黒猫モンロヲ

黒猫モンロヲ

里親となって、猫と暮らすことを決めたヨッピーは、初めてのことにかなりの及び腰でお見合いへと向かい、1匹の黒猫と出会う。初対面にもかかわらず、ためらいなく膝の上に乗ってきたその猫は、今まで何組もの里親候補がいたにもかかわらず、決定に至らなかった。そこに運命を感じたヨッピーは、トライアル期間を経てこの黒猫を「モンロヲ」と名づけ、家族として迎えることを決める。黒猫モンロヲと人間ヨッピーが暮らす「フツーで特別な日々」を描く、コミックエッセイ。

正式名称
黒猫モンロヲ
ふりがな
くろねこもんろを
作者
ジャンル
エッセイ
 
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あらすじ

第1巻

イラストレーターのヨッピーは、少し広い部屋へ引っ越したことで、猫と暮らしたいと考えるようになった。しかし、家族を迎えるには相当な覚悟が必要だと、まずはおもちゃ屋さんでヒョウのぬいぐるみを買ってきて部屋に置き、猫のいる暮らしを疑似体験し、イメージトレーニングすることから始める。そして自問自答を繰り返し、猫を迎えたいという気持ちに真剣に向き合う期間を経たヨッピーは、いよいよ実行に移すことを決める。そこで里親のことを知ったヨッピーは、以前から気になっていた黒猫について、保護主の石田に連絡し、石田家を訪れる。きちんと掃除が行き届いた石田の家には、10匹以上の猫たちがいた。思い思いに過ごす猫たちの姿に癒されながら、ヨッピーは猫について詳しく話してくれる石田の言葉に耳を傾ける。すると、どこからともなくやってきた1匹の黒猫がなんの警戒もすることなく、ちょこんとヨッピーの膝の上に乗ってきた。石田は、たくさんいる猫の中で、この黒猫だけを里親に出すことになった経緯を語る。そして、今までたくさんの里親候補がいたにもかかわらず、決定に至らなかったことを知ったヨッピーは、この黒猫に運命を感じ、この黒猫とのお試し期間・トライアルをしたいと自ら申し出る。トライアル当日、用意された真新しいキャリーバッグに自分からすんなりと入った黒猫は、トライアル初日にして、夜はヨッピーの枕元で眠るという愛らしい姿を見せる。数日後、この黒猫とならやっていけると確信したヨッピーは、この子を家族に迎えたいと石田に連絡する。そして、黒猫に「モンロヲ」と名前づけ、一人と1匹の新しい暮らしが始まる。

登場人物・キャラクター

ヨッピー

イラストレーターを生業とする女性。東京のとある町で一人暮らしをしていたが、少し広いマンションに引っ越したことをきっかけに、犬と暮らしたいという幼い頃からの夢が再燃。しかし、犬と暮らせるほど広い部屋ではなかったことや、毎日の散歩など、さまざまな問題を考えた末に、犬はあきらめて猫を迎えることに思い至った。慎重に慎重を重ね、まずは猫と同じくらいのサイズのヒョウのぬいぐるみを購入し、猫のいる暮らしを疑似体験。そうすることで、猫を迎えたいという自分の気持ちが本物かどうかを自問自答し、真剣に向き合う期間を経て、里親になることを決意した。もともと黒猫を希望していたこともあり、雑誌の里親募集コーナーで見つけた黒猫(モンロヲ)を迎えることにした。当初、保護主である石田と連絡を取った時には、とりあえず話を聞き、猫に会ってみるだけと、かなり及び腰だった。しかし、人懐こいモンロヲに心惹かれ、トライアル期間を経て、家族として迎えることを決めた。「はらはらドーナツ」のドーナツが大好きで、公園のベンチで食べていた時、パンクファッションを身にまとったキルデスと知り合った。のちにモンロヲが知らぬあいだに脱走し、外を探していた時に偶然通りかかったキルデスがいっしょに探してくれたおかげで無事発見するに至った。実在の人物、ヨシヤスがモデル。

モンロヲ

ヨッピーといっしょに暮らすことになったオスの黒猫。もともとは石田に保護され、「ひじき」と名づけられて石田家の猫になる予定だったが、先住猫が彼に対して拒絶反応を示し、脱毛症を発症してしまったことで、石田が里子に出すことを決めたという経緯がある。雑誌に里親募集を掲載すると、10組ほど応募があったが、お見合いの結果がダメだったり、会う直前に風邪を引いていたりと、さまざまな理由で決定に至らなかった。その後、ヨッピーがお見合いのために石田家を訪れた際には、自分からヨッピーの膝に乗るなど、これまでに見せたことのない積極性で、ヨッピーに猫を飼うという気持ちを強くさせる要因を作った。お試し期間・トライアルが決まった時には、用意されたキャリーバッグに自ら入るなど、ふだんは見られない行動を起こし、トライアル初日にもかかわらず、夜にはヨッピーの枕元でいっしょに眠るという愛らしい姿を見せた。名前はマリリン・モンローが由来となっており、オスなのでモンローの「ロー」をタローやイチローなどのローという扱いにし、さらに表記を「モンロヲ」にすることでオスっぽさを出した。好きなことはお風呂のシャワーから出る水を飲むことと、ソファの角で爪を研ぐこと。そのため、ヨッピーの家のソファは爪研ぎあとでボロボロになっている。トイレ後にテンションが高くなって走り回るなど、機敏に動く反面、コップの水に躓(つまず)いてこぼしたり、カーテンレールの上で眠っていて落ちるなど、どんくさいところもある。サビコやチクワ、ブルおじさんなど、友達がたくさんいる。

石田 (いしだ)

猫の保護活動を行っている既婚の女性。自宅には10匹以上の猫を飼っており、保護した猫は基本的に自分の子としてかわいがっている。猫が多いために部屋を清潔に保つのは大変で、1日2回の掃除を欠かさない。初めて猫を迎えるというヨッピーに対し、猫に関する基本的なことを丁寧に解説した。お試し期間・トライアルを行った際には、実際に猫と暮らすために必要な、キャットフードや陶器の食器、猫用トイレにトイレ用砂に至るまで、一式を用意してヨッピーに持たせてあげた。もともとモンロヲを保護した時には、ほかの猫と同様に自分の子として迎えるつもりだったが、先住猫のうちの1匹がモンロヲに拒絶反応を示し、脱毛症を発症してしまった。そのため、泣く泣くモンロヲを手放すことを決めた。

ちょいちょいポトーンの妖精 (ちょいちょいぽとーんのようせい)

ヨッピーが携帯電話を失くした時に、夢の中に現れた小さな妖精。ダルマのようなフォルムで、頭には小さなゴミ箱を逆さまにしてかぶっている。ゴミ箱のふちに立って「ゴミ箱のフチダンス」を踊ったり、自分を写真に撮って欲しがったりと、何かと陽気に振る舞っている。ゴミ箱の中に飛び込んで、姿を消したあとにゴミ箱の中から亡くした携帯電話が発見された。

えっちゃん

関西弁を話すパーマヘアのおばちゃん。てっちゃんの幼なじみ。猫好きで、公園にいる野良猫にエサをやるのを日課にしている。しかし、猫への餌やりのために猫が増えることや、自宅の庭の植え込みにおしっこをされることで、てっちゃんから日常的に文句を言われており、公園で繰り広げられる二人のケンカは日常茶飯事となっている。だが、そんなに植え込みが大事なら家の中に植え込みを作ったらいいとか、命よりも己の植え込みの方が大事なのかと反論を繰り返し、てっちゃんから何を言われようとも簡単に引き下がることはない。実はてっちゃんとは昔から仲がよく、小さい頃は大きくなったらえっちゃんをお嫁さんにすると言われていたため、事あるごとにそれを引き合いに出し、応戦している。いつもケンカの仲裁役である神父ソンの提案で、野良猫を地域猫としてお世話していく「TNR」という方法を実行することになり、日々の餌やりに関して指導を受けた。

てっちゃん

パンチパーマにサングラスをかけ、口ひげを生やしたおじさん。えっちゃんの幼なじみ。いつも公園で野良猫に餌をやり続けているえっちゃんに、餌やりをやめるように言い続けている。猫が嫌いなわけではないが、自宅の庭の植え込みにおしっこをされるため、その匂いと猫が増えることを懸念している。しかし、えっちゃんには何を言っても伝わらず、公園での口ゲンカは日常茶飯事となっている。いつもケンカの仲裁役である神父ソンの提案で、野良猫を地域猫としてお世話していく「TNR」という方法を実行することになるが、不妊手術を施した猫を元の場所に帰すという点にのみ、難色を示す。しかし幼い頃に、拾った猫を元の場所に戻してくるように親から言われ、泣きながら教会の神父ソンのもとを訪れたことを思い出し、理解を示した。実はキルデスの父親。

神父ソン (しんぷそん)

教会の神父を務める男性。えっちゃんとてっちゃんが公園でケンカを始めると、その声を聞きつけてはいつも仲裁に入っている。神父ソンの仲裁によって、二人のケンカはいつもギリギリのところで収まっている。ケンカの原因になっている野良猫問題について、猫に詳しい園児のママに話を聞き、二人に「TNR」という方法を紹介した。それは猫をつかまえて不妊手術を施し、元の場所に帰すことで猫の増加を防ぎ、地域猫として温かく見守ること。そしてえっちゃんには、餌をあげたら食器や食べ残しを片付けることを指導した。そのうえで、人に馴れそうな猫や子猫は協会と協力して、チラシを作って里親を探すことを約束した。

キルデス

モヒカン頭にサングラスをかけた若い男性。パンクバンドを組んで音楽活動をしている。外見もかなりファンキーながら、ドーナツ好きで非常に優しい性格の持ち主。ある日、ベンチでドーナツを食べていたヨッピーの前でえっちゃんとてっちゃんがケンカを始めたことをきっかけに、ヨッピーに話しかけた。実はてっちゃんの息子で、二人の関係性やケンカになるいきさつなどに詳しい。日常的に起こる二人のケンカを「パーマ戦争」と呼んでおり、内心あきれている。ヨッピーから名前を聞かれた時、バンドの名前を「killです」と答えたつもりが、彼自身が「キルデス」という名前だと勘違いされている。のちに、ヨッピーの飼い猫のモンロヲが行方不明になった際、偶然通りかかったヨッピーから話を聞いてモンロヲの捜索に協力した。

サビコ

さび色のメス猫。自分の「サビ」という色の呼ばれ方を嫌っている。汚れていると思われたり、洗っていない毛布やボロ雑巾に例えられるなど、失礼な言われ方をすることに憤慨している。つねに空前のサビ猫ブームが来ないかと心待ちにしている。語尾に「でち」を付けるのが癖。

チクワ

モンロヲやサビコの友達のチワワ犬。「こんにちくわ」が定番の挨拶。あまりの小ささに、竹輪2本を手に持つこともできなかったが、両手それぞれを1本ずつ竹輪の穴に差し込むという方法を考案し、2本の竹輪を持つことに成功した。

ブルおじさん

モンロヲの友達のブルドッグ犬。モンロヲから一度「ブタおじさん」と言い間違えられたことがあり、呼び間違えられることに少々敏感になっている。猫たちが連れ立って一人旅に出かけようとしているところに遭遇し、それは一人旅ではなく、「みんな旅」だと訂正した。猫という生き物のシュールさを実感していたが、その後両手に竹輪をはめたチクワに出会い、シュールなのは猫だけじゃないことを改めて知ることになる。

キジシロー

キジトラ模様の猫。帽子をかぶり、ギターを弾いてニヒルを気取っている。旅に出ようとしていたモンロヲやサビコ一行に遭遇。目的の場所や荷物の中身などについて質問してみるものの、どんな答えにも「そう!それでいいのさ!」と返し、歌を歌い始める。

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