晴れた日に永遠が見える

晴れた日に永遠が見える

女子高校生の桜子は、兄を海難事故で亡くして以降、まるで兄の人生の代わりを生きるかのように、男装して過ごしていた。それぞれが傷つき、崩壊しかけている桜子の家族の絆を取り戻そうと尽力する、桜子の親友、小川翠の活躍を描いたハートフルドラマ。「別冊マーガレット」1993年3月号に掲載された作品。

正式名称
晴れた日に永遠が見える
ふりがな
はれたひにえいえんがみえる
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

日々男装して過ごしている都立工芸高校の3年生、桜子は、最後の学園祭でクラスメイト達と盛り上がっていた。そこで桜子は小川翠と知り合い、交流を重ねていくうちに、二人はなんでも腹を割って話せる仲になる。そんなある日、翠は男装している真相を桜子に尋ね、桜子に亡くなった兄がいる事を聞き出す。後日、体調を崩した桜子に付き添って家へ送った翠は、そこで桜子の家庭のゆがみを目撃する。

そして翠は、その元凶である桜子の父に対して、面と向かって問題点を指摘するのだった。これをきっかけに、桜子は押し殺していた自分を解放していくようになる。

登場人物・キャラクター

桜子 (さくらこ)

都立工芸高校に通う3年生の女子。デザイン科に所属している。顔立ちも恰好も男っぽく、性格もサバサバしている。成績優秀にもかかわらず、進学を諦めてアルバイトばかりしているのも、美人なのに男の恰好をしているのも、6年前に亡くなった兄、桂の真似をして、いまだ悲しみ続ける両親を慰めるためである。

小川 翠 (おがわ みどり)

都立工芸高校に通う女子。インテリア科に所属している。学園祭の時に男装している桜子と出会って衝撃を受け、その後、親友になる。桂が死んで以来、家庭内に居場所を失った桜子の苦しみに気づき、桜子の家庭のゆがみを正面から指摘した。これにより、抑圧された桜子の精神が解放されたので、そっと姿を消した。本当は「ヒロユキ」という名前で、6年前に桂と共に溺れて死にかけたものの助かった男性が、女装していた姿である。

(かつら)

桜子の兄。6年前に海の事故で亡くなった。生前はイルカが大好きで、海にかかわる仕事をしたいと望んでいた。いまだに遺体が見つかっていないため、家族達は桂が亡くなったという事実を受け止められずにいる。

桜子の父 (さくらこのちち)

桜子と桂の父親。男尊女卑な考え方をしている。桂を高く評価しているが、桜子に対しては、どんなにいい成績を取っても関心を示さない。桂が亡くなったあと、思い通りにならない苛立ちを桜子や妻にぶつけていた。桜子が桂そっくりな格好をするのを、内心では喜んでいる。

桜子の母 (さくらこのはは)

桜子と桂の母親。男尊女卑な桜子の父から威圧的な態度を取られても、いっさい反発しない。桜子が夫によってつらい目にあっているのを知りながら、桜子の気持ちに鈍感になり、家庭内の大きなゆがみを見過ごしている。

智洋 (ともひろ)

都立工芸高校に通う3年生の男子。桜子のクラスメイト。見た目も性格もチャラチャラしており、女子にモテるために髪を伸ばしたりして、必死にかっこよく振る舞っている。勉強はまったくできないため進学は絶望的で、話し方が軽すぎるためか就職も決まっていない。

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