BLUE MOMENT ブルーモーメント

BLUE MOMENT ブルーモーメント

劇場アニメ化された『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』で知られる、小沢かなによる気象災害を題材にした作品。映画『天気の子』の監修を務めた、気象庁気象研究所研究官、雲研究者の荒木健太郎が監修を担当。舞台は、つくば気象庁気象研究所。イケメンだが高圧的な研究官の晴原柑九朗と、性格に難があり仕事が続かない派遣社員の雲田彩が主人公。自然災害から人命を守るために活動するSDM本部(特別災害対策本部)の一員でもある柑九朗とその助手の雲田が、災害発生現場の最前線で奮闘する姿を描いた本格気象ドラマ。重厚な人間ドラマのほか、「線状降水帯」「マルチセルによる降雹」ほか、気象現象の発生メカニズムが、図解で説明される点も特徴。KADOKAWA「COMIC BRIDGE online(現・ COMIC BRIDGE)」にて、2018年11月27日より連載。山下智久主演でテレビドラマ化。2024年4月24日からフジテレビ系にて放送。

正式名称
BLUE MOMENT ブルーモーメント
ふりがな
ぶるーもーめんと
作者
ジャンル
その他職業・ビジネス
 
社会問題
レーベル
BRIDGE COMICS(KADOKAWA)
巻数
既刊3巻
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性格に難ありの二人の出会い

雲田彩は23歳の派遣社員。英語が堪能で仕事もできるが、派遣先でずけずけものを言うことからトラブルになり、解雇されてしまう。その後、何とか「つくば気象庁気象研究所」に採用され、研究官の晴原柑九朗の助手になった。一方、晴原は「雲王子」の愛称を持つ、大人気のイケメン研究者だが、実際はぶっきらぼうで高圧的な性格。気象についての知識を広めるため、嫌々ながらテレビ出演や本の出版、SNSなどをやっているだけであった。癖の強い二人は、初対面からケンカの連続だったが、晴原のもう一つの顔である、SDM本部(特別災害対策本部)の任務を通じて、次第にわかりあえるようになる。誰に対しても厳しい口調で命令していた晴原は「非常事態のときこそ相手に寄り添った言葉を選ぶべき」と彩に言われて納得する。そして彩は、晴原が誰かにとって大事な命をひとつでも多く救うことに一生懸命であることを知り、天気予報が「命を守るためのもの」であることを理解するのであった。

亡くなった妻の思いを受け継ぐ晴原

晴原は、豪雨で妻の灯と子供を亡くした過去を持つ。当時灯は気象予報官で晴原はテレビ局の職員だった。子供が生まれた直後、灯は晴原をビルの屋上に連れていき、街全体が染まるほどの濃く青い空を見せる。それは日の出前と日の入り後のわずかな時間だけ見られる「ブルーモーメント」という現象だった。青い時間の中で、灯は大事な未来のための計画があることをほのめかした。豪雨が続くある日、晴原は緊急の応援要請に応じ、大事な話があるという灯を置いて職場に向かう。それを最後に「平成2X年9月豪雨」と名付けられた災害で灯と子供は亡くなってしまった。灯の父である園部官房副長官は、灯を置いていった晴原に怒りをぶつけ、灯の夢を叶(かな)えるといってある冊子を手渡す。それは、灯によるSDM本部(特別災害対策本部)設置の提言だった。こうしてSDM本部が誕生した。晴原は今でも灯の話を聞かなかったことを後悔し、気象に詳しい彼女が、子供を抱えて危険な場所に向かった理由を探している。

母の死をきっかけに生き方を変えた彩

彩もまた、大切な人を亡くした過去を持つ。彩がまだ小さい頃、海の彼方から昇る朝陽を見て「朝だからあたりまえ」だと言う彩に、「今日もちゃんと朝陽が見られるのは奇跡」と微笑みながら母が返したことがあった。その後、母は入院してしまうが、すぐに元気になるものだと彩は考えていた。だから、感謝の言葉と母の日の絵を渡し忘れたときも、後でいいやとそのまま登校する。しかし、学校で母の容態の急変を知らされ、駆けつけたときにはすでに母は亡くなっていた。彩は感謝を伝えなかったことを激しく後悔し、朝がくるのはあたりまえではなく奇跡だという意味を理解する。それ以来、彩はどんな小さなことでも、言いたいときに言うようになり、身体を酷使する晴原にも、休養するように強く迫る。大切な人を失う辛さを知る人が、同じことをしないよう、晴原にお願いするのであった。

登場人物・キャラクター

晴原 柑九朗 (はるはら かんくろう)

気象庁気象研究所の研究官である36歳の男性。SDM本部(特別災害対策本部)の一員でもある。SNSフォローワー数60万人超、雲と空の写真集などの著書が合計200万部を突破する、大人気イケメン研究者。しかし、愛想が良いのは外面だけで、実際は気難しく高圧的な性格である。豪雨災害で妻の灯と子供を亡くしており、一人でも多くの命を救おうと必死に行動する。そのため、ときには声を荒らげ人とぶつかり、強引な手段を取ることもある。新しく助手になった雲田彩とはケンカばかりだが、次第にわかり合うようになる。一般人からは「雲王子」「ハルカン」といった愛称で親しまれる。妻の灯には「かんちゃん」と呼ばれていた。

雲田 彩(くもだ あや) (くもだ あや)

気象庁気象研究所に勤める派遣社員の女性。社会人2年目の23歳女性で、晴原柑九朗の研究助手。海外暮らしが長いため英語が堪能。仕事はできるが、ずけずけものを言う性格が災いし、人とトラブルを起こしやすい。気象に関してはまったくの素人だったが、SDM本部(特別災害対策本部)の活動を通じて、天気予報の大切さを知る。幼い頃、感謝の言葉を伝える前に母を亡くしたことから、言いたいことはすぐに言うことを決めている。親しい友人からは「雲ちゃん」と呼ばれている。

晴原 灯 (そのべ あかり)

豪雨災害で子供とともに亡くなった晴原柑九朗の妻。柑九朗より3歳年上の女性で、黒のロングヘアーが特徴。旧姓は園部。父は高名な政治家で特命担当大臣(防災)の園部肇一。小学生の時の「数学オリンピック」決勝で柑九朗と初めて出会い、その後大学院生のときに再会。順調に交際を重ねて結婚し男の子をもうけた。気象庁気象研究所の研究官として働き、ひとつでも多くの大切な命を救うため、SDM本部(特別災害対策本部)の設置を提案する。灯の死後、SDMの夢は父により叶えられ、柑九朗もその一員となる。柑九朗のことは「かんちゃん」の愛称で呼んでいた。

クレジット

監修

荒木 健太郎

書誌情報

BLUE MOMENT ブルーモーメント Vol. 3巻 KADOKAWA〈BRIDGE COMICS〉

第1巻

(2019-05-02発行、 978-4040655666)

第2巻

(2020-09-08発行、 978-4040641461)

第3巻

(2024-04-08発行、 978-4046811158)

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