BURN THE WITCH

BURN THE WITCH

イギリスの裏側にあるというリバース・ロンドンを舞台に、特殊機関であるウイング・バインドに所属する新橋のえるとニニー・スパンコールが、「ドラゴン」と呼ばれる異形の生物に関する事件に挑む姿を描くバトルアクション。「尸魂界」など、久保帯人の『BLEACH』に登場した用語が随所に見られる。「週刊少年ジャンプ」2020年38号から掲載の作品。2020年劇場アニメ化。

正式名称
BURN THE WITCH
ふりがな
ばーん ざ うぃっち
作者
ジャンル
バトル
関連商品
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あらすじ

ウイング・バインド

ロンドンでは遥か昔から、「ドラゴン」と呼ばれる異形の存在によって人々の命が脅かされていた。やがて街の全死因の72%がドラゴンにかかわっていることが明らかになると、その被害を防ぐためにドラゴンを目視できるリバース・ロンドンの住人を中心とした組織が結成される。その一つであるウイング・バインド笛吹き隊に所属する新橋のえるニニー・スパンコールは、ドラゴンを保護、管理、退治する仕事を担っていた。そんな中、のえるの知り合いであるバルゴ・パークスが飼っているオスシちゃんの身体から、影のような物質が広がって覆面竜に変化してしまう。ナインブルック放牧場で収穫の仕事をしていたのえるとニニーは、上司であるビリー・バンクスJrの命により、ダークドラゴンの退治に向かう。二人は覆面竜に追われていたバルゴと、その友人であるセルビーを救助しようとするが、セルビーの身体が突如もう1匹の覆面竜に変化し、ニニーを捕食しようと襲い掛かる。バルゴは10年来の親友だと思っていた覆面竜に対して必死になって呼びかけるが、セルビーに擬態していただけの覆面竜から襲われる。だが、そこに現れたのえるが対竜絶対殺害砲を撃ち込むことで、覆面竜を打ち倒す。無事に生還したバルゴは、ドラゴン憑きとなってしまっていたが、ビリーの采配によって鎮静化したオスシちゃんと共に、ウイング・バインドで保護することが決まる。

シンデレラ

セシルは2度死ぬのメンバーであったメイシー・バルジャーが、突然グループを脱退する。その原因は、「VUMAN」と呼ばれるバーチャルキャラクターが参入したためとも、リーダーであるニニー・スパンコールとのトラブルともいわれていたが、本人からはなんの発表もないため、謎のままとなっていた。一方、当のニニーと新橋のえるは、休日をのんびりと過ごしていたが、そこにビリー・バンクスJrの連絡が入り、ドラゴンの違法飼育に関する調査を依頼される。二人はドラゴンを引き寄せる体質のバルゴ・パークスを連れて、現場とされるリバース・ロンドンの西地区へと向かう。そして、到着直後に突如爆発を起こしたザ・リアリスツの社屋へと踏み入るが、ニニーの前に「エリー」という名のドラゴンを連れたメイシーが現れる。ニニーを慕うメイシーは、彼女とトラブルになったという情報を流したザ・リアリスツが許せず、ペットとして飼っていたドラゴンであるエリーに破壊させようとしていたのだと語る。しかし実際は、ドラゴン憑きとなったバルゴの討伐を目論むブルーノ・バングナイフの差し金だった。ブルーノはバルゴを捕らえようとするが、それに気づいた二人は、バルゴを連れて逃げつつ、メイシーを救助しようとする。だが、エリーが月の光を浴びると突然形態変化を起こし、並みのドラゴンを遥かに上回る力を発揮し始める。エリーは、リバース・ロンドンの誕生前から存在しているとされている童話竜の1匹、シンデレラだったのである。

メディアミックス

劇場アニメ

2020年10月から、本作『BURN THE WITCH』の劇場版アニメ『BURN THE WITCH』が公開された。原作版の物語の中から、シンデレラの事件に該当するエピソードが取り上げられている。制作会社はスタジオコロリドが担当し、監督を川野達朗、脚本を涼村千夏が務めている。キャストは、新橋のえるを山田唯菜、ニニー・スパンコールを田野アサミ、バルゴ・パークスを土屋神葉が演じている。

登場人物・キャラクター

新橋 のえる (にいはし のえる)

ウイング・バインドの1等保護官で、笛吹き隊に所属している少女。年齢は17歳。先輩のニニー・スパンコールからは「ニーハ」と呼ばれている。フロント・ロンドンでは「サウス・ブラクストン校」という学校に通っており、放課後に上司のビリー・バンクスJrの呼び出しに応じてウイング・バインドとしての任務にあたる。国籍は日本だが、新橋のえる自身はロンドン生まれのロンドン育ちで、日本を訪れたことはない。ただし、スマートフォンの着信メロディに、TVアニメ『ドラゴンボールZ』のサウンドを使用するなど、日本の文化自体には少なからず興味を持っている。自分が何者であるかを誰にも証明しないで済むという理由から、サウス・ブラクストン校の制服を好んで着用している。喜怒哀楽を表に出さないクールな性格で、理路整然と物事をとらえ、つねに冷静な判断を下す。また、物事をオブラートに包むことを好まず、つねに思ったことを口にするため、毒舌家と評されることもある。飼育しているドラゴンたちに対しては優しく接し、柔らかい笑顔を見せることが多い。ドラゴンを保護・管理する今の仕事を気に入っており、厄介事にはあまり関心がない。そのため、戦闘行為や休日出勤を嫌っているが、報酬には人並みに興味があり、多額のボーナスがもらえる場合は自ら休日を返上して出撃することもある。高い能力を持つ魔女で、戦闘時は喫煙用パイプのような形状の道具を使用する。さらに、ブルー・スパークや対竜絶対殺害砲といった数々の魔法を自在に使いこなすなど、戦闘技術は非常に優れている。ニニーとは対照的な性格だが、任務では巧みな連携を用いるほか、プライベートでも言動こそそっけないが仲はいい。同じサウス・ブラクストン校に通うバルゴ・パークスに好意を寄せられているが、異性としてはまったく興味がなく、大袈裟なアプローチを冷めた様子であしらうことが多い。ただし、彼のまっすぐで楽天的な気性や、お人好しといえるほどの優しさには好感を持っている。のちに、バルゴがドラゴン憑きになったことで保護対象としてかかわることが決まると、ぞんざいな扱いこそ変わらなかったが、彼から追い回される日常を呆(あき)れながらもどこか楽しむようになる。

ニニー・スパンコール

ウイング・バインドの2等保護官で、笛吹き隊に所属している少女。新橋のえるの先輩で、フロント・ロンドンでは、人気アイドルグループ「セシルは2度死ぬ」のリーダーを務めており、上司のビリー・バンクスJrの呼び出しに応じてウイング・バインドの任務にあたる。のえるからは「ちゃん」付けで呼ばれているが、そのことを快く思っていない。のえるとは対照的に喜怒哀楽がわかりやすい明朗快活な性格ながら、思ったことが態度に出てしまうところは共通している。また、魔女としてリバース・ロンドンの怪異に対応し続けていることから、魔法などの超常現象を醒(さ)めた目で見ることが多く、「おとぎ話なんてクソでしょ」と言い放つほど。ドラゴンの退治を専門とする戦術隊への異動を目指しており、実績や報酬への執着が強い。ただし、損得に敏感で、自分にとって利にならない厄介事を嫌っているところはのえると変わらない。のえるとはコンビを組んで活動することが多く、彼女が手柄を立てた場合に軽い不平を漏らすことがある。一方で、プライベートでは仲がよく、のえるからの電話に勝手に出ていいのは自分だけだと豪語している。部外者が現場に出ることを快く思っておらず、ドラゴン憑きとなったことで保護対象に指定されたバルゴ・パークスのことをぞんざいに扱いがち。しかし、いざという時は身体を張って守られることもあり、足手まといと考えているわけではない。セシルは2度死ぬの同僚であるメイシー・バルジャーとは不仲であると噂されていたが、実際は強く慕われており、同じグループだから続けてこられたと言われる。ニニー・スパンコール自身は、過剰な思慕を向けてくる彼女を若干鬱陶(うっとう)しく思うこともあるが、リバース・ロンドンにドラゴンを伴って現れた際は、なんとか傷つけることなくドラゴンと離して回収しようとした。

バルゴ・パークス

サウス・ブラクストン校に通っている男子。学校の後輩である新橋のえるに夢中で、彼女に対して積極的にアプローチしているが、まるで相手にされていない。吞気(のんき)ながら前向きな性格で、ノリやテンションのままに行動することが多い。しかし根性は据わっており、どんなトラブルにも取り乱すことはなく受け入れる。3か月前に拾ったオスシちゃんを溺愛し、オスシちゃんが覆面竜であることが発覚してからも、その傾向はまったく変わっていない。かつてはリバース・ロンドンとは無関係で、のえるがウイング・バインドの1等保護官であることも知らなかった。しかしある日、オスシちゃんとセルビーになりすましていた2体の覆面竜に襲われ、窮地をのえるとニニー・スパンコールに助けられたことで、ドラゴンやリバース・ロンドンの存在を目の当たりにする。さらに、ニニーをかばって覆面竜に嚙まれたことが決定打となり、ドラゴン憑きとなる。その結果、ビリー・バンクスJrによってウイング・バインドの保護対象に認定され、ニニーとのえるの保護下に入ることとなる。リバース・ロンドンの事情を知り、バルゴ・パークス自身が危うい状況にあることを知らされても楽天的な性格を崩すことなく、それどころかのえるたちと行動を共にできることを喜んでいる節がある。ドラゴン憑きの重要な特徴である、別のドラゴンを呼び寄せる体質がひときわ強い。そのため、当初はウイング・バインドの上層部から存在を黙認されていたが、やがてブルーノ・バングナイフから存在を危険視されるようになり、彼から報告を受けたウルフギャング・スラッシュハウトによって討伐対象に指定されてしまう。そして、ブルーノと彼にスカウトされたメイシー・バルジャーに襲撃されるが、のえるとニニーが抵抗し、その最中にシンデレラが現れたことで事態がうやむやになる。シンデレラが討伐されると、ブルーノ自らがバルゴの討伐を中止する意向を示し、童話竜すら引き寄せるほどの体質がのちの戦いで役立つ可能性を考慮したウルフギャングにより、討伐対象から外される。

オスシちゃん

バルゴ・パークスが飼っている性別不明の子犬。かつては野良犬だったが、ある時バルゴに拾われ、それ以来ふだんから肌身離さず世話をされている。かわいらしい外見で、性格もおとなしくて愛らしい。元の子犬は既に死亡しており、現在は覆面竜の外皮として利用されている。そして、セルビーといっしょにいたバルゴの前で、突如としてドラゴンとしての正体を現し、新橋のえるやニニー・スパンコールに討伐任務が下される。つねにそばにいたバルゴの人格が大きく反映されており、正体を現すや否やのえるに執着するような言動を見せる。しかし、セルビーが成りすましていたもう1匹の覆面竜とは異なり、積極的に人間を襲う意図が見受けられなかったことから討伐を免れ、ダークドラゴンでありながらバルゴのもとに戻された。それからはふたたび犬の姿で行動するが、バルゴがクシャミや爆笑のリアクションをした時や、危険がせまった時に、身体の左右にドラゴンの羽根が出るようになる。バルゴには変わらず懐いているが、首輪につながれた紐を持った彼ごと飛び回るなど、覆面竜としての正体が明らかになってからは、加減を知らない一面が表面化してしまう。

ビリー・バンクスJr (びりーばんくすじゅにあ)

笛吹き隊の主任を務めている男性。ニニー・スパンコールと新橋のえるの上司で、彼女たちからは「チーフ」と呼ばれている。二人に仕事の指示を出し、自ら現場に行くことはない。さらに、とぼけた性格で、間の抜けた表情と締まりのない風体で頼りがいもないため、上司にもかかわらず二人からは軽んじられることが多い。しかし実際は、遥か遠くのビルから魔法で狙撃を行い、童話竜であるシンデレラを一撃で仕留めるなど、のえるたちやブルーノ・バングナイフにすら匹敵するほどの実力を誇る。トップ・オブ・ホーンズのサリバン・スクワイアとは面識があり、彼女から「英雄の息子」と呼ばれている。のちに笛吹き隊から戦術隊へと移籍するが、のえるとニニーの上司というポジションは変わらず、戦術隊への転属を望むニニーから羨ましがられている。

セルビー

フロント・ロンドンで暮らしている青年。バルゴ・パークスの幼い頃からの親友で、ノリで動くバルゴとは逆に、どちらかといえば常識的な性格の持ち主。バルゴの性格を知り尽くしていることから、彼の突拍子のない発言にも動じることなく、呆れながらも息の合ったやり取りを交わすことが多い。バルゴと同様にオスシちゃんを溺愛し、抱っこさせてもらうためならなんでも言うことを聞くほど。しかし、実は本物のセルビーは10年前の事故で死亡しており、現在はその死体を覆面竜に利用されている。もう1体の覆面竜であるオスシちゃんと異なり、人類に対して明確な悪意を抱いているほか、リバース・ロンドンの住人である魔女の身体を喰らうと不老不死になると思い込み、そのチャンスをうかがっている。ある時、オスシちゃんが正体を現し、新橋のえるとニニー・スパンコールが退治に来ると、ニニーをエサにしようと目論み、セルビーの姿を利用して彼女のスキを突いて襲撃する。なお、人間だったら誰彼構わずエサにしたいと思っているわけではなく、ニニーを襲う際に、バルゴに対してこの場から逃げるように忠告する。ただし、正体を現してもなお敵意や恐怖を向けてこないばかりか、変わらず友人だと主張された時には、「言葉が通じないなら殺害する」と言い切るなど、10年のあいだ共にいた彼に対してなんの情も抱いていない。

ワーズワース

新橋のえるが搭乗用に使用している性別不明のドラゴン。「ブルームバギー」と呼ばれる種で、全身の色はエメラルドグリーンで、頭部に2本の先端が丸い角を持つ。また、つねに愛くるしい表情を見せ、花のような尻尾が特徴。のえるによく懐いており、彼女が吹く笛の音色に反応して飛んで来たり、新聞を取って来たりと、気を利かせることもある。のえるからもかわいがられ、滅多に感情をあらわにしない彼女から笑顔を向けられることも多い。

マーシャル

ニニー・スパンコールが搭乗用に使用している性別不明のドラゴン。「ブルームバギー」と呼ばれる種で、全身の色は赤く、稲妻のような形の角が生えており、下半身から炎のような尻尾が伸びている。ワーズワースと比べると端正な顔立ちをしている。ニニーに従順で、彼女が笛で呼び出すと即座に飛んで来る。ふだんはニニーを背中に乗せて移動するが、ドラゴン討伐などの非常時では、角につかまらせて飛び回ることもある。

メイシー・バルジャー

アイドルグループ「セシルは2度死ぬ」に所属していた女性。ダンスがうまいだけでなく、メンバーの中ではもっとも背が高くクールビューティー。最近になって突然脱退を宣言し、人前から姿を消してしまう。ザ・リアリスツの放映したゴシップ番組では、「VEWMAN」と呼ばれるバーチャルキャラクターの加入や、リーダーのニニー・スパンコールとのトラブルなどが消息不明の原因であるとされた。しかし実際は、控えめな性格で依存心が強く、ニニーのことを病的なまでに慕っており、脱退前にニニーから説教をされたのは事実ながら、そのことで彼女に悪感情を抱くことはなく、むしろ怒ってくれたことに感謝している。本来はフロント・ロンドンの住人で、ドラゴンや魔女との接点はなかったはずだが、のちに竜を見る者であったことが判明する。セシルは2度死ぬを脱退してしばらく経ったのちに、「エリー」と呼ばれる強力なドラゴンを引き連れてリバース・ロンドンに姿を現す。そして、ニニーとの不仲説を提唱したザ・リアリスツを怒りのままにエリーに襲撃させるが、先んじて情報を得ていたニニーや新橋のえるによって阻止される。しかし、それでおとなしくなることはなく、ニニーと仲がよさそうにしていたという理由でエリーにのえるを襲わせるなど、暴走の限りを尽くす。実は、エリーを隠れて飼育していたところでブルーノ・バングナイフのスカウトを受けており、バルゴ・パークスを仕留めるためのオトリとして利用されていた。しかしエリーの正体が、童話竜の1体であるシンデレラであることが発覚すると、ニニーたちとブルーノが共闘してシンデレラを討伐する様をなすすべもなく見守るしかなかった。シンデレラが討伐されると、ドラゴン憑きになったという理由から、ビリー・バンクスJrの判断でウイング・バインドの保護対象となり、バルゴと同様にニニーやのえると行動を共にするようになる。

ブルーノ・バングナイフ

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている男性。魔陣隊の長官を務めている。強力な魔法を巧みにあやつるウィザードで、自ら現場に赴き指揮や戦闘を行うこともある。気性が激しく勇猛果敢な性格で、ロンドンの街を守る使命感がひときわ強い。新橋のえるから「ダセエメッシュですね」と言われて激昂するなど、自分の外見に自信を持っている。トップ・オブ・ホーンズの会議に欠席したサカ・リンや、会議中にガムを嚙むハリー・シェイクに苦言を呈するなど、見かけによらずまじめな一面も持つ。また、ブルーノ・バングナイフ自身の任務の妨げになる相手には容赦をしないが、有能な人材と判断した相手に対して魔陣隊へのスカウトを行うこともある。リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜の侵入を許したことを由々しく思っており、その原因の一端を担ったうえにドラゴン憑きとなったバルゴ・パークスの討伐をトップ・オブ・ホーンズの会議の中で提案する。そして、それを承認したウルフギャング・スラッシュハウトから直々に討伐の命を受け、事実上バルゴの護衛をしているのえるとニニー・スパンコールを欺くために、セシルは2度死ぬの元メンバーで、ひそかにドラゴンを飼育しているメイシー・バルジャーに接近する。そして、彼女をリバース・ロンドンへ誘った挙句、暴走させることでのえるとニニーに対処させ、そのスキを突いてバルゴを抹殺しようと試みる。しかし、メイシーが飼育していたドラゴンが童話竜のシンデレラであることが発覚すると、攻撃対象をバルゴからシンデレラに切り替え、のえるやニニーと共闘してこれを退ける。戦いが終わったあとは、バルゴのドラゴンを誘引する力が並外れていることを確認する。その結果、彼が童話竜を討伐するための切り札になり得ると考え、自らウルフギャングに討伐の撤回を申し出る。

ロイ・B・ディッパー

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている男性。「呪歌隊(アンセムズ)」と呼ばれる部隊の長官を務めている。青いスーツを身にまとっており、十字の模様が付いた手袋をしている。トップ・オブ・ホーンズのメンバーの中では唯一、黒い肌を持つ。几帳面な性格で、リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議に出席した時は、ブルーノ・バングナイフから100年ぶりにダークドラゴンの侵入を許したと主張されるが、実際は96年だったと訂正する。

キュントナイア・ミリーヴ

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている女性。「聖務隊(セイクリッズ)」と呼ばれる部隊の長官を務めている。白い衣装を身を包み、角のような飾りがあしらわれた帽子を身につけている。穏やかな性格で、リバース・ロンドンに、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議に出席した時は、ほかの仲間たちと共にブルーノ・バングナイフがダークドラゴンの脅威を語る様子を黙って聞いていた。

トロンボーン・タッキネン

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている男性。笛吹き隊の長官を務めている。小柄で高齢そうな見た目で、自らの身長以上に長いあごひげを生やしている。リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議に出席した時は、ほかの仲間たちと共にブルーノ・バングナイフがダークドラゴンの脅威を語る様子をおとなしく聞いていた。

サリバン・スクワイア

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている女性。戦術隊の長官を務めている。黒いスーツに身を包み、つねに腰にサーベルを下げて歩いている。リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議に出席するが、ブルーノ・バングナイフの主張を聞くだけで、自発的に意見を発することはなかった。ビリー・バンクスJrとは昔からの付き合いで、軽口を叩く彼を厳しく叱責することもある。また、ビリーがトップ・オブ・ホーンズにも引けを取らない実力者であることを知っているが、彼が挨拶もなく笛吹き隊から戦術隊へ転属したことを快く思っておらず、再会した時に皮肉をぶつけてしまう。しかし、ビリーが狙撃の魔法で童話竜のシンデレラを仕留めた時は、改めて彼の力量を見直すと共に、その出自に言及する。

サカ・リン

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている人物。「開発隊(パッチワークス)」と呼ばれる部隊の長官を務めている。リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議にただ一人欠席しており、ブルーノ・バングナイフから苦言を呈される。それ以降も公の場に姿を現していないため、現時点では外見はおろか、性別や年齢などを含めたいっさいの情報が不明となっている。

ハリー・シェイク

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている青年。「経理隊(ビリオネアズ)」と呼ばれる部隊の長官を務めている。軽薄そうな見た目と仕草が特徴で、つねにサングラスをかけている。リバース・ロンドン市内に、2体の覆面竜が現れたことが原因で招集された最高会議に出席するが、ほかの仲間たちがおとなしく聞いている中で一人だけガムを嚙むなど素行が悪く、ブルーノ・バングナイフから注意を受けてしまう。

ウルフギャング・スラッシュハウト

トップ・オブ・ホーンズの一人に数えられている男性。「人事神罰隊(ギャロウズ)」と呼ばれる部隊の長官を務めている。ダークドラゴンやドラゴン憑きなど、リバース・ロンドンで発生した危険な存在を討伐対象に選定する役割を担っている。厳格かつ用心深い性格で、ドラゴン憑きとなった人間は、たとえ民間人であっても必要に応じて抹殺するよう命令を下すことがある。ただし、危険があっても、ウイング・バインドにとって有益になる特徴を持っていると判断した場合、認定を取り下げることもある。リバース・ロンドンに2体の覆面竜が現れると、これを由々しき事態と考えて緊急会議を招集する。そして、ブルーノ・バングナイフから覆面竜が発生した原因の一つであり、のちにドラゴン憑きとなったバルゴ・パークスを討伐対象にするよう申し出られ、これを承認する。

シンデレラ

メイシー・バルジャーが、セシルは2度死ぬを脱退する数か月前に拾った性別不明のドラゴン。竜を見る者でありながら、ドラゴンの存在を知らないメイシーから「エリー」と名づけられてかわいがられながら育ち、次第にメイシーに懐くようになる。しかし、ブルーノ・バングナイフから利用されたメイシーの命令によってザ・リアリスツの社屋を襲撃し、トップ・オブ・ホーンズがバルゴ・パークスを捕縛するためのオトリとして利用される。その正体は童話竜の1体であるシンデレラで、メイシーはもちろん、ブルーノもこのことを知らなかった。月の光を浴びることで完全な姿に成長し、夜が明けるともとの姿に戻るという特徴を持つ。成長後は、並のダークドラゴンを遥かに凌駕する巨体と身体能力を獲得するほか、星灰を撒き散らして広範囲を爆撃できるようになる。ブルーノの知る言い伝えによると、弱点は額にある冠の形をした角で、これを破壊することで死亡するといわれている。しかし、実際に討伐された例がないため、これが真実であるという証拠はない。成長後は、メイシーを含めたリバース・ロンドン全域すべてを攻撃対象と見なすようになり、星灰を広範囲に振りまいて壊滅させようとする。この事態を重く見たブルーノが、新橋のえるとニニー・スパンコールに共闘を呼び掛けたことで、彼ら三人を同時に相手する羽目に陥る。だが、ブルーノの大喰らいの影や強欲の帳を立て続けに受けてもほぼ無傷で耐えきるなど、並外れた耐久性を見せつけて三人を苦戦させる。

リッケンバッカー

ブルーノ・バングナイフが使役しているドラゴン。覆面竜に匹敵する巨体を誇り、ブルーノを乗せて自在に飛行することができる。また、ブルーノが翼に魔法陣の模様を描くことで、大喰らいの影などの強力な魔法を発動させられる。バルゴ・パークスの捕縛を遂行しようとするブルーノに呼び出され、バルゴやメイシー・バルジャーを守ろうとする新橋のえるや、ニニー・スパンコールを追い詰めようとせまる。しかし、メイシーが連れていたドラゴンがシンデレラの正体を現すと、ブルーノの命令でのえるたちに対する敵対行動を中止し、数倍以上の体格を誇るシンデレラに果敢に立ち向かう。

集団・組織

ウイング・バインド

リバース・ロンドンに生息するドラゴンたちを管理および保護する機関。最高意思決定機関であるトップ・オブ・ホーンズを頂点に、笛吹き隊や戦術隊、魔陣隊のほか、呪歌隊(アンセムズ)、聖務隊(セイクリッズ)、開発隊(パッチワークス)、経理隊(ビリオネアズ)、人事神罰隊(ギャロウズ)の八つの部隊から構成されている。役割はそれぞれの部隊によって異なるが、もっとも重要視されることは、ドラゴンによる被害からより多くの人類を守ることにある。そのため、人間に危害を加えるドラゴンを討伐するほか、ドラゴン接触禁止法に触れたうえに、強力なドラゴン憑きとなった存在を秘密裏に処分するなど、公にはできない任務を課されることもある。その性質上、所属するにはドラゴンを目視できることが必須となることから、組織の大半は魔女や魔法使いで構成されている。

笛吹き隊 (ぱいぱーず)

ウイング・バインドに所属する部隊。トロンボーン・タッキネンが長官を務めており、隊員には新橋のえるとニニー・スパンコールなどが名を連ねている。全員がシェパードチェック柄のマントと笛を身につけている。リバース・ロンドンに生息するドラゴンたちが人間と共生できるよう育成したり、ドラゴンと協力して物資を収穫するなどの仕事に就くほか、ドラゴン憑きとなった人間の監視や護衛を行うこともある。のちに、バルゴ・パークスやメイシー・バルジャーを協力者として迎え入れる。のえるやニニーは、戦術隊に移籍したビリー・バンクスJrの依頼を受けて、人類に害をなすドラゴンの討伐を行うこともある。

戦術隊 (さーべるず)

ウイング・バインドに所属する部隊。サリバン・スクワイアが長官を務めている。軍隊のように統率が取れ、ふだんは演習で訓練を積み、ダークドラゴンが出現した際にはサリバンが戦術面で陣頭指揮を取り、討伐に乗り出すという形式が一般化している。練度の高さから魔女や魔法使いからの評価が高く、ニニー・スパンコールは戦術隊に将来移籍することを望んでいる。また、ビリー・バンクスJrは、笛吹き隊から戦術隊へと移籍しているが、新橋のえるやニニーの直属の上司としての立場は失っておらず、結果的に笛吹き隊でありながら戦術隊としての任務の補助を依頼できるという立場にある。

魔陣隊 (いんくす)

ウイング・バインドに所属する部隊。ブルーノ・バングナイフが長官を務めている。戦術隊と同様に、ダークドラゴンに変貌したドラゴンの討伐を主な業務としている。魔力に優れた魔女や魔法使いが多く、隊員は「魔陣」と呼ばれる方陣を解放しながら強力な技を繰り出すことが特徴。強力な新人の育成にも力を入れており、新橋のえるやニニー・スパンコール、メイシー・バルジャーをスカウトしているが、のえるとニニーには断られ、メイシーも一度は協力者として所属したものの、のちに笛吹き隊に移籍されてしまう。

セシルは2度死ぬ (せしるだいとぅわいす)

フロント・ロンドンで絶大な人気を誇る女性アイドルグループ。リーダーを務めるニニー・スパンコールは、特に人気が高くCMにも起用されている。一方で、メイシー・バルジャーがある日突然脱退を表明し、その後も連絡が取れないことから世間を賑わせている。ザ・リアリスツは、ニニーとメイシーのあいだにトラブルがあったためと推測しているが、真偽は明らかになっていない。なお、メイシーが脱退したあとは、「VUMAN」と呼ばれるバーチャルキャラクターが新たにメンバーに加入する。

トップ・オブ・ホーンズ

ウイング・バインドの最高意思決定機関。八つの部隊それぞれの長官で構成されており、所属するメンバーはいずれも、魔女や魔法使いとして高い実力を誇る。フロント・ロンドンおよびリバース・ロンドンを揺るがすほどの緊急事態が起こった時などに招集され、ウイング・バインド全体の方針を決定する。滅多なことでは招集されないとされているが、96年ぶりにフロント・ロンドンで立て続けに2体の覆面竜が現れたことで、久しぶりの会議が開かれる。その会議中、ブルーノ・バングナイフが複数の覆面竜と接触し続けたことで強力なドラゴン憑きになってしまったバルゴ・パークスを討伐対象にすることを提案し、ウルフギャング・スラッシュハウトに承認される。

ザ・リアリスツ

フロント・ロンドンの芸能ニュースなどを取り上げるタブロイド紙。WEBニュースも配信している会社。ゴシップを売りとしており、現在は突然のメンバー脱退問題で揺れるアイドルグループ「セシルは2度死ぬ」を格好のネタとして追っている。信憑性より話題性を重視している節があり、メイシー・バルジャーが脱退した理由を大した根拠もなく、ニニー・スパンコールとのトラブルが原因であると書き上げ、雑誌やテレビなどで発表してしまう。このことが、ニニーを慕うメイシーの逆鱗に触れ、ブルーノ・バングナイフにそそのかされた彼女に、リバース・ロンドンに構えられた社屋を襲撃されてしまう。

場所

リバース・ロンドン

フロント・ロンドンの裏側に広がるとされる、もう一つのロンドン市街。ドラゴンや竜を見る者など、強大な魔力を持つ人間にのみ認識することができる。ウイング・バインドに所属する魔女や魔法使いは、専用のコインを用いてフロント・ロンドンとリバース・ロンドンを自由に行き来することが可能。また、リバース・ロンドンの建築物などはフロント・ロンドンのものとまったく同じで、リバース・ロンドンで大規模な破壊が発生した場合、フロント・ロンドンの同じ場所でも影響を及ぼすことがある。

フロント・ロンドン

ウイング・バインドによるロンドン市街の呼び名。主にリバース・ロンドンとの差別化のために用いられる。住人のほとんどはリバース・ロンドンやドラゴンの存在を認識できず、その脅威を知らないまま日々を過ごしている。しかし、実際はウイング・バインドに飼育されたドラゴンによる恩恵を受けており、ある意味ではドラゴンの存在が欠かせないものとなっている。その一方で、ダークドラゴンが現れた場合、尋常ではない被害が予想されるため、ダークドラゴンがリバース・ロンドンに現れた時は、フロント・ロンドンに移る前に駆除することがせまられる。なお、リバース・ロンドンで大規模な破壊が発生した場合、フロント・ロンドンの同じ場所でも影響が及ぶことがある。

竜頭議場 (どらごんかうんしる)

ウイング・バインドの敷地内にある議場。トップ・オブ・ホーンズによる最高意思決定の協議などに用いられる。ふだんはトップ・オブ・ホーンズのメンバーや、その直属の部下が立ち寄る程度で、笛吹き隊から戦術隊に移籍したビリー・バンクスJrが訪れた時は、用もなく立ち寄ったのかなどと、サリバン・スクワイアから皮肉を言われてしまう。

ナインブルック放牧場 (ないんぶるっくほうぼくじょう)

ウイング・バインドの敷地内にある牧場。乗用のブルームバギーや、体毛を繊維として採取できる「ウォーリーウォーリー」、鱗を鉱物として利用できる「ハンマーパック」、発電機としての役割を担う「コンダクター」、つねに燃えていることから燃料として利用される「マッチボックス」など、人類に貢献するさまざまな種類のドラゴンが放牧、飼育されている。笛吹き隊の任務に、ドラゴンの育成や飼育のほか、ドラゴンからの資源の収穫があることから、隊員である新橋のえるやニニー・スパンコールは、よくこの牧場を訪れている。

その他キーワード

魔器

ウイング・バインドに所属する魔女や魔法使いが、魔法を発動させるために使用する道具。形状は所属する部隊によって異なり、笛吹き隊に所属している新橋のえるやニニー・スパンコールはパイプ型の魔器を使い、戦術隊の隊長であるサリバン・スクワイアはサーベル型の魔器を使用する。また、「魔陣」という方陣を描くことで魔法を発動するブルーノ・バングナイフは、つねに複数のスプレー型の魔器をコートの中に忍ばせている。なお、ビリー・バンクスJrのように、魔器を使わずに魔法を発動させられる魔法使いや魔女も存在する。

魔女 (うぃっち)

ドラゴンへの直接接触が許された有資格者の総称。女性の場合は「魔女」、男性の場合は「魔法使い」と呼称される。資格取得には試験に合格し、ウイング・バインドに所属する必要がある。魔女や魔法使いになった人間は、ウイング・バインドが擁する八つの部隊のうちの一つに所属することと、部隊から発令される任務を受領して、リバース・ロンドン内で活動したり、ダークドラゴンを討伐するなどの義務が課せられる。なお、資格を持たない一般市民がドラゴンに接触した場合、ドラゴン接触禁止法に違反したと見なされ、禁固100年もしくは死刑という厳しい処罰を受けることとなる。

ドラゴン

リバース・ロンドンに生息している異形の存在。竜を見る者のみが見て触れることができる。愛玩用のキティホーンや、乗用のブルームバギーなど、さまざまな種類のドラゴンが存在する。通常のドラゴンは穏やかな気性で、空腹時を除いては人を襲うことがない。しかし人々に接触することで、徐々にその人間の持つ負の感情を吸収すると、やがて攻撃的な性質を持つ「ダークドラゴン」になってしまうことがある。なお、ウイング・バインドによって管理・保護されているドラゴンは「ライトドラゴン」と呼ばれ、発電や燃料、浄水、薬品といった、暮らしに欠かせない資源として活用されている。また、強力な個体はフロント・ロンドンへの移動が可能で、このことがトラブルの原因になることもある。

ダークドラゴン

ドラゴンが人間の持つ感情を吸収することで変異した存在。ふつうのドラゴンより大きく、身体能力も高い。人間に対して強い興味を示し、能動的に襲撃しては殺害するようになる。また、セルビーに擬態していた覆面竜のように、魔女を喰らうことで永遠の命を得られると思い込んでいるダークドラゴンもいる。ロンドンにおける全死因の72%に、ダークドラゴンがかかわっているとされている。そのため、ダークドラゴン出現時の対処法は駆除のみとされているが、オスシちゃんなど、危険性がなくなったことから駆除を免れたダークドラゴンもまれに存在する。

覆面竜 (でぃすがいざー)

生き物の死体に潜り込み、擬態する特性を持つダークドラゴン。18世紀に大量発生したが、ウイング・バインドの活躍によって数を減らし続けており、現在では滅多に姿を現さないとされている。性質や習性が個体によって大きく異なるという特徴を持ち、セルビーに擬態していた覆面竜は、魔女を食べることで永遠の命を得られると思い込んでニニー・スパンコールを捕食しようとしたり、ドラゴンになっても友人であると主張するバルゴ・パークスを容赦なく殺害しようとするなど、狂暴かつ冷酷な一面を見せる。一方、オスシちゃんに擬態した覆面竜は、変化直後こそ暴れていたが、新橋のえるとの戦いを経ておとなしくなる。さらに、バルゴに変わらず懐き続けたことで駆除を免れ、ウイング・バインドから存在を許されている希少なダークドラゴンとなる。

鹿蕾竜 (ばっどばっく)

リバース・ロンドンで生息している、鹿に似た外見を持つドラゴン。希少種の一つで、ウイング・バインドからは「Aクラス」というランク付けがされている。尻尾に複数の葉が生えているほか、角に複数の蕾(つぼみ)が存在し、これが名前の由来となっている。魔女や魔法使いが使用する魔法の力を打ち消す声を放つことが可能で、この能力で相手の魔法を中和したことで生じるエネルギーによって、角の蕾が花に変化することがある。

キティホーン

リバース・ロンドンに生息している、猫に似た外見を持つドラゴン。主に愛玩用として扱われているほか、成長すると体毛や分泌物が魔器などの素材にもなる。魔力が比較的弱く、人間が長時間接触しても有害な「ドラゴトキシン」が蓄積することはないため、竜を見る者であれば魔女や魔法使いでなくても飼育が許されている。ただし、強力なドラゴン憑きであるバルゴ・パークスの前に現れた時は、ふつうのキティホーンの数倍の大きさにまで膨れ上がり、やがてダークドラゴンに変貌してしまう。

童話竜 (めるひぇん)

リバース・ロンドン誕生以前から存在するという、ダークドラゴンの始祖といえる存在。童話になぞらえた名前が付けられており、スノーホワイト、レッドドレス、ゴールデンアックス、バブルズ、シュガーハウス、バンド・オブ・アニマルズ、シンデレラの7体で構成されている。その生態には謎が多く、ウイング・バインドもその全貌を知っているわけではない。ただし、トップ・オブ・ホーンズのあいだでは、人類にとって最大級の脅威であることが知られ、ブルーノ・バングナイフはメイシー・バルジャーが飼育していたドラゴンがシンデレラであることを知ると、それまで執拗に追っていたバルゴ・パークスの討伐を中止し、敵対していた新橋のえるやニニー・スパンコールに対して即座に共闘を求めた。

竜を見る者 (うぉっちゃー)

生まれつき非常に強力な魔力をまとっている存在の総称。フロント・ロンドンの人間でありながら、ドラゴンを目視できるため、のちに魔女や魔法使いに就任する可能性が高いといわれている。メイシー・バルジャーも竜を見る者の一人で、セシルは2度死ぬを脱退する数か月前にドラゴンの幼体を発見し、違法であることを知らずに飼育することになる。

ドラゴン憑き (どらごんつき)

ドラゴンと長期間接触した市民が罹患(りかん)する病気の一つ。魔女や魔法使いでない市民が、ドラゴンに接触すると体内に「ドラゴトキシン」という物質が蓄積されていき、その数値が一定量を超えることで発症する。ドラゴン憑きになった人間は、強力なドラゴンを呼び寄せる体質になり、場合によってはフロント・ロンドンにダークドラゴンを招くきっかけにすらなり得る。そのため、ブルーノ・バングナイフは覆面竜との接触でドラゴン憑きとなったバルゴ・パークスを危険視し、自らの手で葬ろうとする。しかしのちに、極めて強力な誘引体質を持つドラゴン憑きが、童話竜を発見するために有用である可能性が浮上したため、バルゴは討伐を免れる。また、他者の魔器を握ることで剣を発現させるなど、ウイング・バインドですら把握しきれていない特徴がいくつも存在する。

ドラゴン接触禁止法 (どらごんせっしょくきんしほう)

1609年、リバース・ロンドンで制定された法律。名前どおり、ウイング・バインドに所属する魔女や魔法使い以外の市民とドラゴンの接触を禁止する内容となっている。ドラゴンのダークドラゴン化と、一般市民を防ぐために定められた。違反者は禁錮100年か死刑という重罪が課せられる。ただし、バルゴ・パークスやメイシー・バルジャーなど、ウイング・バインドにとって有益になる場合は特別に罪を免れることもある。

竜鎖 (りゅうさ)

市街地にダークドラゴンが出現した際に街路を封鎖することを指す。「ダーク・ドラゴン・アラート」と呼ばれる警報を発令したのちに、道路などに仕込まれている隔壁を閉鎖することで完成する。発動する権利のトップ・オブ・ホーンズをはじめ、ウイング・バインドの隊長格のみ所有しており、一般の魔女や魔法使いが発動を希望する場合、直属の上司に連絡して要請する必要がある。竜鎖には、主にダークドラゴンを速やかに討伐することと、民間人に被害が及ばないようにするという二つの目的があるが、ブルーノ・バングナイフはバルゴ・パークスの逃げ場を封じるために竜鎖を行ったことがある。

魔法 (まほう)

ウイング・バインドに所属する魔女や魔法使いが使用する、戦闘用の技術の総称。「魔器」と呼ばれる道具を構えて、対応するマジックナンバーや解放番号といった数字と、魔法の名前を唱えることで発動する。ただし、スパーナル・ジェイルなど、マジックナンバーを発声する前に特定の呪文を詠唱する必要もあるものや、対竜絶対殺害砲のようにマジックナンバーが存在しない魔法もある。主にドラゴンを制圧するために使われるため、総じて高い威力を誇る。また、ビリー・バンクスJrのように、魔器を使わずに魔法を発動させられる魔法使いも存在する。

対竜絶対殺害砲 (あぶそりゅーとどらごんしゃったー)

新橋のえるが使用する魔法の一つ。魔器「笛(パイプ)」を敵に向け、魔法名を唱えることで発動する。魔器の先端に空いている穴から十字状のエネルギーを発射し、対象を破壊する効果がある。威力は非常に高く、セルビーに擬態した覆面竜を一撃で粉々に粉砕するほど。

ブルー・スパーク

新橋のえるが使用する魔法の一つ。魔器「笛(パイプ)」を敵に向けつつ、マジックナンバーと魔法名を唱えることで発動する。対応するマジックナンバーは31。対竜絶対殺害砲と同系統の魔法で、十字の形をした光線を発射するが、対竜絶対殺害砲より光線の表面積が広いという特徴を持つ。のえるが鹿蕾竜を追跡していた際に、妨害すべく現れたドラゴンに対して使用し、追い払うことに成功する。

スタンボール

新橋のえるが使用する魔法の一つ。魔器「笛(パイプ)」を敵に向けつつ、マジックナンバーと魔法名を唱えることで発動する。対応するマジックナンバーは04。討伐ではなく鎮圧のために用いられる魔法で、魔器の先端の穴から魔力の球体を発射し、命中した相手をしびれさせる効果を持つ。バルゴ・パークスのドラゴン憑きの体質に誘引されて現れたキティホーンに対して発動し、顔面に直撃させて動きを止めることに成功する。しかし、キティホーンがダークドラゴンに変貌し、さらにしびれた顔面を自ら切り離したことで、効果が切れてしまう。

フラッシュ・バンパー

ニニー・スパンコールが使用する魔法の一つ。マジックナンバーと魔法名を唱えることで発動する。対応するマジックナンバーは44。距離の離れた場所に魔力で作られたネットを展開し、ぶつかった相手の衝撃を吸収する効果を持つ。主にドラゴンの攻撃や、事故などで弾き飛ばされた仲間や市民などを救出するために用いられており、新橋のえると鹿蕾竜がドラゴンの攻撃で弾き飛ばされたところを目撃した際に、すかさず衝撃を和らげるために発動させる。

スパーナル・ジェイル

新橋のえるとニニー・スパンコールが連携して使用する魔法の一つ。対応するマジックナンバーは68だが、発動させるには、マジックナンバーと魔法名のほかに「高く星の道、夜の果て、ホワイト・アルヴァが列をなす。リーズ・リーズ、ライト・ライト、天を仰いでそこで終わり」という呪文を詠唱する必要がある。対称の周囲に天から槍の形状をした光を多数降らせて、動きを封じる効果を持つ。二人の魔女が連携して発動することから精度は非常に高く、童話竜であるシンデレラすら拘束することに成功するほど。

大喰らいの影 (はんがーしゃどう)

ブルーノ・バングナイフが使用する魔法の一つ。ブルーノがスプレー型の魔器で、リッケンバッカーの翼に「魔陣」と呼ばれる方陣を描き、解放番号と魔法名を詠唱することで発動する。対応する解放番号は0575。魔陣から巨大な狼の形をした影が現出し、指定した相手に嚙みつく効果を持つ。月光を浴びて覚醒したシンデレラに対して使用された時は、逆にくちばしで撃墜され、傷をつけることすらできなかった。

強欲の帳 (ぐりーでぃーかーてん)

ブルーノ・バングナイフが使用する魔法の一つ。ブルーノがスプレー型の魔器で、空に「魔陣」と呼ばれる方陣を描き、解放番号と魔法名を詠唱することで発動する。対応する解放番号は2028。魔陣の描かれた空間から触手のような形状の光を降らせて、相手を包み込んで破壊する効果を持つ。シンデレラとの戦いでは、新橋のえるとニニー・スパンコールがスパーナル・ジェイルで拘束したスキを突いて放たれ、大喰らいの影すら凌駕(りょうが)するほどのすさまじい威力を発揮する。しかし、この魔法をもってしても致命傷を負わせることはできなかった。

透色龍鱗 (すてるすすけいる)

シンデレラが使用する特殊能力の一つ。鱗(うろこ)に迷彩機能を付与することで姿を消し、周りの目を欺く。また、暗闇の中で使用することで、暗がりの中に消えたように見せかけることも可能。ドラゴンの中でも一握りの者しか使えない高等な能力だが、シンデレラは童話竜としての本性を現す以前から頻繁に使用していたことが判明する。

星灰 (すたーあっしゅ)

シンデレラが使用する特殊能力の一つ。翼から爆発する極小の鱗のような粉末を無数にばらまき、地上を爆撃する。鱗はつねに光り輝いており、まるで星屑のように降り注ぐことから「星灰」と呼ばれている。ドラゴンが使う能力の中でも最大級の破壊力を誇り、放置すればリバース・ロンドン全域が消し飛んでしまうとされている。さらに粉末の一つ一つが意思を持ち、シンデレラの思うがままに誘導することも可能。ただし、透色龍鱗と違って、月の光を受けて完全な姿を取り戻さないと使用できないという制約がある。

ウイング・バインド・ヘッドライナーズ

新聞「リバース・ロンドン・プレス」に掲載される記事。その日に最も活躍したウイング・バインドの隊員が取り上げられ、活躍の大きさによっては一面トップ記事になることもある。さらに、場合によっては昇進やほかの隊へのスカウトの指針などにも影響を及ぼすこともある。ニニー・スパンコールは、笛吹き隊から戦術隊に移籍することを望んでいるため、任務を遂行する時はウイング・バインド・ヘッドライナーズへ掲載するような結果をつねに狙っている。

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