あらすじ
第1巻
ホテル「サンハトヤ」に宿泊している宝石商の岩瀬庄兵衛のもとに、娘の岩瀬サナエを誘拐するという、何者からかの手書きの脅迫状が届く。岩瀬から連絡を受け、名探偵の明智小五郎が身辺警護のためにサンハトヤへとやって来る。さっそく捜査に当たる明智だったが、岩瀬が所有している時価百億円といわれる世界最大の宝石「エジプトの星」の存在が気にかかっていた。そんな中、明智は同じホテルに宿泊する緑川夫人と出会う。彼女は、岩瀬の友人で岩瀬の宝石商のお得意様でもあった。犯人の本当の狙いは「エジプトの星」であることに目星をつけた明智のもとに、今夜12時に注意しろという犯行を予告したメモが届く。その後、ホテルのディナーショーを堪能した明智は、犯行予告時間まで、緑川夫人といっしょに「ゴマちゃんレースゲーム」を楽しむ。(第1回「今夜サンハトヤで」。ほか、10エピソード収録)
関連作品
小説
本作『黒トカゲ』は、江戸川乱歩の小説『黒蜥蜴』を原作としている。原作は、女盗賊の黒蜥蜴と名探偵の明智小五郎の攻防を描いた長編探偵小説で、TVドラマやラジオドラマ、漫画、戯曲、映画など、さまざまな作品が存在する。
登場人物・キャラクター
黒トカゲ
多数の子分を従える女盗賊で、左肩に黒蜥蜴の入れ墨がある。宝石商の岩瀬庄兵衛のもとに犯行予告状を送り、岩瀬の娘である岩瀬サナエを誘拐し、世界最大の宝石「エジプトの星」を盗もうと画策している。犯行場所となるホテル「サンハトヤ」では、岩瀬の友人「緑川夫人」と称して、宿泊していた。つねにハイテンションで、3時間しか寝なくても大丈夫なため、新聞配達のアルバイトもしているらしい。アザラシを模したぬいぐるみ「パチゴマちゃん」が大好きで、ぬいぐるみの中に銃や毒を仕込むこともある。テレビ番組『大食い女王決定戦』の熱烈なファン。
明智 小五郎
名探偵と名高い中年の男性。宝石商の岩瀬庄兵衛からの依頼を受け、岩瀬の娘である岩瀬サナエの身辺警護に当たる。犯行予告の時間まで緑川夫人といっしょにゲームで遊んでいるスキにサナエを誘拐されてしまうが、助手のトリ君とサカナちゃんを使ってサナエを取り戻し、緑川夫人が犯人であることをつき止めた。以後、緑川夫人の正体である黒トカゲを追い続けている。
岩瀬 庄兵衛
宝石商を営む成金の男性で、年齢は60代。いつも和服を着ている。時価百億円といわれる世界最大の宝石「エジプトの星」を所有しており、その宝石を盗賊の黒トカゲから狙われている。飼っている鯉に「300万ちゃん」「500万ちゃん」と名づけていることから、明智小五郎からは、すべて金でしか物の価値を測れない成金と揶揄されている。
岩瀬 サナエ
宝石商の岩瀬庄兵衛の娘。まだ幼いが、宝石「エジプトの星」を手に入れようとする盗賊の黒トカゲからその身を狙われている。一度、黒トカゲによってさらわれ、明智小五郎の助手であるトリ君とサカナちゃんによって救出されるものの、なぜか壺の中に入っていた。その後、再び黒トカゲによってさらわれてしまう。
ヒナ
黒トカゲの右腕にして参謀を務めるスリムな体型の女性。黒いサングラスと首のチョーカーを身につけている。黒トカゲの組織のNo.2で、いろいろと手が掛かる黒トカゲの世話をしている、乳母のような存在でもある。
雨宮 潤一
黒トカゲを崇拝する若い男性。黒トカゲの部下で、組織の底辺に位置する下っ端。新しく組織に入ってきた松吉と相部屋となり、よく松吉と喧嘩をしている。のちに桜山葉子と結婚する。
松吉
黒トカゲの組織に面接にやって来た老人。明智小五郎と顔がそっくりだという理由だけで、黒トカゲによって採用された。新入りのため、コンビニエンスストアにパシリとして買い物に行かされている。うっかり毒入りのビールを飲んで死亡するが、「うどん葬」として香川県のぶっかけうどんをぶっかけられたことでなぜか生き返った。
トリ君
明智小五郎の甥に当たる若い男性。無職だったため、明智から雇われて助手として働いている。同じく助手を務めるサカナちゃんとはやたら仲が悪く、喧嘩ばかりしている。明智にレストランに連れて行ってもらっても、ポテトフライしか食べない。
サカナちゃん
明智小五郎の姪に当たる若い女性。無職だったため、明智のもとで助手として働いている。同じく助手を務めるトリ君とは非常に仲が悪く、口汚く罵り合ってばかりいる。明智と共にレストランに行っても、ポテトフライしか食べない。
桜山 葉子
岩瀬サナエと瓜二つの女性。黒トカゲによってサナエがさらわれたと思われていたが、実は明智小五郎によって送り込まれた替え玉だった。黒トカゲはすでに桜山葉子がサナエの偽物であることに気づいているが、知らないふりをしてかわいがっている。のちに雨宮潤一と恋に落ちて結婚する。
クレジット
- 原作
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江戸川 乱歩