C

C

タイトルの「C」はコンプレックスの「C」であり、それぞれ異なるコンプレックスを抱えた主人公たちが、自身の悩みと向き合い、乗り越えていく様子をオムニバス形式で描く。「週刊ヤングジャンプ」1994年13号から1996年52号にかけて連載された作品。

正式名称
C
ふりがな
しー
作者
ジャンル
ラブコメ
関連商品
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あらすじ

男性失格(第1巻~第3巻)

週刊誌のコラムニストである天野格は、ある日、友人の楠本ユカから恋愛相談を受ける。格はユカのことが気になっていたが、自分の本音を隠して彼女を応援する。というのも、格は過去の自身の経験から極度のインポテンツとなっており、好きな女性を前にしても、勇気を出せずにいたのだった。そんな格はある日、路上で勧誘をしていた佐々木由香里と出会い、彼女の働くフィットネスクラブへの入会を勧められる。格は心機一転のためフィットネスクラブに入会し、由香里と付き合って自分を変えようと努力を開始する。

マゼンタ・ハーレム(第4巻~第6巻)

ある美大生が描いた一枚の絵に感動し、同じ大学に入学した岩崎志保は、その絵を描いた久住結良と出会う。絵画に対しての天才的な技術とセンスを持った結良だったが、なぜか絵を描くことを嫌悪していた。そんな彼の前に、美貌の洋画家、山岸小夜子が現れる。小夜子に惹かれていく結良と、そんな彼に翻弄されながら結良を待ち続ける志保。やがて結良と志保は、互いがかけがえのない存在であることに気付く。

モンロー・ジョーク(第7巻~第9巻)

大企業である「菊地デパート」の御曹司である菊地正宗には、自分自身は何も持っていないというコンプレックスを抱いていた。ある日、東京の一角で酔いつぶれていた正宗は、介抱してくれた森川せいらの口利きで、テレビ局のADとして働き始める。テレビ番組のプロデューサーになるという夢を持っていた正宗だったが、ADとして働くうちに、自身の能力と夢との間にあるギャップに気付く。それでも正宗は、自分のコンプレックスと向き合いながら、夢に向かってあがくのだった。

ほんとうの行方(第10巻)

両親の死別を機に大阪から東京に転校して来た仲原遊多は、その生い立ちのため周囲に心を閉ざしたまま生きてきた。転校先の学校で、クラスメイトからいじめを受けている保坂智美と出会った遊多は、彼女も自分と同じであると思い始める。そんなある日、遊多は死んだ父親に似た男性、沙村靖と知り合う。沙村に「心にあたたかいものがなければ人は生きていけない」と諭された遊多は、少しずつ周りの人たちに心を開いていく。

登場人物・キャラクター

天野 格 (あまの いたる)

エピソード「男性失格」に登場する。「ジュラシック天野」のペンネームで、週刊誌にプロレスのコラムを書いている男性。高校時代は柔道部に所属しており、外見はワイルドだが実は繊細な心の持ち主。職場では豪快なキャラを演じているものの、内心とのギャップに悩んでおり、そんな中でフィットネスクラブに勤める佐々木由香里と知り合う。 実は男性として不能者で、好きな女性を前にしてもそれがコンプレックスとなり、積極的になれない。

久住 結良 (くずみ ゆら)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。美しい風貌をした美術大学の男子学生。絵画の天才的な才能を持ち、絵画研究部に籍を置いている。その活動と並行して、ダンスチーム「アウラ・ヒステリカ」を率いて大学内で注目を集める存在でもある。傲岸不遜な性格の持ち主だが、その心の奥底には「天才画家」と呼ばれた父親のヒロ・クズミに対するコンプレックスを抱えている。 また、かつてはヒロのことを尊敬していたが、彼が訪問先の国で愛人を作っていた事実を知り、それ以来嫌悪している。

菊地 正宗 (きくち まさむね)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。大企業「菊地デパート」の社長を父親に持つ青年。ただし後を継ぐつもりはなく、テレビ番組のプロデューサーになることを夢見ている。森川せいらと知り合い、彼女の紹介でテレビ局でADとして働くことになる。自分は何もできないというコンプレックスの持ち主で、その反動から現実逃避に走ることも多い。

仲原 遊多 (なかはら ゆうた)

エピソード「ほんとうの行方」に登場する。プロ野球選手になることを夢見ていた男子中学生。両親が事故で他界し、叔父夫婦に引き取られてからは、周囲に心を閉ざして生きてきた。自分は常に独りだというコンプレックスを持っていたが、亡き父親の面影を持つ沙村靖や、同じクラスの保坂智美と出会って少しずつ過去の自分を変えていこうとする。

佐々木 由香里 (ささき ゆかり)

エピソード「男性失格」に登場する。フィットネスクラブでインストラクターを務める女性。天野格を自らが働くフィットネスクラブに勧誘したきっかけで知り合い、その後、フィットネスクラブに入会した格と付き合い始める。格と仲が良い楠本ユカのことを警戒しつつも、格の彼女として彼を支えていこうと決意する。

楠本 ユカ (くすもと ゆか)

エピソード「男性失格」に登場する。天野格の近所に住む女性。高校時代からの知り合い。プロレス好きの格と同じ趣味を持っているので、気軽に何でも話し合える関係。格に佐々木由香里という彼女ができたので距離を置こうとするが、それが逆に格に対する楠本ユカ自身の想いを自覚させることになる。

山田 正人 (やまだ まさと)

エピソード「男性失格」に登場する。天野格の行きつけのショットバーに通う男性常連客。「噓は嫌い」との信条を持ち、格とは気が合う。女性関係が派手という点においては格とは真逆で、時に衝突することもあるが、基本的には格の良き理解者である。

洞沢 (ほらさわ)

エピソード「男性失格」に登場する。天野格の高校時代の後輩。バイク好きな青年で、普段はコンビニでアルバイトをしている。楠本ユカのことが好きで、彼女に自身の想いを告白をするものの、ユカが格への想いを引きずっているため、格に対しては複雑な感情を抱いている。

岩崎 志保 (いわさき しほ)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。久住結良と同じ美術大学に通う女子学生。高校時代に結良が描いた絵を見て感動し、彼を追って同じ美術大学に入学した。入学後は、外塚研吾の勧誘もあって結良と同じ絵画研究部に入部、持ち前の積極性で結良と距離を縮め、親密な関係になっていく。中学時代に両親を亡くしているが、自分を不幸な人間とは思わない前向きで明るい性格。

外塚 研吾 (とづか けんご)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。久住結良と同じ美術大学に通う男子学生。結良と同じ絵画研究部に所属し、岩崎志保を勧誘して、結良と志保の出会いのきっかけを作った。結良の持つ芸術的才能に嫉妬しているが、同時に友人として気にかけている。志保に対して好意を抱いているが、彼女が結良に対して想いを寄せていることを知っているため、一歩を踏み出せずにいる。

ヒロ・クズミ (ひろくずみ)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。久住結良の父親。風景画家として海外を渡り歩いており、天才画家として評価も高い。仕事により家を留守にすることが多いが、家庭では妻と息子を愛する良き人物。一方で、訪問先の国では愛人を作っている。

佐藤 (さとう)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。岩崎志保と同じ美術大学に通う女子学生。独特のセンスの持ち主で、奇抜な服装と髪型で大学内を闊歩している。結良のことで悩むことが多い志保に対して常に的確なアドバイスをする、彼女の良き友人。卒業後はファッションデザイナーとして活躍する。

山岸 小夜子 (やまぎし さよこ)

エピソード「マゼンタ・ハーレム」に登場する。洋画家の女性。久住結良の通う美術大学の絵画研究部で、講師として美術指導をしている。過去に二度結婚しているが、その結婚相手がいずれも不自然な死を遂げたため、一部の芸術雑誌では「現代のサロメ」とも評される。結良と出会い、彼の絵画に対する才能を深く愛するようになる。

森川 せいら (もりかわ せいら)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。自由奔放な性格の女性。路上で酔っぱらっている菊地正宗を介抱した縁で知り合う。正宗に興味を抱き、プロデューサーになりたいという彼の「義理の姉」を騙(かた)り、後見人的立場となった。謎の多い人物で、テレビ局などさまざまな方面にコネを持つが、実際に何の仕事をしているのかは不明。

東城 夕菜 (とうじょう ゆうな)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。菊地正宗が趣味としてやっているアマチュアバンドの紅一点。正宗に対して好意を寄せており、ADとして多忙な日々を送る正宗を応援しつつも寂しく思っている。森川せいらの紹介でタレントとしてスカウトされ、正宗のそばにいたいという気持ちから芸能界入りを決意する。

冬野 小緒 (とうの さお)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。菊地正宗が働くテレビ局でヘアメイクのアルバイトをしている女性。自分と同じくこの業界に入ったばかりの正宗に共感し、互いに夢を追いかける良き友人となる。

工藤 生花 (くどう みか)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。菊地正宗が働くテレビ局のスポンサーの令嬢。番組アシスタントガールのアルバイトをしている。本人はアシスタントガールで終わるつもりはなく、芸能界でのし上がっていきたいという野心を持っている。

遠藤 宗二 (えんどう そうじ)

エピソード「モンロー・ジョーク」に登場する。菊地正宗が働くテレビ局でチーフADを務める男性。正宗の先輩。趣味のバイク一筋で女性には興味がなかったが、芸能界デビューを果たした東城夕菜と出会い、初めて女性というものを意識し始める。

保坂 智美 (ほさか ともみ)

エピソード「ほんとうの行方」に登場する。仲原遊多と同じクラスの女子中学生。父親がレイプ事件を起こしたため、いじめを受けていた。自分と同じく周りから孤立している遊多のことを気にかけ、少しずつ惹かれ合っていく。

沙村 靖 (さむら やすし)

エピソード「ほんとうの行方」に登場する。仲原遊多の父親の面影を持つ男性。かつて少年野球チームのコーチをしていたので、遊多と親交を深めていく。「心にあたたかいものがなければ人は生きていけない」という信条を遊多に説く。

岡部 加奈恵 (おかべ かなえ)

エピソード「ほんとうの行方」に登場する。仲原遊多と同じ中学に通う女子。年上の男性と援助交際をしている。クラスで孤立する遊多や保坂智美に対しては基本的に無関心を装っているが、彼女もまた家族が忙しく、孤独な生活を送っている。援助交際をしているのは、その悩みの反動ともとれる。

谷口 修二 (たにぐち しゅうじ)

エピソード「ほんとうの行方」に登場する。保坂智美を中心になっていじめている男子中学生。実は過去に智美に告白したが振られており、いじめはその逆恨みという側面が強い。もともとは野球好きで、友人想いの優しい少年だったが、父親がヤクザであるため、周囲から人を遠ざけるようになった。

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