概要・あらすじ
生物オタクとして周囲から蔑まれていた住田秋。同じ高校に通う女生徒・桂木ユイにひと目惚れした彼は、彼女に振り向いてもらえる男になるため、根暗で卑屈な自分を変える決心をする。男に対して厳しい目線を持つ姉妹たちの特訓を受けること一年半、女をつかむあらゆる技と、本命の女性以外には手を出さないBバージンという思想を身に着けた。
そして、桂木ユイと同じ大学に密かに進学した住田秋は、早速、彼女へのアプローチを開始。だが、あらん限りの技術を駆使しても、本命の桂木ユイはなかなか心を開いてくれない。やがて様々な人々との触れ合いを通じて、自分がモテる技術だけで中身を失った改造人間であること、技術だけでは桂木ユイの心を本当の意味で手に入れられないことに気付く。
そして、自分が本来やりたかったことを突き詰め、その姿をさらけ出すことで、彼女を勝ち得ようとするのだった。
登場人物・キャラクター
住田 秋 (すみた あき)
生物オタクで生物部に所属する根暗な高校生で、卑屈なカエルのような印象から、「ヒクガエル」という悲惨な渾名で蔑まれていた。だが、高校二年のとき、同学年の桂木ユイにひと目惚れし、今までの自分を変える一大決心をする。そして大好きだった生物から離れ、長姉・住田春香、次姉・住田夏紀及び妹・住田冬実のスパルタ教育によって、別人の如きイケメンに生まれ変わった。 その成果は絶大で、たとえ内心激しく動揺していても、女性の前では反射的に「女をつかむ技」が出てしまうほど。だが、イケメンとしての技術は完璧でも、経験に裏付けられた自信がないこと、嫌われていた時代のトラウマが常に燻っている。テクニックで本心を覆い隠し、正念場で的を外してしまいがち。 また、人と触れ合う機会に恵まれなかったせいで人情に極めて脆く、相手の感情を考えすぎて重要な決断を誤ることも多い。
桂木 ユイ (かつらぎ ゆい)
住田秋が想いを寄せるヒロインで、彼と同じ高校の出身だが、再会した住田秋のことは、昔の写真を見せられるまで気づいていなかった。当初は佐伯明広に恋をしていたが、彼が多くの女性と関係を持っていたことにショックを受け、ある種の男性不信に陥ってしまう。以来、女の扱いが上手そうな男に対して特に警戒心が強い。 またその経緯と、子供の頃のあるコンプレックスから、恋愛で傷つくことをひどく恐れており、関係が深くなりそうな場面や会話になると冗談を言ってはぐらかすなど、途端に心を閉ざしにかかる傾向がある。このため、住田秋のラブコールになかなか応えようとしなかったが、時折彼が意図せず見せる本音から、徐々に心を開いていった。
乙丸 ありさ (おとまる ありさ)
住田秋が通う大学の同級生で、キャンパスNo.1と噂される美女。多くのキープ男を従えている様から、女王アリサと呼ばれる。同じくキャンパスで人気者の住田秋を虜にしようと画策し、様々な手練手管で彼を誘惑した。が、住田秋の純情さに触れたことで、逆に自分が虜になってしまい、本気の恋を知ることになる。 そして一時は、住田秋と恋人関係になるが、直感的に彼が「女を喜ばせるために作られた改造人間」であることを看破。また、住田秋の本心では自分ではなく、桂木ユイがNo.1であることにも薄々感づいており、自ら別れを告げた。
北川 ミル (きたがわ みる)
住田秋がアルバイトをしていた有明水族館の女性職員。彼の優しさと並々ならぬ生物への知識・情熱に触れ、一気に惹かれていく。行動力と度胸を備える関西人で、桂木ユイと偶然出会った際には彼女に宣戦布告したり、佐藤元三とのPK試合に連れ出したりした。だが、住田秋と桂木ユイの両者に接することで、二人が本心ではどれだけ愛し合っているかを悟ってしまい、身を引く。
樹火 滝萌 (きびたき もえ)
有明水族館に新館長として赴任してきた樹火滝俊行の娘。難病を患った際に無認可の新薬を投与され薬害を受けた過去があり、薬の使用許可を出した父親を恨んでいる。そのため、父親の仕事に関わる人々を、罠にハメて破滅させることに歪んだ悦びを見出しており、住田秋もその標的のひとりとなった。
稲葉 ヒデキ (いなば ひでき)
バー・HIDE & SEEKのマスターでゲイ。街のバーで飲んだくれていた住田秋と知り合い、以後住田秋の良き相談相手となる。元ヤンキーからホストとなり、多くの女性を泣かせた挙句、女に幻滅しゲイになった。事あるごとに住田秋を唆したり、ゲイの道へと誘ったりするが、本心では住田秋の恋の行方を様々な形で応援している。
ケイコ
バー・HIDE & SEEKで働くウェイトレス。稲葉ヒデキの女友達だが、傍目には夫婦に見えるくらい仲が良い。住田秋に女性ならではの様々なアドバイスをし、稲葉ヒデキとともに住田秋の恋を見守っている。生物学者にやたら詳しいなど、時折、謎の知識を披露することも。
鴨川 広樹 (かもがわ ひろき)
『Bバージン』の登場人物フジガオカ大学のサッカー部員。クスリを使って武田ミホを落とし、次の標的を桂木ユイに定めたところで、住田秋に阻止された。元々はチーマー・ヘルタースケルターのヘッドで、今でも後輩たちに顔が利く、かなりの人脈をもつ男。最初は無理矢理犯した格好だったが、その後、武田ミホに言われた一言が心に刺さったことから、彼女を本気で愛するようになり、彼女もそれを受け入れる。 武田ミホと付き合うようになってからは、親友の佐藤元三と住田秋のPK試合で住田秋を特訓するなど、彼を強力にバックアップするひとりとなった。
武田 ミホ (たけだ みほ)
桂木ユイの親友で愚痴聞き相手。童顔や小柄な体格に似あわず、精神的には桂木ユイや住田秋よりもよほど成熟している。住田秋と桂木ユイが本心では好き合っていることを早い段階から察しており、二人の関係進展を支え続けた。後に、鴨川広樹と付き合うようになる。
佐伯 明広 (さえき あきひろ)
桂木ユイの最初の恋人で大手広告代理店社員。登場時は27歳。多くのセックスフレンドを抱えるオトナの色男だが、桂木ユイを巡って住田秋と戦うことになる。実は、住田秋の姉・住田春子と過去に関係があり、後に住田春子と結婚、住田秋の義兄になった。住田秋のテクニックは彼をベースにしたものであり、そのことから住田秋は彼を許しきれなかったが、佐伯明広は純情な住田秋を眩しく思い、住田秋のひとり暮らしを裏から支える。
佐藤 元三 (さとう もとみ)
フジガオカ大学のサッカー部員で、鴨川広樹の親友。過去の失恋体験から、強い男に群がる女に嫌悪感を抱いていた。が、桂木ユイに出会って、そういう女性ばかりではないことに気づき、彼女に惹かれるようになる。自信に満ち溢れており、自分の心情をストレート過ぎるほどに伝える強引なタイプで、内面に不安を持ちながらテクニックでフォローする住田秋とは正反対の男。 桂木ユイにとっても初めてのタイプだったため、陥落寸前まで追い込まれた。
和田 (わだ)
有明水族館の幹部で、口数は少ないが威圧感がある。過去に環境保護団体のグリーンピースやブルーアースに所属していたと噂され、そちら方面への人脈の持ち主。住田秋が水族館でのアルバイトを志願した際に、当初は追い返す。だが、彼の真剣さを認め、働くことを許した。樹火滝俊行へのクーデター事件では首謀者として動き、事件後は海外へ高飛びしている。
樹火滝 俊行 (きびたき としゆき)
有明水族館の不振を立て直すために新任した水族館長で、樹火滝萌の実父。他の水族館で興業的成功を収めた実績を持つが、生物に愛着があるわけではなく、ただの商品と考えており、使えないものは簡単に殺処分や廃棄を行う。そのため、和田ら心ある職員には唾棄するほど嫌われており、やがてクーデターへと発展した。
その他キーワード
Bバージン (びーばーじん)
『Bバージン』に登場する用語。住田秋が姉から植え付けられた思想で「女はいつでも抱けるイケメンだが、本命の相手以外とは敢えて寝ない」というもの。姉・住田夏紀の言葉を借りれば「君を大事にしたいから、他の女とはやらないぜ」となる。他にAバージンとCバージンというパターンがあり、前者は金持ちのお坊ちゃんやお嬢ちゃんで両親のガードが硬くてやれないタイプ、後者は本人がオタクなどで異性に相手にされず、やれないタイプ。