あらすじ
警視庁捜査一課で数々の大事件を解決し、順調に出世を重ねていた香坂真一郎は恩師で元上司の三笠洋平と、現上司の小野田義信と会食をしていた。会食後に店外で捜査線上に上がっていた人物である中田隆一を発見し、職務質問をするものの取り逃がしてしまう。翌日、香坂は上層部から会食時に酒を飲んだあとに職務質問したことを叱責され、芝警察署刑事課へと異動させられる。芝警察署に出勤した香坂は、刑事の渡部久志から風見京子の死には疑惑があることや、風見の死に中田が関係している可能性があることを聞かされる。香坂は自分が芝警察署に異動させられた裏には、中田と警察の強固なつながりが関係していると感じ取り、警察が自殺と断定した風見の死の真相を探るべく、渡部と共に捜査を再開する。
関連作品
ドラマ
本作『小さな巨人』は、2017年4月から6月にかけてTBSで放映されたTVドラマ『小さな巨人』を原作としている。キャストは、香坂真一郎を長谷川博己、渡部久志を安田顕、山田春彦を岡田将生、小野田義信を香川照之、三笠洋平を春風亭昇太が演じている。コミックス同様に、さまざまな事件を追いながら警視庁と所轄の確執や、警察内部の戦いなどが描かれている。
登場人物・キャラクター
香坂 真一郎 (こうさか しんいちろう)
芝警察署刑事課で刑事課長代理を務める警察官の男性。階級は警部。5年前に警視庁捜査一課に配属され、数々の大事件を解決し、ノンキャリアの中では警視庁史上最年少で警部となったほど優秀な人物。将来は捜査一課長になると周囲からは思われており、香坂真一郎自身も捜査一課長を目指していた。しかし、偶然見かけた中田隆一に職務質問した件を、中田の身内である最大手のIT企業「ゴーンバンク社」がでっちあげの中傷記事としてニュースサイトにアップしたことで、一般市民の警察への不満が噴出し、責任を取る形で芝警察署刑事課に異動させられる。捜査一課時代は理論に基づき組織で動く捜査を信条としていたが、芝警察署に来てからは理論以外に「刑事の勘」に頼った捜査も行うようになる。
渡部 久志 (わたべ ひさし)
芝警察署刑事課に務める警察官の男性。階級は巡査部長。髪はボサボサで服はヨレヨレ、勤務態度は不まじめで勝手な行動をすることも多い。ベテラン刑事として勘は鋭く、自殺と断定された風見京子の死の不審点にいち早く気づき、独自の調査を開始する。
山田 春彦 (やまだ はるひこ)
警視庁捜査一課長の運転手を務める警察官の男性。若手ながら将来を有望視されており、捜査一課長を目指している。香坂真一郎が捜査一課にいた時は、香坂の部下としていっしょに捜査を行っていた。人懐っこい性格ながら抜け目がない。香坂が芝警察署に異動してから、独自に捜査して見つけた手がかりを捜査一課に報告するが、のちに香坂と協力して捜査にあたる。
小野田 義信 (おのだ よしのぶ)
警視庁捜査一課長を務める警察官の男性。所轄などの現場で働き続けた「現場畑」出身ながら、捜査一課長となった異例の経歴を持つ。本心をなかなか見せない食わせ者で、刑事には勘が何よりも大事だと考えている。
三笠 洋平 (みかさ ようへい)
芝警察署の署長を務める警察官の男性。前警視庁捜査一課長で、課長時代に香坂真一郎を捜査一課に引き入れた。香坂にとっては恩師ともいえる人物。捜査は理論で行うことを信条としており、勘を大切にする小野田義信のことを見下している。
風見 京子 (かざみ きょうこ)
父親の風見康夫が経営するシステム会社「風見エレック」で開発研究を担当していた女性。アメリカのM工科大学で学士を取得しており、会社では開発研究の中枢を担うほど優秀な人物だった。しかし恋人の中田隆一にフラれたことで、中田が経営する会社の屋上から飛び降りて亡くなっている。ビルの監視カメラの映像や、中田の証言から警察は自殺と断定した。
中田 隆一 (なかた りゅういち)
ナカタエレクトロニクスの社長を務める男性。最大手のIT企業「ゴーンバンク社」の社長を務める中田和正の一人息子で、ゴーンバンクの系列会社が定年退職した警察幹部の天下り先となっているため、警察に強いコネを持っている。恋人の風見京子が飛び降りて亡くなった時も、自殺を示唆するような証言をしていた。
池沢 菜穂 (いけざわ なほ)
ナカタエレクトロニクスでビルの防犯管理を担当している女性。警察に提出した防犯カメラの映像を捏造したことを、香坂真一郎に見破られて逮捕される。風見京子の殺害については否定していたが、最大手のIT企業「ゴーンバンク社」から骨髄移植を待つ小さな子供のことを取り引き材料にされると、一転して殺害を認める。
山本 アリサ (やまもと ありさ)
西麻布にある会員制のバー「RED」のオーナーを務める女性。中田隆一とも親しく、風見京子がビルから飛び降りた時の中田のアリバイを証言した。元ロンドン・リバー証券の社員で、バーを経営しながら個人投資家に株のコンサルティングも行っている。
クレジット
- 脚本
-
丑尾 健太郎
- 脚本協力