あらすじ
第1巻
ゲイバージーニアスで働くゲイのもちぎは、かつて実家の親との不和や就職先でのゲイバレ、うつ病などを克服して新たなゲイ人生を歩み始めていた。オーナーママのイチガヤや同僚たちに励まされたり見守られつつ、もちぎはゲイバージーニアスのお下劣ポジションで、ゲイバーを訪れるさまざまな客を楽しませていく。(第1話「ゲイバーっていう業界にいたころの話」。ほか、20エピソード収録)
登場人物・キャラクター
もちぎ
ゲイバージーニアスで働いているゲイの男性。北半球一美しいゲイを自称しており、一人称は「あたい」。パンツをはいた正体不明の着ぐるみにしか見えないが、実はモチでできている。母親にゲイバレしたことをきっかけに実家を出て上京し、ゲイ風俗で働きながら大学に進学して一般企業に就職した。しかし、就職先でゲイバレしたため精神を病み、退職に追い込まれた過去がある。ゲイ風俗時代の後輩のネコーハイから話を聞いたイチガヤに拾われ、ゲイバージーニアスで働くようになり、精神的にも人間的にも成長した。ゲイバージーニアスではお下劣担当で、50代から60代の男性を好む老け専。ゲイバージーニアスの周年パーティーでは、タツ、アイトと共に毎回奇妙な格好をしている。実在の人物、もちぎがモデル。
イチガヤ
ゲイバージーニアスのオーナーママを務める、ゲイの30代男性。キャップ帽をメカニックかぶりにしており、恋愛より仕事に重きを置いている。若い男性を好む若専だが、ゲイバージーニアスの店子(水商売の従業員を意味する俗語)は家族のような存在と認識しているため、好みの範疇ではない。もちぎが苦しんでいる姿を見たネコーハイから相談を受け、もちぎに店子にならないかと持ちかけた。店子や客の様子をよく見ており、必要な時には諭すように説教をすることもある。飼い犬を溺愛している。
ミライ
ゲイバージーニアスのチーママを務める、ゲイの男性。もちぎと同い年で、お店では優しいお姉さん的な存在。年上でゲイっぽくない、完璧な男性が好みのために、もちぎやカケルはタイプではない。家族にもゲイであることをカミングアウトしており、ゲイバージーニアスにはミライの父親が来店することもある。
カケル
ゲイバージーニアスの店子で、ゲイの男性。眼鏡をかけたイケメンで、若いゲイや女性客向けのアイドル的なポジションを担当している。やせた体型で自分より身長が低く、体毛の薄い同年代の男性が好み。潔癖症であることに加え、人前で「キレイ」を売る仕事だからと化粧やエステを欠かさない。もちぎが以前うつ病を患った経験があり、投薬しながらゲイバージーニアスでハイペースで酒を飲まされていることを心配して、割モノを足すなど年上らしい優しい配慮を見せる。
タツ
ゲイバージーニアスの店子で、ゲイの男性。ツーブロックヘアで店子の中では最年少の20歳で、おバカな盛り上げ役を担当している。男らしくてがっちりしている男性が好み。16歳の頃から名古屋のゲイバーで働いていたため、もちぎよりもゲイバーの世界に詳しい。ゲイバージーニアスの周年パーティーでは、もちぎ、アイトと共に毎回奇妙な格好をしている。
アイト
ゲイバージーニアスの店子で、無性愛者の男性。長身で、ぼんやりした不思議系ゆるふわポジションを担当している。派遣のシステムエンジニアを務めているが、一般社会における恋愛話や性的会話の多さに辟易しており、いろいろなセクシュアリティの人間が集まるゲイバージーニアスに安心感を覚えている。ゲイバージーニアスの周年パーティーでは、もちぎ、タツと共に毎回奇妙な格好をしている。
ネコーハイ
もちぎがゲイ風俗で働いていた頃からの後輩で、猫の姿をしている。もちぎが一度ゲイ風俗を卒業したものの、就職先にゲイバレしたため精神を病んで退職したことを知っている。退職後は再度ゲイ風俗に身を沈めていることや、投薬治療を続けているが快方に向かっていないことにも気づいていた。行きつけの店であるゲイバージーニアスのママ、イチガヤに相談を持ちかけ、もちぎとイチガヤを引き合わせた。
よく飲みに来る女の子 (よくのみにくるおんなのこ)
ゲイバージーニアスの常連客の女性。年齢は22歳。父親が厳しいため、一人暮らしが許されておらず、門限も決められている。親の束縛を理不尽なものだと考えているが反抗できず、どう乗り越えるべきかえを苦悩しており、もちぎに相談を持ちかけた。
ミライの父親 (みらいのちちおや)
ミライの父親。ミライがゲイであることを理解しており、時おりゲイバージーニアスにも顔を出している。しかし、心のどこかで将来ミライが女性と結婚して家庭を持ってくれればと願っており、ついついそれを口に出してしまうこともある。
ビアンの子 (びあんのこ)
もちぎの友人で、レズビアンの女性。ゲイバージーニアスと同じテナントビルに入居するレズビアンバーで働いている。男性からナンパされるほどの美人ながら、同性愛者を馬鹿にするような態度を見せる人間に対しては非常に辛辣な態度を見せる。
外国人の客 (がいこくじんのきゃく)
ゲイバージーニアスに遊びにきた、ゲイのカナダ人男性。日本人のずんぐりむっくりとした体型と足の短さにフェチズムを感じており、日本人男性の生足を拝むために来日した。もちぎを美しいと賞賛したただ一人の人物で、もちぎの自虐精神を逆転させ、自己肯定感を急上昇させることとなった。
女友達 (おんなともだち)
もちぎの友人で、ノンケの女性。彼氏が「デブ」「ブス」「ババア」などの暴言でしか自分を呼んでくれないことに悩み、ゲイバージーニアスに相談に訪れた。もちぎたちによって彼氏のキンタマをもぎ取られそうになるが、イチガヤに彼氏を会わせることで合意した。
初心者ゲイ (しょしんしゃげい)
ゲイバージーニアスの常連客に連れられてやってきた、ゲイの男性。ゲイバレを恐れるあまりSNSすらしておらず、常連客とはディープなゲイしか使用していない写メ掲示板で知り合った。自分がゲイである確信が持てておらず、自分以外のゲイと出会うのもゲイバージーニアスを訪れた日が初めてだった。
場所
ゲイバージーニアス
イチガヤがオーナーママを務めるゲイバー。テナントビルにある14席ほどの小さな店。主に若い男性を目的にゲイが集まる、いわゆる若専系の店だが、ノンケや女性も入店が許可されている。簡易キッチンもあり、不定期だがつき出しや料理を出すこともある。周年パーティーでは店子全員が着飾り、シャンパンが飛び交う盛大なお祝いが行なわれている。
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