期に作られた、きわめて優秀な13人の個体を指し示す言葉。恐ろしいほどの戦闘能力を有し、たった一人でも、軍艦に乗った343人の戦闘員を一人残らず殲滅できるほど。

ブレングリード流血闘術

『血界戦線』に登場する格闘術。クラウスが用いる。ナックルダスターに似た十字架型の器具を左手に嵌め、武器に形を変えた大量の血液を纏いながら拳を振り下ろす。血液の形状は剣や盾といった大型の武器のものが多い。また、血塊の眷属の封印を行うことが出来る数少ない戦闘術のうちのひとつ。

斗流血法

『血界戦線』に登場する格闘術。ザップとツェッドが用いる。彼らの師、裸獣汁外衛賤厳が祖である、血を操る戦闘術で、火の属性のカグツチ、風の属性のシナトベの二種類が確認されている。血液の形を自在に操ることが... 関連ページ:斗流血法

書誌情報

血界戦線 全10巻 集英社〈ジャンプ・コミックス スクエア〉 完結

第1巻 魔封街結社

(2010年1月発行、 978-4088747231)

第2巻 世界と世界のゲーム

(2010年11月発行、 978-4088701097)

第3巻 震撃の血槌(ブラッドハンマー)

(2011年5月発行、 978-4088702285)

第4巻 拳客のエデン

(2011年12月発行、 978-4088703398)

第5巻 Zの一番長い日

(2012年6月発行、 978-4088704357)

第6巻 人狼大作戦

(2012年12月発行、 978-4088705583)

第7巻 マクロの決死圏

(2013年6月発行、 978-4088708683)

第8巻 幻界病棟ライゼズ

(2013年12月発行、 978-4088708690)

第9巻 鰓呼吸ブルース

(2014年6月発行、 978-4088800783)

第10巻 妖眼幻視行

(2015年4月発行、 978-4088802336)

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