あらすじ
第1巻
馬渡真助は仕事の損失により、3億5千万円もの借金を抱えてしまう。さらに借りた先がブラックな金融会社であったため真助は命の危険を感じ、家財道具を売り払って夜逃げしようと計画を立てていた。だが、いざ逃げようとした時、真助の前に見覚えのない女・真織が現われ、昨晩結婚の約束をしたと話す。昨晩も酒に酔っていて記憶のない真助だったが、真織の強固な姿勢に折れ、共に家を出る事となる。真助が潜伏先として選んだのは港湾整備計画のある倉庫街であり、訪れる人はいない。火や水もない倉庫の中で、真助と真織は不思議と楽しい生活を送る事となった。しかし、港湾整備計画が本格化した事により、二人は倉庫から出ていかなくてはならなくなる。久々にホテルに宿泊した気の緩みもあり、真助は一人でボクシングの試合を観戦しにいく。その姿を金融会社のチンピラに見つかり、真助は拉致され暴力を受ける。さらに宿泊先に女性がいると睨んだ金融会社のチンピラたちはホテルに向かうが、真織は間一髪のところでスティングに助けられ、事なきを得る。気を失っている真織をスティングは真織の父が暮らす屋敷へと連れて帰る。実は真織は20年前の事故により心臓が機能しない状態になり、医療技術が進歩した現代にコールドスリープから目覚めたばかりの人間だったのだ。しかし、真織の心臓は最長でも1年8か月しかもたないと知った真織の父が、「恋をさせたい」と生命力あふれる真助を探し出し、二人を引き合わせたのだった。何も事情を知らない真助は傷を負いながらもチンピラたちのもとから逃げ出し、いなくなった真織を探すのだった。
第2巻
真織は真織の父が暮らす屋敷へと連れ戻され、次に会っていいと言うまでは勝手な行動をしてはいけないと厳しく行動を制限される。一方、真織を探していた馬渡真助は、訪れたバーで真織にそっくりな古い映画の女優のポスターを見つける。何やら胸騒ぎを覚えた真助は仕事仲間の久保の手を借り、女優の詳しい情報や自分の出生を辿るなど情報を集める。そんな中、真助を米国防総省の柴崎ヨーコが訪ねて来る。ヨーコは真織の素性や現在の状態を教え、さらに真助の借金をすべて肩代わりしたうえで、真織の居場所まで教えると語る。そしてその交換条件として、サイボーグの研究のため、真織の日々の心拍数や趣味趣向などさまざまなデータを渡すよう要求するのだった。真助はその話に乗って真織を誘拐し、そのままヨーコが手配した沖縄の島へと逃亡する。そこで愛を確かめ合った二人は、真織を一日でも長く延命させるため、真織の父に会いに行こうと決意する。時を同じくして、スティングはスティングの彼女の特殊能力により、真織の父の恐ろしい計画を知る。事実を問いただすスティングに対し、真織の父は自身と妻、そして真助の父親である馬渡泰二にまつわる過去を語るのだった。
登場人物・キャラクター
馬渡 真助 (まわたり しんすけ)
37歳の独身男性。血液型はA型で牡牛座。アルコール中毒者でギャンブル狂い、さらに女たらしと手に負えない性格をしている。仕事は海外のアーティストと交渉し、日本でのコンサートの斡旋をする事。しかし、二度にわたる興業の不入りにより、3億5千万円の借金を抱える事となった。自宅で夜逃げの計画を立てていたところ、結婚を約束したと語る真織に押しかけられ、成り行きで行動を共にするうちに惹かれていく。 ただし、素性のはっきりしない真織に対しては、男のけじめとして手を出さずにいる。
真織 (まおり)
馬渡真助の前に突然現れた女性。清楚で優雅、上品な佇まいをしており、真助は「イノセンス」と評した。真助と結婚の約束をしたと突然彼の自宅に押しかけ、以降真助と共に生活している。実は20年前の事故により心臓が機能しない状態になっており、真織の父の選択により医療技術が進歩するまでコールドスリープしていた人間である。 現代に目覚めて新しい心臓にはなっているものの、最長で1年8か月しか生きられない。米国防総省がサイボーグ開発を急ぐ中、真織を研究したいと考えている柴崎ヨーコに密かに監視されており、ヨーコからはコードネームの「CX-0018」と呼ばれている。
ズズ
モデルとして働く、褐色の肌をしたボーイッシュな女性。馬渡真助に片想いをしている事を公言しており、現在は気の合う友達のような間柄である。真助にとっては唯一の味方であり、彼に乞われれば返ってくるあてがなくても快く金を渡している。
ニジンスキー
馬渡真助と真織が、港湾整備計画で建て壊しが決まっている建物に潜んでいたところにやって来た野良犬。真織にかわいがられており、彼女が金融会社の男に襲われた時には身を挺して助けた。新たな逃亡先に移動する際、真助が足手まといになるからと置き去りにした。しかし、真織はいつか迎えに行きたいと願っている。
真織の父 (まおりのちち)
真織の父親で大富豪。20年前に家族旅行で訪れたスペインで事故に遭い、妻を亡くした。同時に娘である真織も心臓に壊滅的な損傷を受けてしまう。臓器移植を行うのは抵抗があったため、医療技術が成熟し人工心臓を造る事ができるようになるまで真織をコールドスリープさせていた。蘇生した真織の寿命が最長でも1歳8か月しかないと知り、そのあいだに恋をさせたいと考えていた。 だが、その裏では過去に自分に辛酸をなめさせた馬渡泰二に対する復讐の念があった。
スティング
真織の父の部下であり、真織のボディーガードを務めている男性。感情を表に出さない物静かな性格の持ち主。拳とナイフさばきは超一流。基本的に真織の父に忠実だが、勝手な外出を禁じられている真織がニジンスキーに会いたいと懇願した時には、こっそり連れ出すなど、人情家の一面も持つ。
スティングの彼女 (すてぃんぐのかのじょ)
スティングの彼女。突然人の未来や生い立ちなどが頭に浮かぶ特殊能力を持っており、スティングが傷つく事を恐れて、馬渡真助と真織の関係に深入りしないように警告をしていた。最終的に、真織の父が目論んでいた計画を見破る。
久保 (くぼ)
馬渡真助の仕事仲間の男性。気のいい性格の人物で、行くあてがないうえにブラックな金融会社のチンピラに追われる真助をかくまった。真助に協力的で、さらわれた真織の捜索も手伝う。
馬渡 泰二 (まわたり たいじ)
馬渡真助の父親で故人。賭け事で生計を立てており、無謀とも思える戦略で次々と勝ちまくっている伝説の人物であった。優れた話術、一度手に入れたいと思ったものは絶対諦めない情熱、どんな時でも冷静に判断する思考力とポーカーフェイスの持ち主であり、真助がその気質を強く受け継いだ。
柴崎 ヨーコ (しばさき よーこ)
米国防総省に勤務する女性。サイボーグの開発を急ぐ米国防総省が20年のコールドスリープから目覚めた真織に興味を抱き、監視と研究のために日本へと送り込んだ。真織の事はコードネームの「CX-0018」と呼んでいる。
クレジット
- 原作