DRAGON VOICE

DRAGON VOICE

本来は歌手志望でありながらも、独自の声質のせいで夢をあきらめかけていた少年、天海凛は、ひょんなことから男性ヴォーカルグループ「BEATMEN」に加入。「ドラゴンボイス」と呼ばれる天性の声と磨き上げたダンスで、芸能界で成りあがっていく凛の姿を描く。「週刊少年マガジン」2001年第7号から2003年第8号にかけて連載された作品。

正式名称
DRAGON VOICE
ふりがな
どらごん ぼいす
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

天海凛とBEATMENの出会い(第1巻)

天海凛は歌手志望だったが、生来のしゃがれた声のせいでその夢を半ば諦め、代わりにダンスに磨きをかけ、暇な日には友達とともに、渋谷のストリートで流行の曲に合わせて踊っていた。そんなある日、近くで車がエンストを起こし、中からライブ会場に向かう「BEATMEN」の4人のメンバーが降りてくる。この時、凛が因縁をつけたため「BEATMEN」は歌とダンスを披露することとなり、彼らのパフォーマンスを目のあたりにした凛は、そのクオリティの高さに驚愕する。その翌日、新聞で「BEATMEN」のリーダーである春日信乃が喘息の発作で倒れたことを知った凛は、自分が無理をさせたためだと責任を感じ、謝罪をするために「BEATMEN」の所属事務所「REDSHOES」を訪ねる。そこで凛は成り行きから所属オーディションを受けることとなり、「BEATMEN」のバックダンサーとしてテレビ出演が決定してしまう。そして迎えた番組で、ダンスをしながらいつの間にか歌った凛の声は、「BEATMEN」のメンバーたちの声と美しく共鳴。そんな凛を見た「REDSHOES」の代表取締役、近藤奏は、凛のことを悪魔の魅力と神の輝きを持つ幻の声「ドラゴンボイス」の持ち主だと絶賛するのだった。

BEATMENの初イベントと正式加入(第1巻)

春日信乃から「BEATMEN」のメンバーとして加入しないかと誘われた天海凛は、まず見習いとしてバックダンサーを務めることとなった。そんな中、「BEATMEN」に商業施設で催される公開イベントの仕事が入る。ところが、イベントがスタートしたところで、機材トラブルにより音響設備が使えなくなってしまう。その状況で、凛は帰ろうとする観客をアカペラで歌って引きとめる。さらに春日信乃ら「BEATMEN」のメンバーもそれに続き、結果的にイベントは500人以上の観客を集めて大盛況となる。しかし、凛の「ドラゴンボイス」は騒音だとして、事務所や商業施設にクレームが入り、「BEATMEN」は会場から出入り禁止を言い渡される。そんな凛に対し、江藤勇吾岩城豪は、正式メンバーどころかバックダンサーとしても外すべきだと主張するが、近藤奏と信乃は、凛を正式メンバーにして、他の4人が彼と声を共鳴させればいいと説得する。こうして、凛が「BEATMEN」の正式メンバーとなることが決定する。

BEATMENの本格始動とライバル登場(第1巻~第2巻)

天海凛を5人目の正式メンバーとして迎えた「BEATMEN」は、本格的に芸能活動を再スタートさせた。そんな中、テレビ局に不慣れな凛は、誤って「S-FIELD」所属の新人アイドルグループ「PRIVEE」の撮影現場に立ち入ってしまう。そこで「PRIVEE」から挑発された凛は、歌の技術を上げるため、ピアノを弾ける田村俊生に個人レッスンを依頼するなど、これまで以上に熱心に取り組むようになった。その甲斐あって、他の4人のメンバーとも歌声を共鳴させることに成功し、ついに江藤勇吾岩城豪も凛の正式加入を認めることとなった。そんな矢先、「S-FIELD」はメディアに圧力をかけ、「BEATMEN」は次々に仕事を干されていく。この事実を知った近藤奏は、「負けた方が無期限活動休止をする」という条件で、「PRIVEE」に勝負を挑み、「S-FIELD」は「同じ日にライブをしてより多くの観客を動員できた方が勝ち」というルールで、この勝負を受け入れるのだった。この勝負で野外ライブを行った「BEATMEN」は、雷雨により不戦敗。さらに、代表取締役の近藤奏が、無許可で公道でのライブを計画・実行したとして拘留されてしまったため、「REDSHOES」は融資を打ち切られ、事実上倒産してしまう。

超音戦隊ボイスレンジャー始動(第2巻~第4巻)

代表取締役の近藤奏は拘留中で、さらに「BEATMEN」は活動もできない状態にあった。そこでメンバー5人は春休みを利用し、椎名聖子とともに近藤の師匠でボイストレーナーであるロラン鈴木のもとを訪れる。そして、「BEATMEN」メンバー5人と聖子は、なぜか伊豆ミラクルランドの従業員として働かされることになってしまう。そんな中、急遽ヒーローショーに飛び入り参加することになった天海凛は、ロランの知り合いで映像監督の名武順と知り合う。そして「BEATMEN」のメンバーたちは彼の誘いを受け、特撮番組「超音戦隊ボイスレンジャー」に出演することが決定。突然のスポンサー降板や最終回目前で凛の声が出なくなるといった危機も乗り越えて、「超音戦隊ボイスレンジャー」は視聴率30%を超える伝説の戦隊ヒーロー作品となるのだった。

芸能事務所「REDSHOES」再始動(第4巻)

超音戦隊ボイスレンジャー」の撮影も終わり、「BEATMEN」は晴れて活動を再会することとなった。だが、「REDSHOES」が事実上倒産しているため、所属する事務所がないという不便な状態にあった。そんな中、近藤奏が保釈されるという情報が入る。「BEATMEN」や椎名聖子は、近藤を再び代表取締役に迎えて事務所を立て直そうとするが、賃貸契約をする資金がまったくない。結果、当面は凛の自宅を「REDSHOES」の仮事務所にすることとなる。そんなある日、「BEATMEN」の前マネージャーの柊ひとみは、持ち前のトラブルメーカーぶりを発揮した結果、偶然にも「S-FIELD」の小比類巻が他の芸能事務所に不当に圧力をかけているデータを見つけてしまう。データを手に入れた「BEATMEN」メンバーたちは、その証拠を武器に小比類を脅し、「REDSHOES」は再び活動拠点となる事務所を手に入れることに成功する。

BEATMENのハイスクールライフ(第5巻)

天海凛江藤勇吾の進学に伴い、「BEATMEN」のメンバーは全員が高校生となった。だが、「超音戦隊ボイスレンジャー」の撮影や芸能活動が重なり、全員がまともに学校に通っていない状態にあった。近藤奏の「学生にしかできない経験をするべきだ」という意向により、「BEATMEN」メンバーはそろって、春日信乃が在籍中の私立日芸大藤宮学園高校に転校する。楽しみにしていた芸能の授業がほとんどなく、勉強ばかりの毎日に嫌気がさしてしまう天海凛だったが、担任の石綿の「アイドルとしてファンの前に出る時には失望させてはいけない」という言葉に感銘を受け、真面目に勉強をするようになる。そんな生活の中、学業とレコーディングの両立、信乃の喘息症状の悪化からの脱退騒動、窪倉光輝率いる野球部の応援など、学校でしかできない貴重な体験を積み上げた「BEATMEN」メンバーは、舞台上での表現力や歌詞を書く能力を向上させていく。

「オーシャンボイス」SEIRENとの戦い(第6巻)

ついにシングルCDを発売した「BEATMEN」だったが、「S-FIELD」の妨害に遭い、初週売上チャートは115位と惨敗。しかし口コミや「BEATMEN」の地道なライブ活動が功を奏してCDの問い合わせが増え、次の週には5位に返り咲いた。相変らず上位は「S-FIELD」所属のアーティストであったが、そんな中、1位に「オーシャンボイス」の持ち主であるSEIRENが率いる多国籍ヴォーカルバンド「BABY NAKED」がチャートイン。さらに、「BEATMEN」「PRIVEE」そしてSEIRENのテレビ番組での共演が決定し、全員でセッションをすることになる。天海凛はそこで、圧倒的な存在感を誇るSEIRENの「オーシャンボイス」に敗北感を覚えるものの、「次回は絶対にSEIRENに勝つ」という新たな目標を抱くのだった。

エンジェルフォームの習得と白熱のフェス(第6巻~第8巻)

夏の甲子園タイアップ曲の提供アーティストとして、「BEATMEN」「PRIVEE」そしてSEIRENのバンド「BABY NAKED」が候補に挙がり、近々開催されるフェスの様子を見て判断されることとなった。なんとしてでもタイアップを勝ち取りたいと練習を重ねていた天海凛は、久々に再会したサラから、「凛の声には致命的欠陥がある」と指摘されてしまう。調べたところ、喉を酷使しすぎたせいで、凛の声には人が不快になるノイズが混じるようになっていたことが発覚。これを改善するために近藤奏と猛特訓をした凛は、新たに「エンジェルフォーム」という天使の歌声を習得する。そして迎えたフェス当日、SEIRENの圧倒的な歌唱力に自信を失った凛は、焦りのあまり「エンジェルフォーム」を失敗し、会場に不快な歌声が流れてしまう。そんな中、「BEATMEN」の他のメンバーはSEIRENとセッションをはじめ、気持ちを立て直す。自信を取り戻した凛はついに「エンジェルフォーム」の歌声を成功させるのだった。

BEATMEN・甲子園タイアップ(第8巻)

フェスでの勝利により、「BEATMEN」は見事、夏の甲子園タイアップ曲の提供アーティストとなった。これに伴い、「BEATMEN」は実際に甲子園の開会セレモニーでライブを行うことになったが、周りの球児たちからは「アイドルは場違いだ」と冷たい視線を浴びてしまう。しかし、球児たちを応援したいという「BEATMEN」の心からの気持ちが歌声を通して伝わり、最終的に開会セレモニーは大いに盛り上がるのだった。

凛の母とそれぞれの過去(第8巻)

アメリカで働いている芸能界嫌いの凛の父が帰国し、天海凛は「BEATMEN」として活動していることがばれてしまう。当初は大反対していた凛の父であったが、凛の情熱を知り、少しずつ受け入れていくようになる。そんな中、凛は母親の天海沙羅が過去に「REDSHOES」代表取締役の近藤奏や、「S-FIELD」代表取締役の響邦彦と3人でグループを組んでいたことを知り、妙な因縁を感じるのだった。

打倒名無しのスナフキン(第9巻~第10巻)

BEATMEN」は初めてのアルバム制作に入ったが、このアルバムにはメンバーによる作詞曲が収録されることとなった。作詞センスのない天海凛は、独特の歌詞が魅力というストリートミュージシャン「名無しのスナフキン」の噂を聞き、彼らに会いに行く。結果、凛をはじめ「BEATMEN」のメンバーたちは「名無しのスナフキン」と意気投合するが、実は「名無しのスナフキン」はすでにメジャーデビューが決定しており、プロモーションのために公の場で「BEATMEN」のパフォーマンスを利用しようと目論んでいたのだった。「名無しのスナフキン」との実力差をテレビで放送されて悔しい思いに駆られた「BEATMEN」メンバーは、山籠もりをして近藤奏サラの協力を受け、ボイスパーカッションの技術を身につける。そして「名無しのスナフキン」にライブ対決で見事リベンジを果たす。「名無しのスナフキン」は「BEATMEN」の実力を認めたうえで秘蔵の作詞ノートを譲渡し、所属事務所「S-FIELD」からの契約金を手にして、東京から去っていくのだった。

凛の引き抜きとデイバインボイス(第11巻)

BEATMEN」はゴールドディスク新人賞を受賞し、人気も知名度も不動のものとしていた。そんな時、「S-FIELD」の後援を受けて日本にやって来た「デイバインボイス」の持ち主であるシャール=レム=ガブリエルから、「天海凛を引き抜きたい」という誘いがかかる。シャールとSEIRENを交えた3人でライブを行い、全力を出し切った凛は、不覚にも彼女たちとのセッションを楽しいと感じてしまう。だがシャールはいったん引き抜きを見合わせ、「いつか絶対にともに歌いたいと思うから」と言い残し、凛のもとから去っていく。

BEATMENの解散とこれから(第11巻)

シャール=レム=ガブリエルSEIRENと歌ってから、天海凛は「BEATMEN」での活動が上の空になっていることに気づく。そして春日信乃の助言を受け、凛は「BEATMEN」を脱退することを決意。ラストレコーディングを終え、サラとともにクリスマスを満喫する凛の心中は晴れやかであった。しかし、凛が抜けた後、「BEATMEN」は解散が決定する。責任を感じた凛はメンバーたちと話し合いを持つが、すでにソロ活動や留学といった次なる目標に向いていた彼らを引きとめることはできなかった。凛は年末に再びシャールとSEIRENの3人でステージに立つが、途中で会場を抜け出す。そして改めて路上ライブからやり直そうと決意する。そんな彼の前に、どこからともなく他の「BEATMEN」メンバーが姿を現し、急遽路上で「BEATMEN」の解散ライブが行われることとなった。こうして「BEATMEN」メンバーは最後まで全力を出し切り、清々しい気持ちで路上から去っていく。それから2年後、「BEATMEN」メンバーは再び集結するのであった。

登場人物・キャラクター

天海 凛 (あまみ りん)

東京都在住の中学3年生の男子。7月24日生まれで、年齢は15歳。「BEATMEN」のメンバーで、芸名は「RIN」。凛の父は長期海外赴任中、母親の天海沙羅とは10年前に事故により死別している。一人暮らしが長かったので料理が上手い。容姿は中の上、頭脳は中の上、スポーツも中の上と、人より極端に劣った部分もないが、特別に優れたところもない。 「ドラゴンボイス」の持ち主であり、本当は歌手になりたかったが、しゃがれ声のため半ばあきらめており、その分の情熱をダンス注いで磨きをかけてきた。一方で歌手に対するあこがれも捨てきれておらず、心のどこかで歌いたい気持ちを抱いていた。素行はあまり良いとはいえず、世間からは不良中学生に分類されており、中学校でも周りから距離を置かれる存在である。 さらにひねくれた性格なので友達も少ない。「BEATMEN」のリーダー、春日信乃から誘われて「BEATMEN」の5人目のメンバーとして加入し、「REDSHOES」所属アイドルとして芸能活動をスタートさせた。天海凛本人はしゃがれ声だと思っていたが、実は「ドラゴンボイス」と呼ばれる天性の歌声の持ち主。 その「ドラゴンボイス」で喉を酷使したために、途中からは近藤奏直伝の歌声「エンジェルフォーム」を身につけた。自分の「ドラゴンボイス」を褒めてくれたり、落ち込んでいる時に励ましてくれたりするサラに、ほのかな恋心を抱いている。

春日 信乃 (かすが しの)

芸能事務所「REDSHOES」所属の「BEATMEN」で、リーダーを務める男子。芸名は「SHINO」。北海道から単身上京して来た高校2年生で、年齢は17歳。幼い頃から聖歌隊で活動してきた。ステージ上ではクールで大人っぽいキャラクターを演じているが、実際はほのぼのとした親しみやすい性格の持ち主。しっかりしているようで、使わないものを通販で衝動買いをするなど、抜けている一面もある。 しゃがれた「ドラゴンボイス」に加え、優れたダンスの才能を持つ天海凛に興味を抱き、一緒にダンスをして能力を試した。その後は「BEATMEN」のバックダンサーに欠員が出た際、代役として凛を推薦するなどして、彼が「BEATMEN」に入る大きなきっかけをつくった人物。 幼い頃から喘息を患っており、走ることはもちろん、花火の煙程度でも症状が出るが、医師から薬をもらって症状を抑えている。

江藤 勇吾 (えとう ゆうご)

芸能事務所「REDSHOES」に所属する「BEATMEN」のメンバーの男子。芸名は「YUHGO」。生まれてすぐに子役として活動しており、「BEATMEN」のメンバーの中では一番芸歴が長い。以前は芸能事務所「S-FIELD」に所属していたが、自分の可能性を確かめたいと「REDSHOES」へ移籍した。15歳の中学3年生であり、天海凛と並んで「BEATMEN」の最年少メンバーである。 背が低く、かわいらしい容姿で、声も高い。一方で、毒舌家で笑顔を見せることがなく、何を考えているのか分からないミステリアスなところがある。自分たちの写真を違法に販売していた人物の友達であることや、アイドルを見下すふてぶてしい態度を理由に、天海凛が「BEATMEN」に加入することを岩城豪とともに強く反対していた。 「BEATMEN」の中では唯一、作詞センスに優れている。

岩城 豪 (いわき ごう)

芸能事務所「REDSHOES」に所属する「BEATMEN」のメンバーの男子。芸名は「GOH」。高校1年生で、年齢は16歳。実家は代々続く歌舞伎の名家として名高い奥村家であり、父親は歌舞伎界の重鎮、奥村藤雀。弟に岩城彩丸がいる。大雑把でワイルドな性格で、普段から口が悪い。「BEATMEN」ファンの女性からは「ワイルドでセクシー」と評されている。 天海凛としては「えらそうなだけ」と、あまり良い印象を抱かれていない。当初、凛の「ドラゴンボイス」に対しては「悪声だ」と認めておらず、「BEATMEN」への加入も反対していたが、次第に凛の人柄と才能を認めるようになる。

田村 俊生 (たむら としお)

芸能事務所「REDSHOES」に所属する「BEATMEN」のメンバーの男子。芸名は「TOSHI」。高校1年生で、年齢は16歳。実家は東京都の田園調布にある。育ちが良く、口調も丁寧なため、「BEATMEN」ファンの女性からは「エレガントな佇まいと声」と評されている。優しく穏やかな人当たりの良い性格で、「BEATMEN」のメンバーの中でもファンに対するサービス精神が特に旺盛。 岩城豪いわく、「イジメやすい人」で、「BEATMEN」内でもいじられ役になりやすい。特技はピアノ演奏。当初、「ドラゴンボイス」を持つ天海凛が「BEATMEN」に加入することについては、多少反発心は抱いていたものの、江藤勇吾や豪よりは比較的早く受け入れた。 また、ピアノが弾けるため凛の個人練習にも付き合っている。もともとピアニストを目指していたが、「譜面通りに弾くだけでつまらない演奏家」と酷評され、諦めた過去がある。

近藤 奏 (こんどう かなで)

芸能事務所「REDSHOES」の代表取締役を務める男性。年齢は43歳。「BEATMEN」のメンバーや椎名聖子からは「ボス」と呼ばれている。ひげを生やし、髪もボサボサとだらしない外見で、とても社長には見えない。スター不在で破産寸前の「REDSHOES」を盛り上げようと、密かに男性ヴォーカルグループを育て上げ、「BEATMEN」をデビューさせた。 天海凛のしゃがれ声を「ドラゴンボイス」だと褒め、「BEATMEN」での活躍を期待している。過去に響邦彦、天海沙羅の3人でグループを組んでいたことがある。

椎名 聖子 (しいな せいこ)

芸能事務所「REDSHOES」に勤務する若い女性。サバサバした性格で、巨乳の持ち主。小規模事務所なので、マネージメントはもちろん、トイレットペーパーの買い出しなどの雑務まで担当している。「BEATMEN」のマネージャー兼スタイリスト兼ダンストレーナーを自称している。極端な近眼で、普段は眼鏡をかけており、外すとほとんど何も見えなくなってしまう。 仕事は好きだが、いずれ寿退社をしたいと望んでいる。

柊 ひとみ (ひいらぎ ひとみ)

かつて芸能事務所「REDSHOES」に勤務していた女性。非常に美人で、「BEATMEN」の初代マネージャーだった。1年前にMBAを取得するために会社を辞め、アメリカに留学した。デリカシーや注意力が著しく欠損しており、人の過去の傷をえぐる発言をしたり、高価なティーカップを壊したりと、極端なトラブルメーカー。 料理の腕も、食べた者を病院送りにするほどに壊滅的。そのため、「周りダイハード」という異名を持つ。一方で頭脳明晰で、仕事は高いレベルでこなすことができる。また情の篤いところもあり、「REDSHOES」や「BEATMEN」メンバーに頼られると拒絶できない。アメリカから帰国した後は、椎名聖子に代わって「BEATMEN」のマネージャーとして復帰する。

サラ

テレビ局内や路上でたびたび天海凛が出会う謎の少女。凛の「ドラゴンボイス」をいち早く認めて褒めたり、落ち込む凛を励ましたりと凛にとって心強い味方であり、凛がほのかな恋心を抱く相手でもある。凛とは毎回偶然に出会い、また気づくといつの間にかその場からいなくなっているため、幽霊ではないかと疑われている。優しく穏やかな声の持ち主で、凛には自分の母親である天海沙羅の歌声に似ていると評されている。 著名なボイスドクターであるダニエル・シャンホーと繋がりがある。

ロラン鈴木 (ろらんすずき)

静岡県伊豆市に住む高齢の男性。かつて音楽業界で働いていた。高齢ではあるものの、見た目だけで椎名聖子のバストサイズを当てたり、尻を触ったりと色欲旺盛。近藤奏の師匠でもあり、優秀なボイストレーナーとしても知られている。「BEATMEN」のメンバーたちの声を少し聞いただけで、それぞれの声の特徴や問題点を指摘した慧眼の持ち主。

名武 順 (なたけ じゅん)

映像監督を務める男性。ロラン鈴木の知り合い。伊豆ミラクルランドで働いていた「BEATMEN」のメンバーたちを見て、自身の次回監督作「超音戦隊ボイスレンジャー」のヒーローとして出演しないか、と打診した。監督としての才能も熱意もあるものの、なぜか名武順の現場では必ず不運が起こる。そのため、映像製作スタッフの間では「ハードラック名武」という異名で知られている。

奥村 藤雀 (おくむら とうじゃく)

歌舞伎界の名門、奥村家の重鎮の男性。岩城豪と岩城彩丸の父親。かなり気難しいうえにテレビ嫌いで、メディアに登場することはめったにない。西洋の音楽を歌って踊りたいと言って家を出た豪を、許せずにいる。

岩城 彩丸 (いわき あやまる)

歌舞伎界の名門、奥村家の跡取りの少年。歌舞伎界注目の若手で、舞台上では「奥村雪の助」と名乗っている。奥村藤雀の次男で、岩城豪の弟。長男でありながら奥村家の跡取りにならず、歌やダンスがしたいと家を飛び出した豪のことを認めており、好きなことをやるべきだと応援している。また、歌舞伎をしていた頃の豪に憧れており、今でも当時の彼を目標にしている。

双葉 さくら (ふたば さくら)

特撮番組「超音戦隊ボイスレンジャー」に出演している少女。年齢は15歳。父親は日本の特撮ドラマ監督として著名な人物だが、5年前に死去している。子役時代からアクション性の強い作品に出演しており、将来の夢はハリウッドや香港でアクション女優として大成すること。「超音戦隊ボイスレンジャー」内では紅一点で、非常に気が強く、人に媚びないサバサバとした性格。 そのため、チャラチャラとした印象のあるアイドルを嫌っており、当初は「BEATMEN」に対しても良い印象を抱いていなかった。天海凛と稽古をしていた際も最初は反発していたが、次第に凛の根性を認めるようになり、以降は軽口を言い合う関係になった。凛からは「葉ざくら」と呼ばれてからかわれている。 その他の「BEATMEN」のメンバーに対しても、稽古や撮影中に各々の実力を知ることにより、ただのチャラチャラしただけのアイドルではないと認めた。撮影が進むにつれて、凛に対して淡い恋心を抱くようになり、プライベートではひらひらしたスカートを着用するなど、女らしい一面をのぞかせるようになる。しかし凛の心の中にサラがいると知り、素直に身を引いた。

ダニエル・シャンホー (だにえるしゃんほー)

フランス人の男性。海外オペラ歌手のボイスドクターを務めており、年齢は30歳。声が出なくなった天海凛がサラに紹介してもらった人物。普段は素性の分からない者を診ることはないが、サラからの頼みであることと、「ドラゴンボイス」を持つ凛の特殊な喉を見て興味を抱き、注射などの応急処置をした。

響 邦彦 (ひびき くにひこ)

芸能事務所「S-FIELD」の代表取締役を務める男性。感情を表に出すことは少なく、常に冷静である。現在は男性アイドルグループ「PRIVEE」の売り出しに力を注いでいる。芸能事務所「REDSHOES」の代表取締役である近藤奏とは、過去に天海凛の母親である天海沙羅も交えてグループを組んでいた。 「BEATMEN」に所属する凛に対しては、所属アイドルのライバルではあるものの、その実力は認めている。

小比類 巻 (こひるい まき)

芸能事務所「S-FIELD」の営業戦略企画室に勤務する男性。自社の男性アイドルグループ「PRIVEE」を売るためであれば手段は選ばず、各メディアを味方につけ、「BEATMEN」の仕事を干すなどの圧力をかけた。「BEATMEN」の中でも、直接盾突いてくる天海凛のことを特に嫌っている。

小川 涼子 (おがわ りょうこ)

芸能事務所「S-FIELD」の営業戦略企画室に勤務する女性。かつては小比類巻のもとで秘書的な仕事ばかりを請け負っていたが、実力が認められ、現在は営業戦略企画室のトップの座に就いている。頭脳明晰な黒髪のスレンダーな美人だが、胸が小さいことがコンプレックス。巨乳の椎名聖子が気に入らず、下品なだんごみたいな胸を持つ「笹だんご女」などと散々悪口を言っている。 「BEATMEN」に対して攻撃的であり、人気を失墜させようと企む。

桂木 ミツル (かつらぎ みつる)

芸能事務所「S-FIELD」の男性。元祖カリスマアイドルとして知られている。甘いマスクと気さくな性格のため年を重ねてもファンが多く、現在では司会業などアイドル以外の仕事もこなしている。椎名聖子は桂木ミツルが現役アイドルだった頃からのファンで、当時の愛称である「ミッチ」と呼んでいる。表向きは「BEATMEN」など他の事務所所属タレントに対しても優しいが、陰では「S-FIELD」所属のタレントを目立たせるためであれば、他は蹴落としても構わないという腹黒い考え方をしている。

凛の父 (りんのちち)

天海凛の父親。妻の天海沙羅とは死別している。普段はアメリカで車の開発デザインをしており、凛とは年に3回ほどしか顔を合せない。やや気性の荒い凛とは正反対ののんびりとした性格であり、何かとすぐに落ち込みがち。沙羅が芸能界を引退した後に出会ったため、もともと彼女がミュージシャンであったことは知らなかった。結婚して凛が生まれた後、沙羅のところに近藤奏から「また歌わないか」という話がきて、初めて真実を知った。 近藤からの誘いを受けて再び活動を始めた沙羅が、会場に向かう途中で事故死してしまった。そのため芸能界そのものを嫌っており、凛が「BEATMEN」として、こともあろうに沙羅の死のきっかけとなった近藤の事務所「REDSHOES」に所属していることが許せずにいる。

天海 沙羅 (あまみ さら)

天海凛の母親で、10年前に死去している。かつてブロードウェイで歌った実績を持つ歌手であり、死んでからもその実力を称える者は多い。凛の父と結婚する前は、現「REDSHOES」代表取締役の近藤奏、および現「S-FIELD」代表取締役の響邦彦と3人でグループを組んでいた。結婚のために芸能界を引退していたが、近藤の誘いを受けて再び音楽の世界に戻り、これがきっかけで事故死することとなった。

石綿 (いしわた)

私立日芸大藤宮学園高校の男性教員。小太りの体格で眼鏡をかけており、感情をあまり顔に出さない。学校に来ている以上は勉強をしろと、天海凛に厳しく言うため、歌とダンスのみに没頭したい凛からは、陰で「石頭」と呼ばれていた。しかし、実際は「アイドルとしてファンの前に出る時には失望させてはいけない」という信条の持ち主。 凛に厳しくしていたのも、アイドルとしてファンを失望させないよう、しっかり知性を身につけて欲しいという思いによるものであった。

藤木 愛 (ふじき あい)

私立日芸大藤宮学園高校の1年生の女子。天海凛のクラスメイト。芸能事務所「S-FIELD」に所属しているアイドルグループのメンバーでもある。真面目で責任感の強い性格で、学校内では眼鏡をかけている。他の事務所の者に厳しかったり冷たかったりする「S-FIELD」所属タレントの中では、珍しく所属関係なしに、誰に対しても平等に接する人物。 落ち込んでいた時に励ましてくれた凛に対して密かに恋心を抱いているが、自身が恋愛御法度のアイドルであることも自覚しており、その気持ちを隠している。

瀬名 一哉 (せな かずや)

私立日芸大藤宮学園高校の1年生の男子。天海凛のクラスメイト。芸能事務所「オフィス24」に所属しているモデル兼役者でもある。黙っていれば美男子で通るのに、いちいち恰好をつけて台なしにする癖がある。挙動不審ではあるが、気は良い人物で、凛と打ち解けて友達となる。

窪倉 光輝 (くぼくら みつき)

私立日芸大藤宮学園高校の3年生の男子。春日信乃のクラスメイト。野球部では主将を務める優秀な選手で、窪倉光輝の力をもってすれば甲子園出場も夢ではないと言われている。かつて芸能事務所からしつこくスカウトされ、さらにアイドル化されそうになったため、天海凛ら芸能人からは距離を置いている。プロ野球では熱狂的な東京ヤクルトスワローズファン。

SEIREN (せいれん)

多国籍ヴォーカルバンド「BABY NAKED」のヴォーカルを担当する少女。年齢は16歳。主にアメリカで活動しているため、音楽のカテゴリーとしては洋楽に入る。ミステリアスな雰囲気のクール系の美少女で、「オーシャンボイス」の持ち主。デビューする前、日本で放送されたアメリカの化粧品メーカーのCMに出演しており、その神秘的な姿と歌声で話題を集めていた。

タカ

「名無しのスナフキン」のメンバーで、作詞を担当している。大阪出身で関西弁でしゃべる。ワイルドな容姿をしており、競馬など賭け事が好きな、大胆不敵で適当な性格。「BEATMEN」に対しても挑発的な発言で突っかかるが、彼らの実力を知ってからは素直に受け入れている。

レイ

「名無しのスナフキン」のメンバーで、作曲を担当している。大阪出身で関西弁でしゃべる。相方で親友のタカと比べると、大人っぽい落ち着いた性格ではあるものの、ちゃっかりしている一面もある。元自衛隊員のボクシングチャンピオンで腕っぷしが強い。「BEATMEN」に対しては、天海凛単独の歌声を聴いて、「そんなものか」と一時はがっかりしていたが、全員そろった際の実力を知ってからは素直に受け入れている。

シャール=レム=ガブリエル

褐色の肌を持つ青年で、「デイバインボイス」の持ち主。圧倒的な歌唱力を持ち、歌で世界を平和にするという目的を掲げ、ライブで得た収益を寄付しつつワールドツアーを行っている。日本では芸能事務所「S-FIELD」の後援を受けて活動する。見た目はスマートでクールな雰囲気を漂わせた美男子であるものの、日本文化を誤解して突飛な行動を取るなど、やや天然で気さくな性格。 天海凛の「ドラゴンボイス」に惚れ込み、「BEATMEN」から脱退して自分とグループを組まないかと誘った。

集団・組織

BEATMEN (びーとめん)

芸能事務所「REDSHOES」所属の男性ヴォーカルグループ。初期メンバーは春日信乃、岩城豪、田村俊生、江藤勇吾の4人だったが、のちに5人目のメンバーとして天海凛が加入した。芸能界ではアイドルのカテゴリーに入る。まだデビューしたばかりながら、歌唱力とダンスパフォーマンスの高さからすでに熱狂的なファンがついており、デビュー間もなく大型ホールでワンマンライブも行った。 ファンのほとんどは若い女性である。「REDSHOES」の代表取締役である近藤奏が密かに育て上げたヴォーカルグループで、メンバーは声質を重視して選ばれている。そのため、メンバーたちが育ってきた環境や性格などがまったく異なり、歌とダンス以外はまとまりのないグループであったが、活動を通して絆を深めていく。 同時期にデビューした「S-FIELD」所属の「PRIVEE」とは、CDセールスランキングや有線リクエストでも熾烈な争いを繰り広げており、ライバル関係にある。

REDSHOES (れっどしゅーず)

「BEATMEN」のメンバーが所属している芸能事務所。事務所は雑居ビルにテナントとして入っており、隣は庶民的な弁当屋。芸能界の中でもかなりの弱小事務所であり、長らくスター不在であったため、倒産寸前の状態にあった。しかし、代表取締役である近藤奏が密かに育てていた「BEATMEN」がデビューするや否や熱狂的なファンを獲得し、現在は事務所に勢いがついている。

S-FIELD (えすふぃーるど)

芸能界、特にアイドル分野で業界トップの権力を持つ事務所。現在は、男性アイドルグループ「PRIVEE」を猛プッシュしている。同時期に「REDSHOES」からデビューした「BEATMEN」をライバル視し、何かと嫌がらせをしている。

PRIVEE (ぷりゔえ)

男性3人組のアイドルグループ。芸能事務所「S-FIELD」に所属し、業界トップの権力を持つ「S-FIELD」の後ろ盾を笠に、新人ながらメンバーに謙虚さは一切ない。事務所に猛プッシュされていることもあるが、歌とダンスの実力も相当なもので、デビューシングルがCDセールスランキングの1位を獲得している。バラエティ番組などにも出演し、業界では「21世紀注目のビッグアイドル」と評されている。 「BEATMEN」とはほぼ同時期にデビューしており、さらにCDセールスランキングや有線リクエストでも熾烈な争いを繰り広げているため、ライバル関係である。

超音戦隊ボイスレンジャー (ちょうおんせんたいぼいすれんじゃー)

ちなみに天海凛は、「ドラゴンボイス」のしゃがれた声質のため、「デスハーモニー」という名の悪役となっている。監督は名武順が務め、特撮ドラマ化が決定しており、子供向けグッズも企画されている。 番組内容は音楽と歌を駆使して敵と戦い、アクションはダンスを交えたものとなっている。基本的にスーツアクションも吹き替えなしで、出演者たちがそのまま担当している。

名無しのスナフキン (のーばでぃのすなふきん)

インディーズシーンで活動しているタカとレイの2人組ストリートミュージシャン。作詞をタカ、作曲をレイが担当している。大阪でケンカなど悪さばかりをしていたため追い出され、全国をトラックを改造したたこ焼き屋台で回り、行く先々でストリートライブをしている。圧倒的な歌唱力と突き刺さるような歌詞が注目を集め、おっかけをするファンも多い。 どの事務所に所属してメジャーデビューをするのか、注目が集まっていたが、「S-FIELD」に決定する。

場所

伊豆ミラクルランド (いずみらくるらんど)

静岡県伊豆市にある遊園地。ファミリー層が主な来場者であり、動物の着ぐるみや忍者など園内にはさまざまなキャラクターが溢れている。「マガジンマン」という戦隊ヒーローショーが子供たちに大人気で、伊豆ミラクルランドで一番の目玉となっている。

私立日芸大藤宮学園高校 (しりつにちげいだいふじのみやがくえんこうこう)

「学生にしかできない経験をするべきだ」という近藤奏の意向で、「BEATMEN」メンバーが通うことになった高校。ちなみにメンバーのうち、春日信乃だけは最初からこの高校に通っていた。芸能活動に寛大であり、比較的自由な校風。芸能人を受け入れているためか制服も派手で、岩城豪が「アイドル学園ドラマの制服みたい」と思わず照れてしまうほど。 芸能事務所「S-FIELD」が多額の寄付金をしているため、教師たちは「S-FIELD」所属のタレントには甘い傾向がある。

その他キーワード

ドラゴンボイス

しゃがれた声ながらも人を惹きつける独自の声質。近藤奏によれば、「悪魔の魅力と神の輝きを持つ幻の声」だという。天海凛がこの「ドラゴンボイス」の持ち主である。

エンジェルフォーム

人々を魅了する、優しく穏やかな声質を出すための姿勢。その姿勢から生まれる歌声は、まるで天使のささやきのように聴こえるため、「エンジェルフォーム」の名で呼ばれている。喉を酷使して周囲を不快にするノイズが混じるようになった天海凛が、近藤奏の猛特訓を受けて習得した。

オーシャンボイス

海のように包み込む優しさと煌めきを兼ね備えた声質。5オクターブにわたる広い音域と、オペラ歌手並みの声量も必要とされる。SEIRENがこの「オーシャンボイス」の持ち主である。

デイバインボイス

まるで神の声のような神秘的な歌声。音楽業界では「ドラゴンボイス」が現われる時、同時に「デイバインボイス」も現われるという伝説がある。シャール=レム=ガブリエルがこの「デイバインボイス」の持ち主である。

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