概要・あらすじ
イタリアの修道院で修業を積む青年・トマス(キロウ)は、父親の死によって家に代々伝わる棗希郎衛門という名前、莫大な財産、そして富と女を思いのままにする力・黄龍の耳を受け継ぐことになる。キロウは、棗家に代々仕える大河内伝一郎や、補佐役のシンクレア・ゴードンの助力を得ながら、黄龍の耳の力を弱きものの為に振るっていく。
そんな中、キロウは類稀な美貌と筆舌に尽くし難い閨房術を以て世の権力者を操る一族・美那から抜け出した美女・伽那子と出会い、恋に落ちてしまう。しかし、伽那子は棗家に恨みを持つ美那一族に再び連れ去られてしまい、キロウを呼び出すための餌にされてしまう。
次々と襲い来る美那の刺客に苦戦しつつも勝ち破っていくキロウは、京都に住む老尼・静月院から黄龍の耳の真実を知り、己の持つ定めを認識。また先々代の棗希郎衛門が使っていたとされる封印・炎龍の章を手に入れて黄龍の耳の力を強化し、美那一族を打ち破って伽那子を取り戻すことに成功する。その後キロウは棗家の当主として世界を回りながら、黄龍の力を愛の為に使っていくのだった。
登場人物・キャラクター
棗 希郎衛門 (なつめ きろうえもん)
代々棗希郎衛門の名前と、富と女を欲しいままにする伝説の力・黄龍の耳を継承する棗家の45代目の青年。正義感が強く、責任感のある真っ直ぐな性格の持ち主。少年の頃から数年間、イタリアの修道院でトマスという名前で修行を積んでいたが、父親であり、先代の44代目棗希郎衛門の死に伴い日本に帰国。 莫大な財産と黄龍の耳の力を受けついで棗家の当主となる。普段は左耳に空いた黄龍の耳の力の元である穴をリングで塞いでいるが、一度力を開放すると髪の毛が逆立つ。黄龍を抑える力は歴代の棗家の中でも随一。また戦いを通して着実に成長していき、力を開放せずとも常人離れした能力を見せるようになる。立派な男根とテクニックの持ち主でもあり、数々の女性に喜びをもたらす。 向こう見ずなこと、そして女好きであることが欠点。
四條 伽那子 (しじょう かなこ)
卓越した性技と美貌をもって歴史を陰から動かしてきた美那一族の一人。しかし、美しい容姿の持ち主ではあるものの、閨房術は修めていない。日本の次期首相と目される相馬甚三郎の息子、一郎への嫁入りを本家によって決定されてしまうが、これを拒否。一郎に無理やり連れて行かれそうになった所をキロウに助けられる。 その後、キロウに迷惑をかけまいと姿を消し、美那一族の元へ戻るが、再びキロウにより助けられ結ばれることとなる。多くの女性に愛を与えるキロウにとって最愛の女性であり、それ故に人質に取られることも多い。
シンクレア・ゴードン
ゴードン法律事務所を運営し、45代目棗希郎衛門を補佐する文武両道な金髪の美女。自由で無鉄砲なキロウに頭を悩ませつつも、彼のことを常に心配している。年下は恋愛の対象では無かったが、次第にキロウの魅力に惹きつけられていく。
大河内先生 (おおこうちせんせい)
歴代の首相が師と仰ぐ、法曹界の大物。棗家の力に心服しており、43代目から代々の棗家当主に仕えている。キロウのことは、若いながらも才能あふれる人物と認めており、彼の成長を日々願っている。長年政治の世界で生きてきたため、裏社会のことにも詳しく、美那一族のことを恐れている。
静月院 (せいぜついん)
京都のとある庵の主人である、老尼。若い頃の43代目棗希郎衛門と親交があり、黄龍の耳の力にも詳しい。ひときわ大きな耳が特徴的。43代目の意向を受け継ぎ、キロウに、黄龍の耳の力を封印する強力な輪・炎龍の輪を受け渡す。
周 汪文 (しゅう おうぶん)
香港財界において、若手で一番の実力を持つ実業家。持つものに無限の幸福をもたらすダイヤモンド・ガイアの雫を用いて、日本征服を企む。一時はキロウを追い詰めるも、炎龍の輪によって更なる力を手に入れたキロウによって敗れ去る。
セシル
パリで数々の男から金を巻き上げてきた天才女性詐欺師。突如フランスまで遠泳をしたキロウと遭遇する。その正体は44代目棗希郎衛門の娘であり、キロウにとっての異母姉。父親から受け継いだ、幸運をもたらす龍の鱗を模した石を持っているが、母親を捨ててどっかへ行ってしまった父親のことは憎んでいる。 ギャング・ルコ・マカスとの戦いの中で、キロウが黄龍の耳を持っていることを知ると彼のことも殺そうとするが、キロウの愛の強さに考えを改める。戦いの後は、キロウのことを認め、彼を力強く送り出した。
イヴ
新鋭のスーパーモデルとして注目を集める美女。しかし、その正体は世を忍ぶ人狼であり、黄龍の耳の力を持つ者を一族に作るため、弟のガイと共にキロウの子を孕んで彼を殺す計画を立てている。類稀な美貌に加えて性器から強い芳香を放っており、男を骨抜きにしてしまう。
虎砲 (こほう)
棗家が運を使う一方で、その反動として不運を集めてしまう一族・虎砲の45代目当主。逆立てた髪型と、鼻梁で交差するように大きくつけられた×印の傷を持つ。黄龍の耳の影響によって、不運に見舞われることになってしまった者たちを集め、棗家への復讐を計画する集団・影虎の賊の首領を務めている。 人間離れした戦闘能力と生命力と引き換えに、代々引き継がれている不運は身近な人や愛した人を必ず死に追いやってしまう程強力で、黄龍の耳と対になるような力である。女性を喜ばせる能力もキロウと同様に持つ。黄龍の耳の力を封印し、厄災をもたらすものに変化させてしまう呪封縛などを使う。
フォルス・ゲイツ
運動神経や運、頭脳、美的センスなど、あらゆる分野において水準をはるかに超える能力をもつ男性。性格も陽気でおおらか、更には紳士という好人物。最初は、美人ジャーナリスト・マルチダ・グレイスを巡ってキロウと対決するも、勝負が終わった後は無二の親友となる。しかし、その正体は世界経済を裏から操る秘密結社・ゾルグのトップであり、世界征服を企む野心家。 悠久の昔から生きており、左目は六芒星の印が入った、黄龍の耳と同等以上の力を持つとされる神の目を持つ。およそ2000年の時を生き続けているエジプトの女王・クレオパトラとは夫婦であるが、お互い利用し合っているだけであり、腹の探り合いが続いている。
クレオパトラ
約2000年前から生き続けている、世界一の美貌を持つエジプトの女王。黄龍の耳の力を利用し、神になることを目論んでいる。フォルス・ゲイツと夫婦であり、永遠の命も彼から貰ったもの。体を重ねることもあるが、実際にはお互いを利用し合っているのみ。キロウとフォルスの戦いの中で、黄龍の耳の力を手に入れることに成功するが、力に飲まれて死亡する。 世界三大美女に数えられたクレオパトラ7世をモデルとしている。
44代目棗希郎衛門 (よんじゅうよんだいめなつめきろうえもん)
キロウの父親であり、物語開始時は既に亡くなっている。黄龍の耳の持つ力に危機感を抱いており力の使用を避け、その墓標には「“力”より平穏を望むもの」と刻まれている。異端諮問官ペテロとの戦いの中、負けそうになったキロウの精神世界に現れ、彼に「正義」とは何なのかを諭した。
集団・組織
美那一族 (みないちぞく)
『黄龍の耳』に登場する集団。類稀な美貌と、男を骨抜きにする閨房術をもって歴史を陰から動かしてきた一族。また、暗殺集団も抱えており、強大な戦闘力も持っている。富のみならず、女までも欲しいままにしてしまう黄龍の耳を憎んでおり、45代目棗希郎衛門討伐に全力を挙げる。
その他キーワード
黄龍の耳 (こうりゅうのみみ)
『黄龍の耳』に登場する用語。棗家の当主が代々引き継ぐ、富と女を意のままにすると言われる左耳のこと。小さな穴が開いており、普段は強すぎる能力を封印するためにリングが嵌めてある。かつての中国皇帝・玄宗も持っていたとされる。世界を手中に収めることも可能だが、その反面使うものの心によっては全てを破壊する危険性も持ち合わせる。
クレジット
- 脚本
-
M・A・T , 東板前二
ベース
黄龍の耳