双星の陰陽師

双星の陰陽師

初連載作『貧乏神が!』に次ぐ助野嘉昭の2作目の連載作品。陰陽師という職業のある世界。陰陽師の適性がある少年が凄腕陰陽師となり、宿敵の少年を打ち倒すまでを描いた格闘アクション。集英社「ジャンプスクエア」2013年12月号から2024年10月号まで連載。2016年4月テレビアニメ化。

正式名称
双星の陰陽師
ふりがな
そうせいのおんみょうじ
作者
ジャンル
バトル
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊35巻
関連商品
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世界観

舞台設定は現代だが、陰陽師という職業が日本政府から公式に認められており、総覇陰陽連という組織が陰陽師を束ねているという独自の設定がある。総覇陰陽連のトップは土御門有馬で、彼は日本政府との橋渡し役と土御門島の管理を担っている。陰陽師になるためには陰陽師の候補生になる必要がある。

あらすじ

焔魔堂ろくろは、陰陽師の適性を持ちながら、陰陽師にはなりたくないと公言している少年だった。しかし、化野紅緒との出会いを通じ、ろくろは自分の未熟な考えを改めていく。そんな2人に対し、総覇陰陽連から、双星の陰陽師という特殊な陰陽師になり、神子と呼ばれる子供を産むという任務が課される。ろくろは不服を申し立てるものの総覇陰陽連の決定に逆らうことはできず、紅緒との共同生活をスタートさせるのだった。

メディアミックス

テレビアニメ

2016年4月より、テレビ東京系列で田口智久監督によるテレビアニメ版が放送された。アニメーション制作はstudioぴえろ。20話まで原作と同様のストーリー展開だが、それ以降は「列島覇乱篇」「天地鳴動篇」のサブタイトルで、テレビアニメ版オリジナルの展開が描かれている。焔魔堂ろくろ役を花江夏樹、化野紅緒役を潘めぐみが演じている。

テレビゲーム

2017年1月26日に、PS Vita用ゲームソフト「双星の陰陽師」が発売された。ジャンルは「双星激闘バトル&アドベンチャー」で、RPGパートと陰陽師の女の子たちとの会話を楽しむアドベンチャーパートが交互に展開される。キャストはテレビアニメ版と同じく、焔魔堂ろくろ役を花江夏樹、化野紅緒役を潘めぐみが演じている。

登場人物・キャラクター

焔魔堂 ろくろ (えんまどう ろくろ)

市立鳴神中学校に通う、猪突猛進型の少年。星火寮で暮らしている陰陽師でもある。天若清弦の弟子。双星の陰陽師の1人である化野紅緒については、見習うべきところがあると考え、意識してもいるが、素直に接することができない。雛月の悲劇の生き残りであり、土御門島に行き、この事件を引き起こした石鏡悠斗を倒そうとしている。 歴代最高峰と呼ばれる陰陽師である、安倍晴明をその身に宿している。なお、雛月の悲劇において右手をケガレ化されている。

化野 紅緒 (あだしの べにお)

市立鳴神中学校の転入生で、女ながらに、陰陽師の名門である化野家の次期当主でもある。両親を殺した婆娑羅のことを非常に憎んでいる。禍野には幼い頃から出入りしており、陰陽師としての実力は折り紙付き。雛月の悲劇を引き起こした石鏡悠斗の双子の妹で、その被害者である焔魔堂ろくろに対しては申し訳ない思いを抱いている。 クールな見た目に反して、ろくろに嬉しい言葉をかけられると真っ赤になるなど、純情な面もある。おはぎをこよなく愛している。

音海 繭良 (おとみ まゆら)

市立鳴神中学校で焔魔堂ろくろと化野紅緒のクラスメイトの女の子。星火寮をまとめる音海善吉の孫で、天若清弦の娘。ろくろにずっと想いを寄せており、当初は紅緒のことを認められずにいた。しかし、次第に紅緒がろくろの隣でともに戦っていくだけの実力を持つことを認め、紅緒の数少ない友達となる。胸が大きいことにコンプレックスを抱いている。

石鏡 悠斗 (いじか ゆうと)

天若清弦の元弟子で、化野紅緒の双子の兄。雛月の悲劇を引き起こし、焔魔堂ろくろの右腕をケガレ化させた張本人。冷酷で残忍な性格で、妹である紅緒のこともただ「弱いもの」としか認識していない。雛月の悲劇において祓われたと思われていたが、実は生存しており、成長したろくろたちの前に姿を現す。

土御門 有馬 (つちみかど ありま)

総覇陰陽連の陰陽頭を務める男性。神子を誕生させられる双星の陰陽師が現れたことを非常に喜んでおり、焔魔堂ろくろと化野紅緒が子をなすことを楽しみにしている。元来はそこまで冷酷な人間ではないが、すべての陰陽師を束ねる地位にいるため、時には非情な決断を下すこともある。ろくろと紅緒に時に試練を与えるのも、その一環である。

天若 清弦 (あまわか せいげん)

十二天将の1人で「白虎」の称号を持つ男性。音海繭良の父親で、焔魔堂ろくろの師匠。ろくろのことは短い期間しか面倒は見ていないと語るが、彼のことを心配したり気遣ったりと、ろくろにとっては父親のような存在。実力は十二神将の中でも折り紙付き。

斑鳩 士門 (いかるが しもん)

十二天将の1人で「朱雀」の称号を持つ少年。斑鳩小夜の兄。師匠である天若清弦のことを信奉していると同時に、いつか彼を超えたいと思っている。短気で人の挑発に乗りやすいところが焔魔堂ろくろと似ており、ろくろに対して何かと突っかかることが多い。

斑鳩 小夜 (いかるが さよ)

土御門島に住む斑鳩家の少女。現在、見極めの儀を行うことのできる唯一の存在。その身に安倍晴明の母親と言われている「葛の葉」という陰陽師を宿しており、その力の強さの反動で短命であることが宿命づけられている。そのため、土御門島から出してもらうことができない。

安倍 晴明 (あべの せいめい)

焔魔堂ろくろに憑いている歴代最高峰と呼ばれる陰陽師で、ろくろの双星の陰陽師の力を高めている。そのため、次の神子は彼を超える存在になるとも言われている。見極めの儀にて、ろくろに安倍晴明が憑いていることが発覚した。

神威 (かむい)

婆娑羅の1人で見た目は青年。強い陰陽師と戦うことが好き。化野紅緒が両足を失った時、そのままでは1人の「強い相手」がいなくなってしまうことを悲しみ、ケガレを使って禍野における紅緒の足を与えた。のちに、土御門島に帰っていった。

椥辻 亮悟 (なぎつじ りょうご)

焔魔堂ろくろと同じく星火寮で暮らしている、ろくろの兄貴分の陰陽師。星火寮に来てからのろくろは陰陽師という存在を嫌っていたが、それでもろくろのことを信じ続けていた。ろくろが双星の陰陽師に選ばれた時も、誰より喜んだ。

国崎 慎之助 (くざき しんのすけ)

焔魔堂ろくろと同じく星火寮で暮らしている陰陽師の男性。突っ込み役に回ることが多く、よくボケる額塚篤と行動をともにしていることが多い。前髪が長く、目を隠している。星火寮の面々が何かとボケ続けるため、いちいち突っ込むことに疲れている節もある。

額塚 篤 (すくまづか あつし)

焔魔堂ろくろと同じく星火寮で暮らしている陰陽師の男性。明るく能天気だが、陰陽師としての実力は確か。何かとボケることが多く、突っ込んでくれる国崎慎之助と行動をともにしていることが多い。ろくろに意見を求めたり同調したりと、彼と関わることも多い。

音海 善吉 (おとみ ぜんきち)

音海繭良の祖父で、星火寮の寮長。雛月の悲劇によって雛月寮が壊滅し、星火寮に移ってきた焔魔堂ろくろのことを気にかけている。ひょうひょうとした人物でありながら決断力はある。星火寮周辺のケガレによる異変を星火寮の陰陽師たちに解決させている。

生琉里 絹 (ふるさと きぬ)

化野紅緒の世話係の婆や。音海善吉の友人。もともとは化野家に住み込みで働いていたが、紅緒が星火寮に移ったため、ともに星火寮に移った。紅緒のことを第一に考えており、彼女の夫となる焔魔堂ろくろのことはあまり快く思っていない。

嗎 新 (いななき あらた)

十二天将で「太裳」の称号を持つ42歳の男性。冷静な切れ者で、焔魔堂ろくろと化野紅緒が勝手に石鏡悠斗と戦った際には彼らを諫める役割を担った。ろくろの実力は認めてはいるものの、十二天将には遠く及ばないと思っている。

膳所 美玖 (ぜぜ みく)

十二天将で「太陰」の称号を持つ少女。ロリータファッションでお姫様のような雰囲気を醸し出しているが、口を開けば毒舌が飛び出す。ちなみにその際は、小さな声でこっそりと毒舌を吐く。焔魔堂ろくろと化野紅緒が勝手に石鏡悠斗と戦った際、彼らを諫める役割を担った。

集団・組織

陰陽師の候補生 (おんみょうじのこうほせい)

陰陽師になるための訓練をしていた、雛月寮の幼い少年少女たちのこと。焔魔堂ろくろも雛月寮にいた頃は陰陽師の候補生だった。正式な陰陽師になるには、陰陽師の候補生から始めなくてはならないが、名門である化野家の化野紅緒は特別扱いで、陰陽師の候補生となる過程を飛ばしている。

十二天将 (じゅうにてんしょう)

安倍晴明が使役したと言われる式神にあやかった、武術・呪力・知識・戦闘経験に秀でた最強最高ランクの陰陽師たちのこと。その名の通り、天若清弦や斑鳩士門など12人で構成される。霊符を使って十二神将それぞれの式神を使役することができる。

総覇陰陽連 (そうはおんみょうれん)

各地に散らばる陰陽師たちをまとめ上げる組織。トップは陰陽頭の土御門有馬が務めている。幹部が何人もおり、その中には十二天将も含まれる。古くさい慣習に囚われている幹部がいる一方で、双星の陰陽師である焔魔堂ろくろの実力を信じる革新派の幹部もいる。

婆娑羅 (ばさら)

ケガレでありながら、一介のケガレをはるかに上回る力を有するもののことで、「人の形をしながら、人の理を外れたもの」という意味がある。人と同じ形を取り、会話することもできる。禍野をなくそうと活動している陰陽師たちの最大の敵。

場所

星火寮 (せいかりょう)

焔魔堂ろくろたちが暮らしている陰陽師のための寮。市立鳴神中学校の近くにあり、ろくろたちはここから中学校へ通っている。寮長は音海善吉。ろくろと化野紅緒が双星の陰陽師に決まった後は、紅緒もこの寮に住むようになった。

雛月寮 (ひいなづきりょう)

焔魔堂ろくろがかつて生活していた、陰陽師になるための寮。陰陽師の候補生たちが暮らしており、石鏡悠斗もここにいたことがある。のちに雛月の悲劇によって壊滅してしまう。その時にはろくろと仲のよかった候補生も多く死亡したため、ろくろはこの寮に居た頃の話をしたがらない。

禍野 (まがの)

日本に1000年以上前から存在している負の世界で、ケガレを作り出している場所。人間と禍野が存在している限り、ケガレは生まれ続けると言われている。陰陽師たちは禍野に入り、ケガレと戦い続けている。

土御門島 (つちみかどじま)

総覇陰陽連の本部が置かれた、陰陽師の総本山で、日本政府から自治を認められた陰陽師だけの島。陰陽師の伝承の中で、すべてのケガレが流れ着くとされている。1000年にわたる陰陽師とケガレによる戦いの最前線にして、最終決戦の場所。

イベント・出来事

雛月の悲劇 (ひいなづきのひげき)

禍野から現れた十数匹のケガレが雛月寮を襲い、そこにいた陰陽師の候補生18人ほぼ全員が死んだという事件。実際は石鏡悠斗が呪法を用いて、候補生たちをケガレ化させていた。焔魔堂ろくろは悠斗によってケガレ化させられそうになった際、腕だけケガレ化したものの、運良く生き残った。

その他キーワード

霊符 (れいふ)

呪力を別途用意しておくために使うアイテムのこと。あらかじめ霊符に呪力をこめておくことによって、禍野で呪力が枯渇しそうになっても、霊符によってケガレを倒すことができることもある。ただし、霊符は種類をたくさん持っていれば良いというわけではない。よく使う霊符から慣れることが必要である。

呪装 (じゅそう)

ケガレと戦うために陰陽師が身にまとう力のこと。剣の形をしていることが多いが、十二天将はそれに限らない。焔魔堂ろくろは自らの右腕を呪装とし、操っている。また呪装をいくつも使うことができるようになることを「呪装連装」と呼ぶ。

狩衣・総覇陰陽連仕様 (かりぎぬそうはおんみょうれんしよう)

ケガレと戦う組織、総覇陰陽連が禍野で戦うために改良した狩衣のこと。焔魔堂ろくろと化野紅緒が着ているのは最新バージョンである。総覇陰陽連本部から支給されるオリジナルがあり、それを個々でカスタマイズしている。

陰陽師 (おんみょうじ)

ケガレを祓い、人々を助ける使命を持つ者のこと。総覇陰陽連に所属が義務づけられており、そこからケガレを祓う依頼を請け負ったりする。星火寮の陰陽師は総覇陰陽連からの依頼がなくても、音海善吉からの言いつけによって、ケガレを祓いに行くこともある。

双星の陰陽師 (そうせいのおんみょうじ)

神子を誕生させるための存在で、焔魔堂ろくろと化野紅緒のことを指す。夫婦になることが定められている2人。土御門有馬が総覇陰陽連の幹部を集めた場にて、ろくろと紅緒の実力を幹部たちに認めさせ、神託によって定められた双星の陰陽師の称号を与えた。

呪力 (しゅりょく)

呪装を使うために必要な力。体力と比例している。これが枯渇すると、禍野でケガレと戦う際に何もできなくなってしまう。呪力の強さが陰陽師の強さと比例するため、呪力を強くすることが陰陽師で一番大切なこととなっている。焔魔堂ろくろや化野紅緒は呪力が高い。

ケガレ

陰陽師が戦う相手。禍野に住まうが、時に現実世界に現れてしまう異形のものたちのこと。歪な姿をしていることが多いが、婆娑羅のようにケガレでありながら、人の形を持つものもいる。婆娑羅はケガレの中でも上位に属している。

共振 (れぞなんす)

互いの呪力を重ね、倍増させる力。双星の陰陽師しか使うことができないため、現時点では焔魔堂ろくろと化野紅緒しか使うことができない。手をつなぐことで発動する。また、互いの心を1つにすることが必要とされている。

見極めの儀 (みきわめのぎ)

呪力そのものとの対話であり、陰陽師についている「守護霊の陰陽師」がいるかどうかを見極める儀式。安倍晴明の母親とされる「葛の葉」を「守護霊の陰陽師」として宿した斑鳩小夜しか行うことができない。なおこの儀式を行う際には、小夜は身に着けるものを極限まで減らす必要がある。

神子 (みこ)

安倍晴明をもしのぐ呪力を以て、すべてのケガレを祓い、忌まわしき禍野に終焉をもたらすと言われている最強の陰陽師のこと。双星の陰陽師から産まれるとされており、土御門有馬は神子が現れるのを心待ちにしている。

書誌情報

双星の陰陽師 35巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2014-02-04発行、 978-4088800158)

第21巻

(2020-03-04発行、 978-4088822327)

第29巻

(2022-09-02発行、 978-4088832357)

第30巻

(2023-01-04発行、 978-4088833439)

第31巻

(2023-05-02発行、 978-4088834955)

第32巻

(2023-09-04発行、 978-4088836386)

第33巻

(2024-02-02発行、 978-4088837772)

第34巻

(2024-07-04発行、 978-4088840451)

第35巻

(2024-11-01発行、 978-4088842196)

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